睡眠薬一覧について医師が解説|効果の強さ・副作用・依存性について

「夜、布団に入ってもなかなか寝付けない…」 「夜中に何度も目が覚めてしまって、ぐっすり眠れた気がしない…」

こうした「眠れない」という悩みは、多くの方が一度は経験するのではないでしょうか。一時的なものであれば心配いりませんが、長く続くと心身の健康にも影響を及ぼすことがあります。

この記事では、「不眠とは何か?」とその種類について、不眠の治療に使われる代表的な睡眠薬について、それぞれの特徴や違いを医師が分かりやすく解説していきます。ご自身の状態や治療薬への理解を深め、より良い睡眠を目指しましょう。

眠れないお悩みは
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そもそも「不眠」って何?

「不眠(不眠症)」とは、単に睡眠時間が短いということではなく、眠れないことによって日中の活動に支障が出たり、つらいと感じたりする状態を指します。質の高い睡眠がとれず、心身の疲労が回復しない状態が続くことです。

不眠には、主に以下の4つのタイプがあります。

入眠障害
床についても、なかなか寝付けない(一般的に30分~1時間以上かかる)。不眠の中で最も多いタイプです。

中途覚醒
眠りについても、夜中に何度も目が覚めてしまい、その後なかなか再び眠りにつけない。

早朝覚醒
朝、起きようと思っていた時間よりもずっと早く目が覚めてしまい、まだ眠りたいのに眠れない。高齢の方に比較的多く見られます。

熟眠障害
睡眠時間は十分にとれているはずなのに、眠りが浅く、朝起きた時にぐっすり眠れた満足感が得られない。

これらのタイプは、一つだけ現れることもあれば、複数が組み合わさって現れることもあります。

睡眠薬はオンライン診療で出せる?

「眠れなくてつらいけど、病院に行く時間がない…」「いつもの睡眠薬を、もっと手軽に処方してもらいたい」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

今回紹介するような睡眠薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
不眠に関するご相談や継続的なお薬の処方をオンライン診療にて承っております。

特に不眠など、時間がかかるメンタル面の治療など継続的なケアが必要な方にとっては、通院の負担を大きく減らすことができます。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

オレキシン受容体拮抗薬~自然な眠りを促す新しいタイプ~

脳内で覚醒を維持する物質「オレキシン」の働きをブロックすることで、脳を覚醒状態から睡眠状態へとスムーズに移行させ、自然に近い眠りを誘います。依存性が少ないのが特徴です。

デエビゴ(レンボレキサントなど)

デエビゴ

得意な不眠タイプ

入眠障害、中途覚醒

特徴

  • 比較的速やかに効果が現れ、睡眠を持続させる効果も期待できます。
  • 翌日の眠気やふらつきが比較的少ないとされます。
  • 副作用として、悪夢を見ることが報告されています。
  • 食事の影響は受けにくいとされています。

ベルソムラ(スボレキサント)

ベルソムラ

得意な不眠タイプ

入眠障害、中途覚醒

特徴

  • デエビゴと同様の作用機序です。
  • デエビゴに比べて、効果の持続時間がやや長い傾向があり、中途覚醒の改善により効果的な場合があります。
  • 食事の影響を受けやすく、食直後の服用は効果が弱まることがあります。
  • 副作用として、翌日の眠気や悪夢などが報告されています。

クービビック(ダリドレキサント)

クークビック

得意な不眠

入眠障害、中途覚醒

特徴

  • デエビゴ、ベルソムラに続く、新しいオレキシン受容体拮抗薬です(2022年発売)。
  • 脳への移行性とオレキシン受容体への結合の仕方に特徴があり、効果と安全性のバランスが期待されています。
  • 翌日の持ち越し効果が少ないとされるデータがあります。

メラトニン受容体作動薬~体内時計を整えて眠りを誘う~

睡眠と覚醒のリズムを整えるホルモン「メラトニン」が作用する受容体を刺激することで、自然な眠りを促します。

ロゼレム(ラメルテオン)

ロゼレム

得意な不眠

入眠障害(特に生活リズムの乱れや加齢による入眠困難)

特徴

  • 依存性がほとんどなく、中止もしやすいお薬です。
  • 効果の発現は穏やかで、強い催眠作用というよりは、自然な眠気を促すイメージです。
  • 服用を続けていくことで、徐々に睡眠リズムが整っていく効果が期待されます。即効性は期待しにくいです。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬~脳の興奮を鎮めて眠気を誘う~

