帯状疱疹とは?症状や原因を徹底解説!こんな初期症状に注意!【医師監修】

帯状疱疹。実は帯状疱疹は80歳までの3人に1人が発症すると言われてる、誰にとっても無視できない病気。

身近な病気なのに、あまりに帯状疱疹の知識を知らなさすぎるとは思いませんか?

  • どんな症状が出るのか?なぜ帯状疱疹になるのか
  • 出たら何科に行けばいいのか。
  • ワクチンとの関連や後遺症について。
  • 予防法はあるのか。

記事を読み終わる頃には帯状疱疹について周りの人に教えられるレベルになると思うので、是非最後までご覧ください。気になる帯状疱疹になる原因とその症状について学んでいきましょう!

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帯状疱疹とは?

「帯状疱疹」とは一体どんな病気なのか、なぜ80歳までに3人に1人と、ここまで多くの人がなってしまうのか。その原因について見ていきましょう。

実は、帯状疱疹の原因、というのは、動画の御覧のあなたが幼少期の頃に遡ります。

あなたは、幼い時〈みずぼうそう〉にかかりましたよね?おそらくほとんどの方がかかったと思います。

実は、帯状疱疹の原因こそがこの〈みずぼうそう〉です。

まず、みずぼうそうの原因というのは、ヘルペスウイルスの家族の一員である

「水痘・帯状疱疹ウイルス(すいとう・たいじょうほうしんウイルス)」です。

この水痘、というのが水ぼうそうの正式名称で、「このウイルスは水ぼうそうと帯状疱疹の原因になるウイルスだよ」ということをあらわしています。

「えっ!? 水ぼうそうって、一度かかったらもう終わりじゃないの?」 と思っていませんでしたか?実は、それは大間違い。

水ぼうそうが治った後も、このウイルスは、私たちの体から完全に消え去ったわけではないんです。
なんと、私たちの背骨の近くにある「神経節(しんけいせつ)」という、神経の根元にあるガレージのような場所に、何十年もの間、まるで「冬眠」するかのように、じーっと静かに隠れ潜んでいます。

これがこの水痘・帯状疱疹ウイルスの非常に興味深い特徴です。

そしてこのウイルス、健康で、免疫力がしっかり働いている間は、しっかり監視の目が行き届いているので、この冬眠中のウイルスは大人しくしています。 

ところが、加齢、過労、精神的なストレス、あるいは他の病気や薬の影響などで、私たちの体の「免疫力」という名の警備員が弱ってくると、どうなるか?
この、長年眠っていたウイルスが、「今がチャンスだ!」とばかりに目を覚まし、再活性化を始めます!

そして、目覚めたウイルスは、自分が潜んでいた神経節から、一本の神経の通り道に沿って、皮膚に向かって進軍を開始。

その通り道で、ウイルスは猛烈な勢いで増殖し、神経そのものを攻撃して炎症を起こし、そして最終的に皮膚にまで到達して、水ぶくれを伴う発疹を作り出す…。 

こうして現れた皮膚の発疹こそが、帯状疱疹の正体です。ご存じでしたでしょうか?

実は、帯状疱疹は大人になってから外からウイルスが感染したり、何かのアレルギーの反応が起きている訳ではなく、子供の頃から体に潜伏しているウイルスが、私たちの弱っている時を見計らって調子に乗って暴れることが原因だったんですね。

帯状疱疹の症状

子供の頃に出た水ぼうそうに見た目は似ていますが、全身ではなく体の一部分に、このように帯のように広がった、ブツブツしたかさぶたのような発疹が出現します。時に水ぶくれも一緒に出ることがあります。

