胃腸炎はうつる?うつらない人の3つの特徴と血液型の関係【医師監修】

消化器内科
胃腸炎はうつる?うつらない人の3つの特徴と血液型の関係【医師監修】
監修者
森 勇磨

冬になると決まって流行する胃腸炎。家族の誰かがかかってしまい、「次は自分の番かも…」とヒヤヒヤしたり、職場で同じものを食べたはずなのに、自分だけ平気だったり…。

「胃腸炎がうつる人とうつらない人には、何か違いがあるの?」と不思議に思ったことはありませんか?

この記事を読めば、その長年の疑問がスッキリ解決します。 胃腸炎がうつる仕組みから、うつらない人の秘密、そして今日からすぐに実践できる最強の予防法まで、医師が分かりやすく解説します!

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胃腸炎はうつるの?

まず結論からお伝えすると、胃腸炎は他人にうつりますが、全ての胃腸炎が人にうつるわけではありません。

胃腸炎には、大きく分けて2つのタイプがあります。

うつる胃腸炎【感染性胃腸炎

ノロウイルスやロタウイルス、サルモネラ菌といったウイルスや細菌が原因です。
人から人へ、あるいは汚染された食品を介して感染が広がります。多くの人が「胃腸炎はうつる」と心配するのは、このタイプです。

 

うつらない胃腸炎非感染性胃腸炎

ストレスや暴飲暴食、アレルギー、薬の副作用などが原因で胃腸の調子が悪くなるタイプです。
こちらは原因が自分自身の中にあるため、他の人にうつることはありません。

胃腸炎についてさらに詳しい解説はこちら
胃腸炎の症状は?うつるの?原因や薬について医師が解説!【感染性胃腸炎】

 

この記事では、皆さんが最も知りたい「うつる胃腸炎(感染性胃腸炎)」に焦点を当てて解説していきます。

 

どうやって胃腸炎がうつる?胃腸炎の3大感染ルート

ウイルス性の胃腸炎は、非常に少ないウイルス量(10~100個程度)でも感染するほど強力です。主に、以下の3つのルートで感染が広がります。

接触感染(最も多い感染ルート)

感染者の便や嘔吐物に触れた手で、無意識に自分の口や鼻に触れてしまうことで感染します。
ドアノブ、手すり、電車のつり革、タオルの共用などが主な原因です。

飛沫感染

感染者の咳やくしゃみ、あるいは嘔吐した際のしぶき(飛沫)を吸い込んでしまうことで感染します。

空気感染(塵埃感染)

感染者の嘔吐物が乾燥した後、ウイルスを含んだホコリ(塵埃)が空気中に舞い上がり、それを吸い込んでしまうことで感染します。
床に残ったウイルスが掃除機などで舞い上がることもあるため、処理には注意が必要です。

胃腸炎に「うつらない人」に共通する3つの特徴

「なぜあの人は平気なの?」という疑問の答えは、主に3つの特徴に隠されています。

特定の血液型を持っている(遺伝的要因)

「胃腸炎のうつりやすさが、血液型で変わるなんて本当?」と思うかもしれませんが、これは複数の科学的な研究によって示唆されている事実なんです。

人の消化管の細胞表面には、「血液型抗原」と呼ばれる、血液型を決める糖の鎖があります。実は、ノロウイルスなどの一部のウイルスは、この糖の鎖を“足場”にして細胞に侵入します。

国立感染症研究所の報告※1や、医学雑誌『Journal of Infectious Diseases』で発表された米国の研究※2などによると、ウイルスの種類によって、くっつきやすい血液型抗原(足場)が異なります。

そのため、血液型によって特定のウイルスへの感染しやすさが変わってくるのです。

 

 

  • O型の人:多くのノロウイルス株が足場として利用しやすいため、感染しやすく、症状も重くなりやすい傾向があると言われています。
  • B型・AB型の人:一部のノロウイルス株が足場として利用しにくいため、特定のウイルスに対しては感染しにくい、あるいは感染しても発症しないことがあると報告されています。

これはあくまで「かかりやすさの傾向」であり、「B型やAB型だから絶対に胃腸炎にならない」という意味ではありません。
ウイルスには非常に多くの型が存在するため、どんな血液型の人でも感染するリスクはあります。

※1 国立感染症研究所「ノロウイルス感染症とは」
※2 Hutson AM, et al. “Norwalk virus infection and disease is associated with ABO histo-blood group type.” Journal of Infectious Diseases, 185(9), 1335-1337, 2002.

 

過去に同じ型のウイルスに感染したことがある【免疫力】

一度、特定の型の胃腸炎ウイルスに感染すると、私たちの体はそのウイルスを記憶し、一定期間、同じ型のウイルスに対する免疫ができます。

そのため、過去に流行したのと同じ型のウイルスが再びやってきても、うつりにくかったり、かかっても軽い症状で済んだりすることがあります。

ただし、この免疫はインフルエンザなどと同様、長くは続きません。また、ノロウイルスは非常に変異しやすいため、次々に新しい型が登場します。

そのため、「去年かかったから今年は大丈夫」とは限らないんですね。

行動習慣

遺伝や免疫も関係しますが、胃腸炎にうつらない人の最も重要で、そして誰もが真似できる特徴は「予防習慣」です。

  • 正しい手洗いが身についている
  • むやみに顔(特に口や鼻)を触らない
  • 流行シーズンは人混みを避ける意識がある
  • 食品の加熱など、食事に気をつけている

