市販薬で治療する場合の注意点
胃腸炎の際に、自己判断で下痢止め(止痢薬)を使うのは、原則として避けるべきです。
下痢は、体の中のウイルスや細菌を外に出そうとする防御反応です。
無理に下痢を止めてしまうと、病原体が腸内に留まり、かえって回復を遅らせてしまう可能性があります。
市販の整腸剤は比較的安全に使えますが、
症状がひどい場合や数日経っても改善しない場合は、必ず医療機関を受診しましょう。
胃腸炎を早く治す方法
つらい症状を少しでも和らげ、速やかな回復を目指すためには、適切な対処が欠かせません。
水分補給
下痢や嘔吐で失われた水分と電解質を補うことが最も大切です。経口補水液(OS-1など)を、一度にたくさん飲むと刺激になるためスプーン一杯ずつなど、少量ずつ、こまめに飲むようにしましょう。
食事は無理しない
吐き気が強い間は、無理に食べる必要はありません。症状が落ち着き、食欲が出てきたら、おかゆやよく煮込んだうどん、すりおろしリンゴ、バナナなど、消化の良いものから始めましょう。
安静にする
体はウイルスや細菌と戦って、体力を消耗しています。暖かくしてゆっくり休み、回復に専念しましょう。

胃腸炎はうつる?感染予防の方法
感染性胃腸炎は、その名の通り、非常に感染力が強い病気です。ご自身がつらいだけでなく、ご家族や職場、学校などで感染を広げてしまわないために、正しい予防策を知っておくことが非常に重要です。
胃腸炎はうつるの?
原因がウイルスや細菌である「感染性胃腸炎」は、人から人へうつります。
主に、以下のような経路で感染が広がります。
接触感染
感染した人の便や嘔吐物に直接、または間接的に触れることで感染します。
例えば、汚れた手で触ったドアノブやトイレのレバーなどを介して、ウイルスが自分の手に付き、その手で口に触れることで体内に侵入します。
飛沫感染
嘔吐した際などに、ウイルスを含んだ小さな飛沫(しぶき)が空気中に飛び散り、それを吸い込むことで感染します。
経口感染
ウイルスや細菌に汚染された食べ物や水を摂取することで感染します。
感染した人が調理した食事を介してうつることもあります。
このように、感染性胃腸炎は様々な経路でうつるため、家庭内での感染対策が非常に大切になります。
胃腸炎の感染予防、うつさないために
基本は「手洗い」の徹底
トイレの後、おむつ交換の後、調理や食事の前には、必ず石鹸と流水で丁寧に手を洗いましょう。
アルコール消毒は、ノロウイルスなど一部のウイルスには効果が低いことがあるため、石鹸での手洗いが基本です。
嘔吐物・便の正しい処理
嘔吐物などを処理する際は、使い捨ての手袋とマスクを着用し、塩素系漂白剤(ハイターなど)を薄めた液で、広めに消毒しましょう。汚れた衣類も、塩素系漂白剤でつけ置き消毒してから洗濯するのが安全です。

タオルや食器の共用を避ける
症状がある人が使ったタオルやバスタオル、食器やコップなどは、他の家族と分けて使いましょう。これにより、家庭内での接触感染のリスクを減らすことができます。
食品の取り扱いに注意する(食中毒予防)

細菌性の食中毒を防ぐためには、予防の三原則「つけない(よく洗う)」「増やさない(低温で保存)」「やっつける(中心部までしっかり加熱)」を守ることが基本です。特に、肉や魚の加熱は十分に行いましょう。
胃腸炎のよくある質問
胃腸炎について、よくあるご質問にお答えします。
ご自身の状況と照らし合わせて、解決のヒントを見つけてください。
どんな人が胃腸炎になりやすいですか?
ウイルスや細菌がいる環境にいれば、誰でも感染する可能性があります。
特に、乳幼児や高齢者、病気の治療中などで免疫力が低下している方は、感染しやすく、重症化するリスクも高くなります。
受診や治療にかかる費用はどのくらいですか?
健康保険(3割負担)の場合、初診料と診察で2,000円~4,000円程度、便検査や血液検査を行うと5,000円~8,000円程度が目安です。これに加えて、お薬代がかかります。

