
「糖尿病の新しい薬として、ジャディアンスが始まった」「心臓や腎臓を守る効果もあると聞いたけど、どんな薬?」
ジャディアンスは、血液中の余分な糖を尿と一緒に体外へ排出するという、ユニークな仕組みを持つお薬です。 もともとは2型糖尿病の治療薬として開発されましたが、その後の研究で慢性心不全や慢性腎臓病に対しても、進行を抑える優れた効果があることが分かり、現在ではこれらの病気の治療にも広く使われています。
この記事では、そんなジャディアンスについて、効果の仕組みや副作用、そして安全な使い方を、医師が分かりやすく解説していきます。
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ジャディアンスとは?効果は?
ジャディアンスは、「SGLT2阻害薬」という種類に分類されるお薬です。
腎臓に働きかけて、尿への糖の排出を促すことで、血糖値を下げます。また、それに伴う複合的な作用により、心臓や腎臓を保護する効果も発揮します。
ジャディアンスには、有効成分の量が異なる2つの種類の錠剤があります。
- ジャディアンス錠10mg
- ジャディアンス錠25mg
ジャディアンスの成分
有効成分は「エンパグリフロジン」です。
この薬は、腎臓で糖を血液中に“再回収”するための「扉(SGLT2)」の働きをブロックします。
これにより、再回収されなかった余分な糖が尿と一緒に排出され、結果的に血糖値が下がります。
さらに、糖と一緒に余分な水分や塩分も排出される(利尿・利ナトリウム作用)ため、体全体の血液量が減って心臓の負担が軽くなります(心保護効果)。
また、腎臓内の圧力バランスを整えるなど、腎臓そのものを守る効果(腎保護効果)も認められています。
このように、血糖値を下げるだけでなく、心臓や腎臓にも良い影響を与えるのが、ジャディアンスの大きな特徴です。
ジャディアンスの効果
尿に糖を排出することで、様々な効果をもたらします。
- 血糖値を下げる(2型糖尿病)
- 心不全の悪化を防ぐ(心血管イベントの発生や、心不全による入院のリスクを減らす)
- 腎臓の機能低下を抑える(慢性腎臓病の進行を抑制する)
どんなときに使う?(適応疾患・部位)
- 2型糖尿病
- 慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている場合に限る)
- 慢性腎臓病(ただし、末期腎不全または透析施行中の患者を除く)
※心不全、腎臓病に対しては、糖尿病の有無にかかわらず使用されます。
ジャディアンスにダイエット効果は?痩せる?
ジャディアンスを服用すると、体重が緩やかに減少することが多いです。
その理由は、この薬の「尿に糖を出す」という仕組みそのものにあります。糖は体にとってのカロリー源ですので、尿と一緒に糖を排出するということは、毎日、一定量のカロリー(おにぎり1個分弱に相当)を体外に捨てているのと同じことなのです。
これにより、個人差はありますが、多くの場合で2〜3kg程度の体重減少が見られます。
ただし、ジャディアンスは肥満治療薬として承認されているわけではありません。
あくまで糖尿病や心不全、腎臓病の治療薬であり、その副次的な効果として体重減少が期待できる、という位置付けです。ダイエット目的での自己判断の使用は、副作用のリスクもあり、絶対にやめてください。
ジャディアンスはオンライン診療で出せる?
