片頭痛の薬を徹底比較!あなたに合う薬は?予防薬と治療薬を分かりやすく解説

「ズキンズキンと脈打つような頭痛、吐き気もして仕事や家事が手につかない…」 そんなつらい片頭痛に悩んでいませんか?

片頭痛の薬にはたくさんの種類があって、どれが自分に合うのか分からないですよね。

この記事では、片頭痛の薬について、医学知識がない方にも分かりやすく、そして詳しく医師が解説します! あなたに合った薬を見つけるお手伝いができれば嬉しいです。

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片頭痛ってどんな病気?

片頭痛は、ただの頭痛とはちょっと違います。多くの場合、こんな特徴があります。

  • ズキンズキン、ガンガンと脈打つような強い痛み
  • 頭の片側が痛むことが多い(両側のこともあります)
  • 吐き気や嘔吐を伴うことがある
  • 光や音、においに敏感になる
  • 動くと痛みが悪化する

原因はまだ完全には解明されていませんが、脳の血管が急に広がったり、三叉神経という神経が関係していると考えられています。

また、片頭痛には「前兆(ぜんちょう)のある片頭痛」「前兆のない片頭痛」があります。 前兆とは、頭痛が始まる前に目の前にキラキラした光が見えたり(閃輝暗点:せんきあんてん)手足がしびれたりする症状のことです。

片頭痛の薬は2種類!「治療薬」と「予防薬

片頭痛の薬は、大きく分けて2つのタイプがあります。

  1. 発作時に飲む薬(治療薬)
    ズキン!と痛みが始まったときに、そのつらい症状をやっつけるためのお薬です。痛みを和らげ、できるだけ早く普段の生活に戻れるように助けてくれます。
  2. 予防のために飲む薬(予防薬)
    片頭痛の発作が起きにくくするため、または起きても症状が軽くすむようにするためのお守りのようなお薬です。毎日コツコツ飲むことで効果を発揮します。

それでは、それぞれのタイプのお薬について、詳しく見ていきましょう!

片頭痛の発作時に飲む「治療薬」たち

痛みが襲ってきたときに頼りになるのが、発作時に飲む治療薬です。
いくつかの種類がありますが、代表的なものをご紹介します。

鎮痛薬

「頭が痛いな」と感じたとき、まず鎮痛薬を手に取る方も多いのではないでしょうか。
軽い片頭痛や、痛みがまだそれほど強くない「なりかけ」の段階であれば、これらで症状が和らぐこともありますし、市販薬でも手に入れられるのが特徴です。

どんな時に使える?

  • ごく初期の軽い痛み
  • 「もしかして片頭痛かな?」くらいの軽い段階
  • すぐに医療機関にかかれない時の応急処置

鎮痛薬を使うときの注意点

「痛くなりそう」「痛みが軽いな」と感じたら、我慢せずに早めに飲むのがコツです。


また、決められた量や回数を必ず守りましょう。たくさん飲んだからといって効果が強まるわけではなく、副作用のリスクが高まります。
市販の鎮痛薬を月に10日以上(または週に2~3回以上)のように頻繁に飲んでいると、薬物乱用頭痛(やくぶつらんようずつう)といって、かえって頭痛が悪化したり、毎日頭痛が続くようになったりすることがあります。これは非常に重要なポイントです!

鎮痛薬の種類

成分名 製品名例 特徴 ポイント
アセトアミノフェン カロナール
タイレノールA など
副作用/胃腸負担 少なめ。効果 穏やか。空腹時OK。子供/妊婦(要相談)も可。 強い痛みには効果が不十分な場合も。
ロキソニン ロキソニンS など
※第1類医薬品
NSAIDs。鎮痛・抗炎症効果 強め。解熱作用も。 胃腸障害に注意。空腹時避ける。薬剤師の説明を受け購入(第1類)。
イブプロフェン イブA錠、
リングルアイビーなど
NSAIDs。鎮痛・抗炎症。比較的速く効き、持続性も期待。 アセトアミノフェンより強力。ロキソプロフェン同様、胃腸障害に注意。

※薬剤名から詳しい解説ページへ飛べます。

トリプタン系のお薬

片頭痛治療の第一選択薬としてよく使われるのが「トリプタン系製剤」です。
頭痛の原因となる脳血管の過度な拡張を抑えたり、炎症を引き起こす物質が出るのを防いだりする働きがあります。

どんな仕組み?

セロトニンという物質の特定の受け皿(1B/1D受容体)にくっついて、広がった血管を適切な状態に戻し、痛みの原因となる物質が出るのを抑えます。

使い分けのポイントは?

