ヘパリン類似物質の効果や副作用について医師が解説!【ソフト軟膏/ローション/クリーム/フォーム/スプレー】

ヘパリン類似物質

「お肌が乾燥してカサカサ、冬場は特に粉をふいてしまう…」 「アトピー体質で、皮膚科の保湿剤が手放せない…」 「しもやけや、ケガの後のあざを早く治したい…」

こうした、皮膚の乾燥や血行不良が原因の様々な悩みに、皮膚科で処方される最も代表的なお薬がヒルドイドのジェネリックである「ヘパリン類似物質」です。赤ちゃんからお年寄りまで、非常に多くの方に使われている、安全性の高い保湿・血行促進剤です。

この記事では、皮膚の万能薬ともいえるヘパリン類似物質について、その効果や副作用、正しい使い方を医師が分かりやすく解説していきます。

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ヘパリン類似物質とは?効果は?

ヘパリン類似物質は、皮膚の乾燥を防ぎ、血行を良くする効果で、様々な皮膚トラブルの治療やケアに使われる塗り薬です。「保湿剤の王様」とも呼ばれるほど、その保湿効果には定評があります。

先発医薬品としては「ヒルドイド」シリーズが有名ですが、現在では多くのジェネリック医薬品(後発医薬品)が様々な製薬会社から販売されています。

主に以下の5つの剤形があり、それぞれ特徴が異なります。

  • ソフト軟膏 / 油性クリーム
    最も保湿力が高く、皮膚保護効果に優れます。刺激が少ないです。少しベタつき感があります。(例:ヒルドイドソフト軟膏0.3%)
  • クリーム
    ソフト軟膏より伸びが良く、使用感はややさっぱり。顔などにも使いやすいです。(例:ヒルドイドクリーム0.3%)
  • ローション
    乳液状で非常に伸びが良く、広範囲に塗りやすいです。さっぱりとした使用感です。(例:ヒルドイドローション0.3%)
  • フォーム(泡状スプレー)
    きめ細かい泡状で、液だれしにくく、頭皮などにも使いやすいです。(例:ヒルドイドフォーム0.3%)
  • スプレー(液状)
    ヘパリン類似物質(ジェネリック医薬品)にのみ存在する剤形です。ミスト状で、手が届きにくい背中などにも便利です。

ヘパリン類似物質の成分

有効成分はその名の通りヘパリン類似物質といい、私たちの体の中にもともと存在する「ヘパリン」という物質に似た構造を持っています。この成分は、皮膚に対して主に3つの大切な働きをします。

①保湿作用
皮膚の角質層に水分をしっかりと引き寄せ、保持する力があります。これにより、皮膚のバリア機能を高め、乾燥から肌を守ります。例えるなら、肌の“水分タンク”を満たしてくれるような働きです。

②血行促進作用
塗った部分の血管を広げ、血液の流れを良くします。これにより、皮膚組織への酸素や栄養の供給がスムーズになり、新陳代謝を活発にします。肌の“血の巡り”を良くしてくれるイメージです。

③抗炎症作用
軽い炎症を鎮める効果もあります。

これらの作用が複合的に働くことで、乾燥した肌をしっとりさせ、血行不良による様々な症状を和らげ、傷跡の治りを助けます。

ヘパリン類似物質の効果

  • 皮膚の乾燥を防ぎ、うるおいを与える
  • 血行を良くし、しもやけ、あざ、打撲後の腫れなどを改善する
  • 手術の傷跡やケロイド、肥厚性瘢痕を目立ちにくくする
  • 軽い炎症を抑える

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 皮脂欠乏症、進行性指掌角皮症(ひどい手荒れ)、凍瘡(しもやけ)
  • アトピー性皮膚炎(ステロイド外用薬などと併用して、乾燥症状の改善・予防に)
  • 肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防
  • 血行障害に基づく痛みや炎症(注射後のしこりや痛みなど)
  • 血栓性静脈炎(診断された場合)
  • ケガ(打撲、捻挫、腫れ)の後の血腫、腱鞘炎、筋肉痛、関節炎

このように、単なる保湿だけでなく、血行障害や傷跡のケアにも、非常に幅広い皮膚の症状や状態に使われるのが特徴です。
ただし、美容目的で健康な肌に使うことは推奨されていません。あくまで治療薬です。

ヘパリン類似物質はオンライン診療で出せる?

