メトホルミンの効果・副作用を医師が解説【痩せるの?ダイエットに?】

メトホルミン

「健康診断で血糖値が高いと言われ、メトホルミンという薬を処方された」「糖尿病の最初の治療薬と聞いたけど、どんな薬?」

メトホルミンは、2型糖尿病の治療において、世界中で第一選択薬(最初に使われるべき薬)として推奨されている、非常に重要で実績のあるお薬です。

この記事では、そんな糖尿病治療の基本薬メトホルミンについて、効果の仕組みや副作用、そして安全に使うための重要な注意点を、医師が分かりやすく解説していきます。

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メトホルミンとは?効果は?

メトホルミンは、ビグアナイド薬という種類に分類される、2型糖尿病の治療薬です。インスリンを無理やり出させるのではなく、体の中での糖の利用効率を上げることで、血糖値を穏やかに下げる働きがあります。

メトホルミンはジェネリック医薬品として、非常に多くの製薬会社から発売されています。先発医薬品は「メトグルコ」「グリコラン」です。

  • メトホルミン塩酸塩錠250mg / 500mg

メトホルミンの成分

有効成分はメトホルミン塩酸塩です。 この成分は、主に以下の3つの働きで血糖値を下げます。

①肝臓で糖が作られるのを抑える
体の中で最も重要な働きです。必要以上に糖が作られるのをブロックします。

②インスリンの効きを良くする
筋肉などで、インスリンが働きやすいように手助けし、血液中の糖が細胞に取り込まれるのを促進します。

③腸からの糖の吸収を穏やかにする
食事で摂った糖が、腸から吸収されるのを少しだけ抑えます。

このように、様々な角度から血糖値をコントロールします。インスリンの分泌を直接刺激しないため、単独の使用では低血糖を起こしにくいのが大きな特徴です。

メトホルミン効果

血糖値を下げることで、糖尿病の進行や合併症のリスクを低減します。

  • 空腹時および食後の血糖値を下げる
  • ヘモグロビンA1c(HbA1c)の値を改善する

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 2型糖尿病

※ただし、食事療法・運動療法を十分に行った上で、効果が不十分な場合に適用となります。

メトホルミンにダイエット効果は?痩せる?

メトホルミンは、インターネットなどで「痩せ薬」として紹介されることがありますが、その効果と安全性は正しく理解する必要があります。

体重が増えにくい薬ではある

一部の糖尿病薬(SU薬やインスリンなど)は副作用として体重増加をきたしやすいですが、メトホルミンは体重が増えにくい、あるいは若干減少する傾向があることが分かっています。

これは、食欲を少し抑えたり、インスリンの働きを良くしたりする効果によるものと考えられています。

「痩せ薬」ではない

臨床試験で見られる体重減少は、あくまで平均して1〜3kg程度のわずかなものです。脂肪を燃焼させるような劇的なダイエット効果はありません。

最も重要なことは、メトホルミンは日本では肥満治療薬として承認されていないという事実です。

安易な使用は危険

糖尿病ではない方が、自己判断でダイエット目的に使用することは、下痢などの副作用はもちろん、まれに起こる乳酸アシドーシスのリスクを不必要に負うことになり、非常に危険です。

必ず医師の診断と指導のもと、適応のある方が服用するお薬です。

メトホルミンはオンライン診療で出せる?

「血糖値が高くて薬が必要」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

メトホルミンのような血糖値のお薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
メトホルミンに関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

メトホルミンの使い方(用法・用量

通常、成人には1日500mgから開始し、1日2〜3回に分けて食直前または食後に服用します。

胃腸症状の副作用を避けるため、少量から開始し、徐々に増やしていくのが一般的です。
維持量は、効果を見ながら1日750mg〜1,500mgの間で調整されます。

メトホルミンの副作用

主な副作用

  • 胃腸症状:下痢、吐き気、食欲不振、腹痛、腹部膨満感、便秘など。
  • 味覚異常(金属のような味がする)

副作用で最も多いのは、飲み始めに起こりやすい胃腸症状です。

頻度は極めてまれ(年間に数人程度)ですが、乳酸アシドーシスという起こると命に関わる最も重篤な副作用もあります。
体内に乳酸という物質が溜まり、血液が酸性になります。激しい吐き気や腹痛、下痢、筋肉痛、過呼吸、強い倦怠感などが現れた場合は、直ちに服用を中止し、救急車を呼ぶなどして医療機関を受診してください。

副作用が出たときの対処法

飲み始めの胃腸症状は、続けているうちに軽くなることが多いです。しかし、症状がひどい場合や、乳酸アシドーシスを疑う症状が出た場合は、すぐに医師に連絡してください。

メトホルミンの注意事項(禁忌)

使ってはいけない方

  • 過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方(禁忌)
  • 重い肝臓病、腎臓病又は透析患者(禁忌)
  • 乳酸アシドーシスの既往歴のある方(禁忌)
  • 心不全、心筋梗塞、肺塞栓など、心血管系や肺機能に重い障害のある方(禁忌)
  • 脱水状態、手術前後、重い感染症にかかっている方(禁忌)
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある女性(禁忌)
  • 栄養不良状態、飢餓状態、衰弱状態、脳下垂体機能不全又は副腎機能不全の患者(禁忌)
  • 腎機能・肝機能が低下している方
  • 高齢者の方
  • 栄養不良状態の方