結局のところ、ウイルスとの接触機会を物理的に減らす行動が、最も効果的な防御策と言えます。

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今日からできる胃腸炎予防策5選

「うつらない人」の特徴がわかったところで、次は私たちが実践できる具体的な予防策です。

正しい手洗い

石鹸を使い、30秒以上かけて丁寧に洗いましょう。

特に洗い残しやすい「指先・爪の間」「指の間」「親指の付け根」「手首」は意識して洗ってください。

 

アルコールは効かない?正しい消毒

ノロウイルスやロタウイルスは、アルコール消毒が効きにくい手ごわい相手です。
消毒には「次亜塩素酸ナトリウム」を使いましょう。

作り方

家庭用塩素系漂白剤(ハイター、ブリーチなど)を水で薄めて作ります。

  • ドアノブ・おもちゃ等の消毒: 製品のキャップ1杯(約25ml)を、水3Lで薄める(約0.02%)。
  • 嘔吐物・便の処理: 製品のキャップ2杯(約50ml)を、水1.5Lで薄める(約0.1%)。

注意点

金属を腐食させたり、色落ちさせたりすることがあります。使用後は水拭きしましょう。
手指の消毒には使えません。

 

食事の注意点

食事が原因の胃腸炎を防ぐには、食中毒予防の三原則を意識することが大切です。

  • つけない: 調理や食事の前には、石鹸でしっかり手を洗いましょう。
  • 増やさない: 細菌は暖かい場所で増えるため、食品は冷蔵庫でしっかり保存しましょう。
  • やっつける: ほとんどのウイルスや細菌は熱で死滅します。

特に、ノロウイルスの原因となりやすいカキなどの二枚貝を食べる際は、この「やっつける」が最も重要です。

加熱の目安は、中心部を85~90℃で90秒以上です。食品を十分に加熱することで、食事が原因の胃腸炎リスクを大きく減らすことができますよ。

物理的にブロック

胃腸炎の方を看病をする際や、流行シーズンに人混みへ行く際は、マスクを着用して飛沫を防ぎましょう。
汚物の処理をするときは、使い捨ての手袋やエプロンが必須です。

免疫力の維持

ウイルスが体内に侵入しても、発症するかどうかは体の抵抗力も関係します。

バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレスを溜めない生活を心がけ、免疫力の土台を強くしておきましょう。

 

家庭内での感染を防ぐポイント

万が一、家族が感染してしまったら、冷静な対処が二次感染を防ぐカギです。

  • 担当者を決める: 看病する人は、できれば一人に限定しましょう。
  • 空間を分ける: 可能であれば、療養する部屋とトイレを分けましょう。
  • モノを分ける: タオル、食器、リモコン、歯ブラシなどは絶対に共用しないでください。
  • こまめな換気: 室内にウイルスが滞留しないよう、定期的に空気を入れ替えましょう。

 

特に嘔吐物・便の処理は重要です!
感染予防のためにも、次の手順を意識するようにしましょう。

  1. 準備:使い捨てのマスク、手袋、エプロンを着用。窓を開けて換気する。
  2. 拭き取り: 嘔吐物をペーパータオル等で外側から内側へ、静かに覆うように拭き取る。
  3. 消毒: 拭き取った場所にペーパータオルを置き、濃いめ(0.1%)の消毒液をかけて10分ほど湿布。その後、水拭きする。
  4. 密閉: 汚物や使用したペーパー類は全てビニール袋に入れ、口を固く縛って捨てる。

 

 

よくある質問

胃腸炎の潜伏期間はどれくらい?

ウイルスの種類によりますが、ノロウイルスの場合は24時間~48時間(1~2日)が一般的です。感染してから1〜2日後に突然症状が現れます。

症状が治まれば、もううつらない?

いいえ、油断は禁物です。症状が消えても、通常1週間、長いときには1ヶ月以上も便からウイルスが排出され続けます。 回復後も、しばらくは丁寧な手洗いを心がけましょう。

キスや性行為でもうつりますか?

はい、うつります。唾液にもウイルスが含まれる可能性があり、濃厚な接触は感染リスクが非常に高い行為です。

赤ちゃんや子どもにうつさないために一番気をつけることは?

大人が外からウイルスを持ち込み、家庭内での感染源になるケースが非常に多いです。帰宅後の手洗い、調理前の手洗いを徹底してください。また、お子様のおむつを交換した後は、必ず石鹸で手を洗いましょう。

 

まとめ

この記事のポイントを振り返ってみましょう。

  • 胃腸炎には、ウイルスなどが原因の「うつるタイプ」と、ストレスなどが原因の「うつらないタイプ」がある。
  • うつらない人には「遺伝(血液型など)」「免疫」「行動習慣」の3つの特徴があるが、過信は禁物。
  • 最強の予防策は、誰でも今日から実践できる「正しい手洗い」と「適切な消毒」
  • 家族が感染したら、嘔吐物の処理とタオルの共用禁止を徹底することが二次感染予防のカギ。

胃腸炎は、「運が悪かった」と諦める病気ではなく、「正しい知識」で感染リスクを大幅に減らせる病気です。

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監修者情報
森 勇磨

森 勇磨

ウチカラクリニック代表医師

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。

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