ドボベット軟膏の効果や副作用について医師が解説【ゲル/フォーム】

「乾癬（かんせん）の赤みや盛り上がり、カサカサがなかなか良くならない…」「ステロイドとビタミンD3、両方塗るのが大変」

そんな、尋常性乾癬の治療に使われる代表的なお薬が「ドボベット」です。 「炎症を抑えるステロイド」と「皮膚の細胞の異常な増殖を抑えるビタミンD3」という、作用の異なる2つの成分を組み合わせた、強力な塗り薬です。

この記事では、そんなドボベットについて、効果の仕組みや副作用、そしてジェネリック医薬品との関係などを、医師が分かりやすく解説していきます。

ドボベット軟膏とは？効果は？

ドボベットは、「活性型ビタミンD3・ステロイド配合薬」に分類される、尋常性乾癬の治療薬です。
2つの有効成分が協力し合うことで、乾癬の主な症状である「炎症」と「鱗屑（りんせつ、皮膚のカサカサ）」の両方を効率よく改善します。

ドボベットには、塗る場所や使用感の好みに合わせて、いくつかの剤形があります。

• ドボベット軟膏：最も基本的な軟膏タイプ。保湿力も高い。
• ドボベットゲル：軟膏よりベタつきが少なく、頭皮など毛の生えている部位にも使いやすい。
• ドボベットフォーム：泡状の製剤で、広範囲に塗り広げやすい。

ドボベット軟膏の成分

ドボベットは、以下の2つの有効成分で構成されています。

①ジプロピオン酸ベタメタゾン（ステロイド）
強力な抗炎症作用で、乾癬の皮膚で起きている“火事”を素早く鎮め、赤みやかゆみを抑えます。

②カルシポトリオール水和物（活性型ビタミンD3）
乾癬の皮膚で異常に速くなっている細胞の増殖（ターンオーバー）にブレーキをかけ、正常な状態に戻します。これにより、皮膚の盛り上がりやカサカサが改善します。

このように、ステロイドが「今の炎症」を鎮め、ビタミンD3が「これからの異常な皮膚」が作られるのを防ぐという、2つの方向からアプローチすることで、高い治療効果を発揮します。

ドボベット軟膏の効果

乾癬の皮膚症状を改善します。

• 皮膚の赤み、盛り上がり、腫れ
• 銀白色のフケのようなもの（鱗屑）

どんなときに使う？（適応疾患・部位）

• 尋常性乾癬

ドボベット軟膏はオンライン診療で出せる？

「皮膚が厚くなって治らない…」「急に症状がでたけど病院に行く時間がない」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

ドボベット軟膏のような皮膚のお薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

特に慢性的な皮膚疾患で継続的なケアが必要な方にとっては、通院の負担を大きく減らすことができます。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

ドボベット軟膏の注意事項・禁忌

使ってはいけない方

• 過去にドボベット軟膏の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方（禁忌）
• 細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患（疥癬、けじらみ等）（禁忌）
• 潰瘍（ベーチェット病は除く）、第2度深在性以上の熱傷・凍傷（禁忌）
• 腎臓や肝臓に重い障害のある方
• 高カルシウム血症、またはそのリスクのある方

併用に注意が必要な薬

• Ca／ビタミン D製剤・サプリ→高Caリスク
• チアジド系利尿薬
• CYP3A4強力阻害薬（リトナビル等）→ステロイド血中濃度↑

使用上の注意

顔や粘膜、傷口には塗らない	この薬は刺激感が強く、また強力なステロイドを含んでいるため、皮膚の薄い顔、首、陰部や、目、口の周りなどの粘膜、傷やただれのある部分には使用しないでください。
決められた量と範囲を守る	高カルシウム血症の副作用を防ぐため、医師に指示された量と範囲を守り、自己判断で広範囲に塗り広げないでください。
塗った後は手を洗う	薬が他の部位につかないように、使用後はよく手を洗いましょう。

保管方法

• 直射日光・高温を避け、室温で保管してください。
• 子どもの手の届かない場所に置いてください。

塗り忘れたら？

気づいた時点で、すぐに1回分を塗ってください。

ただし、次に塗る時間が近い場合は、1回とばして次の時間に1回分を塗るようにしましょう。絶対に2回分を一度に塗ってはいけません。

ドボベット軟膏に市販薬はある？値段は？

市販薬

2025年6月28日現在、ドボベット軟膏と同じ成分の市販薬はありません。 使用するには、医師の診断と処方が絶対に必要です。

ジェネリック名

2025年6月28日現在、ドボベット軟膏のジェネリックはありません。

薬価

• ドボベット軟膏：1ｇあたり 約154.1円
  （3割負担の場合、自己負担額は1ｇあたり約46円）

※2025年6月28日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ドボベットゲル

ドボベットフォーム

よくある質問（FAQ）

Q. 妊娠中や授乳中でも使えますか？
妊娠中、または妊娠している可能性のある方には、原則として使用しません。 治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合にのみ、ごく限られた範囲で使用されます。自己判断での使用は絶対にやめてください。

Q. 子供でも使えますか？
いいえ、小児に対する安全性は確立されていません。 そのため、原則として成人のみに処方されます。

Q.いつから効きますか？
ステロイドの抗炎症作用により、赤みやかゆみは比較的速く、1週間程度で改善を感じられることが多いです。一方、ビタミンD3による皮膚の盛り上がりやカサカサの改善には、皮膚のターンオーバーに時間がかかるため、効果を実感するには数週間〜1ヶ月以上かかることがあります。

Q. ステロイドの強さはどのくらいですか？
ドボベットに含まれるステロイドは、5段階中、上から2番目の「very strong（非常に強力）」に分類されます。そのため、効果が高い反面、安易な使用は避けるべきです。

Q. なぜ週に使う量に上限があるのですか？
大量に使いすぎると、強力なステロイドやビタミンD3の成分が皮膚から体内に吸収され、全身性の副作用（高カルシウム血症など）を起こす危険性があるためです。

Q. 顔にも塗れますか？
絶対にダメです。 顔の皮膚は薄く、非常に強いステロイドが含まれているため、皮膚が薄くなる、血管が浮き出るなどの重い副作用を起こす危険があります。

まとめ

ドボベットは、「ステロイド」と「活性型ビタミンD3」を組み合わせることで、乾癬の「炎症」と「異常な皮膚の増殖」の両方にアプローチする、効果の高い塗り薬です。

1日1回の塗布で済む利便性がありますが、その強さゆえに、「塗る量の上限を守る」「顔には絶対に塗らない」といった重要なルールがあります。 特徴と注意点を正しく理解し、医師の指導のもとで、つらい乾癬の症状を効果的にコントロールしましょう。