【漢方】帰脾湯の効果・副作用を医師が解説!

帰脾湯

「体が疲れきっているのに、考え事をしてしまって眠れない」 「ささいなことで不安になったり、くよくよ考え込んだりしてしまう」 「貧血気味で顔色が悪く、食欲もない」

そんな、心と体の両方が“栄養不足”になっているような、デリケートな不調に、漢方薬の「帰脾湯(きひとう)」が処方されることがあります。

今回は、この帰脾湯がどのようなお薬なのか、その効果の仕組みや副作用、そしてよく似た名前の「加味帰脾湯」との違いについて、医師がやさしく解説していきます。

 

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帰脾湯とは?効果は?

帰脾湯は、消耗した「気(き)」と「血(けつ)」の両方を補うことで、心と体の両面の不調を改善する漢方薬です。
その名前は、エネルギー(気)と栄養(血)を生み出す「脾(ひ)」(胃腸の働き)の機能を元に戻す(脾に帰す)ことに由来します。

思い悩みやすい“繊細な心”と“疲れた体”を、両方まとめて元気にするので、貧血や食欲不振といった体の症状と、不眠や不安といった心の症状が同時に見られる場合によく使われます。

医療用では、主に「ツムラ帰脾湯エキス顆粒(医療用)」のように、製薬会社名がついたエキス剤(粉薬)が処方されます。

 

帰脾湯の成分

帰脾湯は、以下の12種類の生薬(しょうやく)で構成されています。

  • 人参(ニンジン)、黄耆(オウギ)、白朮(ビャクジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、生姜(ショウキョウ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)
     →エネルギー(気)と胃腸を元気にするグループ
  • 酸棗仁(サンソウニン)、竜眼肉(リュウガンニク)、遠志(オンジ)、当帰(トウキ)
     →栄養(血)を補い、心を落ち着かせるグループ
  • 木香(モッコウ)
     →気の巡りを整えるグループ

漢方では、胃腸の働き(脾)が弱ると、エネルギー(気)と栄養(血)の両方が不足する「気血両虚(きけつりょうきょ)」という状態になると考えます。
そして、「血」は精神活動を支える土台でもあるため、不足すると「心(しん)」が栄養失調になり、不安感や不眠、物忘れといった症状が現れます。

帰脾湯は、これらの生薬の働きで「体」と「心」の両方に栄養を与え、バランスを整えることで、様々な心身の不調を改善していきます。

 

帰脾湯の効果

  • 心と体を栄養し、元気を取り戻す効果
  • 不安感や不眠を和らげる精神安定効果
  • 貧血症状を改善する効果

 

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 虚弱体質で血色の悪い人の次の諸症:
    • 貧血、不眠症

 

帰脾湯と加味帰脾湯の違い

名前がよく似ている「加味帰脾湯(かみきひとう)」は、帰脾湯に「柴胡(サイコ)」と「山梔子(サンシシ)」という2つの生薬を加えた(加味した)ものです。

  • 帰脾湯: くよくよと思い悩むタイプの不眠や不安に。症状が比較的穏やか。
  • 加味帰脾湯: 帰脾湯の症状に加えて、イライラや、のぼせ、顔がほてるといった「熱症状」が目立つ場合に。

簡単に言うと、「繊細で物静かなタイプなら帰脾湯」「繊細さに加えてイライラも強いタイプなら加味帰脾湯」という使い分けが基本になります。

 

帰脾湯はオンライン診療で出せる?

「原因がはっきりしないけれど、なんとなく不調が続いている」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

帰脾湯のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
帰脾湯に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

帰脾湯の使い方(用法・用量)

1日2〜3回、1回1包を食前または食間(食事と食事の間)の空腹時に服用するのが基本です。

水または白湯(さゆ)で服用してください。

メーカーにより1包の量などが異なります。詳細は医師や薬剤師の指示に従ってください。

帰脾湯の副作用

漢方薬は作用が穏やかですが、副作用が全くないわけではありません。

主な副作用

主な副作用として、発疹、かゆみ、食欲不振、胃の不快感などが報告されていますが、頻度はまれです。

また、甘草(カンゾウ)による「偽アルドステロン症」(むくみ、血圧上昇など)やミオパチーにも注意が必要です。

 

