ベルソムラの効果・副作用を医師が解説【デエビゴとの違い・15mg/20mgどちらがいい?】

Belsomra

「寝つけない… 夜中に何度も目が覚める…」

そんな不眠の悩みに広く使われているのが 「ベルソムラ」
ベンゾ系とはまったく違うしくみで“覚醒スイッチ”だけを静かにオフにするので、 依存が少なく翌朝スッキリ と言われます。

ここでは効果時間や副作用、飲み方のコツまでやさしくまとめました。

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ベルソムラとは

ベルソムラの成分

ベルソムラは「スボレキサント」を有効成分とする、「オレキシン受容体拮抗薬」と呼ばれる新しいタイプの睡眠薬です。

私たちの脳には、「オレキシン」という物質があります。このオレキシンは、脳に対して「起きろ!」と指令を出し、私たちを覚醒させる(目を覚まさせる)働きを持っています。

ベルソムラは、このオレキシンの働きを邪魔(ブロック)するお薬です。オレキシンが受容体にくっつくのを防ぐことで、脳の覚醒システムが過剰に働くのを抑え、「覚醒スイッチ」をオフにしやすくします。その結果、脳がリラックスして自然と眠りやすい状態になるのです。

従来の多くの睡眠薬(ベンゾジアゼピン系など)が脳全体の活動を鎮めるのに対し、ベルソムラは覚醒に関わる特定の神経伝達に作用するため、より自然な眠りに近いメカニズムと言えます。

ベルソムラ効果は?何時間くらい眠れる?

ベルソムラの最大の特徴は、脳を無理やり眠らせるのではなく、自然な眠りを促す点にあります。

  • 寝つきを良くする(入眠改善)
  • 夜中に目が覚める回数を減らす(中途覚醒改善)

といった効果が期待できます。

服用後、比較的すみやかに効果が現れ始め、個人差はありますが、一般的に6~8時間程度の睡眠をサポートしてくれると言われています。
無理に眠らせるわけではないので、翌日の眠気やふらつきといった「持ち越し効果」が比較的少ないのも嬉しいポイントです。

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

ベルソムラは主に以下のような不眠症状に処方されます。

  • 入眠困難(寝つきが悪い)
  • 中途覚醒(夜中に何度も目が覚める)
  • 早朝覚醒(朝早く目が覚めてしまう)
  • 熟睡困難(眠りが浅く、熟睡感がない)

これらの症状に悩んでいる方の助けになるお薬です。

デエビゴなどの不眠時薬と比較すると?依存性・強さは?

睡眠薬と聞くと、「強い薬じゃないか」「依存性が心配」と感じる方もいるかもしれません。

ベルソムラは、睡眠薬の中では比較的マイルドな作用と言えるでしょう。覚醒を抑えることで眠気を促すため、強い催眠作用を持つ薬に比べると、依存性や、急にやめたときに不眠が悪化する「反跳性不眠(はんちょうせいふみん)」のリスクが低いと考えられています。

ベルソムラと同じタイプの睡眠薬に「デエビゴ」というお薬もあります。こちらも脳の覚醒物質「オレキシン」に作用する点は同じで、依存性が低いのが特徴です。

じゃあ、何が違うの?というと、主なポイントは2つ。

  1. 効いている時間の長さ:
    一般的に、デエビゴの方がベルソムラより少し長く効くと言われています。夜中に目が覚めやすい方にはメリットかもしれませんが、人によっては翌日の眠気につながることもあります。
  2. お薬の量の種類:
    デエビゴには、ベルソムラよりも少ない2.5mgという用量があります。より少量から試したい場合に選択肢。

どちらが良いかは、不眠のタイプや体質によって本当に人それぞれです。お医者さんが、あなたの状態に合わせて「ベルソムラがいいか」「デエビゴがいいか」を判断してくれますので、自己判断せずに相談してくださいね。

他のお薬の種類や睡眠薬の依存性が気になるかたはこちらの記事もチェックしましょう。

ベルソムラの使い方(用法・用量

10mg/15mg/20mgの3種類の錠剤が存在します。

通常、就寝前に1回服用。通常、成人には1回20mg、高齢者の方には、1回15mgから開始することが一般的です。1日の最大服用量は20mgなので自己判断で増やさないようにしましょう。

飲んですぐに布団に入るのがおすすめ。服用後は車の運転や機械操作を行わないよう注意しましょう。
翌朝の眠気をできるだけ抑えるためにも、最低でも6~7時間は睡眠をとれる環境で服用するようにしてください。

また、入眠効果の発現が遅れるおそれがあるため、食事と同時または食直後の服用は避けましょう

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、症状に応じてベルソムラの処方や不眠症状の治療も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

ベルソムラの注意事項・禁忌

併用に注意が必要な薬

  • CYP3Aを阻害する薬剤(フルコナゾール、エリスロマイシン、ベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシンなど )
    血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがあります。 併用する場合は2.5mgから慎重に始めましょう。
  • 他の不眠症治療薬
    併用したときの有効性及び安全性は確立されていません

