バルトレックス(バラシクロビル)錠500mgの効果や副作用について医師が解説【 帯状疱疹|ヘルペス治療薬 】

バルトレックス(バラシクロビル)

「唇のまわりに、ピリピリ痛む水ぶくれができてしまった…」 「昔かかった水ぼうそうのウイルスが、帯状疱疹として出てきて痛い…」 「性器ヘルペスが再発して、つらい…」

多くの方が経験する、つらいヘルペスウイルスの症状。そんな時に処方される代表的なお薬が、今回ご紹介する「バルトレックス(バラシクロビル)」です。

この記事では、ヘルペスウイルスの増殖を抑えるお薬、バルトレックスについて、その効果や副作用、正しい使い方を医師が分かりやすく解説していきます。

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バルトレックス(バラシクロビル)とは?効果は?

バルトレックスは、ヘルペスウイルスが原因で起こる病気の治療に使われる「抗ウイルス薬」です。

ウイルスの増殖を抑えることで、水ぶくれや痛みなどの症状が悪化するのを防ぎ、治るまでの期間を短くする効果があります。

処方される際は錠剤が一般的ですが、お子様や高齢者向けに顆粒などの粉薬もあります。

バルトレックス(バラシクロビル)の成分

主成分は「バラシクロビル塩酸塩」です。

このお薬は、体の中に吸収されると「アシクロビル」という成分に変化し、ウイルスに対して効果を発揮する「プロドラッグ」と呼ばれるタイプの薬です。少ない服用回数で効率よく効果を発揮できるのが特徴です。

その仕組みは、まるでウイルスの増殖工場に潜入するスパイのようです。アシクロビルは、ウイルスに感染した細胞の中に入り込み、ウイルスが自分の分身(DNA)をコピーするのを邪魔します。

これにより、ウイルスは増殖することができなくなり、活動がストップします。

バルトレックス(バラシクロビル)の効果

  • 症状の悪化を防ぎ、治りを早める
  • 痛みなどのつらい症状を軽くする
  • 合併症(帯状疱疹後の神経痛など)のリスクを減らす

ただし、バルトレックスはウイルスを「増えなくする」お薬であり、体内に潜んでいるウイルスを完全に消し去るわけではありません。そのため、治療後も疲労やストレスなどをきっかけに再発することがあります。

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

バルトレックスは、主に以下の「ヘルペスウイルス科」に属するウイルスが原因の病気に使われます。

  • 単純疱疹
    • 口唇ヘルペス(唇やその周りの水ぶくれ)
    • 性器ヘルペス(性器やその周りの水ぶくれやただれ)
  • 帯状疱疹
  • 水痘(水ぼうそう)
  • その他: 性器ヘルペスの再発抑制療法

バルトレックス(バラシクロビル)はオンライン診療で出せる?

「急にヘルペスができて、すぐに薬が欲しい」「性器ヘルペスの悩みは、対面で相談しにくい…」と考える方もいらっしゃるでしょう。

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

バルトレックス(バラシクロビル)のようなヘルペス、帯状疱疹のお薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
バルトレックス(バラシクロビル)に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

デリケートな悩みや、急な発症で外出が難しい場合に非常に便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

バルトレックス(バラシクロビル)の使い方(用法・用量

バルトレックスは、病気の種類によって飲む量や回数、期間が大きく異なります。必ず医師の指示通りに服用してください。

治療で最も大切なのは、症状が出たら「できるだけ早く」飲み始めることです。

  • 単純疱疹(口唇・性器ヘルペス): 通常、成人には1回500mgを1日2回服用します。
  • 帯状疱疹、水痘(水ぼうそう): 通常、成人には1回1000mgを1日3回服用します。

