胃もたれの原因と治し方・改善法。医師が徹底解説!

  • なんだか頻繁に胃のあたりが痛む
  • ことあるごとに胃がキリキリして快適に生活できない

こんな症状ありませんか?

こういう人はもしかしたら、知らないうちに自分の胃にダメージを与えているかもしれません。

そしてこうした胃の痛みは放っておくと突然の激痛が起こり、緊急手術など、怖い未来が待ち受けているかもしれません。

意外に知られていない胃を悪くする人の共通点や習慣について徹底解説していきます。間違った習慣をただすことで、大事な胃を守り、快適な生活を送るために、胃の医学について学んでおきましょう。

ウチカラクリニックではオンライン診療に完全対応し、忙しい方向けに夜間や土日も診療を行っております。

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胃痛・胃もたれ・胸やけなどにお悩みの方はお気軽にオンライン診療でご相談ください。

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胃もたれが起きる体のメカニズム

まず知っておいて欲しいのが、胃の内部というのは、四六時中「攻撃」「防御」のバランスで成り立っている、この事実なんです。

攻撃と防御、というのは一体何のことでしょうか?

胃にとっての「攻撃」とは、実は私たちが起きている間に体に取り込み続ける、食事や飲み物など体に摂取するもののこと。

みなさん、きっと様々なものを体に取り込むでしょう。それがおかゆやスープのように消化の良いものばかりでしたら、胃も楽ちんに仕事をこなしゆっくりすることができるのですが、そんな生活の人は少ないでしょう。

人間の食への欲求は強く、それ以外にも様々な刺激のあるものを摂取し、その中のとある食べ物や飲み物の中で胃にとって苦手としているものが落ちてくると、胃は苦しめられるんですね。

これは食べ物の刺激物などからの防御、という意味もありますが、胃が、最も防御しなければいけない存在は食べ物ではありません。

では、何からの防御かというと、自分自身が分泌している「胃酸」です。

そもそも胃の中というのは、食べ物を消化・分解したり、食べ物を除菌するために「胃酸」という強烈な液体を常に内部にとどまらせている場所。

1日なんと1.5から2.5Lもの胃酸が分泌されます。

そして、この胃酸の酸の強さは、昔理科の授業で習ったと思いますが、塩酸という強力な酸と同じくらいの強さなんです。

放っておくと食べ物と一緒に胃の壁も溶かされてしまうので、胃の壁に「粘液」のバリアを貼っています。

これが先ほど紹介した「防御」の部分ですね。

このバリアはアルカリ性なので、酸性の胃酸と中和することで、胃の壁にダメージが加わることはありません

他にも「ペプシン」と呼ばれるたんぱく質を分解する消化酵素もいます。

このような絶妙な攻撃と防御のバランスにより、胃の環境は成立しているんです。

胃もたれが起きる誘因

では、この胃酸はどのように分泌されるのでしょうか?

胃酸の分泌には、主に3つの物質が関わっています。

それが「アセチルコリン」「ガストリン」「ヒスタミン」です。

アセチルコリンは、食事の前においしそうな匂いや香りをかぐことによって分泌されます。

そしていただきますをして、食事を食べて、食べ物が胃に入った直接の物理的な刺激で分泌されるのがガストリン

そのあと、今度はアセチルコリンとガストリンが一緒になって刺激して引っ張り出されるのがヒスタミンなんです。

そして、この3つの物質が、「胃酸の蛇口」とも言える「プロトンポンプ」という場所の蛇口を回すことで、胃酸がどばどば分泌する、このような仕組みになっているんです。

豆知識として、この胃酸の蛇口せんを硬くしめて、胃酸の分泌を抑えてあげる薬が「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」と呼ばれていて、胃が悪い人によく処方される薬です。タケキャブとか、ネキシウムなどがPPIの仲間なんですね。

しかし、このバランスは私たちの普段の行動により容易に崩れ去ります。

この胃の中での「攻撃」と「防御」のバランスが崩れてしまい、攻撃の方が強くなってしまうと、だんだん胃の壁がダメージを受け、炎症が起きたら「胃炎」の状態になりますし、炎症がひどくなりただれてしまえば「胃潰瘍」の状態になります。