「血糖値が高くて薬が必要」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」
そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。
ジャディアンスのようなお薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。
ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。
ウチカラクリニックでも、
ジャディアンスに関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。
特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。
ジャディアンスの使い方(用法・用量)
【2型糖尿病】
通常、成人には1回10mgを1日1回朝食前または朝食後に服用します。効果不十分な場合は、25mgに増量することもあります。
【慢性心不全、慢性腎臓病】
通常、成人には1回10mgを1日1回朝食前または朝食後に服用します。
必ず医師の指示通りに使用してください。
ジャディアンスの副作用
主な副作用
尿に糖が出るという、この薬特有の副作用に注意が必要です。
- 性器感染・尿路感染:尿中の糖分が原因で、カンジダなどの真菌(カビ)や、細菌が増殖しやすくなります。陰部のかゆみや、排尿時の痛みなどが主な症状です。
- 頻尿、脱水:糖と一緒に水分も排出されるため、トイレが近くなったり、脱水を起こしやすくなったりします。
- 低血糖:単独使用ではまれですが、他の糖尿病薬と併用するとリスクが上がります。
頻度はまれですが、ケトアシドーシスという重篤な副作用もあります。体が糖をうまく利用できず、脂肪が分解されて「ケトン体」という酸性物質が増えすぎた状態です。
吐き気、腹痛、強い喉の渇き、深い呼吸、果物のような甘い息の匂いなどが現れたら、直ちに医療機関を受診してください。
副作用が出たときの対処法
性器のかゆみや排尿時痛など、感染症が疑われる症状が出た場合は、医師に相談してください。脱水を防ぐため、普段からこまめな水分補給が重要です。
ジャディアンスの注意事項(禁忌)
使ってはいけない方
- 過去にジャディアンスの成分でアレルギー症状を起こしたことがある方(禁忌)
- 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡の方(禁忌)
- 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある方(禁忌)
- 脱水を起こしやすい方(特に高齢者、利尿薬を併用中の方)
- 尿路感染、性器感染のある方
- 腎機能・肝機能が低下している方
併用に注意が必要な薬
- 利尿薬→脱水・低血圧リスク↑
- 他の糖尿病薬(特にインスリンやSU薬)→低血糖リスク↑(用量調整)
- ACE阻害薬・ARB→血圧低下が相加
使用上の注意
性器・尿路感染の予防
陰部を清潔に保つ、排尿を我慢しない、水分をしっかり摂る、といった対策が予防につながります。
シックデイ(体調の悪い日)
発熱、下痢、嘔吐などで食事ができない日は、脱水を起こしやすく乳酸アシドーシスのリスクが高まります。そのような場合は、自己判断で服用せず、必ず主治医にどうすべきか確認してください。
低血糖が起きた時の対処法
メトホルミン単独では低血糖は起こしにくいですが、他の糖尿病薬との併用時や、食事を抜いた時などに、冷や汗、動悸、強い空腹感、手の震えなどの低血糖症状が現れることがあります。その場合は、すぐに以下の対応をとってください。
- すぐにブドウ糖を摂取する: 通常、ブドウ糖を10g程度摂取します。医師からブドウ糖を処方されている場合は、必ず持ち歩くようにしましょう。
- 砂糖や糖分を含む飲料でも代用可能: ブドウ糖がない場合は、砂糖を10〜20g摂るか、糖分を含むジュースや清涼飲料水などで代用します。
※チョコレートやアイスクリームなど、脂肪分が多いお菓子は、糖の吸収が遅れるため、すぐに対応する必要がある低血糖の処置には向いていません。 - 意識が朦朧とする場合: もし意識がはっきりしない、朦朧とするなどの重い症状が出た場合は、周りの人が無理に口に物を入れたりせず、直ちに救急車を呼ぶ必要があります。
ジェネリック
比較的新しい薬のため、2025年6月現在、ジェネリック医薬品はまだ販売されていません。
薬価
時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。
- ジャディアンス錠10 mg:約188.9円/錠(3割負担の場合:約57円)
- ジャディアンス錠25 mg:約322.6円/錠(3割負担の場合:約97円)
※2025年6月4日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
よくある質問(FAQ)
Q. 妊婦や授乳中でも使えますか?
いいえ、原則として使用できません。 妊娠中・授乳中の方への安全性は確立されておらず、特に妊娠中は他の安全な治療法が選択されます。
Q. 子供でも使えますか?
いいえ、小児に対する安全性は確立されていません。 そのため、原則として成人のみに処方されます。
Q. いつから効きますか?
血糖値を下げる効果は、服用開始から数日で現れ始めます。一方、心臓や腎臓を保護する効果は、長期間服用を続けることで得られる、じっくりとした効果です。
Q. お酒と一緒に飲んでも大丈夫?
治療中の飲酒は、控えることが強く推奨されます。 アルコールは、ジャディアンスの副作用である脱水を助長する可能性があります。また、食事を摂らずに多量の飲酒をすると、重篤な副作用であるケトアシドーシスのリスクを高めることもあります。
Q. 運転してもいいですか?
はい、問題ありません。眠気を催す成分は入っていません。ただし、他の薬との併用などで低血糖が起こると危険ですので、その点は注意が必要です。
Q. 飲むと尿から糖が出ると聞きました。大丈夫ですか?
はい、それがこの薬の正常な働きです。尿検査をすると必ず尿糖が陽性になりますが、血糖コントロールが悪化したわけではないので、心配いりません。医師もそれを理解した上で検査結果を判断します。
まとめ
ジャディアンスは、尿に糖を排出させるというユニークな仕組みで、2型糖尿病だけでなく、慢性心不全や慢性腎臓病の治療にも使われる、画期的なお薬です。 血糖値を下げるだけでなく、心臓や腎臓を保護する効果も期待できます。
ただし、その作用機序から「性器・尿路感染」や「脱水」といった特有の副作用に注意が必要です。特に、体調が悪い時(シックデイ)の対応については、必ず事前に主治医と相談しておきましょう。
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