「ジエノゲスト」の効果・強さ・副作用【太る？避妊効果は？不正出血がある？】医師が解説！

ジエノゲストは主に月経困難症や子宮内膜症の治療に用いられ、「黄体ホルモン」の一種で、子宮内膜の増殖を抑え、痛みや出血を軽減する効果が期待されています。
本記事では、ジエノゲストの効果、副作用、そして避妊効果について、医師の視点から詳しく解説します。

体重増加や不正出血といった副作用への不安、避妊効果への疑問… ジエノゲストを正しく理解し、安心して治療を進めるための情報を網羅しました。
ジエノゲストでより快適な日々を取り戻せるよう、ぜひ最後までお読みください。

ジエノゲストとは

ジエノゲストの成分

ジエノゲストは、女性ホルモン（黄体ホルモン）の一種である「プロゲスチン」に分類されるお薬です。
女性ホルモンの一種であるエストロゲンの働きを弱めるように作用します。エストロゲンが減ると、子宮内膜の増殖が抑えられ、痛みや不快感の原因となる内膜組織が少なくなります。その結果、生理痛や下腹部痛などの症状が和らぎます。

主に月経痛の改善や子宮内膜症の治療に使われます。月経困難症は、プロスタグランジンという物質の過剰分泌が原因と考えられています。プロスタグランジンは子宮の収縮を促す物質ですが、過剰に分泌されると子宮が過剰に収縮し、強い痛みを引き起こします。
ジエノゲストは、子宮内膜の増殖を抑えるのでプロスタグランジンの産生を抑制し、子宮の過剰な収縮を和らげ、その結果、月経困難症の痛みを軽減することが期待できます。

ジエノゲストの効果

• 子宮内膜症の進行を抑える
• 生理痛などの症状を軽くする
• 月経量の減少
• 性交痛、排便痛などの痛みの緩和
• 骨盤内の炎症を和らげる

ジエノゲストを続けて飲むことで、子宮内膜の増殖が抑えられ、生理痛のような症状がラクになることが期待できます。

どんなときに使う？（適応疾患）

• 子宮内膜症
• 月経困難症
• 子宮腺筋症（場合によっては処方されることも）

子宮内膜症は、子宮の内側にしかないはずの子宮内膜組織が、卵巣や腹膜など子宮以外の場所に増殖してしまう病気です。
痛みが強く、放置すると将来的な不妊のリスクもあるため、早めの治療が大切です。

ジエノゲストの避妊効果

ジエノゲストには子宮内膜症を治療する過程で排卵が抑えられることが多く、結果として「避妊効果もあるのでは？」と期待される方もいます。

ただし、ジエノゲストはあくまで子宮内膜症の治療薬であって、正規の避妊薬として承認されたものではありません。
5-10%は排卵がおこる可能性があるといわれています。

確実な避妊を望む場合は、低用量ピルのような避妊効果を目的とした薬や、コンドームなどの他の避妊法を併用することが大切です。
もし妊娠を避けたいと思われるなら、医師に相談して自分に合った方法を選びましょう。

ジエノゲストの使い方（用法・用量）

月経困難症では0.5mgを1回1錠、子宮内膜症・子宮腺筋症に伴う疼痛では1mgを1回1錠。1日2回連日服用します。

服用開始時期は、月経周期に関係なくいつでも開始できます。

低用量ピル（LEP）など、他のホルモン剤からジエノゲストに切り替える場合は、現在服用している薬剤の種類や服用状況によって開始時期が異なりますので、必ず医師の指示に従ってください。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、ジエノゲストをはじめとした月経困難症の治療やピルの処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

ジエノゲストの注意事項（禁忌）

併用に注意が必要な薬

• 他のホルモン治療薬（例えばエストロゲン製剤など）
• 一部の抗凝固剤

これらは相互作用を起こす可能性があります。飲み合わせに不安がある場合は、必ず医師・薬剤師に確認してください。

使用上の注意

毎日きちんと決まった時間に飲むようにしましょう。飲み忘れが続くと効果が十分に得られないことがあります。

また、ジエノゲストは、血栓症（血管の中に血の塊ができる病気）のリスクを高める可能性があるため、喫煙者や血栓症の既往歴がある方は、服用前に必ず医師に相談しましょう。

血栓症リスクを下げるためにも、長時間同じ姿勢を避け、水分補給や軽い運動を心がけましょう。

保管方法

• 直射日光や高温多湿を避けて保管
• 子どもの手の届かない場所へ

飲み忘れたら？

気づいた時点で12時間以内であればすぐに服用してください。
12時間を超えてしまった場合は、飲み忘れた錠剤はとばし、次の服用時間に1回分を服用します。
次の服用時間が迫っている場合は、飛ばしていつもの時間に1錠飲んでください。

