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「性器ヘルペスは一度かかると二度と治らない」こんな言葉、聞いたことはありませんか?
「かかったらかかったで薬で治せばいいだけの話でしょ」こう考えている人、要注意です。
ヘルペスはウイルスの中でも非常に珍しい、とある特徴を持っています。そしてこの特徴のせいで、私たちの体に重大な変化を引き起こすんです。
「性器ヘルペスは治療したら終わり」、こういう病気ではないんです。
一体、体にどんな変化があるのでしょうか?
ヘルペスに対しては、医学の歴史の中でも長い戦いがありました。
性器ヘルペスの症状や治療法、そして予防法はどんなものがあるのでしょうか?
エイズよりもあなたの身近に潜む病気、ヘルペス。この正体について一緒に学んでおきましょう。
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性器ヘルペスとは?
性器ヘルペスという病気は男女ともになりうる病気で、文字通り性器の部分にヘルペスのウイルスが感染すると起こるものです。
このヘルペスのウイルスには1番から8番まで、8種類の特徴が異なるウイルスが存在していて、この中のⅠ型とⅡ型のウイルスだけが性器ヘルペスの原因となるんです。
例えば3番のヘルペスのウイルスは、子供がよくかかる水ぼうそうや、お年寄りがよくなる帯状疱疹という病気の原因ですが、この3番のウイルスはちょっと別物なので、今回の話とは無関係です。

性器ヘルペスに感染する原因とは
ご存じの方が多いとは思いますが、ヘルペスウイルスは性行為を通じて感染します。
女性と男性で比較すると、体の構造の特徴の問題で女性の方が性器ヘルペスになりやすいです。
ウイルスが付着したタオルや便座等の物を介して感染する事もあるので、心当たりがなくても気づかないうちに感染していることも。
昔はⅠ型が、「口唇ヘルペス」という口の周りにできるヘルペスの原因で、Ⅱ型の方が性器ヘルペスの原因と分類が分かれていたんですが、最近ではオーラルセックスなどの性行為の多様化の影響もあり、Ⅰ型が性器に感染することも珍しくなくなってきました。

性器ヘルペスは再発する?引き起こされる体の変化
ヘルペスウイルスの非常に厄介な特徴なんですが、なんと「感染が落ち着いてからも人の神経に住み着き、タイミングを見計らって外に出てくる」こんな性質を持っているんです。

性器ヘルペスと別の話にはなりますが、前半で説明したⅢ型のヘルペスも、子供の頃水疱瘡にかかった時に感染し、水疱瘡が治ったらすっかり私たちはヘルペスのことを忘れてしまっているのですが、実はその時から今まであなたの体の中の「神経節」という場所に潜伏し、さながら冬眠をしているかのように不気味な沈黙の期間があります。
しかし、この間もヘルペスのウイルスは浮上のチャンスを伺っています。
そして私たちが大人になって風邪や忙しい日々で免疫機能が落ちたり、高齢者になって免疫が落ちた時を見計らって、帯状疱疹、という形になって再び私たちの目の前に表れ、苦しめるんですね。

感染がおさまったら他のウイルスのようにさっさと出て行ってくれたらいいのに、人間の体を好み、気に入り、体に定住してくるんです。
そして性器ヘルペスのウイルスも、例外ではありません。
彼らは、一旦感染が落ち着いてからも、腰の根本にある「腰仙骨神経節」という神経の根っこの部分を住みかとし、私たちの免疫機能が落ちるのをじっくりと待っています。
そして、私たちが例えば仕事で残業続きで疲れている時や、女性であれば毎回の生理のタイミングなどを見計らって、性器に顔を出し、ピリピリとした痛みや、皮膚の症状となって、体調が悪いのに輪をかけて私たちを苦しめます。

性器ヘルペスに1回でも感染してしまうと、彼らは私たち体の神経に住み着くようになり、自分の体調のバランスが少し崩れると、ヘルペスウイルスが性器の所からこんにちはと顔を出してくるようになる、こういうことなんです。
中には月1くらいの頻度で性器ヘルペスが出現し、まるで性器ヘルペスと共存していかなけばならないかのような感覚に陥る場合もあります。

