
急な体調不良による喉の痛み、どう対処していますか? 朝のイガイガ、飲み込む時の激痛…誰しも経験する悩ましい症状だからこそ、正しい知識で適切な対処が必要です。
この記事では、ウイルス感染から細菌感染、アレルギーまで、のどの痛みによる様々な原因と、それぞれの家庭でできる効果的な対処法、そして市販薬の選び方まで、医師の視点から分かりやすく解説します。
つらいのどの痛みをできるだけ早く治すための助けとしてくださいね。
ウチカラクリニックではオンライン診療に完全対応し、忙しい方向けに夜間や土日も診療を行っております。
(全国からご自宅で受診可能です。)
発熱・インフルエンザなどにお悩みの方はお気軽にオンライン診療でご相談ください。
診療時間:09:00 – 22:00
予約は24時間可能!
INDEX
喉の痛みの原因3選と疑われる病気
のどの痛みは、朝の違和感やオフィスの乾燥でイガイガするといった、誰もが一度は経験する身近なトラブルです。 “ちょっと痛いだけだし” と放っておくと、思わぬ病気が隠れていることもあるので注意が必要です。
原因は大きく分けて ウイルス感染・細菌感染・それ以外(乾燥や声の出しすぎなど) の3タイプ。それぞれで現れやすい症状や、おうちでできるケアのコツをまとめてご紹介します。仕組みを知って、つらいのどの痛みを少しでも早く楽にしましょう!
ウイルス感染症
のどの痛みでいちばん多いのは、風邪やインフルエンザなどウイルスが粘膜にくっついて炎症を起こすパターンです。くしゃみやせきで飛び散ったウイルスを吸い込んだり、ウイルスが付いた手で口や鼻を触ったりしてうつることがほとんど。
病気 | 症状 |
---|---|
風邪 | 鼻水・鼻づまり・せき。のどの痛みはわりと軽め。 |
インフルエンザ | 高熱・だるさ・筋肉痛など全身症状が強め。のどもヒリヒリしやすい。 |
ヘルパンギーナ | 夏に流行。こどもに多く、口の中に小さな水ぶくれ。 |
伝染性単核球症 | 高熱・リンパ節の腫れが長引くことがある。 |
残念ながらウイルスに効く“特効薬”はないので、休む・水分をとる・痛みや熱を和らげるお薬でラクにしながら自然に治るのを待つのが基本です。無理をせず、栄養と睡眠をしっかり確保してくださいね。
細菌感染症(溶連菌感染症、扁桃炎など)
ウイルスよりも強い痛みや高熱を起こしやすいのが細菌感染によるのどの炎症です。細菌が喉の組織に侵入し、増殖することで炎症が起こり、激しい痛みをおこします。
病気 | 症状 |
---|---|
溶連菌感染症 | 扁桃腺が真っ赤に腫れ、白い膿が付くことも。高熱・頭痛・吐き気を伴う場合があります。 |
急性扁桃炎 | 扁桃が大きく腫れ、飲み込むときに強い痛み。発熱やだるさを感じやすい。 |
細菌性咽頭炎 | のどの激しい痛みと発熱。せきや鼻水が出ることも。 |
これらは 抗菌薬(抗生物質) が必要になるため、市販薬だけで済ませず医療機関を受診してください。細菌の種類によって薬の選び方が変わるので、自己判断は禁物です。適切な抗菌薬を早めに服用すれば、痛みも熱もぐっとラクになります。
例えば、化膿レンサ球菌による扁桃炎の治療には、ペニシリン系の抗菌薬が第一選択薬。近年では、βラクタマーゼという酵素を産生し、ペニシリン系抗菌薬を分解してしまう耐性菌の増加にあわせて、アミノペニシリン系抗生物質との併用療法が有効となるケースも増えています。
アレルギー性鼻炎、風邪など
ウイルスや細菌だけでなく、身近な環境や習慣ものどの痛みの引き金になります。
- アレルギー性鼻炎
花粉やハウスダストで鼻の粘膜が炎症を起こすと、その刺激がのどまで波及してヒリヒリすることがあります。 - 風邪による鼻づまり
鼻が詰まると口呼吸になり、のどが乾いて痛みやすくなります。 - 乾燥・大気汚染
乾いた空気は粘膜のうるおいを奪い、大気中のほこりや煙はのどを直接刺激。どちらも炎症のもとになります。 - 声の出しすぎ
歌手や教師、営業の方など声をよく使う人は、声帯がオーバーワークで炎症を起こしやすいので要注意です。
こうした場合は、加湿やマスクで乾燥・刺激を減らし、のど飴やぬるめの飲み物でうるおいを保つことが予防&ケアのコツです。声を使うお仕事の方は“声帯の休憩タイム”も忘れずにどうぞ。
ウチカラクリニックのオンライン診療では、このような喉の症状に対しての治療も行っています。
自宅にいながら診察が受けれて、お薬の処方が可能なので、気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

