イルベサルタンの効果・副作用を医師が解説【アバプロ/イルベタン】

イルベサルタン

「健康診断で血圧が高いと言われ、イルベサルタンという薬が始まった」「アバプロという薬を処方されたけど、どんな効果があるの?」

そんな高血圧症の治療で、現在、世界中で最も標準的に使われているお薬の一つが「イルベサルタン」です。先発医薬品の「アバプロ」や「イルベタン」という名前でもよく知られています。

この記事では、そんな高血圧治療の基本薬イルベサルタンについて、効果の仕組みや副作用、そして安全な使い方を、医師が分かりやすく解説していきます。

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イルベサルタンとは?効果・効能は?

イルベサルタンは、ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)という種類に分類される、高血圧症の治療薬です。体を緊張させて血圧を上げるホルモンの働きをブロックすることで、血管を広げ、血圧を下げます。副作用が少なく、咳が出ないことなどから、第一選択薬として非常に広く使われています。

イルベサルタンは、先発医薬品の「アバプロ」「イルベタン」のほか、非常に多くのジェネリック医薬品が販売されています。

  • イルベサルタン錠50mg / 100mg / 200mg

それぞれ水なしで飲めるOD錠も存在しています。

イルベサルタンの成分

有効成分は、その名の通りイルベサルタンです。

体内には、血圧を上げる強力なホルモンアンジオテンシンⅡが存在します。このホルモンが、血管にある“スイッチ”(受容体)に結合すると、血管がギュッと収縮し、血圧が上がります。

イルベサルタンは、このアンジオテンシンⅡが“スイッチ”に結合するのを、先回りしてブロックします。 スイッチが押せなくなった結果、血管は収縮せず、リラックスして広がったままになるため、血圧が下がるのです。

イルベサルタン効果

血圧を安定して下げることで、高血圧による将来的な心臓病や脳卒中のリスクを低減します。また、腎臓を保護する作用も認められています。

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 高血圧症
  • 2型糖尿病における糖尿病性腎症

イルベサルタンはオンライン診療で出せる?

「高血圧で薬が必要」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

イルベサルタンのようなお薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
イルベサルタンに関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

イルベサルタンの使い方(用法・用量

通常、成人は1回50mg〜100mgを、1日1回服用します。1日1回の服用で効果が持続します。朝が一般的です。

年齢や症状により調整されますが、1日の最大量は200mgまでです。

食事の影響は受けにくいですが、飲み忘れを防ぐため、毎日決まった時間に飲むのが良いでしょう。

イルベサルタンの副作用

副作用は比較的少なく、安全性の高いお薬として知られています。

主な副作用

  • めまい、ふらつき、立ちくらみ
  • 頭痛
  • 発疹、かゆみ
  • 血管浮腫:顔、唇、舌、のどなどが急に腫れるアレルギー症状。(頻度は稀)
  • 高カリウム血症:血液中のカリウム濃度が異常に高くなる。
  • 腎機能障害、肝機能障害など(頻度は稀)

副作用が出たときの対処法

めまいやふらつきがひどい場合は、転倒のリスクがあります。症状が続く場合は、医師や薬剤師に相談してください。

イルベサルタンの注意事項(禁忌)

使ってはいけない方

  • 本剤の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方 (禁忌)
  • 妊婦または妊娠している可能性のある女性(禁忌)
  • 肝臓や腎臓に重い障害のある方
  • 高齢者の方

併用に注意が必要な薬

  • アリスキレン(血圧の薬)を服用中の糖尿病患者(禁忌)
    ※ただし、他の降圧治療を行っても血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く
  • 他の降圧薬、利尿薬→血圧DOWN
  • カリウム保持性利尿薬、カリウム製剤→血中のカリウム濃度UP
  • NSAIDs長期使用→腎障害リスク
  • リチウム製剤→血中リチウム濃度UP

