フルティフォームの効果・副作用を医師が解説【吸入薬】

フルティフォーム

「ぜんそくの発作を、できるだけ予防したい」「毎日使う、長期管理のためのお薬について知りたい」

そんな、気管支ぜんそくを、発作が起きないように日々コントロールしていくために使われるお薬の一つが、吸入薬の「フルティフォーム」です。 炎症を抑える成分と、気管支を広げる成分の2種類が配合されているのが大きな特徴です。

この記事では、そんなフルティフォームについて、効果の仕組みや副作用、そして最も重要な「正しい吸入方法」や注意点を、医師が分かりやすく解説していきます。

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※医師の判断で希望のお薬が処方できない場合があります。

フルティフォームとは?効果・効能は?

フルティフォームは、吸入ステロイド薬(ICS)長時間作用性β2(ベータツー)刺激薬(LABA)という2種類の成分を組み合わせた、気管支ぜんそくの長期管理薬です。

「pMDI」という、スプレータイプの吸入器(エアゾール剤)です。

\ 吸入器の種類や正しい使い方はこちら! /

フルティフォームには、主にステロイドの含有量が異なる2つの種類があります。

  • フルティフォーム50μgエアゾール:主に小児に使われる、ステロイド量が少ないタイプ。
  • フルティフォーム125μgエアゾール:主に成人に使われるタイプ。

それぞれ、56回吸入用と120回吸入用のボンベがあります。

フルティフォームの成分

フルティフォームは、以下の2つの有効成分で構成されています。

フルチカゾンプロピオン酸エステル(吸入ステロイド薬)
ぜんそくの根本的な原因である、気管支の「炎症」を強力に抑えます。

ホルモテロールフマル酸塩水和物(長時間作用性β2刺激薬)
収縮して狭くなった気管支の筋肉をゆるめ、空気の通り道を長時間(約12時間)にわたって広げ続けます

この「炎症を抑える」作用と、「気管支を広げる」作用の2つの働きで、ぜんそくの症状を安定させ、発作を予防します。

フルティフォーム効果

気管支の炎症を抑え、気道を広げることで、ぜんそく発作を予防します。

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 気管支ぜんそく(吸入ステロイド薬及び長時間作動性吸入β2刺激薬の併用が必要な場合)

フルティフォームはオンライン診療で出せる?

「喘息で薬が必要」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

フルティフォームのような吸入薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
フルティフォームに関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

フルティフォームの使い方(用法・用量

通常、成人にはフルティフォーム125μgエアゾールを1回2吸入、1日2回(朝・夕)など、症状に応じて医師が決定します。

毎日、症状がなくても継続して使う「予防薬」です。

使い方

  1. 吸入器をよく振る。
  2. 息をしっかり吐き出す。
  3. 吸入口を口にくわえ、息をゆっくり吸い込みながら、ボンベの底を1回しっかり押す。
  4. 吸入器を口から離し、3〜5秒以上、息を止める。
  5. ゆっくりと息を吐く。
  6. (2回吸入する場合は、①〜⑤を繰り返す)
  7. 吸入後は、必ずうがいをする。

フルティフォームの副作用

吸入薬なので、副作用は主に口や喉に現れます。全身性の副作用はまれです。

主な副作用

  • 嗄声(させい):声がかすれる。
  • 口腔カンジダ症:口の中に白い苔のようなもの(カビ)ができる。
  • 口や喉の刺激感
  • 動悸、手の震え

副作用が出たときの対処法

声がれや口腔カンジダ症は、吸入後のうがいを徹底することで、その多くが予防できます。症状が気になる場合は、医師や薬剤師に相談してください。

フルティフォームの注意事項(禁忌)

使ってはいけない方

  • 過去にフルティフォームの成分でアレルギー症状を起こしたことがある方 (禁忌)
  • 有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の方(禁忌)
  • 結核にかかっている方
  • 甲状腺機能亢進症、高血圧、心疾患、糖尿病のある方

併用に注意が必要な薬

  • デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿)(禁忌)
  • β遮断薬(アテノロールなど)→気管支拡張作用を打ち消す
  • リトナビル等CYP3A4強力阻害剤→ステロイド血中濃度UP、 クッシング症候群報告あり
  • テオフィリン・利尿薬→低K血症性不整脈リスクUP
  • QT延長薬(一部抗菌薬・抗不整脈薬 等)→不整脈リスク

