喘息の吸入薬一覧|強さ・効果・副作用について医師が比較

「咳が止まらなくて夜も眠れない…」 「運動すると、すぐにゼーゼー、ヒューヒューと苦しくなる…」 「季節の変わり目や風邪をひいた後に、咳が長引く…」

もしかしたら、その症状は「気管支喘息」かもしれません。近年、子どもの喘息は減少傾向にありますが、大人の喘息は増加しているとも言われています。

この記事では、「喘息とは何か?」から喘息治療で中心的な役割を果たす吸入薬の中から、代表的なお薬について、それぞれの特徴や違いを医師が分かりやすく解説していきます。ご自身の治療薬への理解を深め、より良いコントロールを目指しましょう。

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そもそも「気管支喘息」って何?

気管支喘息とは、空気の通り道である「気管支」が、アレルギーなどによって慢性的に炎症を起こし、非常に敏感になっている状態のことです。

健康な人なら何でもないような、わずかな刺激(ホコリ、ダニ、タバコの煙、冷たい空気、ストレス、運動など)にも気管支が過敏に反応してしまい、以下のようなことが起こります。

  1. 気管支の粘膜がむくんで腫れる
  2. 気管支の周りの筋肉がギュッと縮む(けいれんする)
  3. 気管支の中に痰(たん)がたくさん出る

これらの結果、空気の通り道が急に狭くなり、息を吸ったり吐いたりするのが苦しくなったり、ゼーゼー・ヒューヒューという特徴的な呼吸音(喘鳴:ぜんめい)が出たり、激しい咳が続いたりします。これが「喘息発作」です。

喘息は、発作が起きていない時でも気管支の炎症は続いているため、発作を予防し、
①気道の炎症を普段から抑えておく「長期管理(コントローラー)」
②急な発作が起きた時に症状を和らげる「発作治療薬(リリーバー)」

の2つのタイプの治療を組み合わせることが基本となります。とで効果を発揮します。

喘息の薬はオンライン診療で出せる?

「定期的に使っている吸入薬がもうすぐなくなるけど、病院に行く時間がない…」「症状は落ち着いているので、いつもの薬を処方してほしい」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

今回紹介するような吸入薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
咳・喘息の治療に関するご相談や継続的なお薬の処方をオンライン診療にて承っております。

特に治療に時間がかかる喘息など継続的なケアが必要な方にとっては、通院の負担を大きく減らすことができます。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

長期管理薬(コントローラー)

これらの薬は、症状がない時でも毎日規則正しく使用することで、気道の炎症を抑え、発作を起こしにくくするお薬です。

シムビコート(ブデホル)

シムビコート

配合成分

ブデソニド(吸入ステロイド薬) + ホルモテロール(長時間作用性β2刺激薬:LABA)

剤形

タービュヘイラー(ドライパウダー吸入器)

主な使い方

1日2回吸入。SMART療法の場合は、発作時に追加吸入。

特徴

  • 気道の炎症を強力に抑える「吸入ステロイド薬」と、気管支を広げる効果が長く続く「LABA」の2種類を配合したお薬です。
  • 「SMART療法(スマート療法)」という、普段の定期吸入に加えて、発作が起きた時にも同じ吸入器を追加で使用できる、ユニークな使い方が認められています(医師の指示によります)。これにより、1つの吸入器で長期管理と発作治療の両方に対応できる場合があります。
  • 速効性のあるLABA(ホルモテロール)を配合しているため、吸入後比較的早く気管支拡張効果が現れます。

アドエア

アドエア

配合成分

フルチカゾンプロピオン酸エステル(吸入ステロイド薬) + サルメテロール(長時間作用性β2刺激薬:LABA)

剤形

ディスカス(ドライパウダー吸入器)、エアゾール(pMDI:加圧式定量噴霧吸入器)

主な使い方

1日2回吸入。

特徴

  • シムビコートと同様に、吸入ステロイド薬とLABAを配合したお薬です。
  • 気道の炎症をしっかり抑え、気管支を広げる効果が安定して持続します。
  • 吸入器(ディスカス、エアゾール)の種類が複数あり、患者さんの吸入力や好みに合わせて選択できます。

レルベア

Vilanterol Trifenatate Fluticasone Furoate

配合成分

フルチカゾンフランカルボン酸エステル(吸入ステロイド薬) + ビランテロール(長時間作用性β2刺激薬:LABA)

剤形

エリプタ(ドライパウダー吸入器)

主な使い方

1日1回吸入。

主な使い方

  • 1日1回の吸入で効果が24時間持続するのが最大のメリット。
  • 吸入ステロイド薬とLABAの配合剤で、気道の炎症を抑え、気管支を広げます。
  • エリプタという、操作が簡単な吸入器が使われています。

パルミコート

配合成分

ブデソニド(吸入ステロイド薬)

剤形

タービュヘイラー(ドライパウダー吸入器)、吸入液(ネブライザー用)

