
「足の親指の付け根が、いきなり赤く腫れて激痛が!」「もしかして、これが痛風発作…?」そんな、風が吹いても痛いと言われるほどの激しい痛みを伴う痛風発作。経験した方にとっては、本当に悪夢のような症状ですよね。
そんなとき、お医者さんから「コルヒチン」というお薬が処方されることがあります。「コルヒチンって、どんなお薬なの?」「本当にあの激痛に効くの?」「副作用が心配…特にコルヒチン中毒って何?」など、たくさんの疑問や不安を感じるかもしれません。
この記事では、痛風発作の治療や予防などに使われるお薬「コルヒチン」について、その正体から効果、副作用(特に注意が必要なコルヒチン中毒について)、そして何よりも大切な正しい飲み方や注意点を、医師がとことん優しく、そして分かりやすく解説します!コルヒチンと上手に付き合って、つらい痛風発作をコントロールし、穏やかな毎日を目指しましょう。
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コルヒチンとは?効果は?
コルヒチンは、主に痛風発作の治療(痛みを和らげる)や、痛風発作が起きるのを予防するために使われる飲み薬です。また、まれな病気ですが、家族性地中海熱という病気の治療にも用いられます。
その歴史は古く、イヌサフランという植物から抽出される成分が元になっています。痛風発作の特効薬とも言われることがありますが、その効果の反面、使い方を間違えると重い副作用(コルヒチン中毒)を引き起こす可能性があるため、非常に注意が必要なお薬でもあります。
コルヒチンの成分
コルヒチンの主役は、「コルヒチン」という成分です。
では、このコルヒチンは、私たちの体の中でどんな風に働いて、痛風発作の激しい痛みや炎症を和らげてくれるのでしょうか?
①白血球の暴走をストップ
痛風発作は、血液中の尿酸値が高い状態が続くことで、尿酸の結晶が関節などにたまり、それを白血球が異物とみなして攻撃することで激しい炎症が起こります。コルヒチンは、この白血球が炎症の場所に集まってきたり、炎症を引き起こす物質を放出したりするのを抑える働きがあります。つまり、炎症の火種を大きくしないように、白血球の過剰な働きを「待った!」と止めてくれるイメージです。
②炎症を悪化させる物質の産生を抑える
その他にも、炎症に関わる様々な物質の産生を抑えることで、炎症反応全体を鎮静化するのを助けます。
このように、コルヒチンは、痛風発作の炎症のメカニズムに直接働きかけることで、つらい症状を和らげてくれるのです。ただし、血液中の尿酸値を下げる効果はないため、痛風の根本治療には尿酸値を下げるお薬が別途必要になります。
コルヒチンの効果
- 痛風発作時の激しい痛み、腫れ、赤みなどの炎症症状を和らげる
- 痛風発作が繰り返し起こるのを予防する
- 家族性地中海熱の発作を予防する、症状を軽くする
特に痛風発作に対しては、「発作の予兆期(なんとなく関節がムズムズする、違和感があるなど、本格的な痛みが来る前の段階)」に飲むことで、発作を未然に防いだり、軽く済ませたりする効果が高いと言われています。
どんなときに使う?(適応疾患・部位)
- 痛風発作の治療および予防
- 家族性地中海熱
痛風発作の場合は、主に足の親指の付け根など、特定の関節に起こる急性の炎症に対して用いられます。
コルヒチンの使い方(用法・用量)
コルヒチンを飲む量やタイミングは、治療する目的(痛風発作の治療か、予防か、家族性地中海熱か)や、患者さんの状態によって大きく異なります。
コルヒチンは治療域と中毒域が近いため、医師や薬剤師の指示された用法用量を厳守することが、何よりも大切です。絶対に自己判断で量を増やしたりしないでください。
痛風発作の治療(発作が起きたとき、または予兆期)
【発作時】
通常、1回1錠(コルヒチンとして0.5mg)を服用します。症状が改善しない場合、3~4時間後に再度0.5mgを服用することもありますが、1日の最大量は1.8mg(通常3~4錠程度)を超えないようにし、翌日からは症状に応じて減量するか中止します。医師の指示を厳守してください。
【予兆期】
関節の違和感など、発作が来そうな感じがしたら、すぐに1錠(0.5mg)を服用します。これにより、本格的な発作を回避できることがあります。
痛風発作の治療では、飲むタイミングが命! 発作が起きてしまってから時間が経つと効果が薄れるため、「おかしいな?」と感じたらすぐに飲むのがコツです。
痛風発作の予防
通常、1日1回1錠(コルヒチンとして0.5mg)を服用します。尿酸値を下げる薬を使い始めるときなど、一時的に発作が起きやすくなる時期に併用されることが多いです。
予防で飲む場合は、毎日決まった時間に忘れずに飲むことが重要です。
家族性地中海熱
通常、1日1回1錠(コルヒチンとして0.5mg)を服用します。症状や年齢によって、1日1.5mgまで増量されることがあります。
ウチカラクリニックのオンライン診療でも、コルヒチンの処方や痛風・高尿酸値などの治療も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

コルヒチンの副作用
コルヒチンは効果的なお薬ですが、副作用にも注意が必要です。特に、治療量と中毒量が近いため、副作用のサインを見逃さないことが大切です。
主な副作用
- 消化器症状:吐き気、嘔吐、腹痛、下痢 これらが最も多く、服用を続けるかどうかの目安にもなります。
- 脱毛(長期間服用した場合など)
- 皮膚症状(発疹、かゆみなど)
- 筋肉痛、筋力低下
特に注意が必要な「コルヒチン中毒」とは?