喉の痛みの効果的な4つの対処法
のどがイガイガしたり、飲み込むたびに痛んだりすると本当に辛いですよね。声も出しづらくなって、仕事や会話が思うようにできないことも。
少しでもラクになりたいときに役立つ 4つのケア を、診療現場の経験をもとにご紹介します。今の症状や生活スタイルに合わせて、できるところから試してみてください。
喉の痛みを和らげる市販薬
ドラッグストアに行くと、のどの痛み用のお薬がずらり。内服薬にトローチ、スプレー…種類が多くて迷ってしまいますよね。
内服薬 でよく使われる成分は次の3つ。
- アセトアミノフェン/イブプロフェン
解熱鎮痛剤としても広く使われており、炎症に関わるプロスタグランジンという物質の産生を抑えることで、痛みや発熱を和らげます。 - トラネキサム酸
抗炎症作用に加えて、線溶系(線維素を溶かす反応系)を阻害することで、炎症の悪化を防ぎます。
トローチやスプレー は、有効成分が粘膜に直接届くので「今すぐラクになりたい」というときに便利。
どれにしようか迷ったときは、薬剤師さんに「のどの痛みが◯日続いていて、熱はこのくらい」など症状を伝えて相談すると、自分に合ったお薬を選びやすくなりますよ。
のどの痛みに効く食べ物と飲み物
食べ物や飲み物のちょっとした工夫でも、のどの痛みはラクになります。
- あたたかいはちみつドリンク
はちみつには粘膜の炎症を落ち着かせる働きがあるので、白湯や紅茶にスプーン1杯溶かしてどうぞ。 - しょうがでポカポカ
すりおろししょうがを紅茶に入れたり、しょうが湯にして飲むと、のどがじんわり温まります。 - 温かい飲み物で保湿
ぬるめのスープやハーブティーなど、刺激の少ない温かいものがベスト。 - 避けたいもの
キンと冷えた飲み物や辛い料理は粘膜を刺激して痛みがぶり返すことも。 - 食事はやわらかめに
おかゆ・煮込みうどん・蒸し野菜など、のどを通りやすいものをよく噛んで食べましょう。
これだけでもヒリヒリ感がかなり軽くなるはず。ぜひ試してみてください。
喉の痛みを軽減するツボ
東洋医学では、ツボをそっと押すだけでも不調が和らぐと考えられています。のどが痛むときに試しやすいのは、次の2か所。
天突(てんとつ)
のどぼとけのすぐ下、くぼんだところ。