体の片側に出る

そして、帯状疱疹の大きな特徴は〈体の片側に出る〉ということ。

先ほど説明したように特定の神経を通ってウイルスが進行してくるので、その通り道は体の片方にしか出口がないので、片方にしか症状が出ないんです。

なので、体の両側に発疹が出ている場合は、帯状疱疹の可能性はかなり下がります。

ピリピリした痛み

これは帯状疱疹だけではなく、ヘルペス系のウイルスの特徴ですが、ピリピリした痛みが出ることが多いです。まるで針で刺されるような、神経に響くような痛みが特徴です。

そしてこのピリピリした痛みの特徴が〈発疹が出る前に、痛みの症状が先に出ることがある〉ということ。

専門用語で「前駆痛(ぜんくつう)」と呼ぶのですが、痛みがあるけど、皮膚は何も問題がない、こういう出方をするケースがあるんですね。

【実際のケース】
70歳の男性の鈴木さん、夜から右の脇腹が急にピリピリ痛くなりました。

しかし、皮膚を見てもなんの異常もなく「食べ物にでもあたったかなあ?」とか「どこかでぶつけたかなあ?」と不安になりつつも、ひとまずお家で様子を見ていました。

そして痛みでよく眠れず、朝を迎え、再び右の脇腹をみてみると、昨日まではなかったかさぶたのような発疹が出現していた…

痛みだけでなく、

  • なんだかこの部分だけ、ムズムズとかゆい…
  • 触るとビリっと電気が走るように過敏に感じる
  • 服がこすれるだけで、ヤスリでこすられているように痛い専門用語でアロディニア

といった、皮膚の異常な感覚として始まることも少なくありません。

この段階で診断をつけるのはなかなか難しいですが、この後で皮膚に発疹が出てくることもある、というポイントは是非覚えておいてください。

風邪のような全身症状

人によっては、皮膚の症状と同時に、あるいはその少し前から、頭痛、発熱(微熱が多い)、体のだるさ(倦怠感)、リンパ節の腫れといった、まるで風邪をひいたかのような全身症状が現れることもあります。

これらの「痛み」「かゆみ」「違和感」、そして「全身症状」が、数日から、長い人では1週間ほど続いた後に、「痛みや違和感があった、まさにその場所」に、赤いポツポツとした発疹が現れ、それが次第に小さな水ぶくれに変わっていく…。

これが、帯状疱疹の、非常に典型的な始まり方です。

何も知らない状態だと、いきなり発疹が出現してびっくりするのではないかと思いますが、この帯状疱疹の症状の出方のパターンを頭に入れておけば、慌てることはないでしょう。

帯状疱疹は何科に受診すればいい?

基本的には、帯状疱疹はそこまで明確にきまった専門科があるわけではなく、かかりつけの内科さんでも問題ないと思いますし、皮膚の症状ですから皮膚科でも大丈夫です。

ただ一つ、注意してほしいポイントが〈発症してから3日以内〉に治療を開始すること。

3日以内に治療をはじめることで重症化や後遺症のリスクを下げることができるというデータがあります。
帯状疱疹のような症状が出たけど、「土曜だしもう少し様子を見るか…」と待たずに早めに受診して下さい。

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帯状疱疹の治療

チクチクとした痛みや赤いブツブツ。「もしかして帯状疱疹?」と思ったら、できるだけ早く治療を始めることが、症状を軽くし、つらい後遺症を防ぐための何よりのポイントです。

治療の基本は、以下の3つの柱。

  1. ウイルスの増殖を抑える
  2. つらい痛みを和らげる
  3. 皮膚の症状をケアする

お医者さんは、これらの治療を組み合わせて、一人ひとりの症状に合ったお薬を処方してくれます。
それぞれ、もう少し詳しく見ていきましょう。

治療の主役「抗ウイルス薬」

帯状疱疹の治療で、最も中心となるのが「抗ウイルス薬」です。

このお薬は、体の中で暴れているウイルスの力を弱め、増殖するのを防いでくれます。
その結果、痛みが和らいだり、発疹が早く治ったり、つらい痛みが後遺症として残るリスクを減らしてくれたりします。

使われるお薬には、以下のような種類があります。

アシクロビル(商品名:ゾビラックスなど)

アシクロビル (ゾビラックス)
有効成分アシクロビル
服用方法帯状疱疹の治療では、1日5回の服用が必要で、他のお薬に比べて服用回数が多くなります。
特 徴・最も古くから使われている「元祖」ともいえるお薬で、非常に豊富な使用実績があります。
・腸からの吸収があまり良くないという点を改良して、飲みやすくしたのが、次にご紹介する「バラシクロビル」です。
・主主に腎臓から排泄されるため、腎臓の機能が低下している方には、お薬の量を調整する必要があります。
・飲み薬のほか、重症の場合に使われる点滴や、皮膚の症状に使われる塗り薬もあります。