他の薬を飲んでいる場合は、必ず医師や薬剤師に伝えて確認してもらいましょう。

使用上の注意

重度の肝機能障害のある方は使用でしません。 中等度では血中濃度が上昇するため、1日1回5mgを超えないよう少量から慎重に開始します。

ベルソムラを服用すると、翌朝にも眠気や集中力低下が残る可能性があります。特に夜遅い時間に高用量を服用すると持ち越し効果が強くなるので注意が必要です。

服用後はふらつきや転倒のリスクが高まるので眠れるまで安静にしましょう。夜間のトイレなどで起きなくてはいけない場合は明るくして移動しましょう。

効果不十分の場合も自己判断で増量せず、医師に相談しましょう

保管方法

  • 直射日光・高温多湿を避けて保管しましょう。
  • 子どもの手の届かない場所に置いてください。

飲み忘れたら?効かないときは?

もし飲み忘れたら無理に夜中に飲むのは避けましょう。すでに就寝時間が遅い場合、起床後まで眠気が残る恐れがあります。翌日からまた通常どおりに飲めばいいです。

効かないからと2回分を一度に服用してはいけません

睡眠薬はなしで眠れるならそれにこしたことはありません。「必要ないとき」は飲まなくてOK

毎日飲むから効いていくというものではありません。

ベルソムラの副作用

主な副作用

  • 眠気やふらつき:翌朝まで残る場合あり
  • 頭痛、倦怠感、めまい:体質やコンディションに左右される
  • 悪夢・生々しい夢:オレキシンを抑える影響で、まれに夢が鮮明になる報告があります

副作用が出たときの対処法

  • 寝る前の時間に余裕をもって、6〜7時間ぐっすり眠るようにしましょう
  • 悪夢や強い眠気が続くなど気になる症状があれば医師に相談
  • 量の調整や別の薬へ切り替えるなど対策を検討してもらえます

ベルソムラに市販薬はある?値段は?

市販薬

ベルソムラと同じ成分の市販薬はありません
市販の睡眠補助サプリなどはまったく別の成分ですので、効果が異なります。自己判断で切り替えず、必ず医師と相談しましょう。

ジェネリック名

現時点では、ベルソムラと同じ成分を含むジェネリック医薬品はありません

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • ベルソムラ錠10mg: 1錠あたり 約80.3円
  • ベルソムラ錠15mg: 1錠あたり 約107.5円
  • ベルソムラ錠20mg: 1錠あたり 約127.4円

※2025年4月29日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg

よくある質問(FAQ)

Q. 妊娠中や授乳中でも使える?
原則として推奨されません。 妊娠中・授乳中の安全性に関する十分なデータがないためです。治療上のメリットがリスクを上回ると医師が判断した場合にのみ処方されることがありますが、自己判断は絶対にせず、必ず医師に妊娠・授乳中であることを伝えて相談してください。

Q. 小児でも使える?
小児を対象とした臨床試験は実施されていないため、小児への投与は推奨されていません。
子どもの不眠の場合は、睡眠薬よりも生活習慣の改善や不眠の原因に直接対処する方法が一般的です。

Q. 運転への影響は?
ベルソムラを服用すると、眠気、注意力低下、反応時間の遅延などが生じる可能性があります。服用後は自動車の運転や機械の操作は絶対にやめましょう。翌朝も注意が必要です。

Q. 飲み始めてどのくらいで効果が出る?
服用してから効果が現れるまでの時間には個人差がありますが、一般的には30分〜1時間程度で眠気を感じはじめることが多いです。効果が不十分だと感じても自己判断で増量せず、医師に相談してください。

Q. お酒と一緒に飲んでも大丈夫?
ベルソムラとアルコールを一緒に摂取すると、中枢神経抑制作用が増強され、過度の鎮静や呼吸抑制を起こす可能性があります。また、アルコールにより睡眠の質が低下することもあります。デエビゴ服用中はアルコールを避けるか、少なくとも控えめにするのが賢明です。

Q. 効かない場合はどうすればいいですか?
効果を感じにくい場合でも、自己判断で量を増やしたりしないでください。効果が出にくい原因(飲むタイミング、他の要因など)を探る必要があります。必ず医師に相談し、薬の調整や変更などを検討してもらいましょう。

まとめ

ベルソムラは、脳の覚醒に関わるオレキシンの働きを抑えることで、自然な眠りをサポートする新しいタイプの睡眠薬です。従来の薬に比べ、依存性が少なく、翌日の持ち越し効果も比較的少ないというメリットがあります。

しかし、どんな薬にも副作用のリスクや注意点は存在します。最も大切なのは、医師の指示通りに正しく服用すること、そして疑問や不安、気になる症状があれば、すぐに医師や薬剤師に相談することです。

この記事が、ベルソムラへの理解を深め、皆さんが安心して不眠症治療に取り組むための一助となれば幸いです。つらい不眠が少しでも改善し、穏やかな夜を取り戻せるよう心から願っています。

ウチカラクリニックではオンライン診療に完全対応し、忙しい方向けに夜間や土日も診療を行っております。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。