ひどい場合はそのまま穴が空いてしまう「胃穿孔」の状態になり、緊急の手術が必要になる場合もあります。

胃もたれの症状

胃の内部のバランスが崩れ、ダメージを受けた時の症状としては、

  • みぞおち(胃が存在するあたり)の痛み
  • 胸焼け
  • 吐き気
  • 吐血:胃の壁が攻撃され出血
  • 黒色便(黒いうんち):血が腸の方にいって変色

などがあります。

一つ豆知識として、胃炎や胃潰瘍の時は食べ物を食べた時に痛くなるのですが、胃から繋がっている十二指腸の炎症の時は、お腹が空いている時に痛くなることが多いです。

もしすでに胸やけ胃痛などでお困りの方は一度「ウチカラクリニックのオンライン診療」へ相談してみてください。

当院では逆流性食道炎・ピロリ菌除去・ストレス性胃炎・胃痛・胸やけの治療などの内科疾患への治療も行っています。

胃もたれの原因と治し方

胃もたれの原因と治し方①コーヒー

コーヒーのカフェインが胃酸の分泌を活性化する作用があると言われています。

当然、胃酸の分泌が活性化すれば、先ほど説明した「攻撃」の力が強まってしまうので、胃はだんだん劣勢になり、壁にダメージを負ってしまうことがあります。

ここで要注意なのが、「だったらノンカフェインなら大丈夫でしょ!」とガブガブコーヒーを飲んでしまう人がいますが、これも要注意。

なぜかというと、カフェイン以外にもコーヒーに含まれているクロロゲン酸も、胃酸の分泌を活性化させる効果があるとされているんです。

カフェインもそうですが、コーヒーという飲み物そのものが、胃を興奮させやすい飲み物。

コーヒー自体は、様々な健康効果が証明されていて普段から飲んでも問題ない飲み物ではあるんですが、胃が痛くなりやすい人は少し量を減らしても良いでしょう。

具体的には、個人差はあるのですが1日3杯までくらいまでにはしたい所ですね。

胃もたれの原因と治し方②アルコール

アルコールはコーヒーとは逆で、胃の防御の力を弱めてしまうんですね。

アルコールを大量に摂取すると、防御の要である胃の粘膜がはがされ、システムが壊れてしまうことがあり、こうなると胃酸の恰好の餌食となってしまうことがあります。

アルコール自体も刺激になりますから、ひどい場合は出血して胃潰瘍の状態になってしまうこともあります。

「お酒の飲み過ぎで胃が荒れてる…」なんて経験は一度はあるかと思いますが、まさにアルコールが粘膜のシステムを壊してしまったことが原因。

粘膜を治すのに数日時間が必要になります。

勿論、全くお酒を飲むな!という訳ではありませんし、適量ならほどよく胃酸の分泌を助けてくれることもあります。

コーヒーもアルコールもやりすぎ には注意しましょう。

他にも、

  • とうがらしやこしょうなどの香辛料
  • にんにくなどの刺激が強い食べ物
  • ひどく冷たいor熱い飲み物

も胃を刺激すると言われていますので、過剰な摂取はしないようにしましょう。

胃もたれの原因と治し方③薬

私たちの胃を通過するのは、必ずしも食べ物や飲み物だけではありません。

例えば、「喫煙」です。

たばこを吸う行為も、胃の血流を悪くしたり、胃酸の分泌を増やしたりすることで、胃潰瘍のリスクとなる、とされています。

そして、特に注意しなければならないのが、「お薬」

お薬も当然、胃を通過します。この際、特に胃が苦手としている薬があります。それが「ロキソニン」です。

ロキソニンというのは「NSAIDS」と呼ばれる、熱を下げたり、痛みをとったりするお薬の仲間なんですね。

いわゆる「解熱鎮痛剤」というやつです。

なぜロキソニンにこのような効果があるのかというと、痛みや発熱を引き起こす「プロスタグランジン」という物質があるのですが、この物質が生み出される手助けをしているCOXという酵素。こいつの活動をロキソニンが邪魔することで、プロスタグランジンも量が少なくなり、熱が下がったり、痛みが引いたりする仕組みなんです。

