「毎年、春になるとスギ花粉症で本当につらい…」「いつまで薬を飲み続ければいいんだろう？」
そんな、終わりの見えない花粉症の悩みをお持ちの方へ。症状を一時的に抑えるのではなく、アレルギー体質そのものを改善し、根本的な治癒（根治）を目指す治療法があります。その中心となるお薬が「シダキュア」です。
この記事では、スギ花粉症に対する「舌下免疫療法」という専門的な治療薬、シダキュアについて、その仕組みや効果、副作用、そして治療の流れを、医師が分かりやすく解説していきます。
アレルギー症状は
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INDEX
シダキュアとは？効果は？
シダキュアは、「舌下免疫療法（ぜっかめんえきりょうほう）」に使われるお薬です。アレルギーの原因物質（アレルゲン）であるスギ花粉のエキスを、毎日少しずつ体に取り入れることで、体をスギ花粉に慣れさせ、アレルギー反応そのものを起こしにくくする治療法です。
花粉症のシーズンだけ症状を抑える「対症療法」とは異なり、長期的な症状の改善や、治癒（長期寛解）が期待できるのが最大の特徴です。
シダキュアは、治療のステップに合わせて2種類の錠剤を使い分けます。
- シダキュアスギ花粉舌下錠2,000JAU：治療開始1週目に使う、体を慣らすための低用量タイプ。
- シダキュアスギ花粉舌下錠5,000JAU：治療2週目から使い続ける、維持量タイプ。
シダキュアの成分
有効成分は「標準化スギ花粉エキス」です。
仕組みを簡単に言うと、「スギ花粉に体を慣らすトレーニング」です。
- シダキュアを舌の下で溶かし、少量のアレルゲンを体内に吸収させる。
- これを毎日繰り返すことで、免疫システムが「スギ花粉は敵ではない」と学習し、過剰なアレルギー反応を起こさなくなる（＝免疫寛容）。
- その結果、花粉シーズンになっても、症状が出ない、または非常に軽くなる。
この体質改善には時間がかかり、治療期間は3〜5年とされています。
シダキュアの効果
スギ花粉に対するアレルギー反応を根本から改善します。
- スギ花粉シーズンのくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状を著しく軽減、または消失させる
- アレルギー治療薬の使用量を減らすことができる
どんなときに使う？（適応疾患・部位）
- スギ花粉症
ヒノキやブタクサ、ハウスダストなど、スギ花粉以外のアレルギーには効果がありません。
ダニアレルギーにはシダキュアと同じような「ミティキュア」というお薬も存在しています。
シダキュアはオンライン診療で出せる？
「毎年花粉症がつらい」「シダキュアの治療には時間がかかるけど、病院に行く時間がない…」
そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。
花粉症などのアレルギー治療薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。
ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。
ウチカラクリニックでも、
アレルギーに関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。
※シダキュアなどの舌下免疫療法に関しては、アナフィラキシーショックなどのリスクの観点から、治療開始後1か月以上経過し安定している場合にのみオンラインでの対応が可能です。
症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。
経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。
シダキュアの使い方（用法・用量）
最初の1錠は、必ず医療機関で医師の監督のもと服用します。
アナフィラキシーなどの重い副作用に備えるためです。2回目以降は、自宅で毎日服用します。
お薬の飲み方
- 1日1回1錠を、舌の下に置きます。
- 舌の下に1分間保持したまま、唾液も飲み込まないようにします。
- 1分経ったら、唾液ごと飲み込みます。
- その後5分間は、うがいや飲食を避けてください。
治療スケジュール
治療の開始時期は、スギ花粉が飛んでいない時期（通常6月〜12月初旬頃）です。
- 初回投与は、アナフィラキシーショックのリスクの観点から医療機関で医師の観察の元行います。
- 2-7日目までは自宅で2,000JAUを1日1錠服用します。
- 2週目以降は自宅で5,000JAUを1日1錠服用します。
- 定期的に受診し、経過観察をしつつ治療を続けていきます。3年以上の継続が推奨されています。
シダキュアの副作用
アレルゲンを体内に入れるため、アレルギー反応としての副作用が出ることがあります。多くは治療初期に集中し、徐々に軽快します。
主な副作用
- 口の中の症状：口内炎、舌の下の腫れ、口の中のかゆみ・不快感
- 喉の症状：喉のかゆみ、刺激感、不快感
- 耳のかゆみ
アナフィラキシーの症状に特に注意が必要です。
