
「健康診断で尿酸値が高いと指摘された…」「繰り返す痛風発作、もうこりごり…」そんな、尿酸値に関するお悩みや、痛風のつらい症状。長く付き合っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
そんなとき、お医者さんから「アロプリノール」というお薬や、その代表的な商品名である「ザイロリック」が処方されることがあります。「アロプリノールって、どんなお薬なの?」「副作用はあるの?」「いつから効果が出るの?」など、たくさんの疑問や不安を感じるかもしれません。
この記事では、血液中の尿酸値を下げる代表的なお薬「アロプリノール(商品名:ザイロリックなど)」について、その正体から効果、副作用、そして何よりも大切な正しい飲み方や注意点を、医師がとことん優しく、そして分かりやすく解説します!アロプリノールと上手に付き合って、尿酸値をコントロールし、痛風発作のない穏やかな毎日を目指しましょう。
ウチカラクリニックではオンライン診療に完全対応し、忙しい方向けに夜間や土日も診療を行っております。
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アロプリノール(ザイロリック)とは?効果は?
アロプリノールは、血液中の尿酸の量を減らすことで、高尿酸血症を治療したり、痛風の発作を予防したりする飲み薬です。
「アロプリノール」は有効成分の一般名(成分名)で、「ザイロリック」はその代表的な先発医薬品の商品名です。
私たちの体の中では、食事などから摂るプリン体という物質が分解されるときに尿酸が作られます。この尿酸が血液中に増えすぎた状態が「高尿酸血症」です。そして、尿酸が関節などで結晶化して炎症を起こすと、あの激しい痛みを伴う「痛風発作」が起きてしまうのです。
アロプリノールは、この尿酸が体内で作られるのを抑える働きがあるお薬で、「尿酸生成抑制薬」というグループに分類されます。古くから痛風・高尿酸血症の治療に使われてきた、実績のあるお薬です。
とても大切なことですが、アロプリノールは今まさに起きている痛風発作の痛みをすぐに取るお薬ではありません。 あくまで、血液中の尿酸値を長期的にコントロールして、将来的な痛風発作を予防したり、尿酸による合併症(腎障害や尿路結石など)を防いだりするためのお薬です。
アロプリノールの成分
ザイロリックの主役は、その名の通り「アロプリノール」という成分です。
私たちの体の中には、「キサンチンオキシダーゼ(キサンチン酸化酵素とも言います)」という、プリン体から尿酸を作り出す最終段階で働く「工場」のような働きをする酵素があります。
アロプリノールは、このキサンチンオキシダーゼの働きを邪魔することで、尿酸が過剰に作られるのを抑えます。この働きにより、体内で作られる尿酸の量が減り、血液中の尿酸濃度が低下します。
アロプリノールの効果
- 血液中の尿酸値を下げる
- 痛風関節炎(痛風発作)を予防する
- 痛風結節(尿酸の結晶が皮下などにたまってできるコブ)を改善する
- 高尿酸血症に伴うその他の合併症(腎障害、尿路結石など)のリスクを軽減する
どんなときに使う?(適応疾患・部位)
- 痛風
- 高尿酸血症
これらの病気によって引き起こされる様々な症状や合併症を予防・改善するために処方されます。
アロプリノールの種類
アロプリノール(商品名:ザイロリックなど)のお薬は、現在、主に錠剤として供給されています。 有効成分「アロプリノール」の含まれる量が異なる、いくつかの規格があります。
- アロプリノール錠50mg / ザイロリック錠50
- アロプリノール錠100mg / ザイロリック錠100
(ジェネリック医薬品も同様の規格があります)
医師が患者さんの尿酸値や体の状態、腎臓の機能などを考慮して、適切な規格と量を調整して処方します。通常は少ない量から開始し、効果や副作用を見ながら徐々に調整していくことが多いです。
アロプリノールの使い方(用法・用量)
通常、1日2~3錠(アロプリノールとして200~300mg)を2~3回に分けて食後に服用します。
飲み始めは少ない量(例えば1日100mg)から開始し、血液検査で尿酸値を見ながら、必要に応じて徐々に増量していきます。維持量としては、患者さんの状態に合わせて調整されます。腎臓の機能が低下している場合は、より少ない量で慎重に投与されます。
尿酸値が急に下がることで、関節にたまっていた尿酸の結晶が剥がれ落ちて炎症を引き起こし、飲み始めに痛風発作が起きることがあります。
「せっかく薬を飲み始めたのに、なんで痛くなるの?」と不安になるかもしれませんが、これは一時的な現象であることが多いです。医師は、このような発作を予防するために、飲み始めにコルヒチンなどの抗炎症薬を併用することがあります。もし発作が起きても、自己判断でアロプリノールを中止せず、医師に相談してください。
