フルコートの効果・副作用は?種類ごとの使い分けを解説!【フルコートF/軟膏/クリーム/ローション/スプレー】

フルコート

「湿疹がひどくて、かゆみが止まらない」 「市販の『フルコートf』と、病院の『フルコート』、名前が似ているけど同じ薬?」 「ジュクジュクした湿疹にはどれを使えばいいの?」

皮膚の炎症やかゆみに高い効果を発揮する「フルコート」。実は、病院で処方されるものには「ステロイドだけのタイプ」と「抗生物質入りのタイプ」があり、さらに市販薬も存在するため、少し複雑です。

今回は、フルコートシリーズの違いや正しい使い分け、効果、副作用を医師がやさしく解説していきます。

主な診療科目:一般内科、皮膚科、小児科、婦人科、アレルギー外来など

フルコートとは?効果は?

フルコートは、ステロイド外用薬(塗り薬)です。皮膚の炎症(赤み・腫れ)やかゆみを、強力に抑え込みます。

ステロイドの強さは5段階に分けられますが、フルコートは真ん中の「ストロング(強い)」ランクに分類されます。体幹(体)の湿疹には適していますが、皮膚の薄い顔や陰部、赤ちゃんへの使用には注意が必要な強さです。

 

種類と使い分け

大きく分けて、「ステロイド単体のもの」と、「抗生物質が配合されたもの(Fがついているもの)」の2種類があります。

処方薬】フルコート(ステロイド単体):炎症とかゆみだけを抑えたい場合に

  • フルコート軟膏: 刺激が少なく保湿力が高い。カサカサからジュクジュクまで幅広く使えます。
  • フルコートクリーム: ベタつきが少なく使用感が良いですが、傷口にはしみます。
  • フルコート外用液: サラッとした液体。頭皮など毛の生えている部分に適しています。
    (※スプレータイプもありましたが、2025年4月に販売中止があり流通が少なくなっています)

処方薬】フルコートFステロイド+抗生物質

  • フルコートF軟膏: ステロイドに加えて、細菌を殺す抗生物質(フラジオマイシン)が配合されています。かき壊して化膿している、またはその恐れがある湿疹に使われます。

市販薬】フルコートf(ステロイド+抗生物質)

  • フルコートf: 処方薬の「フルコートF」とほぼ同じ成分構成です。化膿を伴う湿疹やかぶれに使われます。

 

フルコートの成分

有効成分は、薬剤のタイプにによって違います。

①フルオシノロンアセトニド(ステロイド)
皮膚の細胞に働きかけ、炎症やかゆみを引き起こす物質をブロックします。皮膚の炎症を鎮める役割です。

②フラジオマイシン(抗生物質)
Fおよびfに配合。患部で増殖する細菌を殺菌し、化膿を防いだり治したりします。

 

フルコート効果

  • 抗炎症・抗アレルギー作用: 赤み、腫れ、かゆみを抑えます。
  • 抗菌作用(F/fのみ): 細菌の増殖を抑えます。

 

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 湿疹・皮膚炎群(アトピー性皮膚炎、手湿疹、かぶれなど)
  • 乾癬(かんせん)
  • 虫さされ
  • 薬疹・中毒疹
  • 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
    • (フルコートFの場合)湿潤、びらん、結痂を伴うか、二次感染を併発している上記疾患

 

フルコートはオンライン診療で出せる?

「継続して病院に通うのは忙しくて難しい」「すぐに病院で相談したい」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

フルコートのようなお薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
フルコートに関するご相談や処方をオンライン診療にて承っております。

特に、「体調が悪く外出がつらいとき」や「待つのが苦手なお子様の受診」などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

  

フルコートの使い方(用法・用量

基本的に1日1~数回、患部に薄くのばす使い方が一般的ですが、塗る回数や期間は、症状の程度によって異なります。

症状がよくなってきたら、回数を減らすなど調整するケースが多いです。

“塗れば塗るほど早く治る”わけではないので、症状に合わせた量や回数を守りましょう。

1回あたりの塗る量の目安として、成人の人差し指の第一関節までチューブから出した量(約0.5g)で、大人の手のひら2枚分くらいの面積に塗るのが「フィンガーティップユニット(FTU)」という考え方です。医師や薬剤師から具体的な量の指導を受けましょう。

 

フルコートの副作用

主な副作用

短期間の使用では副作用は起こりづらいです。長期間(数週間以上)使用した場合や、顔などの皮膚が薄い部分に使用した場合、塗った部分に以下のような症状が出やすくなります。

  • 皮膚が薄くなる(皮膚萎縮)
  • 毛細血管が浮き出て赤くなる(毛細血管拡張)
  • 顔が赤くなる、ほてる(酒さ様皮膚炎)
  • ニキビ(ステロイドざ瘡)ができやすくなる
  • 感染症の悪化: ステロイドは免疫を抑えるため、カビ(水虫・カンジダ)やウイルス(ヘルペス)の感染があると、それを悪化させてしまうことがあります。

また、大量・長期・ODT(密封)で使うと、まれに全身性副作用(副腎抑制など)のリスクがあるため、自己判断での長期連用や密封は避けます。

 

副作用が出たときの対処法

  • 医師の指示を守る: 「顔には塗らない」「1週間でやめる」など、指示された期間と部位を必ず守ってください。
  • 目の周りは特に注意: 医師の指示なく目の周りに長期間使い続けると、眼圧が上がったり、緑内障や白内障のリスクになることがあります。漫然とした使用は避けてください。