使用上の注意

発作が起きた時には使わない(リリーバーを使用)この薬は、今起きているぜんそく発作をすぐに鎮める薬(リリーバー)ではありません
急な発作の際には、必ず医師から処方されている、速効性の発作治療薬(サルブタモールなど)を使用してください。
吸入後は必ずうがい(声枯れ・カンジダ予防)副作用を防ぐために、吸入後は必ず水で2回以上ガラガラうがいをしてください。これにより、口の中に残ったステロイド成分を洗い流し、声がれや口腔カンジダ症(口の中のカビ)を予防します。
正しい吸入方法を守るデバイスを毎回よく振ってから、息をしっかり吐き、ゆっくり深く吸い込みながら吸入し、その後10秒ほど息を止めます。正しい手順で吸入することが、薬を気管支にしっかり届けるために不可欠です。
自己判断でやめない症状が良くなったと感じても、気道の炎症は続いています。自己判断でやめると、ぜんそくが悪化する危険性があります。

保管方法

  • スプレー缶なので、40℃以上の高温や直射日光を避け、常温で保管してください。
  • 破裂の危険があるため、火の気のない場所に保管しましょう。
  • 子どもの手の届かない場所へ。

使い忘れたら?

気づいた時点でできるだけ早く1回分を吸入してください。

ただし、次に吸入する時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ吸入しましょう。絶対に2回分を一度に吸入してはいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、フルティフォームをはじめとした吸入薬の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

フルティフォームに市販薬はある?値段は?

市販薬

2025年6月現在、フルティフォームと同じ成分の市販薬は販売されていません。

吸入ステロイド薬は必ず医師の処方が必要です。

ジェネリック

2025年6月現在、ジェネリック医薬品はまだ販売されていません。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • フルティフォーム50μgエアゾール120吸入用:約2,925.6円/ボンベ(3割負担の場合:約878円)
  • フルティフォーム125μgエアゾール120吸入用:約3,744.0円/ボンベ(3割負担の場合:約1,123円)

※2025年6月25日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

フルティフォーム50エアゾール56吸入用/フルティフォーム50エアゾール120吸入用/フルティフォーム125エアゾール56吸入用/フルティフォーム125エアゾール120吸入用

よくある質問(FAQ)

Q. 妊婦や授乳中でも使えますか?
治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合にのみ使用されます。自己判断で使用せず、必ず医師に相談してください。

Q. 子供でも使えますか?
はい、小児ぜんそくの治療にも使われます。 通常、お子様にはステロイド量の少ない「フルティフォーム50μgエアゾール」が処方されます。

Q. いつから効きますか?
気管支を広げる成分は比較的速く効き始めますが、この薬の真価である炎症を抑える効果が安定して現れるには、数日〜数週間かかります。効果がないと自己判断せず、毎日続けることが大切です。

Q. なぜ吸入後にうがいが必要なのですか?
口の中に残ったステロイドの成分が、声がれや口腔カンジダ症(口の中のカビ)といった副作用を引き起こすのを防ぐためです。うがいは、薬の成分を洗い流すための非常に重要な一手間です。

Q. お酒と一緒に使っても大丈夫?
フルティフォームとアルコールの間に、直接的な相互作用はありません。しかし、人によってはアルコールがぜんそく発作の引き金になることもありますので、飲み過ぎには注意しましょう。

Q. 運転してもいいですか?
はい、問題ありません。眠気を催す成分は入っていません。

Q. これはステロイドの薬ですか?太ったりしますか?
はい、ステロイドが含まれていますが、「吸入ステロイド」です。薬が直接気道に届くため、全身に吸収される量はごくわずかです。そのため、飲み薬のステロイドでみられるような、体重増加やムーンフェイスといった全身性の副作用は、通常の使用量ではまず起こりません。

まとめ

フルティフォームは、「炎症を抑える」ステロイドと「気管支を広げる」長時間作用性β2刺激薬を組み合わせた、ぜんそくを予防・管理するための代表的な吸入薬です。

この薬で最も大切なのは、今起きている発作を鎮める薬ではないということです。症状がない時でも毎日欠かさず続けることで、気道の炎症を抑え、発作が起きにくい安定した状態を維持します。また、副作用を防ぐために、吸入後のうがいも非常に重要です。

これらのルールを守り、正しく治療を続けて、ぜんそく症状のない快適な毎日を目指しましょう。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。