プロバンサインは汗を止める薬?効果や副作用について解説【医師監修】

プロバンサイン

「汗が気になって、人前に出るのが少し不安…」
「手の汗で、書類が濡れてしまう…」

汗に関するお悩みは、多くの方が抱えています。そんな汗の悩みを解決する選択肢の一つが、今回ご紹介する「プロバンサイン」というお薬です。

この記事では、プロバンサインがどんなお薬なのか、その効果や副作用、正しい使い方について、医師が分かりやすく解説していきます。

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※医師の判断で希望のお薬が処方できない場合があります。

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プロバンサインとは?効果は?

プロバンサインは、体の内側から汗の分泌を抑える効果がある飲み薬です。
「プロバンサイン錠15mg」 という、一般的な錠剤タイプで処方されることが多いです。

主成分は「プロパンテリン臭化物」といい、これはアセチルコリンという物質の働きをブロックする「抗コリン薬」と呼ばれるお薬の一種です。

プロバンサインの成分

プロバンサインの主役は、「プロパンテリン臭化物」という成分です。

私たちの体は、脳から「汗を出せ!」という指令が神経を伝わって、汗をつくる「汗腺」に届くことで汗をかきます。この指令を伝えるバトンリレーの最終ランナーが、「アセチルコリン」という神経伝達物質です。

プロバンテリン臭化物は、このアセチルコリンが汗腺の受け皿(受容体)にくっつくのを、先回りしてブロックします。指令のバトンが渡らなくなるため、汗腺は「汗を出せ」という命令を受け取れず、結果として汗の分泌が強力に抑えられます。

プロバンサインの効果

全身性の多汗症による発汗から、手のひら、足の裏、わきの下などの局所的な多汗症による過剰な発汗まで抑えることができます。

日常的なもの以外でも、精神的な緊張による発汗(プレゼン、面接、試験など)を和らげる効果もあります。

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 多汗症(原発性局所多汗症、全身性多汗症)
  • その他:夜尿症、胃・十二指腸潰瘍における分泌・運動の抑制など

多汗症治療が最も代表的な使われ方で、塗り薬や他の治療で効果が不十分な場合に、次の選択肢として検討されることが多いお薬です。

プロバンサインはオンライン診療で出せる?

「忙しくてなかなか病院に行けない」「定期的なお薬なのでオンラインで処方してもらえたら…」と考える方もいらっしゃるでしょう。

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

プロバンサインのような多汗症のお薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
プロバンサインに関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

お薬のことはもちろん、食事や運動といった生活習慣に関するアドバイスも、経験豊富な医師が親身になってお話を伺います。

プロバンサインの使い方(用法・用量

プロバンサインを飲む回数や量は、症状の重さや目的によって異なります。医師や薬剤師の指示を厳守することが絶対条件です。

一般的な使い方は1日3-4回、1回1錠を服用します。

汗を抑えたい特定の場面(会議、デートなど)がある場合は、その約1時間前に1錠を頓服(とんぷく)として服用することもあります。

厚着をする夏場や、特に汗をかきたくない日など、ライフスタイルに合わせて飲み方を調整することもありますが、必ず医師と相談の上で行いましょう。多く飲んでも効果が強まるわけではなく、副作用のリスクが格段に上がります。

プロバンサインの副作用

プロバンサインは汗を止める効果が高い反面、その作用が汗以外の場所にも及ぶため、副作用が起こる可能性があります。これは、お薬がしっかり効いているサインとも言えますが、つらい場合は我慢せずに相談することが大切です。

主な副作用

  • 口の渇き(口渇)
  • 目のかすみ、まぶしさ
  • 便秘
  • 尿が出にくくなる(排尿障害)
  • 眠気、めまい
  • 頭痛、頭重感
  • 動悸

特に口の渇きは多くの方に現れる症状です。

副作用が出たときの対処法

口の渇きが出た場合は、こまめに水分を補給する、シュガーレスの飴やガムをなめる、うがいをするなどの対策が有効です。

目のかすみ・眠気などの症状がある間は、自動車の運転や危険を伴う機械の操作は絶対にしないようにしましょう。

便秘の際には、水分を多めに摂り、食物繊維の多い食事を心がけ、適度な運動を取り入れましょう。

我慢できない症状やいつもと違う症状が出たら自己判断せずに、すぐに医師や薬剤師に連絡してください。

プロバンサインの注意事項・禁忌

使ってはいけない方

使ってはいけない場合 (禁忌)