廉泉(れんせん)
あごの骨の真下あたり、首との境目にあるくぼみ。

指先で痛くない程度にゆっくり3〜5秒押し、ふわっと離すのを数回くり返すだけで血流が良くなり、のどの違和感がラクになることがあります。力を入れすぎず、リラックスしながら試してみてくださいね。
家庭でできる効果的なケア方法
のどの痛みは、おうちでのケアを続けるだけでもずいぶん楽になることがあります。以下のポイントを押さえてみてください。
- こまめにうがい
のどの粘膜を清潔に保つことで炎症が落ち着きやすくなります。薬用うがい薬がなくても、コップ1杯のぬるま湯にひとつまみの塩を溶かした「塩うがい」で十分です。 - 加湿して乾燥を防ぐ
乾いた空気はのどの痛みを悪化させがち。次のポイントを意識しましょう。- 加湿器を使う
- 濡れタオルを室内に掛ける
- 洗面器に熱めのお湯を張り、立ちのぼる蒸気をゆっくり吸い込む
- 水分補給は「ちょこちょこ」がコツ
温かい白湯やハーブティーを少しずつ飲み、粘膜をしっとりさせましょう。冷たい飲み物やカフェインの多い飲料は刺激になる場合があるので控えめに。 - しっかり休む
睡眠不足や疲労は免疫力を下げ、回復を遅らせます。できるだけ早めに横になり、スマホや作業はほどほどに。眠る前は部屋を加湿し、のどを乾かさないようにすると一段と楽になりますよ。
悪化させないための3つの注意点と病院へ行く目安
喉の痛みはありふれた症状ですが、適切なケアを怠ると長引いたり、重症化したりする可能性があります。今回は、喉の痛みを悪化させないための注意点と、医療機関の受診目安について、実際の診療現場での経験を踏まえて詳しく解説します。
喉の痛みを悪化させる行動
喉の痛みを悪化させる行動として、以下の3つが特に重要です。
- 刺激物の摂取
刺激や乾燥は、せっかく治りかけているのどをこじらせる原因になりがちです。まず気を付けたいのが タバコの煙やアルコール、辛い料理、極端に熱い/冷たい飲み物、強い酸味のジュース など “ピリッ” とした刺激を与えるもの。温かいコーヒーでホッとしたつもりが、その熱さで粘膜が傷つきヒリヒリがぶり返すこともあります。のどがつらい日は、ぬるめの白湯やハーブティー、やわらかい温野菜など刺激の少ないものを選びましょう。 - 声の使いすぎ
歌手や教師のように長時間声を使う人は、炎症中の声帯に無理がかかって痛みが長引くケースが多いです。可能な限り“声の安静”を意識し、どうしても話す必要があるときは小さめの声+ゆっくりめの発声で。筆談やメッセージアプリで代用するのも手です。 - 乾燥
粘膜がカラカラに乾くとバリア機能が落ち、ウイルスや細菌が入り込みやすくなります。加湿器を使う、濡れタオルを部屋に掛ける、洗面器の蒸気を吸い込むなどで湿度を 50〜60% に保ちましょう。就寝時は加湿マスクを着けるだけでも、朝のイガイガ感がずいぶん違います。 - タバコは控えめに
煙は粘膜を刺激して炎症を悪化させがち。のどをいたわるなら禁煙—or せめて本数を減らすことを検討してみてください。
「刺激を避け、声を休め、うるおいをキープ」。この3つを意識すると、のどの痛みはぐっと軽くなります。

病院に行くべき症状
のどの痛みは数日で落ち着くことが多いものの、次のような症状があるときは “様子見” をやめて早めに受診してください。
- 38 ℃以上の熱が続く
インフルエンザや溶連菌感染、まれに急性喉頭蓋炎など重い病気が隠れていることがあります。 - 強い痛みで水も飲めない
扁桃のまわりに膿がたまる「扁桃周囲膿瘍」など、処置が必要なことも。 - 息苦しさ・呼吸しづらい
急性喉頭蓋炎など気道が狭くなる病気は命に関わるので、迷わず救急へ。 - のみ込みにくい(嚥下困難)
強い炎症や膿のせいで飲食ができない場合も受診のサイン。 - 症状が1 週間以上続く
慢性扁桃炎や、まれに腫瘍など別の原因が隠れていることがあります。 - 発疹が出る・首が腫れる
溶連菌などの感染症でよく見られる組み合わせです。
特に急性扁桃炎には要注意です。扁桃に急に炎症が起こる病気で、年齢を問わず発症します。
原因の多くは A 群 β‐溶血性レンサ球菌(化膿レンサ球菌) ですが、複数の細菌やウイルスが関わることも。化膿レンサ球菌が原因の急性扁桃炎では、まずペニシリン系抗菌薬が基本の治療になります。ただ近年、ペニシリンを分解するβ‐ラクタマーゼを出す菌が増えているため、アミノペニシリン系の薬を組み合わせて使うと、より効果的なことが多くなっています。
高熱・白い膿・強いのみ込み痛みがあるときは、自己判断の市販薬だけで粘らず、医師に診てもらい適切な抗菌薬を服用するほうが合併症を防ぎ回復も早くなります。

まとめ
喉の痛みを早く治すには、原因に合わせた適切な対処が必要です。
ウイルス性なら安静と水分補給、細菌性なら医療機関を受診し抗菌薬を処方してもらいましょう。市販薬やハチミツ、生姜なども効果的です。
うがい、加湿、十分な休息も大切。
高熱や呼吸困難、痛みが強い、長引く場合はすぐに病院へ。
日頃からうがい、手洗い、保湿、規則正しい生活を心がけ、喉の健康を守りましょう。
ウチカラクリニックではオンライン診療に完全対応し、忙しい方向けに夜間や土日も診療を行っております。
(全国からご自宅で受診可能です。)
発熱・インフルエンザなどにお悩みの方はお気軽にオンライン診療でご相談ください。
診療時間:09:00 – 22:00
予約は24時間可能!
参考文献
・Sidell D, Shapiro NL. Acute tonsillitis. Infectious disorders drug targets 12, no. 4 (2012): 271-6.