
「入院前に、MRSAの検査で陽性と言われた」「鼻の中に塗る、バクトロバンという薬を処方された」
そんな、特定の状況で処方される専門的なお薬が「バクトロバン鼻腔用軟膏」です。 これは、一般的な皮膚の感染症に使う薬とは異なり、薬剤耐性菌である「MRSA」を鼻の中から除去するという、特別な目的で使われる抗菌薬の塗り薬です。
この記事では、そんなバクトロバン鼻腔用軟膏について、効果の仕組みや副作用、そして正しい使い方を、医師が分かりやすく解説していきます。
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バクトロバン軟膏とは?効果は?
バクトロバン鼻腔用軟膏は、鼻の穴(鼻腔)の中にいる、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を除菌するために使われる、専門的な外用抗菌薬です。
かつて、とびひなどの皮膚感染症に使う「バクトロバン軟膏」も存在しましたが、こちらは現在、日本では販売されておりません。
医療用として処方されるのは、「バクトロバン鼻腔用軟膏2%」の1種類のみです。
バクトロバン軟膏の成分・作用機序(しくみ)
有効成分は「ムピロシンカルシウム水和物」です。
細菌が生き延びて増殖するためには、体を作るための「タンパク質」を合成する必要があります。バクトロバンは、この細菌の「タンパク質工場」の働きを邪魔します。
工場の生産ラインを止めることで、細菌は新しいタンパク質を作れなくなり、増殖できずにやがて死滅します。
他の多くの抗菌薬とは作用する場所が違うため、MRSAのような薬剤耐性菌にも効果を発揮します。
バクトロバン軟膏の効果
鼻腔内に定着したMRSAを殺菌・除去します。
どんなときに使う?(適応疾患・部位)
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の鼻腔内からの除菌
主に、手術前の患者さんや、免疫力が低下している患者さんなどが、MRSAによる院内感染を起こすのを防ぐ目的で使われます。
鼻に「とびひ」の症状が現れた場合に除菌のために処方されることもあります。
バクトロバン軟膏はオンライン診療で出せる?
「とびひで顔が荒れてしまった」「並ばずに薬だけ処方してほしい…」
そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。
バクトロバン軟膏のようなお薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。
ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。
ウチカラクリニックでも、
バクトロバン軟膏に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。
特に慢性的な皮膚疾患で継続的なケアが必要な方にとっては、通院の負担を大きく減らすことができます。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。
バクトロバン軟膏の使い方(用法・用量)

通常、1日2〜3回、適量を綿棒などを使って左右それぞれの鼻の穴の内側に塗布します。
塗った後は、鼻を外から軽くつまんで、軟膏を鼻腔内全体に行き渡らせます。
バクトロバン軟膏の副作用
副作用
- 鼻の刺激感:ヒリヒリ感、灼熱感
- 鼻水
- かゆみ、発疹
副作用は主に塗った場所の局所的な症状です。
副作用が出たときの対処法
上記のような症状が現れたり、いつもと違う異常を感じたりした場合は、使用を中止し、処方した医師や薬剤師に相談してください。
バクトロバン軟膏の注意事項・禁忌
使ってはいけない方
- 過去にバクトロバン軟膏の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方(禁忌)
併用に注意が必要な薬
- 他の鼻腔用抗菌薬・ステロイド点鼻:同部位併用で薬効↓
- ワセリン系軟膏:薬がのびにくくなる
- 大量アルコール摂取:局所免疫低下で治りづらくなる
使用上の注意
塗り方のコツ | 塗布前に鼻をかんで鼻の中をきれいにしておくと、薬の効果が高まります。 薬を塗った後、少なくとも1時間は、他の点鼻薬の使用や鼻をすすぐ(鼻うがいなど)ことは控えてください。薬が洗い流されてしまいます。 |
家族などへの感染対策 | ご家族にMRSA保菌者の方がいる場合など、菌が他の人にうつるのを防ぐため、タオルや枕カバーなどの共用は避けましょう。 |
アルコールは控えめに | 飲酒すると、鼻の粘膜の血流が増え、副作用である刺激感が強く出ることがあります。治療中は控えるのが望ましいです。 |
鼻の中にのみ使用する | この薬は鼻腔用です。皮膚や目には使用しないでください。 |
長期間、だらだら使わない | 抗菌薬の塗り薬を不必要に長期間使うと、薬が効かない耐性菌が生まれる原因になります。 |
保管方法
- 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
- 子どもの手の届かない場所に置いてください。
使い忘れたら?
気づいた時点で1回分を塗ってください。
ただし、次に塗る時間が近い場合は、1回とばしても構いません。
ウチカラクリニックのオンライン診療でも、バクトロバン軟膏の処方や肌トラブルの治療も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

バクトロバン軟膏に市販薬はある?値段は?
市販薬
2025年7月現在、バクトロバン鼻腔用軟膏の市販薬はありません。医師の処方が必要な医療用医薬品です。
ジェネリック名
2025年7月現在、バクトロバン鼻腔用軟膏のジェネリック医薬品は販売されていません。
薬価
- バクトロバン鼻腔用軟膏2%(先発品):約524.4円/g
(3割負担の場合、自己負担額は1gあたり約157円)
※2025年7月18日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
よくある質問(FAQ)
Q.妊娠中や授乳中でも使えますか?
治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合にのみ使用されます。自己判断で使用せず、必ず医師に相談してください。
Q.子供でも使えますか?
はい、お子様のMRSA除菌にも使われます。 ただし、必ず医師の厳密な指導のもとで使用することが大切です。
Q.とびひや、おできにも使えますか?
この薬は「鼻腔用」であり、皮膚の感染症への使用は認められていません。鼻の中にまで症状が広がってしまった際などに処方されることもありますが、それ以外の部位へ処方はされません。
かつて存在した皮膚用の「バクトロバン軟膏」は、現在日本では販売されていません。
Q.どのくらいで効きますか?
この薬は、鼻の中にいる菌を徐々に減らしていく薬です。自覚症状がないため、効果が出ているかどうかは分かりにくいです。通常、数日間使用した後、再度鼻の中の菌を検査し、MRSAがいなくなったか(除菌できたか)を確認することで効果を判定します。
Q.ステロイドは入っていますか?
いいえ、ステロイドは入っていません。 細菌を殺すための抗菌薬です。
まとめ
バクトロバン鼻腔用軟膏は、薬剤耐性菌であるMRSAを鼻の中から除去するという、専門的な目的で使われる抗菌薬の塗り薬です。
処方された場合は、指示された期間、正しく鼻の中に塗布し、MRSAをしっかり除菌することが大切です。
ウチカラクリニックのオンライン診療でもバクトロバン鼻腔用軟膏をはじめとしたお薬の処方は可能です。気になる方はぜひお気軽にご相談ください。
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