脳内のGABA受容体という部分に作用し、神経の興奮を鎮めることで眠気を引き起こします。従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬に比べて、筋弛緩作用や依存性が少ないとされています。

ルネスタ(エスゾピクロン)

ルネスタ

得意な不眠

入眠障害、中途覚醒

特徴

  • 比較的速やかに効果が現れ、作用時間は超短時間~短時間型です。
  • ベンゾジアゼピン系に比べると依存性は少ないですが、連用による依存や離脱症状のリスクはゼロではありません。
  • 副作用として、服用後に苦味を感じることが特徴的です。翌日の眠気やふらつきにも注意が必要です。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬~脳の興奮を強く鎮める~

非ベンゾジアゼピン系と同様にGABA受容体に作用しますが、より広範囲に作用するため、催眠作用の他に抗不安作用や筋弛緩作用も併せ持ちます。効果はしっかりしていますが、依存性や離脱症状、ふらつきなどの副作用に注意が必要です。

リスミー(リルマザホン塩酸塩水和物)

リスミー

得意な不眠

入眠障害、中途覚醒

特徴

  • 作用時間は短時間型に分類されます。
  • 効果は比較的しっかりしていますが、依存性、離脱症状(急な中止による不眠の悪化など)、翌日の眠気、ふらつき、筋弛緩作用による転倒などに十分な注意が必要です。
  • 最近では、より安全性の高い新しいタイプの睡眠薬が優先される傾向にあります。

睡眠薬の比較

どの睡眠薬が適しているかは、不眠のタイプ、原因、年齢、体質、生活スタイル、他に飲んでいる薬などによって大きく異なります。

作用の違い

睡眠薬の作用の違い比較

自然な眠りを促すタイプ
(オレキシンブロッカー)
脳の興奮を直接鎮めるタイプ
(GABAに作用)
  • ルネスタ
    (非ベンゾジアゼピン系)
  • リスミー
    (ベンゾジアゼピン系)
    (脳にブレーキをかけるイメージ)
体内時計を整えるタイプ
(メラトニンに作用)

不眠タイプ

不眠タイプ別の睡眠薬

寝つきが悪い
(入眠障害)
夜中に目が覚める
(中途覚醒)

依存性・離脱症状

依存性・離脱症状のリスク

リスクが低い
注意が必要なもの
(特に長期連用の場合)
より注意が必要なもの

副作用の特徴

副作用の特徴

翌日の眠気・ふらつき
悪夢
苦味
食事の影響

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、不眠の治療や睡眠薬の処方も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

睡眠薬を使う上での大切なポイント

①まずは生活習慣の見直しから
睡眠薬に頼る前に、規則正しい生活、寝る前のカフェインやアルコールを避ける、適度な運動、自分に合ったリラックス法など、睡眠衛生(より良い睡眠のための生活習慣)を見直すことが基本です。

②医師の指示通りに服用
自己判断で量を増やしたり減らしたり、急に中止したりしないでください。特に依存性のある薬は、急にやめると離脱症状が出ることがあります。

③効果や副作用には個人差
他の人に効果があった薬が、自分にも同じように効くとは限りません。副作用の出方も人それぞれです。

④長期連用は慎重に
漫然と長期間使用するのではなく、定期的に医師と相談し、必要性を見直すことが大切です。特に依存性のある睡眠薬の場合は、できるだけ短期間の使用が望ましいです。

⑤アルコールとの併用は絶対に避ける
睡眠薬とアルコールを一緒に飲むと、作用が強く出すぎて呼吸が抑制されたり、記憶障害が起きたりするなど、非常に危険です。

⑥運転・危険な作業前の服用は避ける
多くの睡眠薬は、翌朝にも眠気や注意力の低下が残ることがあります。服用中は、自動車の運転や危険を伴う機械の操作は避けましょう。

まとめ

不眠の悩みは非常につらく、生活の質を大きく下げるものです。睡眠薬には様々な種類があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。 大切なのは、ご自身の不眠のタイプや原因を正しく把握し、医師とよく相談した上で、最も合ったお薬を選択し、生活習慣の改善と併せて適切に使用していくことです。

この記事が、皆さんの不眠治療薬への理解を深め、専門家である医師と共に、快適な睡眠を取り戻すための一助となれば幸いです。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。