カロナールとロキソニンの違いについて医師が徹底解説【併用は良いのか/どっちが強い?/頭痛やのどの痛みで使える?】

二大よく使われる薬、カロナールとロキソニン

医者が普段カロナールとロキソニンを処方する時に、どのように使い分けているのか知っていますか?

実はこの2つの薬は、効果は似通っていますが、どのようにして体に作用するのか、また飲んではいけない人、副作用などが大きく異なります。

今回の記事で、ふたつの薬の違いについて理解し、普段から適切に使いこなせるようになっておきましょう。

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カロナールロキソニンとはどんな薬?

ロキソニンとかカロナールは両方とも「解熱鎮痛剤(げねつちんつうざい)」というジャンルの薬になります。

ご存じない方もいるんですが、「風邪で熱が出ていて、のども痛いよ」こういう時は、解熱作用鎮痛作用の2つがあるので、どちらにも効果があるお薬なんですね。

だからこそ風邪の時は使い勝手が良いので、非常によく出されるお薬です。頭痛やのどの痛み(咽頭痛)、生理痛などに保険適応になります。

ロキソニン・カロナールの違い①作用の仕方

ロキソニン

痛みや発熱の元々の原因は組織の「炎症」です。

そしてその炎症で発生したプロスタグランジンという成分が痛みを感じやすくさせたり、体温を上げるよう脳に要求したりする事で痛みや熱が生じるという仕組みなんですね。

そしてロキソニンはこのプロスタグランジンが生み出される一歩手前の所で生産にストップをかけるんです。このおかげで熱が下がったり、痛みが軽くなったりするわけなんですね。

カロナール

カロナールは、まだはっきりどのように体に効果を及ぼすのか証明されている訳ではないんですが、脳から脊髄へ、痛みを伝える経路を抑える働きがあるのではないかと言われています。

大きな違いとしては、ロキソニンは「炎症」を抑える効果が期待できますが、カロナールはほとんど期待できないんです。

ロキソニン・カロナールの違い②副作用

ロキソニン

実はロキソニンは飲み続けたり、一度に多く飲んだりすると腎臓や、胃に障害をもたらす場合があるんですね。

先ほど説明した、ロキソニンがその働きを抑えているプロスタグランジンという成分にはほかにも重要な役割があり、血管を広げるという仕事もあるんです。

その為ロキソニンの飲みすぎでプロスタグランジンを抑えすぎると、同時に血管を広げる作用も抑えてしまいます。

こうなると何が起きるかと言いますと、腎臓に血液を送る血管を広げられなくなり、血管がきゅっとしまってしまい、腎臓に十分な血液が流れなくなり、これが原因で腎不全になってしまう事があるんです。

病院でも、頭痛がひどすぎて1時間おきにロキソニンを飲んでいた人の腎臓の機能をあらわす指標であるクレアチニンの数値が正常値の5倍くらいになっていた、こんなケースも存在します。

また、ロキソニンによって胃の粘膜を保護しているCOX1という成分を押さえてしまうので、ロキソニンを飲み過ぎると胃が荒れて胃潰瘍になったり、最悪の場合は胃に穴が開いてしまう場合もあります。

少し怖い話をしてしまいましたが、例えば風邪の間だけロキソニンを飲むくらいなら、ほとんどの人にとってこのような症状は起こりません。

しかし、ひどい頭痛や腰の痛みなどに悩まされている人が、ロキソニンを用法用量を守らずに毎日飲み続ける、あるいは一度に大量にのんでしまう、こういうことがあった場合、胃潰瘍や腎臓の障害が起こっても全くおかしくないので、絶対にしないようにしましょう。

またロキソニンを長期間飲む必要がある場合には、胃酸の分泌を抑えるお薬を一緒に飲んで、胃潰瘍の予防をすることが一般的です。

カロナール

カロナールも全く副作用がない訳ではなく、大量に内服すると肝臓の障害が引き起こされることがありませんが、こちらはよほど心配しなくても良いでしょう。

カロナールは風邪の時は1日1500mg、痛み止めとして使用する時は1日4000mgまで使用してよいとされています。ほんとにざっくり言えば、「風邪の時は熱さましとして使うから1500mgまで程度で十分でしょう。痛みは激しい時もあるからリミット4000mgまで使ってもよい」このようなイメージです。