バラシクロビル(商品名:バルトレックスなど)

バルトレックス(バラシクロビル)
有効成分バラシクロビル塩酸塩
服用方法帯状疱疹の治療では、1日3回服用するのが一般的
特 徴・体内で「アシクロビル」という成分に変化してから効果を発揮する「プロドラッグ」と呼ばれるタイプのお薬です。
・アシクロビルは古くから使われており、豊富な使用実績があるため、安心して使いやすいお薬です。
・主に腎臓から排泄されるため、腎臓の機能が低下している方には、お薬の量を調整する必要があります。

ファムシクロビル(商品名:ファムビルなど)

ファムビル(ファムシクロビル)
有効成分ファムシクロビル
服用方法帯状疱疹の治療では、1日3回服用するのが一般的
特 徴・体内で「ペンシクロビル」という有効成分に変化して効果を発揮する「プロドラッグ」です。
・バラシクロビルと同様の仕組みで、ウイルスのDNAが作られるのを邪魔して増殖を抑えます。
・こちらも腎臓の機能に応じて、お薬の量を調整する必要があります。

アメナメビル(商品名:アメナリーフなど)

有効成分アメナメビル
服用方法服用が1日1回で済むため、飲み忘れが少なく、患者さんの負担が軽いのが最大のメリット
特 徴・上の2つとは全く異なる新しい仕組みでウイルスの増殖を抑えるお薬です。
腎臓の機能が低下している方でも、原則として量の調整が不要なため、ご高齢の方などにも使いやすいとされています。
・お薬の吸収を良くするため、必ず食後に服用する必要があります。

どのお薬が最適かは、年齢や腎臓の機能、他の病気などを考慮して、お医者さんが判断します。

何度でもお伝えしますが、大切なのは、「発疹が出てから3日(72時間)以内に飲み始めること」
ウイルスを抑え込む抗ヘルペス薬を7日間しっかり飲むことで、調子に乗っているウイルスをしっかり再び体の中に抑え込む治療を行います。

「そのウイルスを体の外に追い出すことはできないのか」このように思われる方も多いと思いますが、残念ながら現代の医学では、幼少期のみずぼうそうですみ着いたウイルスを外に追い出したり、完全にやっつけることはできないです。

ただし飲み薬を飲むことで症状の悪化を防ぎ、後遺症のリスクを下げることに繋がるのでこちらは必ず使いたいところ。処方されたお薬は、症状が良くなったと思っても、ご自身の判断でやめたりせず、必ず最後まで飲み切ってくださいね。

「痛み止め」で痛みを我慢しない!

帯状疱疹の痛みは、日中も夜も関係なく続くため、とてもつらいものです。

痛みを我慢していると、体力がどんどん奪われ、夜も眠れずに回復が遅れてしまうこともあります。

お医者さんでは、痛みの強さや種類に合わせて、一般的な痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬など)や、神経の痛みに効果的なお薬などを処方してくれます。

「痛くてつらい…」と感じたら、決して我慢せず、お医者さんに正直に伝えましょう。

 

「塗り薬」で優しく保護

水ぶくれやただれができた皮膚は、とてもデリケートな状態です。細菌が入って化膿(かのう)するのを防いだり、炎症を抑えたりするために「塗り薬」が処方されます。

水ぶくれは、気になっても自分で潰さないようにしましょう。潰すと細菌が入りやすくなったり、跡が残る原因になったりします。お薬を優しく塗って、患部を保護してあげてください。

