
「コロナ陽性と診断されたけど、早く治したい」 「国産の飲み薬があると聞いたけど、どんな薬?」 「飲み合わせや値段が気になる…」
そんな、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として、現在広く処方されているのが「ゾコーバ」です。
今回は、このゾコーバがどのようなお薬なのか、その効果の仕組みや副作用を医師がやさしく解説していきます。
目次
ゾコーバとは?効果は?
ゾコーバは、日本で開発された、「抗ウイルス薬」というグループに分類される、新型コロナウイルスが体内で増えるのを防ぎ、症状を早く治すお薬です。
重症化リスクのある方だけでなく、比較的若い世代や基礎疾患のない方でも、症状を早く和らげる目的で使えることが特徴です。発症から間もない時期に服用することで、熱や咳などのつらい症状が続く期間を短くする効果が期待できます。
ゾコーバは、錠剤タイプのお薬です。
- ゾコーバ錠125mg
ゾコーバの成分
有効成分は「エンシトレルビルフマル酸」です。
ウイルスは、ヒトの細胞の中で自分をコピーして増えるために、「3CLプロテアーゼ」という酵素(ハサミのような役割)を使います。 ゾコーバは、この「ハサミ」の働きをブロックします。
ハサミが使えないと、ウイルスは自分の部品を正しく作ることができず、コピー(増殖)ができなくなります。これにより、体内のウイルス量が減り、症状の改善が早まるのです。
ゾコーバの効果
- 新型コロナウイルスの増殖を抑える効果
- 代表的な5つの症状(倦怠感、発熱、鼻水・鼻づまり、のどの痛み、咳)が消えるまでの時間を短縮する効果
※重症化(入院や死亡)を防ぐ効果については、パキロビッドなどの他のお薬と比べてエビデンスが限られています。重症化リスクが高い方では、他のお薬が優先して検討されることもあります。
どんなときに使う?(適応疾患・部位)
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
ゾコーバはオンライン診療で出せる?
「基礎疾患があるのに、コロナ陽性になってしまった…」「発熱や倦怠感で外出するのがつらい」
そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。
ゾコーバのようなお薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。
ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。
ウチカラクリニックでも、
ゾコーバに関するご相談や処方をオンライン診療にて承っております。
特に、重症化リスクのある方で、発症から日が浅い場合の処方の検討や、他の治療薬との比較相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。
ゾコーバの使い方(用法・用量)
- 1日目: 3錠(375mg)を1回服用します。
- 2日目~5日目: 1錠(125mg)を1日1回服用します。
食事の影響を受けないので、食前・食後いつでも服用できますが、毎日同じくらいの時間に飲むのがおすすめです。
ゾコーバは、症状が出てから72時間(3日)以内に飲み始める必要があります。それ以降に開始した場合の効果は十分に確認されていません。「コロナかな?」と思ったら、早めの受診が大切です。
ゾコーバの副作用
主な副作用
主な副作用として、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の減少、中性脂肪の上昇、下痢、吐き気、頭痛などが報告されています。
血液検査の値に影響が出ることがありますが、5日間の服用であれば、多くの場合、治療終了後に元に戻ります。
副作用が出たときの対処法
胃腸症状は、症状が軽い場合は、様子を見ながら飲み続けて問題ありません。食事がとれないほどひどい場合は、医師に相談してください。
発疹やかゆみなど、アレルギー症状が出た場合は服用を中止し、医師に連絡してください。
ゾコーバの注意事項(禁忌)
使用に注意が必要な方
- ゾコーバでアレルギーを起こしたことがある方(禁忌)
- 妊婦、または妊娠している可能性のある女性(禁忌):
動物実験で胎児に奇形が生じることの報告あり。 - 腎機能又は肝機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の方(禁忌)
- 12歳未満の方:臨床試験が行われていないため。
- 授乳中の方
- 重い肝臓病のある方:薬の代謝に関わるため、慎重な判断が必要。
- 腎臓の病気がある方:通常は腎機能による大きな制限はありませんが、ほかに飲んでいるお薬との兼ね合いもあるため、主治医と相談を。
併用に注意が必要な薬(併用禁忌)
