リンデロンVGローションってどんな薬?効果や副作用、正しい使い方を医師が解説!

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「頭皮の湿疹がジュクジュクしてかゆい…」「毛の多い部分にも塗りやすい薬ってないかな?」

そんなお悩みをお持ちのとき、皮膚科で「リンデロンVGローション」という塗り薬が処方されることがあります。

「リンデロンって聞いたことあるけど、VGって何?ローションってどんな感じ?」「ステロイドと抗生物質が入ってるって聞くと、ちょっと心配…」そんなあなたの疑問や不安に、この記事では優しくお答えします。

この記事を読めば、リンデロンVGローションのことがスッキリ理解できて、安心して治療に取り組めるはず。一緒に見ていきましょう!

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リンデロンVGローションとは?効果は?

リンデロンVGローションは、皮膚の炎症を抑える「ステロイド」と、細菌の増殖を抑える「抗生物質」の2つの有効成分が配合された塗り薬です。

「VG」の「V」はステロイド成分の「ベタメタゾン吉草酸エステル」を、「G」は抗生物質成分の「ゲンタマイシン硫酸塩」を指しています。

つまり、リンデロンVGローションは、「炎症を抑える力」と「細菌をやっつける力」を併せ持ったお薬です。

ステロイド成分の「ベタメタゾン吉草酸エステル」は、ステロイドの強さのランクでいうと、5段階中上から2番目のII群「ストロング(強い)」に分類されます。しっかりと炎症を抑える効果が期待できます。

ステロイド外用薬の強さについてはこちらの記事も参考にしてくださいね。

リンデロンVGローションの成分

ベタメタゾン吉草酸エステル(ステロイド)
皮膚で起きている炎症(赤み、腫れ、かゆみなど)の原因となる物質が作られるのを抑えたり、炎症に関わる細胞の働きを鎮めたりします。また、炎症で広がった血管を収縮させ、赤みや腫れを和らげます。

ゲンタマイシン硫酸塩(抗生物質)
皮膚の表面や傷口で悪さをする細菌(ブドウ球菌やレンサ球菌など、一部の菌)が増えるのを抑えます。細菌がタンパク質を作るのを邪魔することで、細菌の力を弱らせます。

この2つの成分が協力することで、炎症と細菌感染が同時に起きている、またはその危険性が高い皮膚症状に対して効果を発揮します。

リンデロンVGローション効果

  • 化膿(細菌感染)を伴う、またはそのおそれのある湿疹・皮膚炎の症状(赤み、腫れ、かゆみ、じゅくじゅくなど)を改善する
  • とびひ(伝染性膿痂疹)などの細菌感染症の炎症を和らげる(他の抗菌薬と併用されることもあります)

「ただの湿疹」ではなく、「じゅくじゅくしている」「かき壊してしまった」「黄色いかさぶたができている」といった、細菌感染が疑われる場合に特に有効です。

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 湿疹・皮膚炎群(アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、尋常性乾癬など)で、二次感染(細菌感染)を起こしているもの
  • とびひ(伝染性膿痂疹)、毛嚢炎(もうのうえん)などの細菌性皮膚疾患(ただし、これらの疾患の第一選択薬とならない場合もあります)
  • やけどや手術後の傷で細菌感染のおそれがある場合

体幹や手足など、比較的皮膚の厚い部分に使われることが多いです。顔や首、陰部などの皮膚の薄いデリケートな部分への使用は、ステロイドの吸収率が高く副作用が出やすいため、医師が特に必要と判断した場合にごく短期間に限って使用されることがあります。自己判断での使用は絶対に避けましょう。

リンデロンVGローションの種類

リンデロンVGには、今回ご紹介しているローションタイプの他に、「軟膏」「クリーム」もあります。

  1. リンデロンVGローション
    液状の基剤で、サラサラとした使用感です。広範囲に塗りやすく、特に頭皮など毛の多い部分に適しています。頭皮(髪の毛があっても地肌に直接塗りやすいです)、毛の多い部分、広範囲の患部。夏場など、よりさっぱりとした使用感を求める場合に使われます。クリームよりもさらに刺激を感じやすいことがあります。アルコールを含むため、傷やただれがあるとしみることがあります。
  2. リンデロンVG軟膏
    油性の基剤で、しっとりとした使用感です。皮膚を保護する効果が高く、刺激が少ないのがメリット。水に流れにくく、効果の持続も期待できます。乾燥してカサカサした患部、じゅくじゅくしていない(または少しじゅくじゅくしている)患部、皮膚が敏感な部分に使われます。ベタつきを感じることがあります。
  3. リンデロンVGクリーム
    水と油を混ぜ合わせた乳剤性の基剤で、軟膏よりも伸びが良く、さっぱりとした使用感です。じゅくじゅくした患部、やや広範囲の患部、毛の多い部分、夏場などさっぱりとした使用感が好まれる場合に使われます。軟膏に比べて刺激を感じやすいことがあります。