併用に注意が必要な薬

  • 過度のアルコール摂取(禁忌)
  • ヨード造影剤(CT検査などで使用):検査の前後は、必ずメトホルミンの服用を中止する必要あり。腎機能に一時的な影響を与え、乳酸アシドーシスのリスクが非常に高まる。
  • 他の血糖降下薬(SU薬、インスリンなど):併用すると低血糖のリスクが上がります。
  • 腎毒性の強い抗生物質(ゲンタマイシンなど)
  • 一部の利尿薬、ステロイド薬、腎機能に影響を与える薬など

使用上の注意

シックデイ(体調の悪い日)

発熱、下痢、嘔吐などで食事ができない日は、脱水を起こしやすく乳酸アシドーシスのリスクが高まります。そのような場合は、自己判断で服用せず、必ず主治医にどうすべきか確認してください。

低血糖が起きた時の対処法

メトホルミン単独では低血糖は起こしにくいですが、他の糖尿病薬との併用時や、食事を抜いた時などに、冷や汗、動悸、強い空腹感、手の震えなどの低血糖症状が現れることがあります。その場合は、すぐに以下の対応をとってください。

  • すぐにブドウ糖を摂取する: 通常、ブドウ糖を10g程度摂取します。医師からブドウ糖を処方されている場合は、必ず持ち歩くようにしましょう。
  • 砂糖や糖分を含む飲料でも代用可能: ブドウ糖がない場合は、砂糖を10〜20g摂るか、糖分を含むジュースや清涼飲料水などで代用します。
    ※チョコレートやアイスクリームなど、脂肪分が多いお菓子は、糖の吸収が遅れるため、すぐに対応する必要がある低血糖の処置には向いていません。
  • 意識が朦朧とする場合: もし意識がはっきりしない、朦朧とするなどの重い症状が出た場合は、周りの人が無理に口に物を入れたりせず、直ちに救急車を呼ぶ必要があります。

保管方法

  • 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
  • 子どもの手の届かない場所へ。

飲み忘れたら?

気づいた時点で、忘れた分を服用してください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、1回分をとばしましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、メトホルミンをはじめとした糖尿病治療薬の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

メトホルミンに市販薬はある?値段は?

市販薬

2025年6月現在、メトホルミンと同じ成分の市販薬は販売されていません。

必ず医師の診察と処方が必要です。

ジェネリック

この記事で解説している「メトホルミン塩酸塩錠」そのものが、ジェネリック医薬品です。

先発医薬品は「メトグルコ」「グリコラン」です。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • メトグルコ錠250mg(先発品):約10.1円/錠(3割負担の場合:約3円)
  • メトホルミン塩酸塩錠500mg「トーワ」(ジェネリックの一例):約10.1円/錠(3割負担の場合:約3円)

※2025年6月4日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

メトホルミン塩酸塩錠250mgMT「DSEP」/メトホルミン塩酸塩錠500mgMT「DSEP」

よくある質問(FAQ)

Q. 妊婦や授乳中でも使えますか?
原則として、妊娠中はインスリン注射による治療が第一選択となります。メトホルミンが処方されることもありますが、治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合に限られます。授乳中も、薬が母乳に移行するため、医師との相談が不可欠です。自己判断での服用は絶対にやめてください。

Q. 子供でも使えますか?
はい、10歳以上の小児の2型糖尿病に対して、使用が認められています。ただし、必ず小児糖尿病の専門的な知識を持つ医師の指導のもとで使用されます。

Q. いつから効きますか?
血糖値を下げる効果は、飲み始めてから徐々に現れます。安定した効果が確認できるまでには、数日から2週間程度かかることがあります。日々の血糖値の変化を見て、効果を判断します。

Q. お酒と一緒に飲んでも大丈夫?
過度の飲酒は避けるべきです。 アルコールは、まれな副作用である乳酸アシドーシスのリスクを高めることが知られています。また、食事を摂らずに多量のアルコールを飲むと、低血糖の原因にもなります。

Q. 運転してもいいですか?
メトホルミン自体は眠気を催す薬ではありません。しかし、他の薬との併用や、食事を抜いた時などに低血糖が起こると、意識がもうろうとして運転に支障をきたす危険があります。低血糖の初期症状(冷や汗、動悸、手の震えなど)をよく理解し、注意して運転してください。

Q. なぜCTなどの造影剤検査の前にやめる必要があるのですか?
ヨード造影剤は、一時的に腎臓の働きを悪くさせることがあります。腎機能が低下すると、メトホルミンが体から排泄されずに溜まってしまい、重篤な副作用である乳酸アシドーシスを引き起こす危険性が非常に高くなるためです。

Q. 低血糖を起こしますか?
メトホルミン単独での服用では、低血糖は起こしにくいとされています。ただし、他の血糖降下薬(インスリンやSU薬など)と併用している場合や、食事を抜いた場合、激しい運動をした後などでは低血糖が起こる可能性があるので注意が必要です。

まとめ

メトホルミンは、2型糖尿病治療の最も基本的で重要な薬です。単独では低血糖を起こしにくく、体重も増えにくいという大きなメリットがあります。

一方で、飲み始めの胃腸症状や、ごくまれではあるものの命に関わる乳酸アシドーシスという副作用には十分な注意が必要です。 特に、腎機能が悪い方や、造影剤検査を受ける際など、使用できない・中止すべき状況を正しく理解し、医師の指示のもとで安全に服用を続けましょう。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。