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MEDU|現役医師が運営する医療メディア > その他(血管、神経、皮膚など) > クレアチニン,eGFRが高いとどうなる?基準値は?【医師解説】

クレアチニン,eGFRが高いとどうなる?基準値は?【医師解説】

こんにちは。ウチカラクリニック健康メディア「予防医学大辞典」です。

今回は「クレアチニン」について、高かった時の対策、基準値などについて医師の視点から徹底解説していきます。

あなたは健康診断でクレアチニン(Cr)この言葉を見かけた事はありませんか?

クレアチニンは一言で言えば、腎臓の機能の低下や腎不全の指標となる数値で、クレアチニンが高いのに放っておいてしまうと腎不全が進行し、最悪の場合は人工透析となってしまう場合もあります。

しかし健康診断の後でクレアチニンについて詳しい説明がなかったり、実は数値が高いのに気づかずに、

「症状がないから大丈夫でしょ!」

と受けっぱなしになってしまっていると、放置してはいけない数値のままでどんどん腎不全が進行するリスクが上がってしまう事があるんですね。

毎年の健康診断で見かけはするものの、結局クレアチニン、この言葉が何を意味するのかよくわからず、毎年毎年健康診断結果を頭に?マークを浮かべながら眺めるだけになってしまっている人、結構多いんじゃないでしょうか。

腎不全は初期は症状が出ない事も多いので体になんの異変もなかったとしても安心できません。

クレアチニンは毎年の健康診断でみかける人も多いはず。

一生生かせる知識なので、この機会にクレアチニンについて徹底的に理解しておきましょう。

今回は

・クレアチニンの正体について

・クレアチニンが異常値の場合の対策

・どのくらいの数値なら病院にかかった方がよいのか

など、クレアチニンに関する様々な疑問について徹底解説していきます。

この解説を読めば、きっとクレアチニンについて友人や家族にすらすら説明できるようになるでしょう。

クレアチニンとは結局何?

ではいきなりですが、そもそものクレアチニンの言葉の意味から説明していきます。

クレアチニンとは、一言でいうと運動などを行った後に筋肉から生じる「ゴミ」の事なんです。

筋肉はクレアチンと呼ばれるエネルギーを使って、運動をしています。

似たような名前ですが、クレアチニンとは別物です。

クレアチニンとは筋肉がクレアチンを使用した後の、ゴミとなる物質なんですね、

まるでりんごやとうもろこしを食べ終わった後の芯のような存在なんです。

そしてYouTube「予防医学チャンネル」でも度々扱ってきましたが、腎臓の役割は大きく分けて2つ、リサイクルセンターとゴミ処理場、この2つの仕事をしています。

例えばナトリウムやカリウムといったミネラルの成分は再利用できるので、腎臓でもう一度吸収してリサイクルしまうものなんですが、クレアチニンの場合はもうほぼ100%ゴミなので、リサイクルできないので、ほぼ全てが不要なのでおしっこに出て行ってしまうんですね。

なので、クレアチニンの数値を見れば、腎臓がどれだけゴミ処理能力があるのかという事をかなり正確に反映してくれる一番指摘な指標になるんですね。

血液検査を行う事で、「血液中にどのくらいクレアチニンが含まれているのか」を測定する事によって、しっかり腎臓がクレアチニンを処理できている=正常な腎臓の働きができているかどうか、確かめる指標になる訳なんです。

ちゃんと腎臓が健康であれば、しっかりゴミであるクレアチニンをおしっことして体の外に出して、血液検査では低い数値になるはずですし、反対に上手く仕事ができていなければ、ゴミが溜まって、数値が高く出る場合もあります。

なぜ健康診断でわざわざクレアチニンを測る必要があるのか、おわかりいただけたでしょうか。

では、このクレアチニン、結局いくつを超えると腎臓の機能が落ちている事になるのか、病院に行った方が良いのか、次に数値の見方について解説していこうと思います。

クレアチニンの基準値は?いくつから高い?年齢の影響は?

では次にクレアチニンの数値の見方について解説していきます。

で、まず最初にとっても重要な前提条件についてお話すると、このクレアチニンの基準値には、そもそも一定ではなくてかなり個人差があります。

先ほど説明したように、クレアチニンは、筋肉が運動した後に発生するごみです。

という事は、その人の筋肉の量によって、ごみが出る量も当然違ってきますよね。

例えば、週に3回の筋トレが趣味の20代の男性と、あまり運動もしておらず、筋肉量が少ない50代の女性を比べると、当然、ごみであるクレアチニンが発生する量が多いのは?20代の男性の方ですよね。

なので、基準値としては20代の男性の方が高くなる、少し高くても正常だよ、という事になります。

このように、年齢や性別によって基準値が変わってくるという特徴がある、まずこの事実を知っておいて下さい。

eGFRとは?