コルヒチンを過量に服用したり、腎臓や肝臓の機能が低下している方、特定のお薬と併用した場合などに、重篤な中毒症状が現れることがあります。コルヒチン中毒は命に関わることもある非常に危険な状態です。
コルヒチン中毒の初期症状(服用後数時間~24時間以内に出やすい)
- 激しい吐き気、嘔吐、腹痛、下痢(しばしば血便を伴うことも)
- のどの灼熱感、胸の痛み
これらの症状が現れたら、直ちにコルヒチンの服用を中止し、すぐに医療機関を受診してください。
中毒が進行すると…(24時間~数日後)
- 呼吸困難、意識障害、けいれん
- 腎不全、肝不全、心不全
- 血液障害(白血球減少、血小板減少などによる感染症や出血傾向)
- 脱毛、筋肉の障害
など、全身にわたる重篤な症状が現れ、最悪の場合、死に至ることもあります。
副作用が出たときの対処法
自己判断で服用を続けるのは危険です。コルヒチン中毒が疑われる初期症状(激しい消化器症状など)が現れた場合は、迷わず救急医療機関を受診してください。
その他の副作用(皮膚症状、筋肉痛など)が気になる場合も、医師に相談しましょう。
コルヒチンの注意事項・禁忌
使ってはいけない方
絶対に使ってはいけない方(禁忌)
- コルヒチンの成分に対し過敏症(アレルギー)の既往歴のある方
- 重い肝臓の病気または腎臓の病気のある方(特に予防目的での長期使用の場合): コルヒチンの排泄が遅れ、中毒のリスクが高まります。
- 妊娠中の方、または妊娠している可能性のある女性
使うときに特に注意が必要な方
- 肝臓や腎臓の機能が低下している方(軽度~中等度も含む)
- 衰弱している方
- 胃腸に病気のある方
- 血液の病気のある方
- 高齢者の方、授乳中の方、お子さん(小児)
併用に注意が必要な薬
- マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン、エリスロマイシンなど): コルヒチンの作用を強め、中毒のリスクを高めるため、原則として併用禁忌または非常に慎重な併用が必要です。
- アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール、フルコナゾールなど): 同様にコルヒチンの作用を強めます。
- シクロスポリン(免疫抑制剤): コルヒチンの作用を強めたり、腎障害のリスクを高めたりします。
- HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビルなど): コルヒチンの作用を強めます。
- スタチン系薬剤(高コレステロール血症治療薬): まれに筋肉の副作用(横紋筋融解症など)のリスクを高めることがあります。
上記以外にも多数のお薬と相互作用を起こす可能性があります。他に飲んでいるお薬やサプリメントがある場合は、必ず医師や薬剤師に伝えましょう。
使用上の注意
グレープフルーツ(ジュースも含む)は、コルヒチンの代謝を妨げ、血中濃度を上昇させて副作用のリスクを高めるため、摂取は避けてください。
コルヒチン中毒などの副作用の初期症状(特に消化器症状)に注意し、異常を感じたらすぐに医療機関へ相談を!
痛風の方は、尿酸値をコントロールするための生活習慣(食事療法、適度な運動、水分補給など)も大切です。
保管方法
- 直射日光・高温多湿を避けて保管しましょう。
- 子どもの手の届かない場所に置いてください。
飲み忘れたら?
痛風発作の治療(予兆期や発作時)で飲む場合
気づいた時点ですぐに飲むべきか、次のタイミングまで待つべきか、医師や薬剤師に確認するのが最も安全です。自己判断で2回分を一度に飲むのは絶対に避けてください。
痛風発作の予防や家族性地中海熱で毎日飲む場合
飲み忘れたことに気づいたら、できるだけ早く1回分を飲んでください。ただし、次に飲む時間が近い場合は(例えば、1日1回服用の場合で、次の服用まで12時間以内など)、忘れた分は飲まずに、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分をいっぺんに飲んではいけません。
コルヒチンに市販薬はある?値段は?
