いびき対策!自分で治す改善法・治し方5選【医師解説】

いびきには命に関わる重大な病気、「睡眠時無呼吸」が隠れている事があります。

そして日本にはなんと300万人以上無呼吸の人が存在すると言われているにも関わらず、その10分の1、30万人しか治療を受けていないという非常に危うい現状があります。

なぜいびきが起こるのか、いびきの科学の話から、絶対に見逃してはいけないいびきの特徴、そして自宅での改善法についていびきについてお話していきたいと思います。

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いびきが起きる原因と仕組み

ではまず、なぜいびきが起きてしまうのか、いびきの原理についてみていきましょう。

結論から話すと、いびきは「振動」の音です。

人間は鼻や口から空気を吸い込み、気管という管を通り、その管が枝分かれし気管支になり、肺へとつながっています。

この鼻から気管支までの区間を専門用語で「上気道」と呼びます。

いびきの音はこの上気道が狭くなる事が原因で起きています。

上気道が様々な原因で狭くなると、空気の振動でいびきの音が発生するんです。

いびきが起きる原理

ではどんな時にいびきが起きる、すなわちどんな時に上気道が狭くなってしまうのでしょうか?

まず鼻に関しては、

  • 鼻づまり
  • 鼻の真ん中の骨が曲がっている
  • 鼻炎が原因で鼻の粘膜が厚くなっている
  • 鼻茸(はなたけ):炎症で粘膜が垂れ下がり、茸のようなできものができること

次に鼻を通過してのどです。

  • 扁桃腺が大きい人
  • のどちんこ(口蓋垂:こうがいすい)が大きい
  • 舌が大きい

このような原因でも上気道通路が狭くなる原因になり得ますね。

また外側からみてみると、「肥満」によって首の周りに脂肪がたくさんついてしまい、その脂肪が上気道を圧迫する事で空気の通り道が狭くなってしまい、いびきの原因になることもあります。

そして肥満以外にも顔の構造の問題も関係していて、下あごが小さい人はベロがのどの奥に落ち込みやすくなってしまい、通路が狭くなります。日本人はこの下あごが小さい人が多いといわれています。

いびきというと太った中年男性、みたいなイメージがあるかもしれませんが、そういった理由で実は全然肥満でない、モデル体型の若い女性でも、骨格の問題によってはいびきが起きる事もある訳です。

いびきが体に及ぼす影響

いびきの原因は様々ですが、いびきは体に悪いのでしょうか?

例えば糖尿病との関係を調べたとあるスウェーデンの約2700人の男性にアンケートを取った研究ではいびきのある人は10年間の糖尿病の発症率が5.4%だったのに対し、いびきのない人については2.4%でした。

他にも、もしかしたら重度のいびきだと、振動が影響で首の動脈硬化を進行させるかもしれない、といった論文もあり、どうやらいびきがあるよりはない方が健康には良さそうです。

要注意ないびきの原因「睡眠時無呼吸症候群」

聞いた事のある方も多いかもしれませんが、いびきがひどい方の中で「睡眠時無呼吸」の状態の方は要注意です。

しかし、「睡眠時無呼吸」という言葉は聞いたことはあるけど、実際どういった状態の事なのかわからない方もいると思うので、詳しく説明します。

今説明したように、いびきは上気道が狭くなる事が原因です。

そして最終的には通路がほぼ封鎖してしまい、呼吸ができない「無呼吸」の状態や、呼吸が浅い状態になってしまいます。

無呼吸になると酸素を取り込めないので、血液の中の酸素の濃度がだんだん低下してしまい、再び呼吸が戻る。これを繰り返すので、体にかなりの負担がかかり、様々な病気のリスクが上がります。

この状態を「睡眠時無呼吸症候群」と呼びます。英語の頭文字をとってSAS(Sleep Apnea Syndrome)、サスと医者の間では呼ぶ事が多いですね。

睡眠時無呼吸の影響

無呼吸の状態が続くと、瞬間的に心臓から送られる血液の量が減り、交感神経という神経が警告音を鳴らし、夜の血圧が上がりやすくなってしまいます。

他にも糖尿病や脂質異常症(TG、HDL)のリスクが上がるとされており、無呼吸の人は動脈硬化が進行しやすくなる。また、がんやうつ病のリスクを上げるというデータもあります。

生活習慣病が悪化し動脈硬化が進行、そして心筋梗塞や脳梗塞といった大病が起こるリスクが上がるなど、軽視する人もいますが決して放置しない方がよい病気です。

そして実際にどういった特徴があるかというと、無呼吸の人は質の高い睡眠がとれていないので、

  • 昼間の眠気、だるさ
  • 会議や運転中の眠気やイライラ

を感じやすくなります。

普通の人より2.4倍事故を起こすリスクが上がるというデータまであるんです。

また肥満の人は普通の人より4倍程度無呼吸になりやすいともされているので肥満の方のリスクは高いですし、大きくて回数の多いいびきをしている方、家族に呼吸が止まっていると指摘されている方は要注意です。