性器ヘルペスはできるだけ人生の中で1回も感染せずに終りたいウイルス、堂々の第一位なんです。
この「再発する」特徴が本当に厄介なんですね。
初めて感染する場合も、感染してから、2-10日後くらいに症状が出ることもあるんですが、一旦症状を出さず潜伏して、様子を伺って時間がたってから症状が出ることもあるんです。
ちなみに、Ⅰ型のウイルスより、Ⅱ型の方が再発しやすいと言われています。
性器ヘルペスの症状とは?
では、性器ヘルペスの症状について解説していきます。
まず、特に多いのがこのような水ぶくれのような状態。専門用語で「水疱(すいほう)」と呼びます。

水疱が男性であればペニスの部分や肛門の周り、女性であれば膣の部分や、太ももや膀胱のあたりまでできてしまったり、太腿のリンパ節まで腫れてしまうこともあるんです。症状が重い場合は発熱してしまい、かなりしんどい状態になることもあります。
そして、この水疱が潰れてしまうと、ただれたような状態になってしまい、さらに痛みがまします。

専門用語で「潰瘍(かいよう)」という状態ですね。
水疱や潰瘍などの症状がある時は、人にうつす可能性があるので、性行為はできませんし、タオルや自分の持ち物などから接触感染することもありますので非常に慎重に行動しないといけません。
そしてこのように見た目でわかりやすい性器ヘルペスは、おしっこの通り道にできると、激痛でおしっこができなかったり、ひどい場合は歩けなくなってしまう場合もある、結構怖い病気なんです。
性器ヘルペスの治療法は?
性器ヘルペスの治療法①アシクロビル
では、性器ヘルペスはどのように治療するのでしょうか?
治療法としては、症状が出た段階で、ヘルペスウイルスの増殖を抑え込む飲み薬を飲みます。
この薬も本当に人類の歴史の中で非常に苦労して作られた薬で、ルーツを辿ると、世界で初めてウイルスに効く薬として開発された「アシクロビル」がヘルペスを抑え込む薬の第一号として開発されました。

この薬は、当時バローズ・ウエルカム社に勤務していた研究者のガートルード・B・エリオン氏とジョージ・H・ヒッチングス氏によって1974年に開発され、彼らはなんと1988年にノーベル賞を受賞しています。
しかし、勿論この薬は素晴らしい発明ではあるんですが、やはりヘルペスを体の外に追い出せる訳ではなく、あくまで勢いを鎮火させ、再びもとの神経のすみかに戻ってもらうためのもの。

5日間の飲み切りが決まっている薬なんですが、例えば途中で症状が良くなったからと飲むのをやめると、再びすぐひょっこり顔を出し、性器ヘルペスの症状が出ることがあります。これをウイルスの「再活性化」と呼びます。
そして、本当に繰り返し症状が出現し、性器ヘルペスとの共存に苦しんでいる人が多いので、新しい治療法が生み出されました。それがPIT(Patient Initiated Therapy)療法というものです。
性器ヘルペスの治療法②PIT(Patient Initiated Therapy)療法
これは日本語に訳すと、患者さん主導の治療、というもの。
性器ヘルペスが繰り返す患者さんに症状が出る前に事前にお薬を渡しておいて、もし陰部がむずむずする、熱くなるとか、怪しい前兆があった時に自分の判断で薬を飲み、本格的な症状が出る前に抑え込む方法です。

再発の初期症状の出現後1回目は6時間以内、2回目は1回目の服用から12時間後を目安(6~18時間後の範囲)に服用します。
このPIT療法は保険適応で処方を受けられます。意外に知らない人も多いので、是非自分や周りでヘルペスの症状に苦しんでいる人がいたら教えてあげてください。
性器ヘルペスの予防法は?
重要な性器ヘルペスの予防法としては、やはり第一は性交渉の際にコンドームをつけること。

ただ、前半で説明したようにふとももや肛門の周りにもできることがあるので、コンドームをつけても覆われていない場所から感染することもあります。
しっかりと症状がある時は性交渉を行わないことも重要なので覚えておいて、自分の体を厄介な性器ヘルペスのウイルスのすみかにされないよう、正しい知識を持って事前に対策を行っておきましょう。
頻回再発がある場合の予防投与(抑制療法)
また、性器ヘルペスにかからないため以外の再発を防ぐための予防法として、性器ヘルぺスを1年に6回以上再発する人や、再発による痛み・ストレスが大きい人には、長期的にバラシクロビル(Valacyclovir)という抗ヘルペスウイルス薬を服用する「抑制療法」も行われています。
こちらもPIT療法と同じで保険適応で治療を行うことができます。
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