ウイルスの増殖は症状の初期に活発なため、ピリピリ・チクチクといった違和感が出たらすぐに(遅くとも水ぶくれができてから2日以内)飲み始めるのが理想的です。

治療が遅くなるほど、体内にとどまるウィルスの量が増えるため治癒するのが遅くなったり、後遺症が残る、再発しやすくなるなどの予後が悪くなる傾向にあります。

また、ヘルペスの再発が多い方に次のような抑制療法として処方される場合もあります。

ヘルペスの抑制療法

ヘルペスの抑制療法とは、症状が出ていない健康な時も、毎日欠かさず抗ウイルス薬を飲み続けることで、体内に潜んでいるヘルペスウイルスの活動を常に抑え込み、再発そのものを未然に防ぐ「予防的」な治療法です。

再発のたびに症状を抑えるこれまでの治療とは異なり、「そもそも再発させない」ことを目的としています。

抑制療法の注意点と対象となる方

保険適用となるのは、原則として「年に6回以上、再発を繰り返す性器ヘルペス」の患者さんです。口唇ヘルペスの再発予防には、通常、保険適用されません。

効果を維持するためには、毎日欠かさず薬を飲み続ける必要があります。治療期間は1年間が一つの目安とされ、その後いったん休薬し、再発の状況を見ながら治療を継続するかどうかを医師と相談します。

抑制療法のメリット

再発頻度が劇的に減ります。研究では、抑制療法によって再発の頻度が70~80%減少したという報告もあります。

また、性器ヘルペスは、症状がない時でもウイルスが排出され(無症候性ウイルス排出)、パートナーに感染させてしまう可能性があります。抑制療法は、このウイルスの排出を抑える効果があるため、パートナーへの感染リスクを低下させることが期待できます。

抑制療法の具体的なやり方

抑制療法のやり方は、毎日の習慣としてお薬を服用する、というシンプルなものです。

  1. 医師への相談
    まずは皮膚科や婦人科などで、頻繁な再発に悩んでいることを具体的に伝えます。再発の頻度や症状の程度から、医師が抑制療法の対象となるかを判断します。
  2. 毎日の服用
    治療が始まると、症状が全くない時から、毎日決まった量の抗ウイルス薬(例:バルトレックス1日1回1錠など)を服用します。これを長期間(通常は1年間)続けます。
  3. 定期的な受診
    治療開始後も、定期的に(数ヶ月に1回など)医療機関を受診し、効果が出ているか、副作用はないか、そして治療を今後どうしていくかなどを医師と相談します。

大切なのは、症状がないからといって自己判断でやめてしまわず、毎日コツコツと服用を続けることです。

抑制療法の費用

毎日お薬を服用するため、継続的に薬剤費がかかります。ジェネリック医薬品を選択することで、負担を軽減することができます。

現在、性器ヘルペスの再発抑制療法に保険適用で使われるお薬は「バルトレックス(バラシクロビル)」のみです。通常、1回500mgを1日1回服用するので費用の目安は下記の通りです。

  • 費用の目安(3割負担の場合)
    • 先発品(バルトレックス) 1ヶ月(30日)あたり 約1,800円
    • ジェネリック(バラシクロビル) 1ヶ月(30日)あたり 約810円

※上記は薬剤費のみの目安です。別途、診察料などがかかります。

バルトレックス(バラシクロビル)の副作用

バルトレックス(バラシクロビル)は比較的安全性の高いお薬ですが、副作用が起こる可能性もあります。

副作用

主な副作用

  • 頭痛
  • 眠気、めまい
  • 腹痛、下痢、吐き気

まれに起こる重い副作用

  • 腎機能障害: 特に高齢の方や腎機能が低下している方、脱水状態の方で注意が必要です。
  • 意識障害(錯乱、幻覚など): こちらも高齢の方で特に注意が必要です。

副作用が出たときの対処法

軽い症状であれば、お薬を続けているうちに治まることもあります。

我慢できない症状やいつもと違う症状が出たら自己判断せずに、すぐに医師や薬剤師に連絡してください。

バルトレックス(バラシクロビル)の注意事項・禁忌

使ってはいけない方

使ってはいけない場合 (禁忌)

