
「コロナ陽性と診断され、パキロビッドという薬を処方された」 「重症化リスクがあると言われたけど、どんな薬なの?」 「飲み合わせに注意が必要って言われたけど、どうして?」
そんな、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療で処方される代表的な飲み薬が「パキロビッド」です。
今回は、このパキロビッドがどのようなお薬なのか、その効果の仕組みや副作用を医師がやさしく解説していきます。
目次
パキロビッドとは?効果は?
パキロビッド(正式名称:パキロビッドパック)は、「抗ウイルス薬」というグループに分類されるお薬です。
新型コロナウイルスが体内で増えるのを邪魔します。ウイルスそのものを直接やっつけるのではなく、増殖を初期段階でブロックすることで、症状の悪化を防ぎ、重症化(入院や死亡)するリスクを下げることを目的としています。
パキロビッドは、「パキロビッドパック」という1つのシートに2種類の錠剤がセットになった形で処方されます。
- ニルマトレルビル錠(ピンク色の錠剤)
- リトナビル錠(白色の錠剤)
パキロビッドの成分
パキロビッドには、以下の2つの有効成分が含まれています。
- ニルマトレルビル(攻撃役):
ウイルスは、ヒトの細胞の中で自分をコピーして増える際、「プロテアーゼ」という酵素を使い分裂します。ニルマトレルビルは、この酵素を使えなくする働きをすることで、ウイルス増殖をストップさせます。
- リトナビル(サポーター役):
リトナビルは、ニルマトレルビルを分解してしまう肝臓の酵素の働きを弱めます。これにより、ニルマトレルビルが長く体の中にとどまり、攻撃役がしっかりと働けるようにサポートします。
この2つの成分が協力することで、ウイルスの増殖を効果的に抑え込みます。
パキロビッドの効果
- 新型コロナウイルスの増殖を抑える効果
- 重症化(入院や死亡)のリスクを低減させる効果
どんなときに使う?(適応疾患・部位)
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
特に、以下のような重症化リスク因子を持つ、軽症~中等症の患者さんが主な対象となります。
- 高齢の方(おおよそ65歳以上)
- 糖尿病、心疾患、腎臓病、慢性肺疾患、肥満などの基礎疾患がある方
- 免疫抑制状態(免疫抑制薬の内服中、がん治療中など)の方
- 喫煙者
なお、すでに重症となっている入院患者さんに対する有効性は、現時点では十分に確認されていません。あくまで、「重症化する前の段階」でリスクを下げる薬であることを理解しておきましょう。
パキロビッドはオンライン診療で出せる?
「基礎疾患があるのに、コロナ陽性になってしまった…」「発熱や倦怠感で外出するのがつらい」
そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。
パキロビッドのようなお薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。
ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。
ウチカラクリニックでも、
パキロビッドに関するご相談や処方をオンライン診療にて承っております。
特に、重症化リスクのある方で、発症から日が浅い場合の処方の検討や、他の治療薬との比較相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。
パキロビッドの使い方(用法・用量)
ウイルスが体で増殖しきる前に飲む必要があるので、発症から5日以内に飲み始めることが原則です。
通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、1回あたりニルマトレルビル錠2錠とリトナビル錠1錠の「計3錠」を同時に服用します。これを1日2回(朝・晩)、5日間続けます。
シートは朝用(黄色or白色の太陽マーク)と夜用(青色orピンク色の月マーク)に分かれており、飲み間違いを防ぐ工夫がされています。
パキロビッドの副作用
主な副作用
主な副作用として、味覚異常(口の中が苦い、金属の味がするなど)、下痢、吐き気などが報告されています。特に「苦味」を感じる方は比較的多いですが、治療が終われば治ります。
まれですが、注意すべき重大な副作用として、重い肝機能障害やアレルギー反応(アナフィラキシー)、中毒性表皮壊死融解症などの皮膚障害があります。
副作用が出たときの対処法
味覚異常は、飴を舐めるなどで紛らわせることが多いです。一時的なものなので、勝手に服用をやめないようにしましょう。
症状がひどい場合や、発疹・かゆみ・皮膚のただれなどが出た場合は、すぐに医師や薬剤師に相談してください。
パキロビッドの注意事項(禁忌)
使用に注意が必要な方
- パキロビッドでアレルギーを起こしたことがある方(禁忌)
- 腎機能又は肝機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の方(禁忌)
- 腎臓の働きが悪い方:
腎機能が中等度に低下している方では、成分量を調整するために錠数を減らした「パキロビッドパック300」(ニルマトレルビル1錠+リトナビル1錠)が使われます。さらに重い腎機能障害(eGFR 30未満など)の場合は、使用が推奨されないことがあります。 - 肝臓の持病がある方:
リトナビルは肝臓で代謝されるため、肝機能が悪い方ではお薬の血中濃度が上がりやすく、副作用のリスクが高くなります。 - HIV感染症と診断されている方:
リトナビルはHIV治療薬にも使われる成分です。不完全な組み合わせで使うと、HIVが耐性(薬の効きにくさ)を獲得する可能性があります。
併用に注意が必要な薬(併用禁忌)
サポーター役のリトナビルは、お薬の分解酵素に強く影響するため、飲み合わせを禁止(併用禁忌)されている薬が非常に多いのが特徴です。診察時は、必ずお薬手帳を提示しましょう。
- 一部の血液サラサラの薬(リバーロキサバンなど)
- 一部の睡眠薬・安定剤(トリアゾラム、ジアゼパムなど)
- 一部のコレステロールの薬(シンバスタチンなど)
- 一部の抗不整脈薬、降圧薬(アゼルニジピンなど)
