夏になるとお子さんの体に広がる、じゅくじゅくした水ぶくれ。「掻いちゃダメ!」と言っても、かゆくて掻きむしってしまい、あっという間に体のあちこちに広がってしまう…。
それは「とびひ」かもしれません。とびひは、正しい治療をすればしっかり治せる皮膚の感染症です。
この記事では、とびひの正体から、ご家庭での正しいケア方法、病院での治療、そして周りへの感染を防ぐためのポイントまで、医師が詳しく解説していきます。
皮膚トラブルは
ウチカラクリニックのオンライン診療

- 夜間・土日も診療
- 全国から自宅で受診可能
- 診療時間:07:00-22:00

診察相談する 24時間
受付
※医師の判断で希望のお薬が処方できない場合があります。
皮膚科のオンライン診療
とびひとは?よくある症状と原因
「とびひ」という名前はよく聞くけれど、一体何が原因で、どんな症状が出るのでしょうか。まずは、とびひの基本的な知識から見ていきましょう。
とびひとは?
とびひの正式な病名は「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」と言います。
水ぶくれやかさぶたを掻いた手で他の場所を触ると、まるで火事の“飛び火”のように、次々と症状が広がっていくことから、「とびひ」という通称で呼ばれています。
その正体は、細菌による皮膚の感染症です。

とびひでよくある症状
とびひには、主に2つのタイプがあります。
水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん):水ぶくれができるタイプ
お子さんのとびひの多くがこのタイプです。
- 虫刺されやあせものような赤いポツポツから始まる
- だんだんと中に水が溜まった水ぶくれ(水疱)になる
- 水ぶくれは破れやすく、破れると皮膚がめくれてじゅくじゅくする
- かゆみを伴い、掻いた手で触った場所にうつる
痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん):厚いかさぶたができるタイプ
大人にも見られることがあるタイプです。
- 赤い腫れから始まり、膿を持った水ぶくれ(膿疱)ができる
- それが破れて、厚い黄色っぽいかさぶたになる
- 炎症が強く、痛みを伴うことが多い
- まれに発熱やリンパ節の腫れなど、全身に症状が出ることがある
適切な治療をしないと、症状はどんどん広がり、
治るまでに数週間以上かかることもあります。
とびひの原因
とびひは、「黄色ブドウ球菌」や「A群β溶血性レンサ球菌(溶連菌)」といった細菌が、皮膚の傷口から入り込んで感染することで起こります。
これらの細菌は、実は私たちの身の回りに普通にいる菌です。健康な皮膚にはバリア機能があるため、菌がついても感染は起こりません。
しかし、虫刺され、あせも、湿疹、アトピー性皮膚炎、すり傷などを掻きむしってできた小さな傷から菌が侵入し、とびひを発症します。
特に、鼻の入り口には原因菌が常在していることが多く、鼻をよくいじる癖のあるお子さんは、その指で傷を触ってしまい、とびひになりやすい傾向があります。

とびひの検査
とびひの診断は、ほとんどの場合、医師が皮膚の状態を直接目で見て(視診)行います。水ぶくれや厚いかさぶたといった、とびひに特徴的な症状から診断が可能です。
ただし、症状が典型的でない場合や、治りが悪い場合には、どの細菌が原因で、どの抗菌薬(抗生物質)が効くのかを正確に調べるために、水ぶくれの中身やじゅくじゅくした部分を綿棒でこすり取り、細菌を育てる「培養検査」を行うこともあります。
とびひかも?受診の目安
「これって、ただの虫刺され?それとも、とびひ?」とお子さんの肌を見て迷うことがあるかもしれません。
とびひは、ただの湿疹とは違う、細菌による皮膚の感染症です。
「あれ?」と思ったら、以下のサインがないかチェックして、できるだけ早く皮膚科や小児科を受診しましょう。
とびひのチェックリスト
□みずみずしい水ぶくれ(水疱)ができた
□水ぶくれが破れて、皮がむけ、じゅくじゅくしている
□黄色っぽい、厚いかさぶたができた
□かゆみが強く、掻きむしってしまう
□あっという間に数が増え、体のあちこちに広がる
上記の症状が一つでも当てはまれば、それは「とびひ」の可能性が高いサインです。
とびひは、適切な抗菌薬(抗生物質)を使えばきれいに治せます。周りのご家族やお友達にうつさないためにも、そしてお子さんを早くつらいかゆみから解放してあげるためにも、自己判断せずにすぐに専門医に相談してください。

病院に行く時間がない…そんな時は「オンライン診療」を!
「治療を始めたいけど受診がめんどう」「仕事が忙しくて、平日に病院に行く時間がない」
そんな多忙なあなたのための新しい選択肢が「オンライン診療」です。
オンライン診療なら、お手持ちのスマートフォンやパソコンを使って、自宅にいながら医師の診察を受け、処方薬を受け取ることができます。
保険適応可能で、システム利用料も0円!診察料は対面の病院とほぼ同じです!
\ オンライン診療の3つのメリット /
①自宅で完結、待ち時間ゼロ
予約から診察、決済まで全てオンライン。病院での長い待ち時間や、通院の手間がありません。
24時間365日いつでも予約可能で、早朝/夜間や土日も診療中!