  • 痛みが始まってからの経過時間: 痛みが強くなる前に飲むのが基本です。
  • 効果の速さ vs 持続時間: すぐに効いてほしいのか、長く効いてほしいのか。
  • 副作用の出やすさ: 以前にトリプタン系で副作用が出たことがあるかなど。
  • ライフスタイル: OD錠が良いか、点鼻薬や注射が良いかなど。

トリプタン系の注意点

  • 飲むタイミング: 頭痛が始まってから「あ、これは片頭痛だ」と確信したら、なるべく早めに飲むのが効果的です。前兆の段階で飲んでもあまり効果がないと言われています。
  • 副作用: 胸や喉の圧迫感、眠気、だるさなどを感じることがあります。
  • 飲みすぎに注意: 飲みすぎると「薬物乱用頭痛」という、かえって頭痛が悪化する状態になることがあるので、医師の指示された用法・用量を守りましょう。
  • 併用禁忌薬: 一緒に飲んではいけない薬があるので、必ず医師や薬剤師に確認してください。

代表的なトリプタン系の薬

一般名
(製品名例)
特徴 飲み方・剤形例 即効性 持続性 こんな人におすすめ
スマトリプタン
(イミグラン)
トリプタン系で最初に登場したお薬。効果はシャープ。 錠剤、点鼻液、皮下注射 速い やや短い とにかく早く効いてほしい!
リザトリプタン
(マクサルト)
即効性が期待できるといわれる。OD錠(なめて飲める)もある。 錠剤、OD錠 とても速い 標準的 痛みが始まってすぐに対処したい!
ゾルミトリプタン
(ゾーミッグ)
脳にも届きやすいとされ、効果と持続時間のバランスが良いと言われる。 錠剤、OD錠、点鼻液 速い 標準的 安定した効果を求める。
ナラトリプタン
(アマージ)
効き目は比較的穏やかで、効果が長く続く。副作用も比較的マイルド。 錠剤 ややゆっくり 長い 効果が長続きしてほしい/副作用が心配な人。

※薬剤名から詳しい解説ページへ飛べます。

レイボー(ラスミジタン)

「レイボー」は、これまでのトリプタン系とは異なる新しい作用機序を持つお薬です。「ジタン系」というグループに分類されます。

どんな仕組み?

セロトニンの別の受け皿(1F受容体)に作用します。トリプタン系のように血管を直接収縮させる作用が弱いため、心臓や血管系の病気があってトリプタン系が使いにくい人にも選択肢となる可能性があります。

特徴

トリプタン系が効きにくい人や、副作用で使えなかった人にも効果が期待できます。
ただし、めまいや眠気といった中枢神経系の副作用が出やすい傾向があります。服用後は自動車の運転など危険を伴う機械の操作はできません。

こんな人におすすめ

  • トリプタン系で十分な効果が得られなかった方
  • トリプタン系の副作用(特に胸部症状など)が心配な方

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、片頭痛の治療やお薬の処方も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

片頭痛の発作を抑える「予防薬」たち

片頭痛の回数が多かったり、1回の発作が重くて生活に支障が出たりする場合に検討されるのが「予防薬」です。
毎日コツコツと服用することで、頭痛発作の回数を減らしたり、発作が起きても症状を軽くしたりする効果が期待できます。効果が出るまでに数週間~数ヶ月かかることもあります。

ミグシス(ロメリジン塩酸塩)

カルシウム拮抗薬というグループのお薬です。

どんな仕組み?

脳の血管が必要以上に広がったり収縮したりするのを抑えることで、片頭痛発作を予防すると考えられています。

特徴

比較的副作用が少なく、長く続けやすいと言われています。
めまい、ほてり、便秘などが起こることがあります。

こんな人におすすめ

  • 予防薬を初めて試す方
  • 副作用が比較的少ない薬を希望する方

インデラル(プロプラノロール)

β遮断薬(ベータしゃだんやく)というグループのお薬で、もともとは高血圧や狭心症などの治療に使われています。

どんな仕組み?

交感神経の働きを抑えることで、血管の過度な反応を鎮め、片頭痛発作を予防すると考えられています。

特徴

古くから片頭痛予防効果が認められているお薬です。

喘息のある方や、一部の心臓病のある方には使えません。
だるさ、めまい、徐脈(脈が遅くなる)などの副作用が出ることがあります。

こんな人におすすめ

  • 医師が他の薬と比較して適切と判断した場合

バルプロ酸(デパケン、セレニカなど)

抗てんかん薬というグループのお薬です。

どんな仕組み?