ゾコーバは、薬の分解に関わる酵素に影響を与えるため、併用禁忌や注意が必要な薬が多く、飲み合わせの確認がとても重要です。診察時は、必ずお薬手帳を提示しましょう。
- 一部の片頭痛薬(エルゴタミン製剤など)
- 一部の睡眠薬(トリアゾラムなど)
- 一部のコレステロールの薬(シンバスタチンなど)
- 一部の抗精神病薬(ルラシドンなど)
- 一部の血圧・心臓の薬(アゼルニジピンなど)
- セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品
具体的には下記の薬が併用禁忌に当たります⇩
ピモジド、キニジン硫酸塩水和物、ベプリジル塩酸塩水和物、チカグレロル、エプレレノン、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、エルゴメトリンマレイン酸塩、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、シンバスタチン、トリアゾラム、アナモレリン塩酸塩、イバブラジン塩酸塩、ベネトクラクス〔再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期〕、イブルチニブ、ブロナンセリン、ルラシドン塩酸塩、アゼルニジピン、アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル、スボレキサント、ダリドレキサント塩酸塩、タダラフィル(アドシルカ)、マシテンタン・タダラフィル、バルデナフィル塩酸塩水和物、ロミタピドメシル酸塩、リファブチン、フィネレノン、ボクロスポリン、ロナファルニブ、マバカムテン、リバーロキサバン、リオシグアト、アパルタミド、カルバマゼピン、エンザルタミド、ミトタン、フェニトイン、ホスフェニトインナトリウム水和物、リファンピシン、セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
使用上の注意
| 処方された期間は必ず飲み切る | 症状が軽くなっても、自己判断で中断すると、ウイルスが再び増えたりする原因になります。 |
| 避妊の徹底 | 妊娠可能な女性は、服用中および服用終了後2週間は、適切な避妊を行ってください。(胎児への影響を避けるため) |
| お酒(アルコール) | 肝臓への負担を避けるため、治療中は飲酒を控えましょう。 |
ジェネリック
2025年11月現在、日本国内で公的医療保険を使って処方できるゾコーバのジェネリック医薬品はありません。
薬価
ゾコーバは非常に高価な薬剤です。時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。
- ゾコーバ錠125mg:1錠あたり約7,090円(3割負担の場合:約2,127円)
- 1回の治療(7錠)(薬価ベース):約49,600円(3割負担の場合:約14,900円)
※2025年11月23日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
よくある質問(FAQ)
Q.妊婦・授乳中でも飲めますか?
妊娠中は、絶対に飲めません(禁忌)。 動物実験で胎児に奇形が生じることが報告されています。妊娠中の方、その可能性がある方は、必ず医師に伝えてください。
また、服用中および最終服用後2週間は授乳を避けることが望ましいとされています。その間はミルクに切り替えるなど、具体的な対応については必ず担当医と相談してください。
Q.子どもでも飲めますか?
12歳以上のお子さんが対象となります。それ未満のお子さんについては臨床試験が行われておらず、使用対象外となります。
Q.飲むと眠くなりますか?運転はできますか?
薬自体に眠くなる成分は含まれていません。しかし、新型コロナウイルス感染症による高熱や倦怠感があるため、完治するまで運転や危険な作業は避けるべきです。
Q.いつから効き始めますか?
服用を開始すると速やかにウイルスの増殖を抑え始めます。臨床試験では、プラセボ(偽薬)を飲んだグループと比べて、症状が消えるまでの時間が約1日(24時間)短縮されたという結果が出ています。
Q.お酒(アルコール)を飲んでもいいですか?
控えてください。アルコールは免疫力を下げるだけでなく、肝臓に負担をかけ、薬の代謝に影響を与える可能性があります。早く治すためにも、服用期間中はお酒を我慢しましょう。
まとめ
ゾコーバは、重症化リスクがない方でも使える、症状を早く治すためのコロナ治療薬です。その効果を安全に得るためには、発症後なるべく早く服用を開始すること、普段飲んでいる薬との飲み合わせを、医師・薬剤師に必ず確認してもらうことが不可欠です。
「コロナになったけど、早く仕事に復帰したい」 「持病の薬があるけど、ゾコーバは飲めるの?」
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