ファムビル(ファムシクロビル)の効果や副作用について医師が解説【 帯状疱疹・ヘルペス治療薬 】

ファムビル(ファムシクロビル)

「帯状疱疹の痛みがつらくて、夜も眠れない…」 「性器ヘルペスを繰り返して、精神的にもしんどい…」 「口唇ヘルペスができて、見た目が気になる…」

こうしたヘルペスウイルスによるつらい症状に、効果を発揮するお薬が「ファムビル(ファムシクロビル)」です。アシクロビルやバルトレックスと並ぶ、ヘルペス治療の重要な選択肢の一つです。

この記事では、抗ウイルス薬ファムビルについて、その特徴や効果、副作用、正しい使い方を医師が分かりやすく解説していきます。

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ファムビル(ファムシクロビル)とは?効果は?

ファムビル(ファムシクロビル)は、ヘルペスウイルスの増殖を抑える「抗ウイルス薬」です。

ウイルスの活動をストップさせることで、痛みや水ぶくれなどの症状が悪化するのを防ぎ、治るまでの期間を短くします。

処方される際は「ファムビル錠250mg」という錠剤が一般的です。

ファムビル(ファムシクロビル)の成分

主成分はファムシクロビルです。

このお薬は、バルトレックスと同様に、体の中に吸収されると「ペンシクロビル」という有効成分に変化して効果を発揮する「プロドラッグ」と呼ばれるタイプの薬です。

他の抗ヘルペスウイルス薬と同じく、ウイルスに感染した細胞の中に入り込み、ウイルスが自分の分身(DNA)をコピーするのを邪魔するというものです。これにより、ウイルスは増殖できなくなり、活動がストップします。

ファムビルの特徴は、有効成分であるペンシクロビルがウイルスに感染した細胞の中に長時間とどまることで、持続的にウイルスの増殖を抑える点にあります。

ファムビル(ファムシクロビル)の効果

  • 帯状疱疹や単純疱疹の症状悪化を防ぎ、治りを早める
  • 痛みなどのつらい症状を軽くする
  • 性器ヘルペスの再発を抑える

ただし、ファムビルも他の抗ヘルペスウイルス薬と同様、ウイルスを「増えなくする」お薬であり、体内に潜んでいるウイルスを完全に消し去るわけではありません。

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

アシクロビルは、主に以下の「ヘルペスウイルス」が原因の病気に使われます。

  • 単純疱疹
    • 口唇ヘルペス(唇やその周りの水ぶくれ)
    • 性器ヘルペス(性器やその周りの水ぶくれやただれ)
  • 帯状疱疹

性器ヘルペスの再発抑制として症状が出ていない時に毎日服用し、再発の頻度を減らす「抑制療法」や、再発の初期症状が出た時だけ患者さん自身の判断で服用するPIT(Patient Initiated Therapy)療法にも使われます。

ファムビル(ファムシクロビル)はオンライン診療で出せる?

「ヘルペスの症状が出てきたけど、病院に行く時間がない」「塗り薬だけでは治まらないので、飲み薬が欲しい」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

ファムビル(ファムシクロビル)のようなヘルペスのお薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
ファムビル(ファムシクロビル)に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

デリケートな悩みや、急な発症で外出が難しい場合に非常に便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

ファムビル(ファムシクロビル)の使い方(用法・用量

ファムビルは、病気の種類や治療目的によって飲む量や回数、期間が異なります。必ず医師の指示通りに服用してください。

治療で最も大切なのは、症状が出たら「できるだけ早く」飲み始めることです。

  • 帯状疱疹: 通常、成人には1回500mgを1日3回、7日間服用します。
  • 単純疱疹(口唇・性器ヘルペス): 通常、成人には1回250mgを1日3回、5日間服用します。

治療が遅くなるほど、体内にとどまるウィルスの量が増えるため治癒するのが遅くなったり、再発しやすくなるなどの予後が悪くなる傾向にあります。

また、次のPIT療法のような服用法もあります。

PIT療法

PIT療法とは、「Patient Initiated Therapy」の頭文字をとったもので、日本語では「患者自己開始療法」と呼ばれます。

これは、性器ヘルペスの再発を繰り返す方が、再発の”前ぶれ”となる初期症状(ピリピリ、チクチク、むずむず感など)を感じた時点で、医師の診察を待たずに、患者さん自身の判断ですぐに治療薬の服用を開始するという、新しい治療方法です。

PIT療法の注意点と対象となる方

対象となる方

PIT療法は、誰でも受けられるわけではありません。基本的には「性器ヘルペスの再発を、年に3回以上繰り返している方」かつ「ご自身で再発の初期症状を正確に判断できる方」が対象となります。
初めてヘルペスにかかった方は対象外です。

対象となるお薬

2025年5月現在、保険適用でPIT療法が認められているお薬は「ファムビル」「アメナリーフ」の2種類です。
アメナリーフはファムビルに比べて薬価が高額ですが、アメナリーフは内服する錠数が腎機能の影響を受けないため、腎機能が低下している方でも利用しやすいという利点があります。

定期的な受診は必要

手元のお薬がなくなったら、次の再発に備えて処方してもらうために受診が必要です。
また、年に1回程度は医師の診察を受け、体の状態や治療方針について相談することが推奨されます。症状が改善しない場合も、もちろん速やかな受診が必要です。

