
「血圧が高めで、肩こりや耳鳴りがつらい」 「手足の冷えやしびれがなかなか治らない」
そんな、血行不良や高血圧に伴う不調に対して処方されるお薬が「ユベラN」です。
今回は、このユベラNがどのようなお薬なのか、効果や副作用、普通のユベラとの違いについて、医師がやさしく解説していきます。
目次
ユベラNとは?効果は?
ユベラNは、「トコフェロールニコチン酸エステル」を有効成分とするお薬です。
ビタミンE(トコフェロール)に、血管拡張作用を持つ「ニコチン酸」を結合させることで、末梢(手足など)の血管を広げる働きを強めています。血管を広げる力をパワーアップさせた、強化版ビタミンEのような存在です。
ユベラNには、カプセル(硬いカプセル)とソフトカプセル(柔らかいカプセル)があります。
- ユベラNカプセル100mg
- ユベラNソフトカプセル200mg
- ※200mgなどの一部製品は、製造上の理由で販売中止・供給停止となっている場合があります。詳しくは後述します。
ユベラNの成分
有効成分は「トコフェロールニコチン酸エステル」です。
この成分は、血管の壁に直接働きかけて血管を広げ、血液の流れを良くします。
その結果、手足など体のすみずみまで酸素や栄養が届きやすくなり、滞っていた血のめぐり(微小循環)が改善されると考えられています。
また、血液を固まりにくくする作用(血小板凝集抑制作用)なども報告されており、これらの働きによって、冷えやしびれ、肩こりなどの症状を和らげます。
ユベラNの効果
上記の作用により、具体的に以下のような効果が期待されます。
- 血管を拡張し、血液の循環を良くする効果
- 高血圧に伴う随伴症状(肩こり、耳鳴り、めまい、頭重感)を改善する効果
- 高脂血症(脂質異常症)を改善する効果
- 閉塞性動脈硬化症に伴う末梢循環障害(冷え、しびれなど)を改善する効果
どんなときに使う?(適応疾患・部位)
- 高血圧症(随伴症状の改善)
- 高脂血症
- 閉塞性動脈硬化症(末梢循環障害)
※注意点※
「高血圧症」に適応がありますが、これは血圧そのものを下げる「降圧薬」ではありません。高血圧に伴って起こる「肩こり、耳鳴り、めまい、頭重感」などのつらい症状を改善するためのお薬です。
ユベラNと「ユベラ錠」の違いは?
「ユベラ」とつくお薬はいくつかありますが、成分と「強さ(得意分野)」が異なります。
ユベラ錠(トコフェロール酢酸エステル)

- 成分:ビタミンEのみ。
- 用途:しもやけや単なる冷え性、ビタミンE欠乏症に使われます。作用は比較的マイルドです。
【ユベラの詳しい解説はこちら!】
→ユベラの効果・副作用
ユベラN(トコフェロールニコチン酸エステル)

- 成分:ビタミンE +ニコチン酸(結合したもの)。
- 用途:血管を広げる作用に優れており、高血圧に伴う症状(肩こり・めまい)や高脂血症、動脈硬化による冷えなどに使われます。
ユベラNはオンライン診療で出せる?
「高血圧に伴う肩こりがつらい」「冷えやしびれで悩んでいる」
そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。
ユベラNのようなお薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。
ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。
ウチカラクリニックでも、
ユベラNに関するご相談や処方をオンライン診療にて承っております。
特に、「体調が悪く外出がつらいとき」や「待つのが苦手なお子様の受診」などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。
ユベラNの使い方(用法・用量)
通常、成人には1日300mg〜600mg(100mgカプセルなら3〜6カプセル)を、1日3回服用します。
年齢や症状によって、量は調整されます。
ユベラNの副作用
主な副作用
ビタミン剤がベースなので重い副作用は少ないですが、ニコチン酸(血管を広げる成分)の影響で特有の症状が出ることがあります。
主な副作用として、顔のほてり、潮紅(赤くなる)、のぼせなどが報告されています。また、胃部不快感、食欲不振、下痢などの胃腸症状が出ることもあります。
副作用が出たときの対処法
ほてり・のぼせは血管が広がっている証拠でもありますが、つらい場合は医師に相談してください。
また、胃腸症状は食後に服用することで和らぐことがあります。
ユベラNの注意事項(禁忌)
使用に注意が必要な方
服用してはいけない方(禁忌)
添付文書上、「この病気の人は絶対に飲んではいけない」という決まり(禁忌)の記載はありません。
特に注意して使う方(慎重投与)
- 過去にユベラNでアレルギーを起こしたことがある方
- 肝機能障害のある方(副作用として肝機能検査値の上昇が報告されています)
- 妊娠中・授乳中の方
- 小さなお子さん(臨床試験未実施のため)
併用に注意が必要な薬
飲み合わせが「禁止」されている薬は特にありません。
ただし、他のビタミンE製剤や、血管を広げる薬と併用する場合は、作用が重なる可能性があるため医師・薬剤師に伝えてください。
使用上の注意
| お酒(アルコール) | アルコールも血管を広げる作用があるため、ユベラNと一緒に飲むと、顔のほてりや赤みが強く出たり、血圧が下がりすぎて立ちくらみを起こしたりする可能性があります。 |
| 入浴時の注意 | 熱いお風呂に長く浸かると、血管が広がりすぎてのぼせやすくなることがあります。特に飲み始めの時期は、長湯に注意してください。 |
保管方法
- 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
- 子どもの手の届かない場所へ。
飲み忘れたら?
気づいた時に1回分を飲んでください。ただし、次の服用時間が近い場合は1回とばしましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
ウチカラクリニックのオンライン診療でも、ユベラNをはじめとしたお薬の処方も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