市販薬
医療用の「コルヒチン」と全く同じ有効成分「コルヒチン」を含む市販薬は、現在のところありません。
痛風の症状でお困りの場合は、自己判断で市販薬を探すのではなく、必ず医療機関を受診して、専門医に相談するようにしてください。
ジェネリック名
コルヒチンの有効成分「コルヒチン」を含むジェネリック医薬品(後発医薬品)も販売されています。
「コルヒチン錠0.5mg「〇〇」」(〇〇には製薬会社名が入ります)といった名称で、一般的に先発医薬品よりも薬価が安価なことが多いです。
薬価
時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。
- コルヒチン錠0.5mg(先発医薬品「コルヒチン錠0.5mg『タケダ』」など): 1錠あたり 約10~15円程度
- コルヒチン錠0.5mg(ジェネリック医薬品): 1錠あたり 約5~10円程度
※2025年4月29日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
よくある質問(FAQ)
Q. コルヒチンはどんな病気に使われるの?
コルヒチンは、主に痛風発作の治療や予防、そして家族性地中海熱という病気の治療に使われます。痛風発作の激しい炎症を抑える働きがあります。
Q. 妊娠中でも使える?
コルヒチンは、動物実験で胎児に悪影響(催奇形性)が報告されており、原則として妊娠中または妊娠している可能性のある女性には使用できません(禁忌とされています)。 どうしても必要な場合は、医師がそのリスクとベネフィットを極めて慎重に比較検討しますが、通常は他のより安全な治療法が選択されます。
Q. 授乳中でも使える?
コルヒチンの成分が母乳中に移行することが報告されています。赤ちゃんへの影響の可能性も否定できないため、授乳中に服用する場合は医師に相談し、指示に従ってください。
Q. 小児でも使える?
家族性地中海熱の治療の場合には、お子さんの状態に合わせて少量から慎重に使用されることがあります。しかし、痛風発作の治療や予防に対しては、小児等(15歳未満)に対する有効性および安全性は確立されていません。
Q. コルヒチンを飲んだら運転しても大丈夫?
コルヒチンの副作用として、めまいやふらつき、倦怠感などが現れることはまれですが、可能性はあります。また、痛風発作自体の痛みで運転が困難なこともあります。コルヒチンを服用中、特に体調に変化を感じた場合は、自動車の運転や危険を伴う機械の操作は避けるようにしてください。
Q. コルヒチンは飲んでからどのくらいで効き始めますか?
痛風発作の治療の場合、発作の予兆期やごく初期に服用すれば、数時間~半日程度で痛みが和らぎ始めることが期待できます。発作が進行してからだと効果が出にくいことがあります。 痛風発作の予防や家族性地中海熱の治療の場合は、毎日継続して服用することで、徐々に効果が現れてきます。すぐに効果を実感できなくても、医師の指示通りに続けることが大切です。
Q. コルヒチンを飲んでいるときにお酒を飲んでも大丈夫?
コルヒチンとお酒(アルコール)の間に、直接的な相互作用はあまり報告されていません。しかし、痛風の方にとって、アルコール自体が尿酸値を上げ、痛風発作を引き起こす大きな原因となります。 そのため、コルヒチンを飲んでいるかどうかにかかわらず、痛風の方はアルコールの摂取を控えるか、医師の指示に従うことが非常に重要です。
Q. コルヒチンを飲むと下痢しやすいって本当ですか?副作用ですか?
下痢、吐き気、腹痛などの消化器症状は、コルヒチンの最もよく見られる副作用の一つです。これらは、コルヒチンの量が体にとって少し多すぎるというサインであることもあり、コルヒチン中毒の初期症状の可能性も否定できません。もし、これらの症状が現れたら、自己判断せずにすぐに医師や薬剤師に相談してください。
まとめ
今回は、痛風発作の治療や予防、家族性地中海熱に使われるお薬「コルヒチン」について、詳しく見てきました。
コルヒチンは、痛風発作のつらい炎症を抑える効果が期待できる、古くから使われているお薬です。特に発作の予兆期に飲むことで、発作を軽く済ませたり、未然に防いだりするのに役立ちます。
しかし、その効果の反面、治療に使える量と中毒を起こす量が非常に近いという、デリケートな特徴を持っています。そのため、医師や薬剤師から指示された用法・用量を厳守すること、副作用の初期症状(特に下痢や吐き気などの消化器症状)に注意し、異常を感じたらすぐに相談すること、そしてグレープフルーツジュースとの併用を避けることが、何よりも大切です。
この記事が、コルヒチンに対する皆さんの疑問や不安を少しでも軽くして、医師とよく相談しながら、安心して適切な治療に取り組むためのお手伝いができれば、心から嬉しいです。つらい症状が少しでも和らぎ、穏やかな毎日が戻ってきますように。どうぞお大事になさってくださいね。
ウチカラクリニックではオンライン診療に完全対応し、忙しい方向けに夜間や土日も診療を行っております。
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