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腎不全・腎臓病の症状をチェック!原因や予防法は?【医師解説】

こんにちは。ウチカラクリニック健康メディア「予防医学大辞典」です。

今回は「腎不全・腎臓病」について、症状のチェック方法や原因などについて医師の視点から簡単に、わかりやすく解説していきます。

腎臓の機能は一旦落ちたら現代の医療ではもう元に戻る事はありません。

しかし、進行を食い止め、腎臓の機能を守る術はあります。

腎不全は、もし何らかの症状が出ている場合はかなり進行していて、早めの対策を取らずに放置していると老廃物を体の外に排出できず人工透析になり、毎週病院に通う事にもなりかねません。

腎臓のSOSは早めに気づく事が肝心です。

勿論症状が出てくる前に予防するのが最も素晴らしいですが、症状が出たからといって諦めてはいけません。

特に生活習慣病持ちの方は、腎臓からの悲鳴にすぐに気づけるようになっておきましょう。

腎不全・腎臓病とは?

ではまず、腎不全・腎臓病とは結局どういう状態の事なのか説明していきます。

その前にまず知っているようで知らない腎臓の働きについて理解しておきましょう。

腎臓は、両方の腰の後ろあたりに存在するそら豆のような形をした臓器になります。

なんだか付属品のようなイメージを持たれがちですが、実は本当にすばらしい働きをしています。

体内での腎臓のメインの役割は一言でいうと「リサイクルセンター」です。

腎臓へたどりついた血液は、腎臓の中の血管を通ってまず「糸球体」という場所でろ過され、おしっこの元となる「原尿」が1日なんと約150L程度も作られます。

そしてその後尿細管や集合管という場所を通って、

「体でまだ使えるじゃん!」

という成分をどんどん体にもう一度取り込んでいき、何段階ものリサイクルを経て、最終的に作られた原尿のたった1%程度、1日約1.5Lが本当に体に不要な分という事で選別されておしっことして体の外に排出される、こういう仕組みになっています。

本当に人間の体は腎臓様様で、無駄なくエネルギーを再利用する事で健康に生きていけるわけです。

しかし、このおしっこの通り道たち(血管→糸球体→尿細管→尿管)のどこかでアクシデントが起きてしまうと、上手くリサイクルが行われなくなります。

この状態を腎不全や腎臓病と呼びます。

腎不全・腎臓病の原因とは?

では、腎不全・腎臓病の原因とは何なのでしょうか?

まず、腎不全は大きく分けて2つのタイプに分けられます。

一つ目はボクシングでコツコツジャブを当てられるように普段の生活の中で徐々に腎臓にダメージが蓄積していくタイプです。こちらを慢性腎不全(腎臓病)と呼びます。

そして2つめは大振りのパンチを当てられて腎臓が一発ノックアウトしてしまうタイプですね。こちらを急性腎不全と呼びます。

急性腎不全は早めに治療すれば復活しますが、とはいえ脳震盪の起こったボクサーのようにダメージが残ってしまう場合があるのでなるだけ避けたいわけなんですね。

慢性腎不全・腎臓病の原因とは?

ではまず慢性腎不全(腎臓病)の原因から説明しますが、とにもかくにもこの原因は生活習慣病です。

慢性腎不全・腎臓病の原因①糖尿病

中でも要注意なのが糖尿病です。

糖尿病が原因の腎不全を「糖尿病性腎症」と呼ぶのですが、こちらは透析になってしまう原因のなんと約40%とされています。

慢性腎不全・腎臓病の原因②高血圧

他にも高血圧も腎臓に負担をかけます。

高血圧の状態が続くと動脈硬化が進行します。

当然、腎臓の血管もいわゆるカチカチ血管状態になってしまい、血のめぐりが悪くなり、その影響で腎臓の機能が落ちてしまいます。

先ほど説明した腎臓の糸球体、という場所は非常に細かい血管の集まりなので、動脈硬化が進むと糸球体がカチカチになってしまうんです。

そのためこの状態を「腎硬化症」と呼ぶ事もあります。

慢性腎不全・腎臓病の原因③尿酸値が高い事

また尿酸値が高い状態が続くと、尿酸が「結晶」というかたまりとなって腎臓に蓄積していき、炎症を起こし腎臓の機能が落ちてしまう事があります。この状態を尿酸値が高い時に起こる恐ろしいあの病気、痛風の名前を借りて「痛風腎」と呼ぶ事もあるんですね。

その名の通り痛風腎は痛風持ちの人に合併しやすいです。

このように慢性腎不全は本当に生活習慣病が天敵なのがおわかりいただけたでしょうか。

急性腎不全・腎臓病の原因とは?