- 一部の偏頭痛薬(エレトリプタンなど)
- セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品
具体的には下記の薬が併用禁忌に当たります⇩
エレトリプタン臭化水素酸塩、アゼルニジピン、オルメサルタン、メドキソミル・アゼルニジピン、エプレレノン、アミオダロン塩酸塩、ベプリジル塩酸塩水和物、フレカイニド酢酸塩、プロパフェノン塩酸塩、キニジン硫酸塩水和物、リバーロキサバン、チカグレロル、アナモレリン塩酸塩、ボクロスポリン、リファブチン、ブロナンセリン、ルラシドン塩酸塩、ピモジド、スボレキサント、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、エルゴメトリンマレイン酸塩、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、フィネレノン、イバブラジン塩酸塩、シルデナフィルクエン酸塩(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)、バルデナフィル塩酸塩水和物、ロミタピドメシル酸塩、ベネトクラクス<再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期>、ジアゼパム、クロラゼプ酸二カリウム、エスタゾラム、フルラゼパム塩酸塩、トリアゾラム、ミダゾラム、ボリコナゾール、アパルタミド、カルバマゼピン、フェニトイン、ホスフェニトインナトリウム水和物、フェノバルビタール、メペンゾラート臭化物・フェノバルビタール、リファンピシン、エンザルタミド、セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
使用上の注意
| 処方された5日間は必ず飲み切る | 症状が軽くなっても、自己判断で中断すると、ウイルスが再び増えたりする原因になります。 |
| お酒(アルコール) | パキロビッドもアルコールも肝臓で分解されます。肝臓への負担を避けるためにも、治療中の飲酒は控えましょう。 |
保管方法
- 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
- 子どもの手の届かない場所へ。
飲み忘れたら?
気づいた時にできるだけ早く飲んでください。ただし、次に飲む時間が近い場合は1回とばし、絶対に2回分を一度に飲まないようにしましょう。
なお、飲み忘れた分を後ろにずらして服用期間を5日間より長くすることは推奨されていません。処方された日数(5日間)の範囲内で飲み切り、余った分は飲まないようにしましょう。
ウチカラクリニックのオンライン診療でも、パキロビッドをはじめとしたお薬の処方も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

※心療内科ではシステム手数料をいただいております
パキロビッドに市販薬はある?値段は?
市販薬
2025年11月現在、パキロビッドと同じ成分の市販薬はありません。医師の処方が必要です。
ジェネリック
2025年11月現在、日本国内で公的医療保険を使って処方できるパキロビッドのジェネリック医薬品はありません。
薬価
パキロビッドは非常に高価な薬剤です。時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。
- パキロビッドパック600:1シート(1日分)あたり約19,800円(3割負担の場合:5,940円)
- 5日分合計(薬価ベース):約99,000円(3割負担の場合:29,700円)
※2025年11月20日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
パキロビッドパック600/パキロビッドパック300パキロビッドパック600/パキロビッドパック300
よくある質問(FAQ)
Q.妊婦・授乳中でも飲めますか?
妊娠中・授乳中の方でも、治療上のメリットが危険性を上回ると医師が判断した場合に使用されます。
妊婦さんでは、赤ちゃんへの影響とのバランスを考えたうえで慎重に判断します。 授乳中の方は、「一時的に授乳を中断する」「搾乳して捨てる」「授乳を続ける」などの選択肢を、赤ちゃんの月齢やお母さんの状態に合わせて医師と相談しながら決める必要があります。
Q.子どもでも飲めますか?
12歳以上かつ体重40kg以上のお子さんが対象となります。それ未満のお子さんには使用できません。
Q.飲むと眠くなりますか?運転はできますか?
薬自体に眠くなる成分は含まれていません。しかし、新型コロナウイルス感染症による高熱や倦怠感があるため、完治するまで運転や危険な作業は避けるべきです。
Q.いつから効き始めますか?
ウイルスの増殖を抑えるお薬なので、解熱剤のようにすぐに症状が消えるわけではありません。発症後5日以内の、できるだけ早い段階で服用を開始することで、重症化を防ぐ効果が期待できます。
Q.お酒(アルコール)を飲んでもいいですか?
控えてください。アルコールは免疫力を下げるだけでなく、肝臓に負担をかけ、薬の代謝に影響を与える可能性があります。早く治すためにも、服用期間中はお酒を我慢しましょう。
まとめ
パキロビッドは、新型コロナウイルスの増殖を抑え、重症化を防ぐ効果が期待できる大切なお薬です。その効果を安全に得るためには、発症後なるべく早く服用を開始すること、普段飲んでいる薬との飲み合わせを、医師・薬剤師に必ず確認してもらうことが不可欠です。
「コロナ陽性になった。重症化が心配…」 「飲み合わせの多い薬と聞いて、専門家にしっかり相談したい」
そんなときは、ウチカラクリニックのオンライン診療が便利です。
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- 処方された薬は郵送、またはお近くの薬局で受け取り可能
つらい症状の中、外出することなく、ご自身のスマートフォンから医師の診察を受け、お薬手帳を見せながら安全な処方を受けることが可能です。コロナかな?と思ったら、ぜひお気軽にウチカラクリニックにご相談ください。
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