帯状疱疹ができると危険な場所

帯状疱疹ができると危険な場所「耳」

先ほど説明したように、ある神経を通ってウイルスが増殖していくのですが、この行先が「耳」の神経だった場合要注意です。

この耳の帯状疱疹は専門用語で「ラムセイ・ハント症候群」と呼ばれていて、一般的な帯状疱疹の皮膚の症状以外に、

  • 顔の片側が麻痺して動かなくなる「顔面神経麻痺」
  • 耳が聞こえにくくなる「難聴」
  • グルグル回るような「めまい」

このように非常に重い後遺症を残しやすい、危険な状態なんです。

耳の周辺には、顔面神経聴神経といった、顔の動きや聞こえに関わる重要な神経が多く存在しているからこそ、そして帯状疱疹のウイルスは神経自体を攻撃するものだからこそとっても要注意です。

帯状疱疹ができると危険な場所「目」

額、まぶた、そして特に「鼻の頭や側面」に発疹が出た場合は、超・要注意です!

ここに帯状疱疹が出現した場合は、眼球そのものにつながる神経(三叉神経の第一枝、眼神経といいます)がウイルスに侵されているサイン。

マニアックな話なんですが、実は鼻の頭も眼の神経が支配しています。

ウイルスが眼球にまで及んでしまうと、角膜炎ぶどう膜炎といった、眼の様々な場所に強い炎症を起こし、視力が低下したり、最悪の場合、失明に至ったりする危険性があるんです。

これを「眼部帯状疱疹」と呼びます。

このように、耳や眼の周りなど、顔にできる帯状疱疹は、合併症を引き起こす可能性があるので気を付けてほしいですし、症状に応じて耳鼻咽喉科や眼科の診察を、並行して受けることが必要になるので合わせて知っておいてください。

帯状疱疹ができると危険な場所「お尻や陰部、太ももの内側」

この領域は、膀胱や直腸の働きをコントロールしている神経が支配しています。

そのため、この神経がダメージを受けると、尿が出にくくなる、あるいは全く出せなくなる「尿閉(にょうへい)」や、便が出にくくなる「便秘」といった、深刻な「排尿・排便障害」を引き起こすことがあるんです。

まれにウイルスが脳に侵入しておきる「ヘルペス脳炎」という状態になり、昏睡状態になることもあります。

こういったことからも、帯状疱疹は決して様子を見ていい病気ではなく、一刻も早く治療を受けた方がいい病気だということを改めて覚えておいてください。

帯状疱疹の後遺症【帯状疱疹後神経痛/PHN】

この病気が本当に、本当に恐れられている最大の理由。
それは、皮膚の症状が治った後に残る可能性がある、「帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう)」通称「PHN(ピーエイチエヌ)」と呼ばれる、最もつらく、そして厄介な後遺症の存在です。

あなたのご家族やご友人さんにもいないでしょうか?
「昔、帯状疱疹をやってから、ずっと脇腹が痛むのよ…」「顔のピリピリ感がとれないんだ」なんておっしゃる方が。

実はこの後遺症に苦しむ方は結構多く、例えば80歳を超えた人が発症するとなんと約3人に1人が後遺症に苦しむとされているんですね。

帯状疱疹というのは、単なる皮膚の病気ではなく、「神経の炎症」だからです。

ウイルスの大暴れによって、神経そのものが深く、そして広範囲にわたって傷つけられ、焼けただれてしまうんです。

皮膚という「建物」の火事は消えても、その土台である「神経」という名の電線が、ショートしてしまったり、傷だらけになったりしたまま、元に戻らなくなってしまった状態。

それが、帯状疱疹後神経痛なんです。

傷ついた神経は、その後も異常な興奮信号を脳に送り続け、何もないのに「痛い!痛い!」という感覚を生み出し続けてしまうんですね。

これを専門用語で「帯状疱疹後神経痛/PNH」と呼び、高齢になればなるほど後遺症が残りやすいのが怖いポイントです。

この痛みは神経の痛みなので、例えばロキソニンなどの通常の痛み止めが聞き辛いです。

「リリカ」という商品名で知られるプレガバリンなどの、神経の痛みに特化した専門的なお薬が必要になり、あるいはそれでおさまらない場合は神経にブロック注射を行う必要が出てくることもあるなど治療が非常に難しく、長期間に及ぶことも少なくありません。