また、尿酸値や肝機能などをチェックするために、定期的な受診と血液検査を受けましょう。
ウチカラクリニックのオンライン診療でも、アロプリノールの処方や痛風・高尿酸値などの治療も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

アロプリノールの副作用
主な副作用
比較的よくみられる副作用
- 皮膚症状(発疹、かゆみなど): これが比較的多く見られる副作用の一つです。
- 消化器症状(食欲不振、胃の不快感、軟便、下痢など)
- 肝機能障害(AST、ALTの上昇など): 血液検査で分かるもので、自覚症状がないことも多いです。
- 血液障害(白血球減少、血小板減少など)
- 脱毛
- 眠気、めまい
まれだけど注意が必要な重篤な副作用
- 中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、剥脱性皮膚炎などの重篤な皮膚障害: 発熱、広範囲の赤い発疹、水ぶくれ、皮膚が剥がれる、目の充血、口や陰部のただれなどが現れる、命に関わることもある非常に重い皮膚の副作用です。初期症状(発熱、軽度の発疹など)を見逃さず、すぐに医療機関を受診することが極めて重要です。
- 過敏症症候群(薬剤性過敏症症候群): 発疹、発熱、肝機能障害、リンパ節の腫れ、血液の異常など、全身に様々な症状が現れる重い副作用です。こちらも初期症状に注意が必要です。
- 重篤な肝機能障害、黄疸腎不全、間質性腎炎などの腎障害
- 再生不良性貧血、無顆粒球症などの重い血液障害
- ショック、アナフィラキシー
副作用が出たときの対処法
発熱を伴う発疹、皮膚の異常、口内炎などが現れたら、直ちにアロプリノールの服用を中止し、すぐに医療機関を受診してください。 これは重篤な皮膚障害の初期サインかもしれません。
肝機能障害の早期発見のために定期的な血液検査が重要です。 自覚症状がなくても、指示された検査は必ず受けましょう。
その他の重篤な副作用のサインに気づいたら、直ちに服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
アロプリノールの注意事項・禁忌
使ってはいけない方
絶対に使ってはいけない方(禁忌)
- 本剤の成分に対し過敏症(アレルギー)の既往歴のある方
使うときに特に注意が必要な方
- 肝臓の機能障害またはその既往歴のある方
- 腎臓の機能障害のある方(用量の調節が必要です)
- 高齢者の方、妊娠中または妊娠している可能性のある方、授乳中の方、お子さん(小児)
併用に注意が必要な薬
- メルカプトプリン水和物(ロイケリン®など)またはアザチオプリン(イムラン®、アザニン®など)を服用している方: これらの薬の代謝を阻害し、骨髄抑制などの重篤な副作用が起こるおそれがあるため、併用する場合はこれらの薬の量を大幅に減らすなど、医師による厳密な管理が必要です。原則として併用注意(事実上の併用禁忌に近い扱い)とされています。
- ワルファリン(血液をサラサラにするお薬): 作用を強めることがあります。
- 一部の抗がん剤(シクロホスファミドなど): 骨髄抑制を強めることがあります。
- テオフィリン(気管支拡張薬): テオフィリンの作用を強めることがあります。
- ジダノシン(抗HIV薬): ジダノシンの作用を強める可能性があります。
- 一部の利尿剤(サイアザイド系利尿薬など): アロプリノールの副作用(特に過敏症)のリスクを高める可能性があります。
上記以外にも注意が必要な場合があります。他に飲んでいるお薬やサプリメントがある場合は、必ず医師や薬剤師に伝えましょう。
使用上の注意
ポイント | 具体的な内容 |
---|---|
初期症状は即連絡 | 発熱・発疹などが出たら重篤な副作用の恐れ。すぐ医師へ。 |
定期的な血液検査 | 尿酸値・肝機能・腎機能・血液像をこまめにチェック。 |
開始初期の痛風発作 | 医師の指示でコルヒチン等を併用。発作が出ても自己中止しない。 |
十分な水分補給 | 尿量1日2L以上を目標に。尿酸排泄&結石予防に◎。 |
生活習慣の改善 | プリン体多めの食品・過度なアルコールを控え、適度な運動を習慣化。 |
急な自己中止はNG | 中止で尿酸値が急上昇し、発作再発リスクが跳ね上がります。 |
保管方法
- 直射日光・高温多湿を避けて保管しましょう。
- 子どもの手の届かない場所に置いてください。
飲み忘れたら?
飲み忘れたことに気づいたら、できるだけ早く1回分を飲んでください。
ただし、次に飲む時間が近い場合は(例えば、1日2回服用の場合で、次の服用まで4時間以内など)、忘れた分は飲まずに、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分をいっぺんに飲んではいけませんよ。
アロプリノールに市販薬はある?値段は?