ただし、この4000mgを超えてしまうと、カロナールは肝臓で代謝されるので、肝臓に負担がかかりすぎて障害が出る場合があるので注意しましょう。

まあただカロナールの300mgの錠剤で換算すれば14錠以上にならないと超えないので、そこまで飲むことはあまりないでしょう。

ただし、お子さんの場合は、小さなお子さんが「大人用のカロナールをラムネなどのお菓子だと思ってポリポリ食べてしまう」こういうことがあると小さな体に対して大量のカロナールを摂取してしまうことになるので、手の届く所に薬を置いておかないようにしましょう。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、必要に応じてロキソニンやカロナールなどの解熱鎮痛剤処方の相談を随時受け付けています。気になる人は気軽にLINEやHPからお問合せ下さい。

ロキソニン・カロナールの違い③飲んではダメな人

ロキソニン

ロキソニンが「喘息」を引き起こすことがあります。この現象を「アスピリン喘息」と呼び、実は大人の喘息の5-10%はこのアスピリン喘息なんですね。結構割合として多いです。

アスピリンという成分が入ったお薬を飲むと起きてしまう喘息のことで、ロキソニンもその仲間なのです。

もしかしたらこの喘息が起きていると知らずに、「なんか風邪薬飲むと咳がでるなあ、、」と感じている方もいるかもしれないので、この知識は全員に知っておいて欲しいです。

他にも、出産を目前に控えた妊婦さんも飲んではいけません

妊娠の終盤では、ロキソニンを内服すると赤ちゃんの心臓周りの血管に異常が出現してしまう可能性があるため、禁忌とされています。

また、お子さんにとっても、一般的にロキソニンは処方されませんし、また実は子供のインフルエンザの時は「インフルエンザ脳症」という怖い病気の可能性が上がるので使用してはいけないとされています。

カロナール

カロナールに関しては、アスピリン喘息を引き起こすことはかなり少ないとされていますし、妊婦やお子さんでも安心して使用できます。ここにカロナールの方が処方されやすい理由があります。

ロキソニンの方がやや痛み止めとしての作用は強いのですが、長いこと飲んだり大量に飲むと副作用を起こしたり、使えない人がいたりするので、どうしてもカロナールをお出しした方が処方する側としては安心な訳です。

ロキソニン・カロナールは併用しても良い?

ここで気になるのは、「ロキソニンとカロナールは、併用しても良いのか」というポイント。

結論から言えば、「医師の指示のもとで併用するのは問題なし」という回答になります。

カロナールとロキソニンは作用の仕方が異なる鎮痛薬なので、適切な用量で併用すると痛みの緩和効果が高まることがあります。

もしカロナールだけ、あるいはロキソニンだけで痛みや発熱がおさまらない…こういう場合は医師に相談して、併用しても良いか、処方ができるか確認すると良いでしょう。

ロキソニン・カロナールワクチン接種時の使い方

ワクチン接種した後の副反応が怖いので、予防的にカロナールやロキソニンを飲む人もいますが、これはおススメしません。実は、予防接種自体の効果に影響が出る可能性があります。

副反応が出た段階でお薬を使ってもらう分には全然問題ありません。こちらはカロナールでも、ロキソニンでも大丈夫です。

まとめ

はい、では最後にロキソニンとカロナールの違いについてまとめると、

  • 効果に関してはロキソニンの方がやや期待できる
  • 副作用はロキソニンの方が出やすく、胃や腎臓を傷つけることも
  • 短期間の使用でロキソニンで副作用が出ることは少ない
  • ロキソニンを長い間飲むなら胃薬を併用
  • カロナールは大量に飲まない限りあまり気にしなくてOK
  • ロキソニンは解熱薬で喘息が出る人、妊娠後半の妊婦さん、お子さんには推奨されない
  • カロナールは飲んで症状が出てしまう人以外は使用して良い

こんな違いがあります。

とてもざっくり言えば効果がやや強いのはロキソニン、多くの人が安全に無難に使いやすいのはカロナールと覚えて置いてくださいね。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。