脳の神経細胞の過剰な興奮を抑えることで、片頭痛発作を予防すると考えられています。

特徴

片頭痛の頻度を減らす効果が期待できます。

眠気、ふらつき、体重増加などの副作用や、肝機能障害などに注意が必要です。
特に妊娠可能な女性は注意が必要です。胎児への影響が報告されているため、妊娠を希望する場合や妊娠中の使用は原則として避け、医師と十分に相談する必要があります。

こんな人におすすめ

  • 他の予防薬で効果が不十分な場合など(医師の慎重な判断のもとで)

どの薬がいいの?お薬選びのポイント

「結局、どの薬が私に合っているの?」と思いますよね。
お薬選びで最も大切なのは、自己判断せずに必ずお医者さんとよく相談することです。

お医者さんは、あなたのこんな情報を元に、最適なお薬を考えてくれます。

  • 片頭痛の症状: 痛みの強さ、頻度、持続時間、伴う症状(吐き気、光・音過敏など)
  • これまでの治療歴: 今までに試した薬、効果があった薬、副作用が出た薬
  • 健康状態: 他の病気(高血圧、喘息、心臓病、肝臓病、腎臓病など)の有無
  • 現在服用中の薬やサプリメント: 飲み合わせが悪いものもあります
  • ライフスタイル: 仕事内容(運転をするかなど)、妊娠の希望や授乳中かどうか
  • あなたの希望: 「とにかく早く効いてほしい」「副作用が心配」「毎日飲むのは避けたい」など

お薬を試してみて、「あまり効かないな」「副作用がつらいな」と感じたら、遠慮なくお医者さんに伝えましょう。 お薬の種類を変えたり、量を調整したりすることで、より自分に合った治療法が見つかることがあります。

よくある質問(FAQ)

Q. 市販の頭痛薬じゃダメなの?
A. 軽い片頭痛であれば、市販の鎮痛薬(ロキソプロフェン、イブプロフェンなど)で症状が和らぐこともあります。しかし、月に何度も服用したり、飲んでもあまり効かなくなってきたりした場合は注意が必要です。市販薬の飲みすぎは「薬物乱用頭痛」を引き起こすリスクがあります。また、市販薬では効果がないような中等度~重度の片頭痛の場合は、やはり専門医に相談して、トリプタン系など適切な処方薬を検討するのがおすすめです。

Q. 薬はいつ飲むのが効果的?
A.
治療薬(発作時): 片頭痛のズキンズキンとした痛みが始まって、「これはいつもの片頭痛だ」と確信したら、できるだけ早い段階で飲むのが効果的です。痛みがピークに達してからでは効きにくいことがあります。ただし、トリプタン系は前兆の段階では効果が薄いと言われています。
予防薬: 医師の指示通り、毎日決まった時間に忘れずに飲み続けることが大切です。効果を実感できるまでには数週間~数ヶ月かかることが多いので、根気よく続けましょう。

Q. 薬を飲み続けても大丈夫?副作用は?
A. どんな薬にも副作用の可能性はあります。治療薬の飲みすぎは「薬物乱用頭痛」のリスクがあるので、用法・用量を守ることが非常に重要です。予防薬は、効果と副作用のバランスを見ながら、医師が定期的に状態を確認し、必要に応じて調整します。

Q. 妊娠中や授乳中でも飲める薬はある?
A. 妊娠中や授乳中は、お腹の赤ちゃんや母乳への影響を考慮する必要があるため、使えるお薬が限られます。自己判断で市販薬を飲んだり、以前処方された薬を飲んだりするのは絶対に避けましょう。薬以外の対処法(安静、冷却など)で乗り切るなどが推奨される場合もあります。

Q. 薬以外にできることはある?
A. お薬と合わせて生活習慣を見直すことも大切です。
誘因を避ける: ストレス、寝不足、寝すぎ、特定の食べ物(チョコレート、チーズ、赤ワインなど)、天候の変化などが片頭痛の引き金になることがあります。自分の誘因を知り、できるだけ避けるようにしましょう。
規則正しい生活: 睡眠時間をしっかり確保し、食事もバランスよく摂りましょう。
適度な運動: 軽い有酸素運動は片頭痛の予防に繋がることがあります。
リラックス: 自分なりのリラックス方法を見つけて、ストレスを上手に解消しましょう。
頭痛ダイアリー: いつ、どんな時に頭痛が起きたか、薬の効果はどうだったかなどを記録しておくと、診断や治療方針を決めるのに役立ちます。

まとめ

つらい片頭痛、もう一人で悩まないでください。 今は効果的なお薬がたくさんあり、治療法も進歩しています。

この記事が、あなたに合った治療法を見つけるための一歩となれば嬉しいです。 一番大切なのは、専門医に相談して、あなたの症状やライフスタイルに合った薬や対処法を一緒に見つけていくことです。

根気強く治療に取り組めば、きっと片頭痛と上手に付き合っていけるはずです。 あなたの毎日が、少しでも穏やかになることを心から願っています。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。