脳梗塞の初期症状・前兆をチェック!原因や予防法、治療は?【医師解説】
こんにちは。ウチカラクリニック健康メディア「予防医学大辞典」です。
今回は「脳梗塞」について、脳梗塞の初期症状や前兆のチェック方法・原因・治療・予防法などについて医師の視点から簡単に、わかりやすく解説していきます。
脳梗塞の前兆や症状を知っておく事はとっても重要なんです。
なぜなら、症状が出てから病院にたどり着く時間によってできる治療が変わってきてしまうからなんです。
脳梗塞の治療は時間が命。
当然早ければ早いほど、脳細胞が壊死して後遺症が残るリスクを下げる事ができますし、ほんの数時間遅れただけで、できる治療ができなくなる場合もあります。
もし知識を持っていなければ、症状が出ても「なんかおかしいな~」と思うだけで、様子を見てしまい、病院に行くのが数日遅れてしまう場合は珍しくありません。
こんな症状が脳梗塞で出るの?といった全く関係がなさそうなものもあるので、この動画でしっかり脳梗塞についての知識をマスターしておいて下さい。
INDEX
脳梗塞とは?原因とは?
まず、脳梗塞について簡単な説明をしておきます。
脳梗塞とは、脳の血管が動脈硬化で細くなってしまったり、血の塊である血栓が飛んできて詰まったりして、脳に一部に十分な血液が流れなくなり、最終的に脳細胞が壊死してしまう状態の事です。
一口に脳梗塞と言ってもいくつかの分類があるんですが、原因としては、大きく分けると2つです。
脳梗塞の原因①動脈硬化の進行
一つ目は、脳や首の血管自体の動脈硬化が進行し、徐々に細くなったり、血栓がつまったりしてしまう事です。
脳の奥のとっても細い血管がいくつか詰まってしまうラクナ梗塞、というタイプや、脳の太い血管に、例えば首の動脈などから血栓が飛んできてズドンと詰まってしまうアテローム性脳梗塞、といったタイプがあります。
脳梗塞の原因②心臓の不整脈
そしてもう一つの原因はなんと心臓なんです。
心臓でできた血栓が、脳に飛んで脳の血管を塞いでしまう、こういう事があるですね。心臓が原因なので医学用語で心原性脳梗塞 と呼びます。
多くの原因は心房細動と呼ばれる不整脈です。
この不整脈があると心臓が全身にスムーズに血液を送れず、心臓で血液がよどんでしまうので血栓ができやすくなってしまうんですね。
ではこの脳梗塞は、どのような検査や治療を行うのでしょうか?
脳梗塞の治療は?検査は?後遺症は防げる?
救急の現場では、脳梗塞っぽい症状の方が救急車で運ばれてきた場合は、頭のCTやMRIを撮影します。
それぞれの病院で流れは異なる場合があるものの、撮影に時間のかかるMRIよりも先に頭のCTを撮影しながら造影剤を使って血管の流れを浮き彫りにする検査を行うなど、とにかく必要な治療を1秒でも早く行う為に、様々な工夫がされています。
そして肝腎な時間が命の脳梗塞の治療についてです。
脳梗塞の発症から4.5時間以内、こういった場合はt-PAという薬剤を投与して、血栓を溶かし出す治療を行う事ができる場合があります。
時間が経ってしまうとそもそもこの治療を行う選択肢が完全に失われてしまいますから、一刻も早く症状が出たら救急車を呼ぶ事が重要なんですね。
またカテーテルを使用して、直接脳の血管が詰まっている所までカテーテルの先端をたどりつかせて、血栓を回収してくる治療もあります。
このカテーテルの治療も発症から8時間以内しかできないとされている所が多いんです。
脳梗塞の治療は時間が命、この事実をおわかりいただけたでしょうか。
この為、この後紹介する脳梗塞っぽい症状が起きた場合は、起きた時間を余裕があればメモしておいてもらえると、救急の現場では非常に助かりますので、是非覚えておいて下さい。
脳細胞は一旦壊死してしまうと元には戻りません。
その為後遺症として麻痺などが残ってしまいます。
しかし脳の血管が詰まって血液が流れなくなっても、初期の段階であれば再度血管を開通させて血液を流す事で、脳細胞が一命をとりとめる場合があるんです。
こういった今現在血管が詰まって血液が流れていないけども、助かりうる脳細胞を医学用語でペナンブラと呼びます。
このペナンブラを救出できる可能性を1%でも上げる為に、脳梗塞が疑わしい場合は一刻も早く病院に行く必要があるんですね。
では絶対に覚えておきたい脳梗塞の初期症状や前兆にはどのようなものがあるのでしょうか?