アナフィラキシーとはじんましん、腹痛、嘔吐、息苦しさ、意識混濁などが現れる重篤なアレルギー反応です。頻度は極めてまれですが、万が一に備え、初回は必ず医療機関で服用します。
副作用が出たときの対処法
軽い症状は自然に治ることが多いですが、症状が強い場合や続く場合は、医師に相談してください。
息苦しさなどアナフィラキシーを疑う症状が出た場合は、直ちに医療機関を受診してください。
シダキュアの注意事項（禁忌）
使ってはいけない方
- シダキュアで重篤な副作用を起こしたことがある方（禁忌）
- 重い気管支喘息の方（禁忌）
- 悪性腫瘍（がん）や、免疫系の重い病気のある方（禁忌）
- 不安定な気管支喘息の方
- 高齢者、小児（5歳未満の安全性は確立されていない）
- 抜歯後や口の中に傷や炎症がある場合（服用を一時中断または延期することがあります）
併用に注意が必要な薬
- β遮断薬（高血圧や狭心症などの薬）を服用中の方
使用上の注意
| 体調が悪い日の服用 | 風邪や胃腸炎などで体調が優れないときは、自己判断で服用せず、医師に相談してください。 |
| 服用前後の注意 | 服用前後2時間の激しい運動、アルコール摂取、入浴は、血行を促進し副作用を誘発する可能性があるため避けてください。 |
保管方法
- 室温で保管してください。 冷蔵庫に入れる必要はありません。
- 光と湿気を避けるため、アルミのピロー包装（外袋）に入れたまま保管してください。
- 服用する直前に、乾いた手でPTPシートから錠剤を取り出してください。
- お子様の手の届かない場所に保管してください。
飲み忘れたら？
気づいた時点で、その日の分を1回分服用してください。
翌日になってしまった場合は、前日の分は服用せず、当日の分だけを1回分服用してください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
ウチカラクリニックのオンライン診療でも、シダキュアをはじめとしたアレルギー薬の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。
※シダキュアの場合は服用開始後1か月以上経過し、症状が安定している場合に限ります。
シダキュアに市販薬はある？値段は？
市販薬
シダキュアは専門的な治療薬のため、市販薬はありません。
必ず医師の診察と処方が必要です。
ジェネリック名
シダキュアは専門的な治療薬のため、ジェネリック医薬品はありません。
薬価
保険適用ですが、治療期間が長いため、総額を把握しておくことが大切です。
維持療法に入ると、1ヶ月（30日分）の薬剤費の自己負担額（3割負担の場合）は約1,800～2,000円程度になります。これに加えて、月1回程度の診察料や調剤料がかかります。
| 薬品名 | 薬価（1 錠あたり） | 3割負担の場合の自己負担額 |
|---|---|---|
| シダキュアスギ花粉舌下錠2000JAU（導入期用） | 約 58.5／錠 | 約 18 円 |
| シダキュアスギ花粉舌下錠5000JAU（維持期用） | 約 146.1 円／錠 | 約 44 円 |
※2025年6月4日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
シダキュアスギ花粉舌下錠2,000JAU／シダキュアスギ花粉舌下錠5,000JAU
よくある質問（FAQ）
Q. 妊婦や授乳中でも飲めますか？
治療の新規開始はできません。 すでに治療中で状態が安定している場合は、医師と相談の上で継続することもありますが、安全性が確立されていないため、通常は推奨されません。
Q. 子供でも使えますか？
5歳以上であれば治療が可能です。錠剤を1分間舌の下に保持できることが条件になります。
Q. 運転してもいいですか？
はい、問題ありません。眠気を催す成分は入っていません。
Q. いつから効きますか？
効果を実感するには、少なくとも半年〜1年程度はかかります。治療を3年以上続けると、約8割の方で症状の改善がみられ、そのうちの約2割の方は症状がほぼなくなり薬も不要に（根治）なると報告されています。残念ながら、約2割の方にはあまり効果が見られません。
Q. 治療期間はどのくらいですか？
3〜5年間の継続が推奨されています。長期間続けることで、治療終了後も効果が持続しやすくなります。
Q. 治療中、他のアレルギー薬は飲めますか？
はい、飲めます。特に治療開始初期や、花粉シーズンで症状が強く出た場合は、抗ヒスタミン薬などを併用して症状をコントロールします。
Q. ヒノキ花粉症にも効きますか？
いいえ、効きません。 シダキュアはスギ花粉専用の治療薬です。
まとめ
シダキュアによる舌下免疫療法は、スギ花粉症の根治を目指せる画期的な治療法です。
3〜5年という長期間、毎日の服用が必要ですが、長年のつらい症状から解放される可能性があります。 副作用のリスク管理のため、初回は必ず医療機関で服用するなど、専門的なルールを守ることが不可欠です。
興味のある方は、まずは専門の医療機関に相談してみましょう。
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