PIT療法の具体的なやり方

  1. 事前準備
    まずは皮膚科や婦人科などを受診し、医師に性器ヘルペスの再発で悩んでいることを相談します。診察の結果、PIT療法が適していると判断されると、治療薬(ファムビルなど)が前もって処方されます。このお薬を、いざという時のために携帯・保管しておきます。
  2. 初期症状を感じる
    「あ、またヘルペスがきそうだな…」という、いつもの再発前の違和感(ピリピリ、むずむず、かゆみ、痛みなど)を感じ取ります。
  3. すぐに服用開始
    その”前ぶれ”を感じたら、病院へ行かずに、患者さん自身の判断で、すぐに保管しておいたお薬を服用します。

<服用方法の例:ファムビルの場合>
初期症状を感じてから6時間以内に、1回目(1000mg/4錠)を服用します。
その12時間後に、2回目(1000mg/4錠)を服用します。 合計2回の服用で、治療は完了です。

ファムビル(ファムシクロビル)の副作用

ファムビルは比較的安全性の高いお薬ですが、副作用が起こる可能性もあります。

副作用

主な副作用

  • 頭痛、傾眠(ぼーっとする、眠気)
  • 下痢、吐き気などの消化器症状
  • めまい
  • 血液検査値の異常(AST, ALT, ビリルビンの上昇など)

まれに起こる重い副作用

  • 腎機能障害: 特に高齢の方や腎機能が低下している方、脱水状態の方で注意が必要です。
  • 意識障害(錯乱、幻覚など): こちらも高齢の方で特に注意が必要です。

副作用が出たときの対処法

軽い症状であれば、お薬を続けているうちに治まることもあります。

いつもと違う気になる症状が出た場合は、自己判断で中止せず、すぐに処方した医師や薬剤師に相談してください。

ファムビル(ファムシクロビル)の注意事項・禁忌

使ってはいけない方

使ってはいけない場合 (禁忌)

  • 過去にファムビルでアレルギー症状を起こしたことがある方

使うときに特に注意が必要な方

  • 腎臓の機能が低下している方
  • 高齢の方
  • 脱水症状のある方、またはその恐れのある方

併用に注意が必要な薬

プロベネシド(痛風の薬)など、一部のお薬はファムビルの作用に影響を与えることがあります。

他に飲んでいる薬がある場合は、必ず医師や薬剤師に伝えてください。

使用上の注意

水分補給
腎臓への負担を減らすため、服用中はいつもより多めに水分(水やお茶など)を摂りましょう。
飲み切る
症状が良くなってもウイルスは残っています。自己判断で中止せず、指示された期間は必ず飲み切ってください。
早期治療
「おかしいな」と感じたらすぐ受診し、早く飲み始めることが治療の鍵です。

保管方法

  • 直射日光・高温多湿を避けて保管しましょう。
  • 子どもの手の届かない場所に置いてください。

飲み忘れたら?

気づいた時点で、できるだけ早く1回分を飲んでください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、ファムビル(ファムシクロビル)の処方やヘルペスの治療も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

ファムビル(ファムシクロビル)に市販薬はある?値段は?

市販薬

ファムビル(ファムシクロビル)と同じ成分の市販薬は、現在のところありません。

ただし、口唇ヘルペスの再発に限り、同じ系統の成分(アシクロビルなど)を含む塗り薬タイプの市販薬はあります。

ジェネリック名

ファムビルが先発品の名称です。

後発品(ジェネリック)はファムシクロビルの名称で販売されています。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • ファムビル錠250mg:1錠あたり 約253.9円
    (3割負担の場合、自己負担額は1錠あたり約76円)
  • ファムシクロビル錠250mg(ジェネリック):1錠あたり 約111.4円
    (3割負担の場合、自己負担額は1錠あたり約33円)

※2025年5月24日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ファムビル錠250mg

ファムシクロビル錠250mg「JG」

よくある質問(FAQ)

Q. 妊娠中や授乳中でも飲めますか?
安全性が十分に確立されていないため、治療によるメリットがリスクを上回ると医師が判断した場合にのみ使用を検討します。自己判断で服用せず、必ず医師に相談してください。

Q. 子供でも使えますか?
小児等に対する有効性及び安全性は確立されておらず、基本的には使用されません。

Q. 運転してもいいですか?
眠気などの副作用も報告されています。そのような症状がある際は運転などは避けましょう。

Q. お酒と一緒に飲んでも大丈夫?
アルコールは体の免疫力を低下させ、ヘルペスの治りを悪くする可能性があります。治療中は飲酒を控えるのが望ましいです。

Q.バルトレックス(バラシクロビル)との違いは何ですか?
どちらも体内で有効成分に変わるプロドラッグで、効果に大きな差はありません。
ファムビルは体内で有効成分がとどまる時間が長く、1日3回の服用で済みます。また、性器ヘルペスの再発を繰り返す方向けの特殊な飲み方「PIT療法」が保険適用で認められている点が大きな特徴です。

Q. PIT療法って何ですか?
「Patient Initiated Therapy」の略で、性器ヘルペスの再発の初期症状(ピリピリ感など)を患者さん自身が感じた時に、あらかじめ処方されているファムビルをすぐに服用する治療法です。医療機関を受診する手間が省け、より早期に治療を開始できるメリットがあります。

まとめ

ファムビルは、アシクロビルバルトレックスと並ぶ、ヘルペスウイルス治療の強力な選択肢です。

特に、作用時間の長さや、性器ヘルペスの再発を繰り返す方に向けた「PIT療法」というユニークな治療法が認められているのが大きな特徴です。

このお薬で最も大切なのは、他の抗ウイルス薬と同様、「症状が出たらできるだけ早く飲むこと」そして「医師に指示された期間、きちんと飲み切ること」です。

この記事が、ファムビルへの理解を深め、ご自身の症状やライフスタイルに合った治療を選択するための一助となれば幸いです。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。