 

フルコートの注意事項(禁忌)

使用に注意が必要な方

塗ってはいけない方(禁忌)

  • 過去にフルコートでアレルギーを起こしたことがある方(禁忌)
  • 細菌・真菌・ウイルスなどの皮膚感染症(禁忌)
    • ヘルペス、水虫、とびひ、疥癬(かいせん)、けじらみ等には使用できません(ステロイドが症状を悪化させるため)。
  • 鼓膜に穿孔(穴)のある湿疹性外耳道炎(禁忌)
  • 潰瘍(深い傷)、第2度深在性以上の重い熱傷・凍傷(禁忌)

フルコートF(配合剤)のみの追加禁忌

  • フラジオマイシン(抗生物質)に耐性を持つ菌や、効かない菌による感染症(禁忌)
  • アミノ糖系抗生物質(フラジオマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシン等)やバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある方(禁忌)

 

併用に注意が必要な薬

フルコートは塗り薬であるため、飲み薬との危険な飲み合わせは基本的にありませんが、以下の点には注意が必要です。

  • 他の塗り薬(軟膏やクリームなど)
    お薬の成分が変化したり、吸収されにくくなったりする可能性があります。同じ部位に複数の外用薬を使う場合は混ぜずに、医師の指示どおりに順番や間隔をあけて使用してください(目安:数分〜10分程度)。
     
  • (フルコートF/fの場合)他の抗生物質の塗り薬
    「フルコートF」や市販の「フルコートf」には抗生物質が含まれています。他の抗生物質入りの軟膏(ゲンタシンなど)と自己判断で併用すると、予期せぬ副作用や耐性菌のリスクになるため避けてください。

 

使用上の注意

化粧下地やハンドクリーム代わりにしない美容目的で顔に塗ったり、手荒れ予防に毎日ハンドクリームのように使うのは厳禁です。皮膚が薄くなったり、赤ら顔になったりする副作用の原因になります。
お酒(アルコール)直接的な相互作用はありませんが、飲酒は血行を良くしてかゆみを増強させるため、症状が強いときは控えるのが望ましいです。

 

保管方法

  • 直射日光や高温を避け、室温で保管してください。
  • 子どもの手の届かない場所へ。

塗り忘れたら?

思い出した時点で塗ってOKです。次の塗る時間が近ければ、飛ばして次回分から再開しても大丈夫です。
焦って一気に多めに塗るのは避けてください。

 

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、フルコートをはじめとしたお薬の処方も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

※心療内科ではシステム手数料をいただいております

フルコートに市販薬はある?値段は?

市販薬

有名な「フルコートf」(田辺三菱製薬)が販売されています。これは処方薬の「フルコートF」と同様、ステロイド+抗生物質の配合剤です。

化膿を伴う湿疹に適していますが、長期連用は避け、数日(目安:3〜6日)使用しても改善しない場合は使用を中止して受診してください。

 

ジェネリック

ジェネリック医薬品(後発品)があります。

フルオシノロンアセトニド軟膏「製薬会社名」などの名称で発売されています。

 

薬価

時期によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

薬剤名区分薬価(1gあたり)3割負担の目安(1gあたり)
フルコート軟膏0.025%先発品
(単剤)
約15.50円約4.7円
フルコートF軟膏先発品
(配合)
約22.30円約6.7円
フルオシノロンアセトニド軟膏0.025%「YD」後発品約10.80円約3.3円

※2025年11月27日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

 

添付文書

フルコートクリーム0.025%/フルコート軟膏0.025%

 

よくある質問(FAQ)

Q.妊婦・授乳中でも使えますか?

塗り薬のため体への吸収はわずかですが、大量または長期にわたる広範囲の使用は避けるべきとされています。自己判断で使わず、必ず医師に相談してください。授乳中に胸部に塗る場合は、授乳前に拭き取るか、授乳直後の塗布にしましょう。

Q.子どもでも使えますか?

使えますが注意が必要です。「ストロング」ランクは、大人の体には適していますが、皮膚の薄いお子さんや、大人の顔・陰部には作用が強すぎることがあります。医師の指示通り、短期間・適切な部位にのみ使用してください。

Q.使うと眠くなりますか?運転はできますか?

塗り薬なので、眠気が出ることはなく、運転への影響もありません。

Q.いつから効き始めますか?

早ければ塗って数時間~翌日には赤みやかゆみが引き始めます。数日塗っても良くならない、または悪化した場合は、薬が合っていないか、カビやウイルスなど別の原因の可能性があります。すぐに受診してください。

Q.頭皮のかゆみに使えますか?

頭皮には、ローションタイプ(外用液)が適しています。軟膏やクリームは髪の毛にべたついて塗りにくいためです。ただし、頭皮の湿疹も原因は様々ですので、まずは受診することをおすすめします。

 

まとめ

フルコートは、つらい皮膚トラブルを素早く治す、頼れるステロイド外用薬です。しかし、「ステロイド単体か、抗生物質入りか」「軟膏か、クリームか、液体か」という使い分けが非常に重要です。また、漫然と長く使い続けることは副作用の原因になります。

「自分の症状にはどのタイプがいいの?」 「市販薬を使っているけど、なかなか治らない」

そんなときは、ウチカラクリニックのオンライン診療が便利です。

  • スマホやPCがあれば、全国どこからでも受診可能
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皮膚の悩みやアレルギー治療について、医師に相談したい方は、ぜひお気軽にウチカラクリニックにご相談ください。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。