「乾燥肌がひどくて、定期的に保湿剤が欲しい」「アトピーの治療で、ヘパリン類似物質を継続して使いたい」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

ヘパリン類似物質のような保湿剤も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
ヘパリン類似物質に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に慢性的な皮膚疾患で継続的な保湿ケアが必要な方にとっては、通院の負担を大きく減らすことができます。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

ヘパリン類似物質の使い方(用法・用量

通常、1日数回、適量を患部に塗布するか、ガーゼなどにのばして貼付します。

優しく、こすらないように、お風呂上がりなど、皮膚が清潔で、まだ少し水分が残っているうちに塗り広げるのがポイントです。

ヘパリン類似物質の副作用

ヘパリン類似物質は非常に安全性の高いお薬で、副作用はまれです。

副作用

まれに、皮膚炎、かゆみ、発赤、発疹、刺激感、紫斑(あざ)など

副作用が出たときの対処法

塗った部分に上記のような症状が現れたり、いつもと違う異常を感じたりした場合は、使用を中止し、処方した医師や薬剤師に相談してください

ヘパリン類似物質の注意事項・禁忌

使ってはいけない方

  • 出血性血液疾患(血友病、血小板減少症、紫斑病など)の方 (ヘパリン類似物質には血液が固まりにくくなる作用がわずかにあるため) (禁忌)
  • わずかな出血でも重大な結果をきたすことが予想される方(禁忌)
  • 過去にヒルドイドやヘパリン類似物質でアレルギー症状を起こしたことがある方

併用に注意が必要な薬

塗り薬なので、飲み薬との間で特に問題となる飲み合わせは、基本的にありません。

使用上の注意

目に入れない
目に入ると刺激になることがあるので、目や目の周りへの使用は慎重に。もし入ってしまったら、すぐに水で洗い流してください。
傷口への直接使用
ジュクジュクした傷口や、ただれのひどい部分への直接の使用は避けてください。(傷の周りの皮膚の保湿には使えます)
美容目的での使用について
ヘパリン類似物質はあくまで「治療薬」です。美容目的で健康な肌に大量に使用することは、医療費の適正利用の観点からも問題があり、推奨されません。

保管方法

  • 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
  • 子どもの手の届かない場所に置いてください。

使い忘れたら?

気づいた時点で塗ってください。

1日数回塗るお薬なので、神経質になる必要はありません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、ヘパリン類似物質の処方や肌トラブルの治療も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

ヘパリン類似物質に市販薬はある?値段は?

市販薬

有効成分「ヘパリン類似物質」を配合した市販の保湿剤が、多数販売されています。

「ヒルメナイド、へパリオ、ヒルマイルド、HPクリーム、アットノン(傷跡ケア用)」など

ジェネリック名

ヘパリン類似物質自体がジェネリック(後発品で)多くの製品が発売されています。

先発品は「ヒルドイド」という名称で処方されます。

軟膏、クリーム、ローション、フォームなど剤形も後発品と同様に豊富です。

薬価

  • ヘパリン類似物質油性クリーム0.3%「日医工」(ジェネリック/25g):1本あたり 約87.5円
    (3割負担の場合、自己負担額は1本あたり約26円)
  • ヒルドイドソフト軟膏0.3%(25g):1本あたり 約200.3円
    (3割負担の場合、自己負担額は1本あたり約60円)

※2025年5月27日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ヘパリン類似物質油性クリーム0.3%「日医工」

ヘパリン類似物質ローション0.3%「NIT」

ヘパリン類似物質外用スプレー0.3%「PP」

ヘパリン類似物質外用泡状スプレー0.3%「日医工」

よくある質問(FAQ)

Q. 妊娠中や授乳中でも使えますか?
はい、比較的安全に使用できると考えられており、医師の指示のもとでよく使われます。

Q. 赤ちゃんや子供でも使えますか?
はい、赤ちゃんの乳児湿疹や乾燥肌、アトピー性皮膚炎の保湿ケアなど、小児にも広く処方されています。

Q.顔に塗っても大丈夫ですか?
はい、大丈夫です。ただし、目に入らないように注意してください。

Q. ニキビに使ってもいいですか?
ヘパリン類似物質自体にニキビを治す直接的な効果はありません。しかし、他のニキビ治療薬(アダパレンベピオなど)の副作用による乾燥を防ぐための「保湿剤」として、一緒に処方されることはよくあります。

Q. 美容目的で「アンチエイジングクリーム」として使ってもいいですか?
ヘパリン類似物質はあくまで病気の治療や症状の改善を目的とした「医薬品」です。美容目的で健康な肌に使うことは、本来の用途から外れており、推奨されません。また、健康保険を使って治療薬を美容目的に使用することは、医療費の適正利用の観点からも問題があります。

Q.いつから効きますか?
保湿効果は塗ってすぐに実感できます。しもやけや傷跡の改善など、血行促進や組織修復に関わる効果は、ある程度の期間、継続して使用することで現れてきます。

まとめ

ヘパリン類似物質は、優れた「保湿作用」「血行促進作用」「抗炎症作用」を併せ持つ、非常に安全で使いやすい塗り薬です。 乾燥肌のケアから、アトピー性皮膚炎、しもやけ、傷跡の治療まで、幅広い皮膚の悩みに活用されています。

市販薬も手に入りやすくなりましたが、ヘパリン類似物質はあくまで「治療薬」であるという認識を持ち、自己判断で安易に使用するのではなく、まずは医師に相談し、ご自身の肌の状態に合った適切な使い方を指導してもらうことが大切です。

この記事が、ヘパリン類似物質への理解を深め、皆さんの健やかな肌作りの一助となれば幸いです。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。