また、「リンデロンV軟膏/クリーム/ローション」という、抗生物質(ゲンタマイシン)が配合されていないステロイド単独の製品もあります。こちらは細菌感染のおそれがない、炎症だけの症状に使われます。

詳しくはこちらの記事をチェックしてください。

リンデロンVGローションの使い方(用法・用量

基本的に1日1~数回、患部に薄くのばす使い方が一般的ですが、塗る回数や期間は、症状の程度によって異なります。

症状がよくなってきたら、回数を減らすなど調整するケースが多いです。

“塗れば塗るほど早く治る”わけではないので、症状に合わせた量や回数を守りましょう。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、ステロイドの処方や皮膚症状の治療も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

リンデロンVGローションの副作用

主な副作用

ステロイドによる局所的な副作用(塗った場所に起こるもの)

  • 皮膚の真菌(カビ)感染症の誘発・悪化: カンジダ症や水虫などが起こりやすくなることがあります(ゲンタマイシンは真菌には効きません)。
  • 皮膚の萎縮、ステロイド皮膚: 長期間連用した場合に、皮膚が薄くなる、皮膚の萎縮線(妊娠線のような線)、毛細血管拡張(皮膚の表面に赤い血管が浮き出て見える)などが現れることがあります。
  • ステロイドざ瘡(ニキビ様のぶつぶつ)、酒さ様皮膚炎(顔が赤くなる): 特に顔への長期連用で起こりやすいです。
  • 多毛(塗った部分の毛が濃くなる)
  • 接触皮膚炎(かぶれ)、刺激感

抗生物質(ゲンタマイシン)による副作用

  • 耐性菌の発現: ゲンタマイシンが効かない細菌(耐性菌)が増えてしまうことがあります。そのため、漫然とした長期使用は避けるべきです。
  • かぶれ(接触皮膚炎): ゲンタマイシンに対してアレルギー反応を起こすことがあります。

全身性の副作用

大量または広範囲に長期間使用した場合(特に密封法(ODT)などを行った場合)に、ステロイド成分が体内に吸収され、副腎機能の抑制などの全身的な影響が出ることが理論上はありますが、通常の塗り薬としての使用では頻度は高くありません。

副作用が出たときの対処法

  • すぐに使用を中止する
  • ヒリヒリ・赤みなどの症状を医師または薬剤師に伝える
  • 必要に応じて他の治療に切り替えてもらう

副作用の予防のためにも、塗る頻度や期間、量は必ず指示どおりに守ることが大切です。

リンデロンVGローションの注意事項(禁忌)

使ってはいけない場合(禁忌)

  • ゲンタマイシン耐性菌または非感性菌による皮膚感染がある場合: 効果がないばかりか、悪化させる可能性があります。
  • 真菌(カビ)・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症、および動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)が主病巣の場合: これらの感染症には効果がなく、むしろ悪化させる可能性があります。(ステロイド成分による)
  • 本剤の成分(ベタメタゾン吉草酸エステル、ゲンタマイシン硫酸塩、基剤)に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎で、穿孔部位への使用: 治癒の遅延及び感染のおそれがあります。(ステロイド成分による)
  • 潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷: 皮膚の再生が抑制され、治癒が遅延する可能性があります。(ステロイド成分による)

使用上の注意

  • 自己判断で中止・再開しない: 症状が良くなったと思っても、医師の指示なしに急にやめるとリバウンド(症状が悪化すること)が起こることがあります。逆に、漫然と長期間使い続けるのも副作用のリスクを高めます。
  • 目に入らないように細心の注意を: 万が一目に入ってしまったら、すぐに大量の水で洗い流し、異常を感じたら眼科医の診察を受けてください。
  • おむつの下や密封法(ODT)は原則として避ける: おむつの下や、ラップなどで覆って塗る方法(密封療法)は、薬剤の吸収を高めて効果を強めますが、副作用のリスクも格段に高まります。

保管方法

  • 直射日光・高温多湿を避けて保管しましょう。
  • 子どもの手の届かない場所に置いてください。
  • 容器の先端を清潔に保ち、雑菌がつかないようにしましょう。

塗り忘れたら?

思い出した時点で塗ってOKです。次の塗る時間が近ければ、飛ばして次回分から再開しても大丈夫です。
焦って一気に多めに塗るのは避けてください。

リンデロンVGローションに市販薬はある?値段は?