この終わらない痛みのせいで、夜も眠れず、うつ状態になってしまう方もいらっしゃるほど、患者さんの生活の質を著しく低下させてしまう、本当につらい後遺症です。

そして、帯状疱疹ができてしまた時に、この最悪の後遺症を防ぐために、私たちにできる、最も重要で、そして最も効果的なこと。

それは、先ほどもお話ししたように、「帯状疱疹の発症後、いかに早く、抗ウイルス薬による治療を開始できるか」ということ。

発疹が出てから72時間(3日)以内の治療開始が、その後のあなたの人生を左右する、と言っても過言ではありません。帯状疱疹、絶対に甘くみないようにしてください。

帯状疱疹のワクチン

帯状疱疹になる前に、明確な予防の対策があります。それは「帯状疱疹の予防接種」です。

よく予防接種、ワクチンの話をすると「コロナ禍にコロナワクチンで帯状疱疹が増えたし、ワクチンを打つ方が帯状疱疹になりやすくなるんじゃないの?」こんな心配をされる方がいます。

確かに、特に高齢者の方はもともと年齢的に帯状疱疹が起こりやすい状態ですから、ワクチン接種という「免疫刺激−短期的な免疫揺らぎ」できっかけになる可能性はあります。

ただし、現在の研究では、発症数は数万接種あたり数例というレベルで出ていますし、同じ研究群で、ワクチンを打たずにCOVID-19に罹患すると帯状疱疹リスクが倍増することが示唆されており、感染予防のベネフィットが副反応リスクを上回るというのが国際的な評価です。

なので、不安な気持ちもわかりますが、科学的データに基づいた見解としては「むしろ無防備な状態でコロナにかかる方が帯状疱疹にかかりやすくなる」こういう話をしています。

そして帯状疱疹の予防接種に話を戻すと、特徴は、なんといってもその非常に高い発症予防効果です!

50歳以上で約97%、70歳以上でも約90%の発症を予防できたという、驚くべきデータがあります。
そして、最も怖い後遺症である帯状疱疹後神経痛の予防効果も非常に高く、その効果も少なくとも10年以上持続すると期待されています。

帯状疱疹になりたくない人にとっては、これ以上に予防効果が期待できる選択肢はないといってよいくらい、はっきりとした効果が確認されています。

しかも最近では非常に興味深い論文が発表されました。それは認知症の予防効果について。

イギリスのウエールズで20万人以上を対象に行われた研究では、帯状疱疹の予防接種を受けた人はそうでない人に比べて認知症の発症率がなんと20%低下しました。

しかしなぜ帯状疱疹のワクチンが認知症の予防効果を示しているのか、具体的なメカニズムははっきりしていません。

動画の前半でお伝えしたように帯状疱疹は神経の炎症なので、脳の神経の炎症をおさえてくれることが原因なのではないかと考えられています。

帯状疱疹ワクチンは基本的に50歳を超えた人に推奨されるものなのですが、ちょうど認知症に関しても気になり出すタイミング。一石二鳥の効果がある可能性があるので、是非このポイントもおさえておいて下さい。

ワクチンの種類

帯状疱疹のワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンの二種類あります。

生ワクチン

もともと子供の水ぼうそうの予防に使われている、ウイルスを弱毒化したワクチンです。

メリットは、接種回数が1回で済み、費用も比較的安価(1万円弱程度)なこと。

注意点は、生きたウイルスを使うため、免疫機能が著しく低下している方(抗がん剤治療中の方など)には接種できません。

発症予防効果は、後述の不活化ワクチンに比べるとやや低く、効果の持続期間も5年程度と言われています。

不活化ワクチン(シングリックス)

こちらは、ウイルスの感染力を持たない一部分だけを使って作られた、新しいタイプのワクチンです。生ワクチンではないため、免疫機能が低下している方にも接種可能です。

注意点は、接種回数が2ヶ月間隔で2回必要であること。そして、費用がかなり高額(2回で4~5万円程度)なのが、最大のネックかもしれません。

また接種した時の筋肉痛や発熱といった副反応も、こちらも方が起きやすいです。

発症予防効果は97%、神経痛の予防効果は88%と非常に高く、10年間も予防効果が持続するなど、しっかりとした効果があるのは明らかにこのシングリックスの方なんですよね。