副作用への対処法

「手足のだるさ」「しびれ」「つっぱり感」「むくみ」「血圧の上昇」などは、偽アルドステロン症の初期症状かもしれません。服用を中止し、医師に連絡しましょう。

 

帰脾湯の注意事項(禁忌)

注意が必要な方

  • 過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方
  • 体力があり、がっしりとした体格の「実証」タイプの方(お薬が体質に合わない可能性があります)
  • 高血圧、心臓病、腎臓病のある方

併用に注意が必要な薬

  • 甘草含有漢方(芍薬甘草湯、補中益気湯、抑肝散 等)
  • グリチルリチン配合剤

使用上の注意

漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質(「証」といいます)に合わせて選ばれます。
帰脾湯は、顔色が悪く、疲れやすいといった「虚証(きょしょう)」タイプで、特に思い悩んで眠れない、食欲がないといった「心脾両虚(しんぴりょうきょ)」の状態の方に適しています。

 

保管方法

  • 直射日光や湿気を避け、涼しい場所に保管してください。
  • 子どもの手の届かない場所へ。

飲み忘れたら?

気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、帰脾湯をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

帰脾湯に市販薬はある?値段は?

市販薬

イスクラ産業などから、具体的な製品名で販売されていますが、一般用で広く流通しているのは加味帰脾湯です。帰脾湯そのもののOTC(市販薬)は稀です。

製品によって顆粒や錠剤といった剤形や、用法・用量が異なりますので、購入の際はパッケージをよく確認し、薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。

ジェネリック

漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。

しかし、ツムラ以外にも、ジュンコウなど、複数のメーカーが同じ「帰脾湯」という名称で医療用エキス製剤を製造しており、薬価もそれぞれ異なります。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • ツムラ帰脾湯エキス顆粒2.5 g(医療用):約75.5円/包(3割負担の場合:約23円)
  • ジュンコウ(康和薬通)帰脾湯FCエキス細粒2.5 g:約64.75円/包(3割負担の場合:約19円)

※2025年10月2日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ツムラ帰脾湯エキス顆粒(医療用)

よくある質問(FAQ)

Q.妊婦・授乳中でも飲めますか?

自己判断での服用は避け、必ず医師や薬剤師に相談してください。妊娠中は体の状態が大きく変化するため、専門家による慎重な判断が必要です。

Q.子どもでも飲めますか?

はい、お子さんの虚弱体質や、不安になりやすい、食が細いといった場合に処方されることがありますが臨床試験は未実施です。その場合、年齢や体重に合わせて服用量が調整されます。

Q.飲むと眠くなりますか?運転はできますか?

睡眠薬のように強制的に眠くさせる成分は含まれていません。不安や緊張を和らげることで、自然な眠りをサポートするお薬です。そのため、運転や機械の操作に影響はありません。

Q.お酒(アルコール)との飲み合わせは?

直接的な悪い相互作用はありませんが、アルコールは睡眠の質を下げ、精神を不安定にさせることがあります。お薬が目指す「心を落ち着かせる」働きとは逆の作用なので、治療中の飲酒は控えるのが望ましいです。

Q.いつから効き始めますか?

体質をじっくりと整えていく漢方薬なので、即効性はありません。効果を実感するまでには、早くても2週間~1ヶ月程度はかかります。焦らず、継続して服用することが大切です。

 

まとめ

帰脾湯は、体力と気力の両方が落ちてしまったときの、不安や不眠、貧血といったデリケートな不調に、やさしく寄り添ってくれる漢方薬です。

「原因不明の不調が続いている」
「西洋薬の安定剤や睡眠薬には少し抵抗がある」

そんなときは、我慢せずに専門家である医師に相談しましょう。

ウチカラクリニックのオンライン診療なら、お忙しい方でもご自宅から気軽に医師の診察を受けることができます。

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  • お忙しい方でも安心の年中無休で診療
  • 処方された薬は郵送、またはお近くの薬局で受け取り可能

通院の手間なく、ご自身の体質や症状に合った漢方薬についてじっくりと相談できます。長引く不調にお悩みの方は、ぜひお気軽にウチカラクリニックにご相談ください。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。