しかしここに大きな落とし穴があって、このCOXは1番と2番が存在します。

2番は今説明した熱や痛みに関係のある方、そして1番はなんと胃を守る粘膜の環境を作っているんです。

そして、ロキソニンはそこまで器用ではないので、1番と2番の区別がつかず、どちらも邪魔をしてしまうので、胃の粘膜のバリアを壊してしまい、胃酸にやられて胃潰瘍になりやすくなってしまうんですね。

なので、頭痛や腰痛などで、ロキソニンを用法用量を守らずに、1日何錠も飲んでしまうのは要注意ですし、実際に救急の現場でもロキソニンの飲み過ぎで吐血。緊急で胃カメラを行ったら胃潰瘍からの出血だった。こんなケースも珍しくないです。

そしてこのロキソニンのデメリットを打ち消すために、長く服用する場合は、医師は一緒に「胃薬」を出すこともあります。

ロキソニンは非常に良い薬ですが、気軽に普段から飲み続けるとこういった落とし穴もあることは覚えておいてください。

胃もたれの原因と治し方④ストレス

胃酸の分泌と、胃の壁を守るための粘液の分泌。これらを背後からコントロールしているのは人間の「自律神経」

自律神経とは文字通り自分で勝手に統率をとっている神経なので、私たちが自分の意志で「胃酸をおさえて!」とか「粘液を出して!」とか指示することはできません。

そして普段の生活の中で大きなストレスがかかると、そのストレスが自律神経を混乱させてしまい、胃酸の量が増えたり、粘液が少なくなったりします。

こうした神経の問題でストレス性の胃潰瘍が起こることもあるんですね。

仕事でストレスをためこみ続けて、残業の眠気覚ましにコーヒー、週末は宴会三昧。二日酔いの頭痛にロキソニンを飲み続ける…こんな生活は胃にとって最強最悪のセットです。

ストレスをお酒で解消するのも一つですが、他にも運動など、いくつかの解消法を持っておけるとよいでしょう。

胃もたれの原因と治し方⑤ピロリ菌

「ピロリ菌」聞いたことがあるでしょうか?

前半でお話したように、胃の中には胃酸という超強力な酸があるので、ほとんどの細菌はここで脱落。除菌されます。

しかし、驚くべきことに、この胃酸の中で悠々自適に生活している細菌がいたんですね。それが「ピロリ菌」です。

このピロリ菌は、自分の周りにアンモニア、要はアルカリ性の物質を出すことができて、胃酸を上手く中和しながら胃の中で生活ができる、非常に珍しい細菌です。

そして、別に胃の中に住んでいるだけなら「どうぞご自由に」という感じなんですが、このピロリ菌は、ひげの分を上手に使って胃の中を自由自在に動き回り、胃の粘膜を傷つけたり、胃がんの原因となるタンパク質を胃に注入したりしていて、かわいい見た目の名前の割にとんでもないことを、勝手に人の体の中でしでかしてくれる迷惑な存在です。

このピロリ菌は、不衛生な環境から感染することがあります。

現代は衛生環境が整ってきたので、今の若者がピロリ菌に感染している割合はかなり減ってきましたが、例えば昭和世代など、中高年にとっては当時の水道水などから感染していても全くおかしくありません。

そして知らないうちにピロリ菌が胃を荒らし、中高年になって胃カメラを受けると「あなたは萎縮性胃炎ですね」と言われ、検査をしたらピロリ菌陽性。こんなケースはよくあります。

ピロリ菌に関しては抗生物質の治療で除菌をする方法がありますので、見つけるのは早ければ早いほど良いので、ピロリ菌検査については一度行っておくと良いでしょう。

胃もたれの原因と治し方 まとめ

このように、実は自分の知らない、または目に見えない所で、胃を苦しめていることがしばしばあります。

あなたも自分の生活を振り返って、「ああ、あんな習慣が胃を苦しめていたんだ…」「こんな生活が良くなかったんだ…」といった事がおわかりになったと思います。

胃は多くの人が一生付き合っていく大事な臓器。

普段は目に見えないので忘れがちですが、ちゃんと胃をいたわって、私たちのために頑張ってくれている胃を優しく守ってあげてくださいね。

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ウチカラクリニック

経歴

内科医/産業医/労働衛生コンサルタント
ウチカラクリニック代表
予防医学ch/医師監修 管理人