認知症の予防効果もシングリックスの方が高かったとされています。

どちらもメリットとデメリットがあるので悩ましい所なんですが、このようにワクチンを打つことで高い予防効果が期待できる病気というのは多くないこと、そして前半でお伝えしたように帯状疱疹は80歳までに3人に1人がなる誰にとっても無視できない病気です。

もし金銭的な問題をクリアできれば、しっかりと効果があり、長期間持続するシングリックスを打っておけると良いでしょう。

自治体によっては、このワクチンの接種費用の一部を助成してくれる制度もありますので、ぜひお住まいの市区町村のホームページなどをチェックしてみてください。

また今後帯状疱疹ワクチンを公費で受けられるようにする方針も国の方で進んでます。

そして何より、帯状疱疹は自分自身の免疫が落ちてくると体の奥からウイルスが調子に乗り出す病気です。日頃から、

  • バランスの取れた食事
  • 十分な睡眠と休養
  • 適度な運動
  • ストレスを上手に解消すること

を心がけ、免疫力を高く保つことが、基本的な予防策になります。

帯状疱疹はうつる?

結論から言うと、帯状疱疹そのものが、風邪やインフルエンザのように空気感染などで他の人にうつる、ということはありません。

ただし、帯状疱疹の発疹、特に水ぶくれの中には、水痘・帯状疱疹ウイルスがたくさん含まれています。

そのため、まだ水ぼうそうにかかったことがない人(特に赤ちゃんや小さなお子さん)が、この水ぶくれに直接触れたり、水ぶくれが破れて出てきた液体に触れたりすると、その人に「水ぼうそうとして」うつしてしまう可能性があるんです。

ですから、ご自身が帯状疱疹になった場合は、

  • 発疹や水ぶくれを、むやみに触ったり、掻き壊したりしない。
  • 小さなお子さんとの接触は、できるだけ避ける。
  • タオルや衣類は、家族と別のものを使う。
  • 水ぶくれが全て乾いて、かさぶたになるまでは、プールなども避ける。

といった配慮が必要です。覚えておいてくださいね。

まとめ

さて、ここまで帯状疱疹について本当に様々な話をしてきました。色んな話をして忘れてしまった所もあると思いますので、ここで復習をしておきましょう。

1.ピリピリを感じたら注意

帯状疱疹の最も重要な初期サインは、発疹が出る前の「前駆痛」です。

体の左右どちらか片側だけに、原因不明のピリピリ、チクチクとした痛みや皮膚の違和感が出たら、「ただの神経痛かな?」と油断せず、「もしかして帯状疱疹かも?」と疑うアンテナを高く持つこと!

これが、全ての対策の第一歩です!

2.後遺症を防ぐ鍵は「72時間」

最も怖いのは、一生続くこともある後遺症「帯状疱疹後神経痛(PHN)」です。

この耐え難い痛みを防ぐには、発症後「72時間以内」の抗ウイルス薬開始が、何よりも、何よりも重要!

「おかしいな」と思ったら、様子を見たり我慢したりせず、迷わずすぐに「皮膚科」「内科」を受診してください。それが、あなたの未来を痛みから守るための、最も確実な行動なんです。

特に眼や耳の周りにできた場合は要注意です。

3.最強の予防法は「帯状疱疹ワクチン」!

帯状疱疹の発症と重症化、そして最も怖い後遺症を防ぐための最も効果的な方法が「帯状疱疹ワクチン」です。

50歳を過ぎたら、将来の「痛みのない生活」への最高の「投資」として、ぜひ接種の検討を。特に、高い発症予防効果が証明されているワクチンは、費用はかかりますが、将来のリスクと天秤にかけ、一度かかりつけ医に相談してみる価値のある、素晴らしい選択肢です。

繰り返しになりますが、帯状疱疹は誰の身にも起こる可能性がある病気。ご自身、あるいは身近な人が今後帯状疱疹発症することがあると思います。

是非、その際はすぐに対応して適切な治療に繋げてほしいと思います。

気になる症状があればウチカラクリニックのおうちでスマホ診療も活用してくださいね。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。