2回分をまとめて飲むのはNGです。

飲み忘れが多いと十分な効果が得られなくなってしまいます。飲み忘れが多いと感じる方は、アラーム機能やカレンダーを活用して飲み忘れを防ぎましょう。

ジエノゲストの副作用

主な副作用

ホルモンに働きかけるお薬なので、人によってはさまざまな副作用が見られることがあります。

• 不正出血：服用を始めてしばらくは、生理とは別に少量の出血が続くこともあります。
• 頭痛・吐き気：ホルモンの変化で起こる場合があります。
• 乳房の張り・痛み：ホルモン量の影響で感じることがあります。
• むくみ・体重増加：水分バランスが崩れやすくなるため。

個人差はありますが、比較的よく見られる副作用としては「不正出血」が挙げられます。慣れてくると落ち着いてくる人も多いですが、心配な方は医師に相談してみましょう。

「体重増加」を気にされる方も多いですが、ジエノゲストは黄体ホルモンの一種なので、体内の水分や塩分のバランスに影響を与え、浮腫を引き起こす可能性があります。
また、食欲が増加したり、代謝が低下したりすることで体重増加につながることがあります。しかし全員に必ず起こるわけではありません。

副作用が出たときの対処法

• 不正出血が長引く場合：早めに医師へ報告しましょう。
• 頭痛や吐き気：市販の頭痛薬などを併用してもOKな場合がありますが、必ず医師や薬剤師に確認を。
• むくみが気になる：塩分を控えめにしたり、軽い運動を取り入れることで軽減する場合があります。

服用中に気になる症状が出たら、自己判断でやめずに、一度受診して相談してください。

ジエノゲストに市販薬はある？値段は？

市販薬

ジエノゲストは医療用医薬品ですので、医師の処方箋が必要です。ドラッグストアなどで購入することはできません。
自己判断で使用するのではなく、まずは病院を受診し、症状や体質に合った適切な薬を処方してもらうことが重要です。

ジェネリック名

ジエノゲスト自体がジェネリック医薬品です。
先発品は「ディナゲスト」で、ジェネリック品として各社から「ジエノゲスト錠」として販売されています。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

• ディナゲスト錠1mg（先発品）：1錠あたり約130円
• ジエノゲスト錠1mg（後発品）：1錠あたり約53.5円

※2025年4月29日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ジエノゲスト錠1mg「サワイ」
ジエノゲスト錠１mg「ニプロ」

よくある質問（FAQ）

Q. 妊娠中や授乳中でも使える？
妊娠中は服用できません。服用中に妊娠が判明した場合は、速やかに服用を中止し、医師に相談してください。　
ジエノゲストは母乳に移行する可能性があるため、授乳中の服用は避けるべきです。もし授乳中に服用が必要な場合は、医師と相談の上、授乳を中止する必要があります。

Q. 小児でも使える？
子宮内膜症は生理が始まってからの発症なので、あまり小児に使われるケースは多くありません。しかし、医師の判断で必要と認められた場合には処方されることもあります。

Q. 車やバイクの運転への影響は？
一般的に、ジエノゲストの服用で強い眠気やめまいなどはあまり報告されていません。しかし、個人差がありますので、万が一具合が悪くなったりした場合は、運転を控えて早めに医師に相談してください。

Q. 飲み始めてどのくらいで効果が出る？
早い人だと数週間で生理痛の軽減を感じることがありますが、個人差があります。3か月程度は継続してみるのが一般的です。効果を実感できるまでに少し時間がかかることもありますので、根気よく続けてみてください。

Q. お酒と一緒に飲んでも大丈夫？
特にアルコールとの大きな相互作用は報告されていませんが、ホルモンバランスを整えている最中なので、飲み過ぎは避けたほうがベターです。体に負担をかけないよう、ほどほどにしましょう。

まとめ

ジエノゲストは、子宮内膜症などを改善し、生理痛や下腹部痛を抑えてくれる頼もしいお薬です。ホルモンに働きかけるため、副作用や生活習慣との兼ね合いが気になるところですが、きちんと用法用量を守れば安全に使えます。

• 毎日決まった時間に飲むこと
• 不正出血や体調変化があれば、早めに相談すること
• 長く飲むことで効果を得る場合もあるため、根気よく続けること

つらい症状を放っておかず、疑問点があればぜひ医師や薬剤師に気軽に質問してみてくださいね。