②薬は近くの薬局or自宅への郵送で!
診察後、ご希望の近くの薬局でお薬受け取れます。
薬局に行けない場合でも、お薬は郵送可能!最短で当日中に処方薬が発送され、ご自宅のポストに届きます。

③感染リスクなし
病院の待合室などで、他の病気に感染する心配がありません。体調が悪い時だからこそ、安心して利用できます。

仕事や育児で自分のことは後回しにしがちな方でも、オンライン診療ならスキマ時間で受診が可能です。

とびひの治し方/薬
とびひの治療の基本は、原因となっている細菌を退治することです。そのために、抗菌薬(抗生物質)を使った治療が中心となります。
皮膚科や小児科では、症状の範囲や重症度に合わせて、塗り薬や飲み薬が処方されます。
抗菌薬【塗り薬】
とびひの治療の基本です。患部に直接塗ることで、細菌の増殖を抑えます。
フシジンレオ軟膏(フシジン酸ナトリウム)

細菌のタンパク質合成を阻害し、増殖を抑える効果があります。
詳しい解説はこちら→フシジンレオ軟膏
アクアチム軟膏/クリーム(ナジフロキサシン)

細菌のDNA複製を邪魔するニューキノロン系の抗菌薬で、幅広く使われます。
詳しい解説はこちら→アクアチム軟膏/クリーム
バクトロバン軟膏(ムピロシンカルシウム水和物)

鼻の中にいる菌にも効果があり、鼻の入り口に塗るよう指示されることもあります。
詳しい解説はこちら→バクトロバン軟膏
抗菌薬【飲み薬】
症状が広範囲に及ぶ場合や、塗り薬だけでは改善しない場合に処方されます。
ケフレックス(セファレキシン)

セフェム系の抗生物質で、とびひの原因菌であるブドウ球菌やレンサ球菌に効果的です。
詳しい解説はこちら
→ケフレックス(セファレキシン)
サワシリン、ワイドシリン(アモキシシリン)

ペニシリン系の抗生物質で、安全性が高く、お子さんにもよく処方されます。
詳しい解説はこちら
→サワシリン
抗ヒスタミン薬【飲み薬】
かきむしりを防ぐことは、とびひを広げないために非常に重要です。
アレグラ(フェキソフェナジン) など

アレルギー反応によるかゆみの原因物質(ヒスタミン)の働きをブロックし、つらいかゆみを和らげます。かゆみが強い場合に、その症状を和らげる目的で補助的に処方されます。
詳しい解説はこちら
→アレグラ
市販薬で治療する場合の注意点
とびひは細菌感染症のため、自己判断での市販薬の使用は推奨されません。
市販の抗菌薬入り軟膏(例:ドルマイシン軟膏など)もありますが、病院で処方される薬に比べて効果が不十分なことが多く、治癒を遅らせる可能性があります。
特に注意が必要なのは、ステロイド成分のみが入った、湿疹やかぶれ用の塗り薬です。これをとびひに塗ってしまうと、皮膚の免疫を抑えてしまい、細菌がさらに増殖して症状を著しく悪化させる危険性があります。
「とりあえず家にある薬を…」と使うのは絶対にやめましょう。
とびひが疑われる場合は、速やかに皮膚科や小児科を受診するのが最も安全で確実です。
とびひの治し方・予防
薬による治療と合わせて、ご家庭での正しいケアや、周りの人への感染を防ぐための対策が、とびひを早くきれいに治すための鍵となります。
とびひを早く治すために
患部を清潔に保つ
毎日シャワーを浴び、石鹸をよく泡立てて、じゅくじゅくした部分も優しく手で洗いましょう。シャワーでしっかり洗い流すことで、細菌の数を減らし、薬の浸透を良くします。
薬を正しく塗る

医師の指示通りに、1日1~2回、適切な範囲に薬を塗りましょう。少し広めに塗るのがポイントです。
患部をガーゼで覆う
薬を塗った後、患部をガーゼや包帯で覆いましょう。じゅくじゅくした浸出液が他の場所につくのを防ぎ、掻きむしり防止にもなります。
かきむしらない
とびひを広げる最大の原因です。お子さんの爪は常に短く切っておきましょう。

