あなたの飲んでいる薬、ちゃんと「正しい飲み合わせ」を把握してますか?実はお薬の中には、薬を飲んでいる最中、絶対に食べてはいけない食べ物や、飲んではいけない飲み物があるんです。
そして、その薬と食べ物の関係を正しく理解をしていないと、折角体の調子を良くするために薬を飲んでいるのに、逆効果になってしまうことも。
その中でも今回特にお伝えしたいのは、高血圧のお薬と果物の関係について。
高血圧は日本に約4300万人、およそ3人に1人が該当するとされていて、なので当然高血圧のお薬を自分も飲んでいる、こういう人も多いでしょう。何も知らずに大好きな果物をパクパク食べていると、ある日思わぬ副作用に苦しめられるかもしれません。
一体、なぜ果物が高血圧のお薬に影響を与えるのでしょうか?とっても意外な体の仕組みについてもお伝えしていきます。
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高血圧の薬が血圧を下げる仕組み
まず、体の中で、血圧のお薬というのは、どのようにして血圧を下げているのか?
これはなかなか普段医者にかかっても聞くことはない珍しいお話だと思いますし、なぜ果物が影響を及ぼすのか理解するためにも知っておくべきことなので、お伝えしておきますね。
まず、血圧のお薬にもいくつかの種類があるんですが、今回取り上げるのは「Ca拮抗薬(カルシウムきっこうやく)」という種類のお薬。
お薬の名前でいうと、
- アムロジピン
- ニフェジピン
- カルブロック
- コニール
薬の名前でいうと、ピンとくる方もいるでしょう。
ご自身がお使いになられている薬も、もしかしたら含まれているかもしれません。このCa拮抗薬というお薬は、文字通り「カルシウム」を抑え込む薬です。

しかしこれを聞くと、
「え、カルシウムって骨の元となる成分だよね?カルシウムを抑え込んで、血圧なんて下がるの?」
多くの方はこのように思われるかもしれません。しかし実はカルシウムと血圧には深い関係があるんです。
まず、前提として勘違いをしやすいのは、カルシウムは骨だけにいるわけではないということ。
実は、血液の中や細胞の中でもカルシウムはお仕事をしています。
そして、カルシウムには重要な仕事が一つあります。それは「筋肉の収縮」なんです。
カルシウムは筋肉の中にも貯められていて、筋肉が収縮、縮む時に一気に外に出され、筋肉を縮める重要な仕事をしています。そして実は、血管にも「平滑筋(へいかつきん)」という筋肉があり、このカルシウムのおかげで、血管も伸びたり縮んだりできているんです。

では、「カルシウムを抑え込むお薬」これがどういう意味なのかというと、カルシウムが筋肉に入っていくのをブロックする作用があるお薬なんですね。
このため、筋肉を縮めるお仕事をしていたカルシウムがいなくなってしまうので、筋肉を縮めることができなくなり、ゆるんだ状態になってしまいます。
そしてこれが血管で起きると、血管がゆるゆるな状態、血管が収縮せず、拡張した状態になってくれる訳です。
その結果、
血管が広がる→血液が通りやすくなる→圧力が低下→血圧が低下する
こういう仕組みでアムロジピンなどのCa拮抗薬は血圧を下げているんですよね。
高血圧の薬と絶対に一緒に食べてはいけない果物
高血圧の薬と一緒に食べてはいけない果物、それはグレープフルーツ(グレープフルーツの成分を含んだジュース)です。一般的にはすっぱくて健康に良いようなイメージもあるかと思います。なぜ、グレープフルーツが高血圧の薬に影響するのかについて解説していきます。

グレープフルーツが影響を与える仕組み。食べてはいけない理由とは?
まず、アムロジピンなどのカルシウム拮抗薬は、口から内服をして、小腸の所までたどり着くと、腸から吸収され、血管に入って効果を発揮します。
そして、実はこのお薬が腸から吸収される量を調整してくれているバランスをとる係、通称CYP3A4という酵素が、小腸には存在しています。なぜこんなやつが存在するのかと言えば、人間が食事などをすると、異物を含め様々な物質が腸に流れこんできます。
この異物を丸ごと吸収してしまうと体に悪影響を及ぼすこともあるため、こういった異物を発見して、吸収する量をコントロールする「腸の門番」のような仕事がこの酵素の存在意義であり、役割です。

薬も異物として認識されやすく、高血圧のお薬も、このCYP34A4で異物として認識されるので、丸ごと吸収することはなく、半分くらいは分解されてしまいます。そして、「分解されなかった分が腸から吸収される」こういう仕組みなんです。
そして、なんとグレープフルーツはこの門番であるCYP3A4を抑え込んで、仕事ができない状態にしてしまうんですね。
なぜグレープフルーツ単体でこんな作用があるのかというと、フルーツに含まれるフラノクマリンという成分がこの門番を抑え込む作用を持っているので、このような現象が起きてしまいます。