脳梗塞の初期症状や前兆のチェック方法とは?
では絶対に覚えておいて欲しい脳梗塞の初期症状・前兆について紹介していきます。
脳梗塞の症状は起きる脳の部位によって全く違います。
部位ごとの症状についてみていきましょう。
脳梗塞の初期症状や前兆チェック①体の麻痺
一番有名なのは麻痺ではないでしょうか。
例えば急に右半身に力が入り辛くなったり、立てなくなったりする症状です。
しかし、必ずしもわかりやすく医療ドラマのように右半身の麻痺、といったダイナミックな症状が出る訳ではないのが要注意なポイントなんです。
医学用語で大脳皮質、と呼ぶのですが、実は脳の表面の部分は場所ごとにそれぞれ「分業」をしていて、手の担当、足の担当、舌の担当、、と別れています。
あなたはホムンクルスという言葉を聞いた事がありますか?
ホムンクルスとはラテン語で小人、という意味です。
カナダの脳神経外科医、ペンフィールドは電気の刺激を少しずつ場所をずらして脳に与えることで、大脳皮質が分業をしている事を発見しました、
この分業している部分の割合を人型の模型に反映させてホムンクルス、つまり脳の中の小人となぞらえると、手や唇、舌が非常に大きなこびとが完成しました。脳は手や唇を動かす事に大きな面積を割いていたのです。
そしてこの大脳皮質の一部分で脳梗塞が起きると、明らかな半身まひではなく、軽い症状として出る場合があります。
例えばホムンクルスでも大きな割合を占める唇やべろの担当の大脳皮質の部分で脳梗塞が起きると、ろれつがまわらなくなったり、口角が下がって水がこぼれたりします。
また指だけの動かし辛さや、額にしわ寄せができなくなるなどの細かい症状の場合もあるので、手足の麻痺とともに覚えておいて下さい。
そして脳梗塞のどの症状にもあてはまりますが、基本的には片側にしか症状は出ません。
脳梗塞が同じタイミングで左脳と右脳に同時に起きる、という現象はほとんど考えられないからです。
両方の麻痺が起きた場合は脊髄などの障害の可能性の方が高いので、こちらも覚えておいて下さい。
脳梗塞の初期症状や前兆チェック②感覚の感じ辛さ
次に、力だけではなく感覚を感じ辛くなる事があります。
人間は熱さや痛みを感じると、脊髄から脳の視床という場所を通過して脳の表面、大脳皮質へたどり着き、感覚を脳にしっかり伝えています。
この感覚の経路、例えば視床などで脳梗塞が起こった場合は感覚に障害が出る事があるんですね。
例えば熱いお茶の入った湯飲みを持っても何も感じない、など熱さや冷たさを感じなくなったり、常にしびれのような感覚を感じたり、痛みを感じなくなったりするなど、あらゆる感覚に関係した異常が出現します。
麻痺や動かし辛さのようなわかりやすい症状だけではなく、こういった感覚の障害として出現する事があるんですね。
脳梗塞の初期症状や前兆チェック③目の見え辛さ
また、脳の後ろの部分である後頭葉、ここに脳梗塞が起きると「目」に特徴的な症状が出現する事があります。
後頭葉では、人が目でみて獲得した視覚の情報を処理するコンピューターの役割を果たしている場所なのですが、後頭葉に脳梗塞が起こってしまうとこのコンピューターがフリーズしてしまい、眼が見えなくなってしまうんです。
特徴的なのは、例えば左の後頭葉に脳梗塞が起きてしまった場合、両眼ともに右半分が見えなくなってしまうという現象です。
これを医学用語で同名半盲と呼びます。
同名半盲が起きると、完全に片目が見えなくなる訳ではないので、両目が補いあってなんだかぼやけたように見えてしまう場合があり、病院に行くのが遅れてしまう場合があるので、眼の見え辛さが脳梗塞のサインの可能性がある事、しっかり覚えておいて下さい。
脳梗塞の初期症状や前兆チェック④めまい・ふらつき
そして、なんと脳梗塞でなんとめまいとして症状が出現する場合もあるんです。