他の人への感染と再発を防ぐために
タオルや衣類の共用を避ける
兄弟間などで感染を広げないよう、タオルやバスタオルは一人ひとり別のものを使いましょう。
プールは治るまでお休み

プールの水で他の人にうつす可能性があります。患部がじゅくじゅくしている間はもちろん、完全に乾いて治るまで、医師の許可が出るまではプールに入らないでください。
虫刺されや湿疹は早めに治療
とびひの入り口となりやすい、あせも、湿疹、虫刺されなどを放置せず、かゆみが強い場合は早めに皮膚科で治療を受けましょう。
鼻や傷をいじらない
鼻をほじる癖や、傷口を触る癖は、とびひのきっかけになります。日頃から注意してあげましょう。

とびひのよくある質問
とびひについて、保護者の方からよくいただくご質問にお答えします。
ご自身の状況と照らし合わせて、解決のヒントを見つけてください。
どんな人がとびひになりやすいですか?
皮膚のバリア機能がまだ未熟で、かゆいと我慢できずに掻いてしまう小さなお子さん(特に乳幼児)に最も多く見られます。また、アトピー性皮膚炎など、もともと皮膚に湿疹やかゆみがあるお子さんも、とびひになりやすい傾向があります。
受診や治療にかかる費用はどのくらいですか?
多くの自治体では、お子さんの医療費助成制度があるため、自己負担はほとんどないか、数百円程度で済む場合が多いです。
もし3割負担で計算する場合、初診料と簡単な処置で1,000円~3,000円程度、これに加えてお薬代がかかるのが一般的です。

とびひは放置しても大丈夫?自然に治ることはありますか?
放置は絶対にやめてください。とびひは感染症なので、自然に治ることはほとんど期待できず、放置すればあっという間に全身に広がってしまいます。ごくまれに、血液中に細菌が入り込み、「ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)」や腎炎、敗血症といった重篤な病気に繋がることもあるため、必ず治療が必要です。

とびひの薬はネットやドラッグストアで買えますか?
治療の中心となる抗菌薬(抗生物質)は、医師の処方が必要な医療用医薬品です。市販薬では効果が不十分な上、誤ってステロイド薬などを使うと悪化させる危険があるため、自己判断で市販薬を使うのは避けるべきです。
治療期間はどのくらいですか?
適切な抗菌薬による治療を開始すれば、通常5日~1週間程度で水ぶくれやじゅくじゅくした感じは乾き、改善に向かいます。完全にきれいになるまでは、10日~2週間ほどかかることもあります。
とびひが疑われる場合、何科を受診すればよいですか?

お子さんの場合は、まずかかりつけの小児科、あるいは皮膚科を受診しましょう。どちらの科でも、とびひの診断と治療は可能です。
皮膚の専門家は皮膚科ですが、小児科の先生は子供の病気に幅広く精通しています。 大人の場合は、皮膚科が第一選択となります。
オンライン診療でも診察できますか?
はい、オンライン診療でも診察が可能です。スマホのカメラなどで患部の状態をはっきりと見せることで、医師が視診を行い、とびひの診断をすることができます。診断がつけば、抗菌薬の塗り薬や飲み薬を処方してもらうことが可能です。
とびひが気になる場合はウチカラクリニックに相談を
お子さんの体に広がっていく水ぶくれを見ると、とても心配になりますよね。とびひは、正しい知識を持って、「原因菌を薬でしっかり叩く」「掻きむしって広げない」「周りの人にうつさない」という3つのポイントを守れば、きちんと治せる病気です。一番いけないのは、自己判断で様子を見たり、家にあった薬を塗ってしまったりすることです。
「これって、もしかしてとびひ?」 「どんどん広がってきて心配…でも、忙しくてすぐに病院に連れて行けない」
そのように感じたら、ぜひ専門医にご相談ください。
ウチカラクリニックでは、ご自宅からスマホ一つで相談できるオンライン診療にて、とびひ(伝染性膿痂疹)の診察・治療を行っています。お子さんがぐずってしまったり、待ち時間が長かったりする通院の負担なく、皮膚科医の診察を受けることが可能です。
つらいかゆみからお子さんを早く解放してあげるために、まずはお気軽にご相談ください。
皮膚トラブルは
ウチカラクリニックのオンライン診療

- 夜間・土日も診療
- 全国から自宅で受診可能
- 診療時間:07:00-22:00

診察相談する 24時間
受付
※医師の判断で希望のお薬が処方できない場合があります。
皮膚科のオンライン診療
この記事の監修者

ウチカラクリニック代表医師
森 勇磨
経歴
東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。