そして、実はこの年齢や性別もこみこみで腎臓の状態を評価できる項目があるんです。

それがeGFRというもの。日本語で「糸球体ろ過量」と呼びます。

このGFRは、クレアチニンと性別、年齢をある公式にあてはめると求められる数値で、その人の体重までは考慮に入れられないものの、クレアチニンにより正確な腎臓の機能を反映しているとされています。

100点満点で、どれだけ腎臓が本来の役割であるゴミ処理とリサイクルの仕事ができているか評価をする非常にわかりやすい指標なんですね。(本来の単位はml/min/1.73m2です)

ただ健康診断を行う場所によってはこのGFRの数値まで、計算しておらず、クレアチニンの数値だけが載っている、こういう場合もあるんですね。

そんな時は、日本腎臓学会が作成している測定ツールに、自分の年齢、性別、そしてクレアチニンの数値を入力するだけで簡単にGFRの数値が求められるので、是非健康診断の結果を引っ張り出して計算してみてください。15秒くらいでできると思います。

例えば、先ほどの筋トレ好きな20代男性のクレアチニンが0.8でした。性別と年齢を入れて計算をしてみると(男性、28歳)GFRは95.2と高得点になります。腎臓の機能に問題はないですね。

次に、50代の女性のGFRも同じクレアチニンの値として測定してみましょう、(58歳、女性)

すると57.1という結果になりました。大分点数が下がってしまいましたね。

このように、性別と年齢によってGFRの数値は全然変わってくるんですね。

クレアチニンはGFRはどのくらいから高い?低い?病院に行くべき?

そしてこのGFR、何点以下だと注意する必要があるんでしょうか?

慢性腎臓病の定義では、GFRは60を切っていると腎臓病に片足を突っ込んでいる可能性がある、とされていますし、45を切っているとかなり腎臓の機能が落ちているおそれがあり、絶対に病院に行った方が良いです。

60を切ったら腎臓病のおそれあり、45を切ったら病院受診を、このように覚えておいて下さい。

またそれでも計算するのが面倒くさい!という人の為に、クレアチニンの数値であえて判断する基準をお伝えしておくと、

クレアチニンの基準値はだいだい男性なら0.8mg/dl、女性なら0.6程度とされていて、この数値が、男性なら1.2、女性なら1を超えると要注意ですし、2とか3とかまで上昇してしまったら何らかの原因で腎臓の機能が落ちている可能性が相当高いので、必ず病院を受診してください。

また尿タンパクの検査も腎臓の機能を反映している場合があります。

本来タンパク質は腎臓でリサイクルするものなんですが、腎臓の機能が落ちていると、おしっこにタンパク質が漏れてしまい、結果として尿タンパクが陽性になる場合もある訳です。

本当に異常がある場合と、運動などの原因で正常なのに陽性になる場合とありますが、尿タンパク検査が陽性だった場合は再検査を行って、本当の異常かどうか確認しておきましょう。

クレアチニン、eGFRについて まとめ

まとめると、健康診断では、

・クレアチニン

・GFR

・尿タンパク

この3つの項目をしっかりチェックして、自分の腎臓からのSOSを見逃さないようにして下さいね。

腎臓病の原因は多くは生活習慣病による動脈硬化などですが、腎臓の感染症や、自分の免疫が腎臓を攻撃していたり、遺伝の病気の場合もあるので、数値が異常であればまずは原因を探る必要があります。

追加でシスタチンCという項目を測ったり、1日のおしっこを貯めて、精密な分析をする方法などがありますので、しっかりと検査をしてもらいましょう。

普段できる予防方法としては、自分の持っている生活習慣病を可能な限りコントロールしていく事が一番の慢性腎臓病の予防に繋がりますから、生活習慣病を放置しない、ナメない。とにかくここが重要です。

特に糖尿病、高血圧、尿酸値が高い人、数値のコントロールを頑張りましょう!

今回の内容をまとめると

①クレアチニンは男性なら1.2、女性なら1を超えると注意が必要。2や3まで上昇したらすぐ病院受診を。しかし性別や年齢によって基準値は変わってくる事は覚えておいて下さい。

②クレアチニンを使って、GFRの値を計算するとより正確な腎臓の機能がわかります。60を切っていたら要注意ですし、45を切っていたら、絶対に病院に行く事。

今回はこの2ポイントを絶対に覚えて帰ってくださいね。

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この記事の監修者

この記事の監修者

ウチカラクリニック
森 勇磨

経歴

内科医/産業医/労働衛生コンサルタント
ウチカラクリニック代表
予防医学ch/医師監修 管理人

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ウチカラクリニック
森 勇磨

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内科医/産業医/労働衛生コンサルタント
ウチカラクリニック代表
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