  • 閉塞隅角緑内障の方:眼圧が上昇し、症状を悪化させる危険性が非常に高いです。
  • 前立腺肥大による排尿障害のある方:尿が全く出なくなる「尿閉」を起こす可能性があります。
  • 腸閉塞や麻痺性イレウスのある方:消化管の動きを止め、症状を悪化させる恐れがあります。
  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方

使うときに特に注意が必要な方

  • 開放隅角緑内障の方
  • 心臓に病気のある方(心不全、不整脈など)
  • 潰瘍性大腸炎の方
  • 甲状腺機能亢進症の方
  • 高齢者の方

併用に注意が必要な薬

プロバンサインには抗コリン作用があり、消化管の運動を抑制する作用があります。
このため、ジゴキシンやメチルジゴキシンなどの消化管から吸収される薬は消化管に留まる時間が増え、吸収を高める可能性があります。

また、三環系抗うつ剤やフェノチアジン系抗精神病薬などと併用すると、プロバンサインの抗コリン作用を増強してしまうことがあります。

使用上の注意

運転・危険作業
眠気や視界のかすみが出ることがあり、事故につながる恐れがあります。
熱中症対策
発汗が抑えられ体温が上がりやすくなります。夏場・運動時・高温環境では十分な水分補給と休憩を忘れずに。
自己判断NG
中止・再開・用量変更は必ず医師に相談してください。
他人へ譲渡
服用歴・禁忌が不明な人へ渡すのは危険です。ご家族でも禁止。

保管方法

  • 直射日光・高温多湿を避けて保管しましょう。
  • 子どもの手の届かない場所に置いてください。

飲み忘れたら?

飲み忘れたことに気づいたら、できるだけ早く1回分を飲んでください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分は飲まずに、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分をいっぺんに飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、プロバンサインの処方や多汗症の治療も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

プロバンサインに市販薬はある?値段は?

市販薬

医療用の「プロバンサイン」と全く同じ有効成分・同じ作用を持つ市販の飲み薬は、現在のところありません。

プロバンサインを使用するには、医師の診断と処方が絶対に必要です。

ジェネリック名

プロスパスの名称で存在していますが、国内では承認されておらず、医療機関での処方を受けることはできません。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • プロバンサイン錠15mg:1錠あたり 約10.1円

※2025年5月24日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

プロ・バンサイン錠15mg

よくある質問(FAQ)

Q. 妊娠中や授乳中でも飲めますか?
どちらもまだ安全性が十分に確立されていないため、必ず事前に医師に相談し、指示に従ってください。治療によるメリットが大きいと判断される場合は投与することもあります。

Q. 子供でも飲めますか?
小児等に対する安全性は確立されておらず、子供への処方は少ないです。他の治療の選択肢をとる場合が多いです。

Q. 飲むと運転に影響はありますか?
眠気や、ピントが合わなくなる・まぶしくなるといった目のかすみの副作用が起こる可能性があります。副作用がある間の運転は、絶対に避けてください。

Q. 飲んでからどれくらいで効いて、どのくらい持ちますか?
個人差はありますが、一般的に服用後30分~1時間ほどで効果が出始め、4~6時間程度持続します。 そのため、大事な会議や試験など、時間を狙って汗を止めたい場合に非常に有効です。

Q. お酒と一緒に飲んでも大丈夫?
避けるべきです。 アルコールと一緒に飲むと、眠気やめまいなどの副作用が強く出てしまう可能性があります。プロバンサインを飲んでいる日は、飲酒を控えるのが賢明です。

Q.長く使っても大丈夫ですか?
漫然と長期間使い続けるお薬ではありません。 プロバンサインは、副作用の観点からも、必要な時に必要な期間だけ使うのが基本です。ダラダラと飲み続けるのではなく、定期的に医師の診察を受け、本当に必要かどうかをその都度判断してもらいましょう。

まとめ

プロバンサインは、多汗症で悩む方にとって、生活の質を大きく向上させてくれる可能性のある、非常に心強い“お守り”のようなお薬です。

特に「ここぞ!」という場面での発汗をコントロールできる安心感は、何物にも代えがたいでしょう。

しかし、その効果の裏側には、口の渇きや目のかすみといった副作用や、熱中症のリスクといった重要な注意点が存在します。医師の診断と指示のもとで、用法・用量を守って正しく使用すること。そして、自己判断での使用や変更は絶対にしないことです。

この記事が、プロバンサインに対する皆さんの正しい理解を助け、医師としっかりとコミュニケーションを取りながら、安心して適切な治療に取り組むための一助となれば嬉しいです。

つらい汗の症状が一日も早く軽快し、あなたがもっと自分らしく、快適な日々を送れますように。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。