市販薬
医療用の「ザイロリック」と全く同じ有効成分「アロプリノール」を含む市販薬は、現在のところありません。
痛風の症状でお困りの場合は、自己判断で市販薬を探すのではなく、必ず医療機関を受診して、専門医に相談するようにしてください。
ジェネリック名
「ザイロリック」が先発品の名前で、「アロプリノール」がジェネリック(後発品)医薬品の名前です。
「アロプリノール錠「〇〇」」(〇〇には製薬会社名が入ります)といった名称で、一般的に先発医薬品のザイロリックよりも薬価が安価なことが多いです。
薬価
時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。
- ザイロリック錠100mg(先発医薬品): 1錠あたり 約10~15円程度
- アロプリノール錠100mg「〇〇」(ジェネリック医薬品): 1錠あたり 約5~10円程度
※2025年4月29日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
アロプリノール錠50mg「杏林」/アロプリノール錠100mg「杏林」
よくある質問(FAQ)
Q. アロプリノールとザイロリックの違いは何ですか?
「アロプリノール」は、お薬の有効成分の名前(一般名)です。一方、「ザイロリック」は、このアロプリノールを最初に開発・販売した製薬会社の製品の商品名(先発医薬品)の一つです。
Q. 妊娠中でも使える?
動物実験では胎児への影響は認められていませんが、ヒトでの安全性は確立されていません。自己判断での服用は絶対に避け、必ず医師に相談してください。
Q. 授乳中でも使える?
アロプリノールの成分が母乳中に移行することが報告されています。服用中は授乳を避けるか、医師に相談して指示に従ってください。
Q. 小児でも使える?
アロプリノールは、小児の特定の病態(例えば、がん化学療法に伴う高尿酸血症など)に対して、医師の厳密な判断のもとで使用されることがあります。しかし、一般的な小児の高尿酸血症や痛風に対しては、第一選択とはならず、使用は限定的です。
Q. アロプリノールを飲んだら運転しても大丈夫?
アロプリノールの副作用として、まれに眠気やめまい、注意力・集中力・反射運動能力などの低下が起こることがあります。もし、これらの症状が出た場合は、自動車の運転や危険を伴う機械の操作、高所での作業などは避けるようにしてください。 服用を開始して間もない時期や、体調に変化を感じたときは特に注意が必要です。
Q. アロプリノールは飲んでからどのくらいで効き始めますか?
アロプリノールは、飲んですぐに尿酸値が劇的に下がるわけではありません。毎日コツコツと飲み続けることで、徐々に血液中の尿酸値が低下していきます。効果を実感できる(尿酸値が目標値まで下がる)までには個人差がありますが、一般的には飲み始めてから1~2週間程度で尿酸値の低下が見られ始め、安定した効果が得られるまでには1~2ヶ月程度かかることが多いと言われています。定期的な血液検査で効果を確認しながら、医師が服用量を調整していきます。
Q. アロプリノールを飲んでいるときにお酒を飲んでも大丈夫?
アロプリノールとお酒(アルコール)の間に、直接的な相互作用はあまり報告されていません。しかし、痛風や高尿酸血症の方にとって、アルコール自体が尿酸値を上げ、痛風発作を引き起こす大きな原因となります。 特にビールなどのプリン体を多く含むお酒は要注意です。
Q. アロプリノールを飲み始めると痛風発作が起きやすくなるって本当ですか?
アロプリノールを飲み始めて尿酸値が急に下がり始めると、関節などにたまっていた尿酸の結晶が剥がれ落ちて、一時的に炎症が起きやすくなり、痛風発作が誘発されることがあります。これを「尿酸移動性発作」と呼ぶこともあります。これはお薬が効き始めているサインとも言えますが、つらいですよね。そのため、医師はアロプリノールの服用開始時に、発作を予防するためにコルヒチンなどの抗炎症薬を短期間併用することが多いです。
まとめ
今回は、血液中の尿酸値を下げる代表的なお薬「アロプリノール(商品名:ザイロリックなど)」について、詳しく見てきました。
アロプリノールは、体内で尿酸が作られるのを抑えることで、高尿酸血症を改善し、痛風発作の予防や合併症の進行を防ぐ、古くから使われている大切なお薬です。毎日コツコツと飲み続けることで、その効果が期待できます。
しかし、効果的なお薬だからこそ、使い方にはいくつかの大切なポイントがあります。一番大切なのは、医師の指示通りに用法用量を守り、定期的な血液検査を受けること。そして、飲み始めの痛風発作の可能性や、特に注意が必要な皮膚症状などの副作用の初期サインを見逃さず、異常を感じたらすぐに医師に相談すること。食事療法や運動療法といった生活習慣の改善も併せて行うことです。
この記事が、アロプリノール(ザイロリック)に対する皆さんの疑問や不安を少しでも軽くして、医師とよく相談しながら、安心して適切な治療に取り組むためのお手伝いができれば、心から嬉しいです。尿酸値がしっかりコントロールされ、痛風の心配のない、健やかで快適な毎日が送れるようになりますように。どうぞお大事になさってくださいね。
ウチカラクリニックではオンライン診療に完全対応し、忙しい方向けに夜間や土日も診療を行っております。
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