使用上の注意

自己判断で中止しない血圧が正常に保たれていても、それは薬の効果によるものです。自己判断で服用をやめると、血圧が急にリバウンドする危険性があります。
血圧測定の習慣を毎日、家庭で血圧を測定し、記録することは、治療効果の確認と副作用の早期発見のために非常に重要です。
急な立ち上がりをゆっくり、脱水を避ける血圧が下がることで、急に立ち上がった際にめまいや立ちくらみが起こることがあります。動作はゆっくり行いましょう。また、脱水は血圧の過度な低下につながるため、こまめな水分補給を心がけてください。
塩分制限と運動で薬の効き目を後押し1日6g未満の減塩や、ウォーキングなどの適度な運動は、血圧を下げる上で非常に効果的です。薬だけに頼るのではなく、生活習慣を一緒に見直すことで、より良い血圧コントロールを目指せます。

保管方法

  • 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
  • 子どもの手の届かない場所へ。

飲み忘れたら?

気づいた時点で、忘れた分を服用してください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、1回分をとばしましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、イルベサルタンをはじめとしたお薬の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

イルベサルタンに市販薬はある?値段は?

市販薬

2025年6月現在、イルベサルタンと同じ成分の市販薬は販売されていません。

必ず医師の処方が必要なお薬です。

ジェネリック

この記事で解説している「イルベサルタン」そのものが、アバプロやイルベタンのジェネリック医薬品です。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • イルベサルタン錠50mg:約10.40円/錠(3割負担の場合:約3円)
  • イルベサルタン錠100mg:約17.30円/錠(3割負担の場合:約5円)

※2025年6月25日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

イルベサルタン錠50mg「トーワ」/イルベサルタン錠100mg「トーワ」/イルベサルタン錠200mg「トーワ」

よくある質問(FAQ)

Q. 妊婦や授乳中でも使えますか?
妊婦または妊娠している可能性のある方は、この薬を服用することができません(禁忌) 胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。授乳中の方も、原則として服用を避けるべきとされています。

Q. 子供でも使えますか?
いいえ、小児に対する安全性は確立されていません。 そのため、原則として成人のみに処方されます。

Q. いつから効きますか?
服用開始から1〜2週間で血圧を下げる効果が現れ始め、およそ4〜6週間で安定した効果が得られます。すぐに効果が出るわけではないため、毎日続けることが大切です。

Q. 血圧が正常になったら、やめてもいいですか?
いいえ、絶対に自己判断でやめないでください。 高血圧は、自覚症状がないまま進行する生活習慣病です。薬で血圧が安定しているだけなので、やめればまた血圧は上がってしまいます。

Q. お酒と一緒に飲んでも大丈夫?
治療中の飲酒は、控えることが強く推奨されます。 イルベサルタンもアルコールも、どちらも血管を広げて血圧を下げる作用があります。そのため、一緒に飲むと作用が強まりすぎて、急激な血圧低下を招く恐れがあります。

Q. 運転してもいいですか?
注意が必要です。 めまいやふらつきの副作用があるため、特に服用を始めたばかりの頃は、車の運転や高所作業などの危険な作業は慎重に行うべきです。

Q. 他の血圧の薬(カルシウム拮抗薬など)との違いは何ですか?
作用の仕組みが違います。 カルシウム拮抗薬(アムロジピンなど)が血管の筋肉に直接作用して血管を広げるのに対し、イルベサルタン(ARB)は血圧を上げるホルモンをブロックして血管を広げます。
ARBは、カルシウム拮抗薬でみられる「むくみ」や、別の種類のACE阻害薬でみられる「空咳」といった副作用が少ないのが特徴です。

まとめ

イルベサルタンは、血圧を上げるホルモンの働きをブロックすることで、高血圧症を効果的に治療する、代表的なARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)です。

1日1回の服用で済み、副作用が少なく、空咳が出ないため、非常に続けやすいのが大きなメリットです。 高血圧の治療は、毎日欠かさず薬を飲み続けることが、将来の心臓病や脳卒中を防ぐために何よりも大切です。自己判断で中断せず、医師の指示のもとで治療を続けましょう。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。