※心療内科ではシステム手数料をいただいております。
ユベラNの市販薬・ジェネリック
市販薬
「ユベラN」と全く同じ成分(トコフェロールニコチン酸エステル)の市販薬は少ないですが、「ユベラ-Cソフト」(エーザイ)などのビタミンE・C配合剤は販売されています。ただし、高血圧の随伴症状への効能を持つものは限られます。
ジェネリック
ユベラNのジェネリック医薬品として、「トコフェロールニコチン酸エステルカプセル『メーカー名』」などが販売されています。有効成分や効果は先発品と同じですが、お薬代を少し抑えることができます。
薬価
時期や薬局によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。
| 薬剤名 | 区分 | 薬価(1カプセルあたり) | 3割負担の目安(1カプセルあたり) |
|---|---|---|---|
| ユベラNカプセル100mg | 先発品 | 約6.10円 | 約1.8円 |
| ユベラNソフトカプセル200mg | 先発品 | 約6.80円 | 約2.0円 |
※2025年12月4日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
ユベラNカプセル100mg/ユベラNソフトカプセル200mg
「ユベラが販売中止」と聞きましたが、理由は?
「ユベラNがなくなった」という噂を耳にして不安に思っている方もいるかもしれません。
結論から言うと、ユベラNというお薬自体がなくなったわけではありません。
製造上の都合や需要の変化により、エーザイの「ユベラNソフトカプセル200mg」など、一部の包装・規格が販売中止となりました。
「ユベラNカプセル100mg」や、ジェネリック医薬品は現在も製造・販売されており、処方可能です。
安全性に問題があったわけではありませんので、ご安心ください。医師が適切な規格やジェネリック医薬品を選択して処方します。
よくある質問(FAQ)
Q.妊婦・授乳中でも飲めますか?
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ処方されます。ビタミン剤の一種ですが、ニコチン酸が含まれるため、自己判断せず必ず医師に相談してください。
Q.子どもでも飲めますか?
小児に対する安全性は確立されていません。基本的には成人に処方されるお薬です。
Q.飲むと眠くなりますか?運転はできますか?
眠くなる成分は含まれていませんので、基本的には問題ありません。
Q.いつから効き始めますか?
痛み止めのようにすぐに効くのではなく、血行や代謝を改善して徐々に効果を発揮するお薬です。 冷えや肩こりなどの症状に対しては、2週間〜1ヶ月程度継続して服用することで効果を感じ始めることが多いです。高脂血症などの場合は、2ヶ月以上の継続が必要なこともあります。焦らず続けることが大切です。
Q.お酒(アルコール)を飲んでもいいですか?
どちらも血管を広げるため、一緒に飲むと顔が真っ赤になったり、ドキドキしたり、のぼせが強く出ることがあります。晩酌の直前・直後の服用は避けるなど、注意が必要です。
まとめ
ユベラNは、ビタミンEとニコチン酸の力で、縮こまった血管を広げ、高血圧に伴う肩こりや冷えなどのつらい症状を改善するお薬です。一部製品の販売中止情報がありますが、代替となるお薬はきちんと存在します。
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