めまいの原因は耳である事が多いんですが、脳が原因の事もあります。
ある日突然朝起きたらめまいの症状で立てなくなり、吐き気が止まらず救急車を呼び、結果的に脳梗塞だった、こんな話も珍しくないんですね。
めまいの症状は、脳の下の方にある脳幹や小脳、という場所で脳梗塞が起きると生じる場合があります。
小脳は体のバランスを保ったり、細かい動きを調整する役割があるので、小脳が脳梗塞になると体のバランスを崩して立てなくなったり、ピンポイントで指で物を指す動きができなくなったりしてしまうんです。
他にも数は多くないものの、新しく物事を覚えられない、少し認知症に似たような状態になったと思ったら、脳の記憶を司る海馬、という場所の脳梗塞だったりとか、脳梗塞は本当に様々な症状があります。
脳梗塞の「前兆」について
そして紹介した症状が30分とか、1時間とかで改善したからといって放置しておいては、絶対にダメです。
脳梗塞の「前兆」の可能性があります。
これは一過性虚血性発作、通称TIAといって、脳梗塞のリスクを非常に高める状態であり、実はTIAの方の5%もの人が2日以内に脳梗塞を発症した、というエビデンスがあるんです。
TIAが起きた方には抗血小板薬、という血液をサラサラにするお薬を処方する事があり、この薬の内服でリスクが約1/5になった、というデータもあるので、
何がいいたいかというと脳梗塞っぽい症状はおさまったからと言って放置しないで必ず病院に行きましょう、という事です。
脳梗塞の原因の予防法とは?
はい、では脳梗塞の症状については理解してもらえたと思いますが、そもそも脳梗塞自体を予防する方法はないのでしょうか?
よく巷で脳ドックはどうなの?って声を聞く事が多いです。
脳ドックとは頭のMRIの写真をとったり、首の血管の超音波検査を行って首の血管が狭くなっていないか前もって確認する検査です。
一見、予防に有効な検査のように思えます。
しかし、実は脳ドックは日本以外の国では広く行われていないんです。
それどころか、アメリカの予防医学専門委員会、通称USPSTFではグレードD、要するに行わない方が良い検査とされているんですね。
要するに、
・首の血管の超音波の検査で本当は手術が必要なほど血管が狭くないのに、狭いという判定になってしまう割合が多い
・手術の合併症の害がある
など、デメリットが結構あるからなんです。
絶対受けるな!とは言いませんが、少なくとも家族に脳疾患の方がおらず、生活習慣病などがない方にとってはコストパフォーマンスが悪い検査とはいえてしまいますね。
受ける場合はしっかり事前に脳ドックの実態について知っておきましょう。
何より重要なのは動脈硬化の予防、ひいては生活習慣病予防です。
生活習慣病持ちの方はしっかり対策をして、自分の血管を大事にすること、これに尽きます。
日々の食事・運動・睡眠に気を付けて、生活習慣病対策をしていく事で脳梗塞のリスクを下げていきましょう。
脳梗塞の初期症状・前兆・原因・治療など まとめ
最後に今回の内容をまとめておきます。
①脳梗塞の治療は時間が命!今回紹介した症状が出現した場合は、必ず病院を受診する事!
②一過性の症状でおさまったとしても一過性脳虚血発作、通称TIAの可能性があるのですみやかに病院を受診する事
③予防として脳ドックは基本的にはおススメはしないが、メリットとデメリットを知った上で受けるか判断する事
④何より脳梗塞を起こさない為には、心房細動のある人はしっかり通院する事、そして生活習慣病の予防に普段からつとめる事。
今回はこの4点を絶対に覚えて帰って下さい。
もしかしたら明日のあなたや、周りの人の命を助ける予防医学として役立ってくれるかもしれません。
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