主な使い方

1日1回~2回吸入(タービュヘイラーの場合)。

特徴

  • 「吸入ステロイド薬」単剤のお薬です。気道の慢性的な炎症を抑える、喘息治療の基本となるお薬の一つです。
  • 特に小児の喘息治療で長年使われており、安全性が高いとされています。
  • ネブライザー(霧状の薬液を吸入する機械)を使って吸入する液剤もあり、乳幼児など自分でうまく吸入器を操作できない患者さんにも使われます。

テリルジー

テリルジー

配合成分

フルチカゾンフランカルボン酸エステル(吸入ステロイド薬) + ビランテロール(長時間作用性β2刺激薬:LABA) + ウメクリジニウム(長時間作用性抗コリン薬:LAMA)

剤形

エリプタ(ドライパウダー吸入器)

主な使い方

1日1回吸入。

特徴

  • 「吸入ステロイド薬」「LABA」「LAMA」という、3つの異なる作用を持つ成分を1つの吸入器に配合したお薬です。
  • LAMAは、気管支を収縮させるアセチルコリンという物質の働きをブロックし、気管支を広げます。
  • 3つの成分が協力し合うことで、より強力な気管支拡張効果と抗炎症効果が期待でき、特に重症の喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療に使われます。
  • レルベアと同じく、エリプタという吸入器で1日1回の吸入です。

発作治療薬(リリーバー)

これらの薬は、喘息発作が起きて苦しい時に、速やかに気管支を広げて呼吸を楽にするために使います。毎日定期的に使うお薬ではありません。

メプチンエアー

配合成分

プロカテロール塩酸塩水和物(短時間作用性β2刺激薬:SABA)

剤形

エアゾール(pMDI)

主な使い方

発作時に1~2吸入。効果が不十分な場合は、医師の指示に従い追加吸入。

特徴

  • 吸入後、比較的速やかに気管支を広げる効果が現れる「SABA」という種類のお薬です。
  • 喘息発作が起きた時に、一時的に症状を和らげるために使います。
  • エアゾールタイプの吸入器で、スペーサー(吸入補助具)を使うと、より確実に吸入できます。

サルタノールインヘラー

Salbutamol Sulfate

配合成分

サルブタモール硫酸塩(短時間作用性β2刺激薬:SABA)

剤形

エアゾール(pMDI)

主な使い方

発作時に1~2吸入。

特徴

  • メプチンエアーと同様に、速やかに気管支を広げる「SABA」です。
  • 喘息発作時の頓服(とんぷく:症状が出た時だけ使うこと)として、世界中で広く使われているお薬です。

喘息治療薬の比較

吸入薬は、患者さんの喘息の重症度、年齢、ライフスタイル、吸入力、そして合併症の有無などを考慮して、医師が最適なものを選択します。

長期管理薬(コントローラー)の使い分け

まず選ぶ薬
吸入ステロイド薬(例:パルミコート)が基本。
ICSで不十分
ICS+LABA配合剤シムビコートアドエアレルベア)へ追加・変更。
1日1回で済ませたい
吸入回数を減らしたいなら レルベア
SMART療法
発作時にも使える シムビコート が便利。
器具の選択肢
吸入器を選び分けたいなら アドエア
より強力に
重症例では 3剤配合剤(テリルジー等) を検討。

発作治療薬(リリーバー)の使い分け

どちらもSABA。効果・使い方はほぼ同じ。処方された方を使う。
使用回数が増えたら
リリーバーが手放せない=コントロール不良のサイン。必ず主治医へ相談し、コントローラー調整を。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、ニキビの治療やお薬の処方も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

吸入薬を使う上での大切なこと

①定期的な受診を続ける
喘息は長期的な管理が必要な病気です。定期的に受診し、呼吸機能検査などを受けながら、医師と相談して治療方針を見直していくことが大切です。

②吸入後のうがいを忘れずに
特に吸入ステロイド薬を使った後は、口の中に残った薬で声がかすれたり、口内炎やカンジダ症になったりするのを防ぐため、必ずうがいをしましょう(「ブクブクうがい」と「ガラガラうがい」の両方)。

③自己判断で中止・減量しない
症状が良くなったと感じても、気道の炎症はまだ続いていることがあります。医師の指示なく薬をやめたり、量を減らしたりすると、喘息が悪化する可能性があります。

④正しい吸入方法をマスターする
どんなに良い薬でも、正しく吸入できなければ効果は半減します。処方された時に、医師や薬剤師から吸入方法の指導をしっかり受け、練習しましょう。

まとめ

喘息の治療薬には、たくさんの種類がありますが、それぞれに特徴があり、患者さん一人ひとりの状態に合わせて使い分けられています。 ご自身が使っているお薬について正しく理解し、医師の指示通りに吸入を続けることが、喘息発作のない、快適な日常生活を送るための最も重要なポイントです。

この記事が、皆さんの喘息治療への理解を深め、より良いコントロールを目指すための一助となれば幸いです。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。