市販薬

薬局やドラッグストアで「リンデロン」と名前がつく市販薬(例:リンデロンAs軟膏など)を見かけることがありますが、これらは医療用のリンデロンVGローションとは成分の組み合わせや濃度が異なります(例えば、抗生物質が入っていなかったり、ステロイドの強さが異なったりします)。

化膿しているかもしれない湿疹や皮膚炎の場合は、自己判断で市販薬を使わずに、まずは皮膚科を受診して、適切な診断と治療を受けることが大切です。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • リンデロンVGローション0.12% 10mL: 1本あたり約30~40円程度

※2025年4月29日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

ジェネリック名

リンデロンVGローションの有効成分「ベタメタゾン吉草酸エステル」と「ゲンタマイシン硫酸塩」を含むジェネリック医薬品(後発医薬品)も多数存在します。

「ベタメタゾン吉草酸エステル・ゲンタマイシン硫酸塩配合ローション「〇〇」」(〇〇には製薬会社名が入ります)といった名称で販売されており、一般的にリンデロンVGクリームよりも薬価が安価なことが多いです。

添付文書

リンデロン−VGローション

よくある質問(FAQ)

Q. 妊娠中や授乳中でも使える?
A. 妊婦さんや授乳中の方は、なるべく薬の使用を控えたい時期です。ただし、どうしても治療が必要な場合は医師が判断して処方することがあります。心配なことは遠慮なく相談しましょう。

Q. 子どもにも使えるの?
A. 「ストロング」クラスのステロイドであり、抗生物質も配合されているため、お子さんへの使用は特に慎重な判断が必要です。医師が症状や状態を総合的に判断し、必要と認めた場合に限り、ごく短期間、限定的な範囲に処方されることがあります。自己判断での使用は絶対に避け、必ず医師の指示を守ってください。

Q. どのくらいで効き目を感じる?
A. 効果が現れるまでの時間には個人差や症状の程度によりますが、多くの場合、使用開始から数日以内に赤みやかゆみ、じゅくじゅくした感じが和らいでくるのを実感できるでしょう。ただし、細菌感染の程度によっては、もう少し時間がかかることもあります。

Q. 長く使っても大丈夫ですか?
A. いいえ、リンデロンVGローションを漫然と長期間使用するのは避けるべきです。 ステロイドによる副作用のリスク(皮膚が薄くなるなど)もありますし、抗生物質(ゲンタマイシン)を長く使い続けると、薬の効かない細菌(耐性菌)が現れる可能性があります。

Q. リンデロンVGローションはステロイドの強さでいうとどのくらいですか?
A. リンデロンVGローションに含まれるステロイド「ベタメタゾン吉草酸エステル」は、5段階中上から2番目のII群「ストロング(強い)」に分類されます。比較的しっかりとした抗炎症作用が期待できます。

Q. なぜ抗生物質が入っているのですか?普通のリンデロンVとどう違いますか?
A. リンデロンVGローションには、「ゲンタマイシン硫酸塩」という抗生物質が配合されています。これは、皮膚の炎症に加えて、細菌感染が起きている場合、またはそのおそれが高い場合に、その細菌の増殖を抑えるためです。 一方、「リンデロンV」には抗生物質は入っておらず、ステロイド成分のみです。こちらは細菌感染のおそれがない、炎症だけの症状に使われます。医師が皮膚の状態を見て、細菌感染の有無やリスクを判断して使い分けます。

Q. リンデロンVGローションは顔や陰部にも使っていいですか?
A. 顔や陰部は皮膚が薄くデリケートなため、「ストロング」クラスのステロイドであるリンデロンVGローションの使用は、原則として避けられるか、ごく短期間の限定的な使用にとどめられます。自己判断で顔や陰部に塗るのは絶対に避けてください。

Q. ニキビやヘルペス、水虫に使ってもいいですか?
A.
ニキビ: リンデロンVGローションはニキビの治療薬ではありません。かえって悪化させる可能性があります。
ヘルペス(ウイルス感染症): ウイルスには効果がなく、悪化させる可能性があります。
水虫(真菌感染症): 真菌(カビ)には効果がなく、悪化させる可能性があります。
これらの症状の場合は、それぞれ専用の治療薬がありますので、必ず医師の診断を受けてください。

まとめ

今回は、ステロイドと抗生物質の2つの力で、化膿を伴う湿疹や皮膚炎に効果を発揮する「リンデロンVGローション」について、大切なポイントをギュッと絞って見てきました。

リンデロンVGローションは、「ストロング」クラスのステロイドと、細菌の増殖を抑えるゲンタマイシンを配合した、頼りになる塗り薬です。特に、ジュクジュクしてしまったり、かき壊してしまったりした皮膚のトラブルで、細菌感染が心配なときに活躍してくれます。クリームタイプなので、伸びが良く、軟膏よりもベタつきが少ないのが特徴ですね。

でも、効果がしっかりしている分、使い方には少し注意が必要です。一番大切なのは、「強い薬だから…」と不安になりすぎず、医師や薬剤師の指示をしっかり守って、適切な量と期間で使用すること。そして、自己判断でむやみに使ったり、長期間ダラダラと使い続けたりしないことです。

この記事が、リンデロンVGローションに対する皆さんの「?」を「!」に変えて、安心して治療に取り組むためのお手伝いができれば、とても嬉しいです。つらい皮膚の症状が一日も早く良くなって、スッキリ快適な毎日が戻ってきますように。どうぞお大事にしてくださいね。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。