そして一方、急性腎不全の原因は大きく分けて3つに分けられます。

腎前性、腎性、腎後性です。

、、と言われても訳がわからないと思うので詳しく説明していきます。

急性腎不全・腎臓病の原因①「腎前性」

まず腎前性腎不全というのは、腎臓の前、すなわち腎臓に血液が流れてくるまでに何かしらのトラブルが起きてしまうと起こります。

例えば心臓の調子が悪くて血液が上手く腎臓までたどりつかなかったり、そもそも脱水で体に水分が足りていないとこの状態が起こりえます。

水分が足りていない事でいうと、例えば減量末期で水抜きをしているボクシング選手や、水を飲まずに夏に外でサッカーをやり続けたりサウナに何時間も入っているのが大好きって人いますよね。

そういう人たちはこの腎前性腎不全になる可能性があります。

「まあでも別に水分が足りないのが原因なんでしょ?サウナ出てからいっぱい水飲めばいいんじゃないの?」

と反論される方もいますが、実は一過性、一瞬の腎前性腎不全であっても、最初に説明した腎臓の尿細管、という場所が傷つけられていた、という論文もありますので、そういった習慣がある方は、コツコツボディーブローのように腎臓にダメージが蓄積している可能性があるので、やはりお勧めしません。

腎臓は案外デリケートなんです。脱水になりやすい習慣をお持ちの方はお気を付けください。

急性腎不全・腎臓病の原因②「腎性」

次に腎性です。

腎性というのはその名の通り腎臓で炎症が起きたり、ばい菌が感染したりする事で腎臓の機能が落ちる場合です。

先ほど説明した糸球体という所でよく炎症が起きます。

腎臓で作った尿を集める腎盂、という所にばい菌が感染してしまう腎盂腎炎、という病気になると抗生物質の治療が必要になります。

急性腎不全・腎臓病の原因③「腎後性」

最後に、腎後性というのは腎臓の後、すなわち腎臓の下の尿管という管が右も左も詰まってしまうとおきます。

かなりの大きさの前立腺肥大症や腫瘍、また、あんまりないんですが右も左も尿管に石が詰まってしまう、このような場合はおしっこの通り道が完全にふさがれてしまい、尿の逃げ場がなくなりどんどん腎臓の機能が悪化していきます。

この場合はひどい場合は尿管にステントを入れてあげたり、それが難しければ腎瘻、といって背中から腎臓に繋がる管を作り、おしっこの通り道をなんとかして作ってあげる処置が必要になる場合もあります。

このように腎不全の原因は急性から慢性まで様々です。

腎不全・腎臓病の症状とは?チェック方法は?

では腎不全の症状について解説していきます。

腎不全・腎臓病の症状チェック①おしっこの泡立ち

まず腎不全・腎臓病の症状としてパッと目につきやすいのはおしっこの泡立ちです。

先ほど説明したように腎臓はリサイクルセンターの役割を果たしているんですが、腎不全の状態になると、普段のように上手にろかができなくなり、本当はまだ使える、再利用できるタンパク質がおしっこに漏れていってしまう状態になってしまう事があります。

この場合におしっこにタンパクが多く含まれているせいでおしっこが泡立ってしまう、こういう事があるんですね。

泡立っている=腎不全ではないのですが、普段と明らかに泡立ちが多く、それが続いている場合は一度「尿タンパク検査」をしましょう。

家庭でできるものもあるので、もし気になる方は一度チェックしてみて下さい。

そしてこのように、おしっこにタンパクが漏れてしまう、という事は、すなわち体の中のタンパク質が減る、そういう事ですよね。

では体の中のタンパク質が減ると一体何が起こりうるか、皆さんご存じでしょうか。

腎不全・腎臓病の症状チェック②全身のむくみ

実は体の中のタンパク質が減ると、体がむくんでしまう事があるんです。なぜなんでしょうか?

これはアルブミン、というたんぱく質が関係しています。

アルブミンは血液の中にぷかぷか浮いていて、水分を血管の中に引っ張ってくるという超重要な役割があります。

実は血管には小さな小さな穴があいていて、水分が行き来できるようになっているんです。

アルブミンのお陰で体内の血液のバランスは保たれているんですね。

しかし、腎不全になりアルブミンをはじめとしたタンパク質がおしっことして体の外に出て行ってしまうと、当然体の中のアルブミンは減ってしまいます。

すると何が起こるかというと、アルブミンが少ないので血管の中VS血管の外との綱引きに勝てなくなってしまい、血管の外に水分が逃げていってしまいます。

そして外に逃げて行った水分がむくみの症状として現れる、こういう仕組みなんです。

むくみは他にも心臓や肝臓など様々な原因の可能性がありますので、ひどいむくみが続く場合はまず一般内科を受診しましょう。

腎不全・腎臓病の症状チェック③尿の回数が多い、量が多い

またこれはみなさんのイメージに近い症状かもしれませんが、おしっこの量が変化する事もあります。

先ほどお話したように腎臓はリサイクルセンターの役割を果たしているのですが、腎不全の状態になると老廃物、ゴミ以外に、水分のリサイクルも上手にできなくなってしまいます。