またグレープフルーツのジュースに関しても、作るには実が1個以上必要で濃縮還元されているので、フラノクマリンがしっかりと含まれているので、果物と同じように注意しなければいけないんです。
また果実に関していうと、このフラノクマリンはグレープフルーツの皮の部分なんです。
つまり、皮を使ったもの、例えばグレープフルーツの皮を使用したケーキやマーガリンも注意したいですし、果肉の部分にもしっかりと含まれていて、グレープフルーツの中でも赤いものよりも白いものに多く含まれていると言われています。
そして、小腸の門番が機能しなくなってしまった結果、普段は半分くらい分解している高血圧のお薬がそのまま吸収されることになってしまいます。

半分分解して、半分吸収していたとすると、全て吸収してしまうと2倍の量のお薬を飲むのと同じですから、いかに危ないことかおわかりいただけますよね。
こういった薬と食べ物などの反応を、医学用語で「相互作用」と呼びます。持続期間としては、3-4日も続くともされています。
高血圧の薬とグレープフルーツを食べることの副作用とは
この相互作用が起きると副作用として、血圧が下がり過ぎてしまうため、
- 立ち眩みや
- ふらつき
- めまい
といった症状が起きることもあるんですね。

また、血圧が下がり過ぎると、危険アラートが体内で鳴らされ、内臓がそれに反応することもあります。
例えば心臓では、血圧が下がると心臓が送り出した血液を体に運ぶホースの圧力が低くなっているので、「これでは満足に全身に血液を届けられない!ここは心臓が頑張って、圧力が低い代わりに血液を送る回数を増やしてバランスをとらなければいけない!」反応してしまい、心臓がどくどく拍動する回数が増えることがあります。
この結果として、脈の回数が増える頻脈という現象や、動悸(どうき)の症状が起きることがあります。

また、カルシウム拮抗薬は筋肉をゆるめることで血管を広げ、血圧を下げます。血管が広がりすぎることで、血のめぐりが良くなりすぎて、顔が真っ赤になる顔面紅潮(がんめんこうちょう)という状態や、頭痛が起きることもあります。
このように、グレープフルーツによって高血圧の薬の効果が強まり、それに反応した心臓の副作用や、血管が広がり過ぎたこと自体による副作用が起きるので、この高血圧とグレープフルーツの関係は必ず知っておくべき必要があるんです。
高血圧の薬と食べてはいけない果物一覧
この話を聞いて「グレープフルーツ以外の、同じ仲間の果物は大丈夫なのか?ミカンやオレンジなども同じ現象が起きるのか」この問題が気になる人も多いかと思いますので、他の果物についても紹介していきます。
この鍵となるのは、先ほど説明した小腸の門番、CYP3A4を抑え込んでしまう「フラノクマリン」が含まれているかどうか。
【フラノクマリンが含まれている柑橘類】
- ブンタン
- ハッサク
- ダイダイ
- ザボン
- スウィーティー
グレープフルーツもそうですが、いわゆる少し実が大き目でごつごつした柑橘類には、このフラノクマリンが含まれていることが多いです。また、知名度は高くないかもしれませんが、
【フラノクマリンが含まれていない柑橘類】
- バレンシアオレンジ
- レモン
- ネーブル
- カボス
- ゆず
- みかん
柑橘類の中で統一されていればわかりやすいんですが、このように要注意な柑橘類と、そうでないものがごっちゃになっているので、高血圧の薬を飲む場合は、大丈夫な柑橘類と、そうでないものを気にかける必要がありますので覚えておいてください。

高血圧の薬にグレープフルーツは絶対に禁止?
結論としては、一旦やめなくてもいいです。
グレープフルーツなどを食べることで「薬の成分が変わってしまう」わけではなくて、「薬の吸収する量が変わってしまう」という話です。
そのため、今グレープフルーツを日常的に食べる生活をしていて、「血圧の薬を飲んでいて数値が安定している。副作用も起きていない。」という場合は逆に、やめると今度は門番が起き上がって、薬を腸で分解しだすことで血圧が上昇していまう可能性すらあります。すぐに緊急で生活を変える必要はありません。

ただ、かかりつけの先生に報告はするようにして下さい。
また、高血圧のお薬全てに当てはまる訳ではなく、今回紹介した相互作用は、カルシウム拮抗薬を飲んでいる人が気を付けるべきもの。
この表が代表的なカルシウム拮抗薬の一覧です。高血圧の薬の中でも一番よく出されるものです。

また、グレープフルーツが影響を与える薬は、高血圧の薬だけではありません。
コレステロールを下げるスタチンという薬の中でも
- アトルバスタチン
- シンバスタチン
と呼ばれる薬もグレープフルーツの影響を受けます。
アトピーなどの病気で使う、免役を抑え込むお薬のシクロスポリンも影響を受けますから、こちらも使用している人は気をつけて。

このように、薬というのは、説明書を読まなかったり、薬剤師さんの説明を忘れていたりすると思わぬ、「飲み合わせ」の落とし穴があります。
薬の飲み合わせで不安な方は近所の薬局や「ウチカラクリニックのオンライン診療」で相談してみてくださいね。
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