  • 過去にバルトレックス(またはアシクロビル)でアレルギー症状を起こしたことがある方

使うときに特に注意が必要な方

  • 腎臓の機能が低下している方
  • 高齢の方
  • 脱水症状のある方、またはその恐れのある方

併用に注意が必要な薬

併用禁忌の薬は特にありません。

しかし、注意が必要な薬として、プロペネシド、シメチジン、ミコフェノール酸モフェチル、テオフィリンなどがあります。

使用上の注意

水分補給
腎臓への負担を減らすため、服用中はいつもより多めに水分(水やお茶など)を摂りましょう。
飲み切る
症状が良くなってもウイルスは残っています。自己判断で中止せず、指示された期間は必ず飲み切ってください。
早期治療
「おかしいな」と感じたらすぐ受診し、早く飲み始めることが治療の鍵です。

保管方法

  • 直射日光・高温多湿を避けて保管しましょう。
  • 子どもの手の届かない場所に置いてください。

飲み忘れたら?

気づいた時点で、できるだけ早く1回分を飲んでください。

ただし、次に飲む時間が近い場合(例えば1日3回服用の場合は4時間以内)は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、バルトレックス(バラシクロビル)の処方やヘルペスの治療も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

バルトレックス(バラシクロビル)に市販薬はある?値段は?

市販薬

医療用のバルトレックス(バラシクロビル)と全く同じ有効成分・同じ作用を持つ市販の飲み薬は、現在のところありません。

ただし、口唇ヘルペスの再発に限り、同じ系統の成分(アシクロビルなど)を含む塗り薬タイプの市販薬はあります。

ジェネリック名

バルトレックスが先発品の名称です。

後発品(ジェネリック)はバラシクロビルの名称で販売されています。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • バルトレックス錠500mg:1錠あたり 約200.7円
    (3割負担の場合、自己負担額は1錠あたり約60円
  • バラシクロビル錠500mg(ジェネリック):1錠あたり 約89.4円
    (3割負担の場合、自己負担額は1錠あたり約27円

※2025年5月24日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

バルトレックス錠500

バラシクロビル錠500mg「DSEP」

よくある質問(FAQ)

Q. 妊娠中や授乳中でも飲めますか?
安全性が完全に確立されているわけではありませんが、治療によるメリットがリスクを上回ると医師が判断した場合には処方されることがあります。自己判断で服用せず、必ず医師に相談してください。

Q. 子供でも飲めますか?
はい、お子様にも処方されます。その際は、体重などに応じて服用量を調節できる「バルトレックス顆粒50%」が使われることが一般的です。

Q. 飲むと運転に影響はありますか?
副作用として眠気やめまいが起こることがあります。念のため、服用中の自動車の運転など危険な機械の操作には注意してください。

Q. バルトレックス(バラシクロビル)はいつから効きますか?
飲み始めて1~2日もすれば、ウイルスの増殖は抑えられ始めます。しかし、水ぶくれやかさぶたなどの症状が完全に治まるまでには、通常数日かかります。

Q. お酒と一緒に飲んでも大丈夫?
お酒との直接的な相互作用は報告されていませんが、アルコールは肝臓に負担をかけ、体の免疫力を低下させる可能性があります。治療中は飲酒を控えるのが賢明です。

Q.症状が良くなったら、飲むのをやめてもいいですか?
いいえ、絶対にやめないでください。 症状が消えてもウイルスはまだ残っています。途中でやめると、ウイルスが再び増殖したり、薬が効きにくい耐性ウイルスが生まれる原因になったりします。必ず医師に指示された日数分を飲み切ってください。

まとめ

バルトレックスは、つらいヘルペスや帯状疱疹の症状を和らげ、治りを早くするための非常に重要な「抗ウイルス薬」です。

このお薬で最も大切なのは、「症状が出たらできるだけ早く飲むこと」そして「医師に指示された期間、きちんと飲み切ること」の2点です。

この記事が、バルトレックスへの理解を深め、つらい症状に迅速かつ適切に対処するための一助となれば幸いです。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。