すると、当然その分リサイクルできなくなった水分の量だけおしっこの量が増えるので、尿の量が多くなったり、また増えた分頻尿になってしまう、こういう事が起こりうるんですね。

これらは例えば男性だと前立腺肥大などでも出る症状なので、兎にも角にも夜中に2回、とか3回とか起きてしまうような頻尿なら一度泌尿器科を受診して確認しておきましょう。

腎不全・腎臓病の症状チェック④皮膚のかゆみ

そして、実は腎不全は皮膚にまで影響を及ぼす事があります。

腎不全の影響で皮膚がかゆくなる、こういう症状も起こりえるんですね。

これは老廃物、すなわち体のゴミの成分が影響しています。

腎不全になると、本来リサイクルするものを上手く外に出せない、という話は説明しましたが、逆に外に捨てたいものが体にたまっていってしまう、こういう事もあります。

そして人間の体にはかゆみを引き起こすスイッチであるミュー・ペプチド受容体という場所があるんですが、そこに老廃物がはまりこんでスイッチを押してしまう事で、皮膚のかゆみが引き起こされる事があるんですね。

皮膚の症状なので最初は皮膚科にかかる事が多いかとは思うのですが、腎臓などの内臓がかゆみの原因の事もあるので覚えておいて下さい。

腎不全・腎臓病の症状チェック⑤疲れやすさ

最後に紹介するのが疲れやすさです。

実は腎臓はかなりの働き者でリサイクルセンターの仕事以外にも、血液作りの効率をアップさせる役割があるエリスロポエチンというホルモンを作る役割も兼業でになっているんです。

しかしこちらの工場も腎不全状態になると残念ながらうまく作動しなくなってしまい、血液が十分に作れなくなり、結果として貧血の状態になってしまう事があります。

こうなると貧血の症状である疲れやすさが出る事があります。

今紹介した4つの症状に加えて疲れやすさがある場合は、もしかすると腎臓のせいかもしれません。

など、このように腎不全の症状は様々です。

腎不全・腎臓病の原因の予防法とは?

では恐ろしい腎不全、症状が出る前に予防する術はないのでしょうか?

まず、大前提としてお話しておきますが、よく食事で腎臓の機能をアップさせるとか、強くするとか謳い文句を聞きますが、そんな事は現代の医療では不可能ですから、そういう話を聞いたら聞き流してください。

そうではなくて、とにかく腎臓病予防で重要な事は、たった一つです。

健康な状態のピカピカな腎臓をいかに劣化させないか、これに尽きるんです。

0を+にする事はできませんが、できるだけマイナスにしない事はできますから、腎臓病予防はこういう考え方でいきましょう。

そして、その為の生活での対策を考えてみましょう。

慢性腎不全の原因の予防法

まず慢性腎不全に関してはそこまで腎臓病の予防!という意識をする必要はありません。

というのも、自分の持っている生活習慣病を可能な限りコントロールしていく事が一番の慢性腎臓病の予防に繋がりますから、生活習慣病を放置しない、ナメない。とにかくここが重要です。

特に糖尿病、高血圧、尿酸値が高い人、数値のコントロールを頑張りましょう!

急性腎不全の原因の予防法

また急性腎不全に関してはなかなか防ぐ術がないのですが、今回説明したような急性腎不全になるパターンを知っておいて、ひどい脱水の状態にならないようにしたり、おしっこを我慢しすぎて膀胱炎にならないように気を付けましょう。膀胱炎から腎臓の感染が引き起こされる場合もあります。

また、例えば腎臓にダメージを与える習慣というのも存在し、例えばある種の薬の飲み過ぎなんかは腎臓を痛めつけ、その副作用で急性腎不全の状態になってしまう事もあります。

腎臓は本当に大切な臓器です。透析を防ぐ為にも、今回説明した内容は是非覚えておいて下さい。

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この記事の監修者

この記事の監修者

ウチカラクリニック
森 勇磨

経歴

内科医/産業医/労働衛生コンサルタント
ウチカラクリニック代表
予防医学ch/医師監修 管理人

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ウチカラクリニック
森 勇磨

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