胃腸炎は放置しても大丈夫?自然に治ることはありますか?
ほとんどのウイルス性胃腸炎は、適切な水分補給と休養で自然に治癒します。しかし、一番怖いのは「脱水症状」です。水分が摂れない状態を放置するのは危険です。
また、激しい腹痛や血便がある場合は、他の重篤な病気の可能性もあるため、絶対に放置してはいけません。

仕事や学校はいつから行けますか?何日休むべき?
ウイルス性の胃腸炎の場合、症状が治まった後も1〜2週間ほどは便の中にウイルスが排出されると言われています。
仕事については、法律での決まりはありませんが、一般的には下痢や嘔吐の症状が完全になくなってから復帰するのが目安です。特に、食品を扱うお仕事の場合は、職場に確認が必要です。
学校や保育園については、多くの場合「嘔吐、下痢の症状が治まり、普段の食事が摂れる状態」になれば登校・登園可能とされていますが、施設ごとのルールがあるため、必ず確認してください。
仕事や学校、保育園をお休みするのに「診断書」が必要な場合、
ウチカラクリニックのオンライン診療でも発行が可能です!
症状があるとき、お風呂は入ってもいいですか?
入っても構いませんが、湯船に浸かるのは避けて、シャワーで済ませるのがおすすめです。湯船のお湯を介して、家族に感染を広げてしまう可能性があるためです。また、体力が落ちている状態での長湯は体に負担がかかるため、さっと体を清潔にする程度にしましょう。
胃腸炎の薬はネットやドラッグストアで買えますか?
整腸剤や、一部の胃の症状を和らげる薬は購入できます。
しかし、自己判断での下痢止めの使用は推奨されません。また、治療に必要な抗菌薬は、医師の処方箋がなければ購入できません。
治療期間はどのくらいですか?
ウイルス性胃腸炎であれば、症状のピークは1〜3日程度で、1週間以内には回復することがほとんどです。細菌性の場合は、原因菌によっては1週間以上症状が続くこともあります。
何科を受診すればよいですか?

大人の場合は内科や消化器内科、お子さんの場合は小児科を受診しましょう。
胃腸炎はオンライン診療でも診察できますか?
はい、オンライン診療でも診察が可能です。詳しい問診を通じて、症状の緊急性や原因をある程度推測し、整腸剤や症状を和らげる薬を処方することができます。
「つらくて病院に行くのも大変」という場合に、非常に便利な選択肢です。ただし、脱水がひどい場合や、重症が疑われる場合は、すぐに対面での受診を勧められます。
胃腸炎が気になる場合はウチカラクリニックに相談を
突然の吐き気や下痢は非常につらいものですが、多くの場合、数日で回復に向かいます。回復の鍵を握るのは、「脱水を防ぐための適切な水分補給」と「周りにうつさないための感染対策」です。
「水分も摂れないほどつらい」 「家族にうつさないか心配…」
そのように感じたら、ぜひ専門医にご相談ください。
ウチカラクリニックでは、ご自宅からスマホ一つで相談できるオンライン診療にて、胃腸炎の診察・治療を行っています。つらくて外出するのも大変な時でも、通院の負担なく、気軽に専門的なアドバイスや、症状に合わせた薬の処方を受けることが可能です。
そのつらい症状、一人で悩まず、私たちと一緒に乗り越えませんか?まずはお気軽にご相談ください。
止まらない吐き気の治療は
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- 夜間・土日も診療
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※医師の判断で希望のお薬が処方できない場合があります。
胃腸炎のオンライン診療
この記事の監修者

ウチカラクリニック代表医師
森 勇磨
経歴
東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。