睡眠時無呼吸の検査・治療

検査

まず、スクリーニングとして手に機械をつけて酸素の数値を測る簡単な検査を行います。

この検査で無呼吸の人は酸素が取り込めず、サチュレーション、と呼ばれる血液の中の酸素の濃度を100点満点で計測したときの点数が落ちる時間帯が出てきます。

そこで睡眠時無呼吸の可能性がある場合は「PSG検査」と呼ばれる、脳の動きやあごの動き、心電図など様々な要素を測定する検査を行い、睡眠時無呼吸かどうかをはっきりさせることが多いです。

治療

SASだったという人は、CPAPという鼻にマスクをつけて空気を送りこみ、その圧力で空気の通り道を確保してあげる治療を行うのが一般的です。

他にもマウスピースをつけたり、改善がない場合は鼻やのどの手術を行う場合もありますね。

「いびき=すべて病気!」という訳ではないものの、いびきは勿論こういった症状がある人は睡眠時無呼吸の可能性があります。

今回は自宅でのいびきの治し方を紹介しますが、それとは別にもし気になる人は病院で見て貰った方が良いでしょう。

ウチカラクリニックのオンライン診療でもいびき・睡眠時無呼吸症候群についての相談は対応しています。気になる方はぜひ診療予約をしてみてください。

いびき対策・自分でできる治し方

いびき対策・自分でできる治し方①テニスボール

テニスボールを使ったいびきの改善法があります。これは、仰向けでいびきが起きやすい人に有効な場合があります。

あおむけの事も専門用語で「仰臥位(ぎょうがい)」なんて呼んだりしますが、仰臥位だと、ベロやのどの「軟口蓋」という場所が重力の関係で喉の方に落ちてしまったり、いびきが出やすくなる人がいます。

こういった人はにテニスボール療法が有効な場合があります。

具体的なやり方としては、いつも着るパジャマの背中側にテニスボール大のポケットを縫い付けて、そこにボール入れて寝るようにします。

すると、睡眠中仰向けになったときにボールの違和感で横を向いて寝るようになり、この仕組みでいびきが改善されるというものです。

テニスボール療法で、睡眠時無呼吸の人の高血圧が改善した!という報告もあり、「いつもあなたあおむけでいびきかいてるよ」とご家族さんに言われている人は試してみる価値はありますね。

いびき対策・自分でできる治し方②枕

ほとんどのまくらが仰向けで楽になるように設計をされていると言われています。

具体的には6-8cmの高さが多いと言われています。

そしてテニスボールと同じ理論にはなりますが、枕の高さの調整をする事で、横向きで寝るようになる場合があります。

これは従来の枕より横向きで寝るには5cm程度高めがよい、このように言われたりします。

また抱き枕を用意しておくと、基本的に抱き枕を抱く姿勢は多くの場合横向きですので、この抱き枕療法も有効な人もいるでしょう。

詳しくは家具屋さんの寝具コーナーに「枕ソムリエ」といって枕に詳しい人がいたりするので、その人に尋ねてみてもよいかもしれません。

いびき対策・自分でできる治し方③寝酒をやめる

寝る前の飲酒は、のどの筋肉をゆるめてしまうので、いびきが出やすくなると言われています。

他にも、寝る前の睡眠薬代わりに寝酒をされる方は結構いますが、睡眠の質にも悪影響があると言われているので、様々な観点から寝酒はおススメできないんです。

完全な禁酒が難しい!という人にとっても、せめて寝る前のお酒に関しては控えていった方が良いでしょう

他にも「ベンゾジアゼピン系」と呼ばれる睡眠薬は、睡眠時無呼吸の人には避けた方が良いと言われています。

勿論この点は医師との相談にはなるでしょうが、もしかしたら、睡眠時無呼吸に気づかず、こういった薬を飲んでいるという状況も考えられるのでその点は覚えておいてください。

いびき対策・自分でできる治し方④禁煙

たばこは、吸い続けると粘膜に炎症やむくみを引き起こし、上気道の通り道をせまくしてしまい、いびきの原因になります。

肥満で、たばこを吸っていて、寝る前に必ずビールを飲む、こんな生活習慣の人はいびきが相当起こりやすいという事になります。

喫煙者はたばこを吸っていない人に比べて睡眠時無呼吸のリスクが3倍とされています。

どこかのタイミングをきっかけに禁煙にトライできるとよいでしょう。

いびき対策・自分でできる治し方⑤減量

肥満の人にとってはここが最も費用対効果が期待できるところでしょう。

繰り返しですが、肥満は普通の人より睡眠時無呼吸のリスクが4倍といわれています。

減量は簡単ではありませんが、ぜひ取り組んでいきたいですね。

今回紹介した方法を試して、いびきがおさまればうれしいです。

またいびきがおさまるのと睡眠時無呼吸の治療は似て非なるものですので、怪しい症状がある人は是非ウチカラクリニックでも相談してくださいね。

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内科医/産業医/労働衛生コンサルタント
ウチカラクリニック代表
予防医学ch/医師監修 管理人