
「風邪をひいて痰が絡んでツラい…」「鼻水が喉に流れてきて気持ち悪い…」そんな時、病院で「ムコダイン」というお薬が処方されることがあります。
「ムコダインって、どんなお薬なんだろう?」「副作用はあるのかな?」「子供にも使えるの?」など、色々な疑問が浮かんできますよね。
この記事では、痰や鼻水を出しやすくするお薬「ムコダイン」について、その成分や効果、副作用、正しい使い方を、医師が分かりやすく解説します。ムコダインについて詳しく知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
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ムコダインとは?効果は?
ムコダインは、医療用医薬品として処方されるお薬で、主に気道や鼻の粘液を調整し、痰や鼻水を排出しやすくする効果(去痰薬)があります。一般名は「L-カルボシステイン」といいます。
ムコダインには、錠剤(ムコダイン錠250mg・ムコダイン錠500mg)、シロップ(ムコダインシロップ5%)、細粒(ムコダイン細粒50%)、DS(ドライシロップ、ムコダインDS50%)など、様々な剤形があり、年齢や症状に合わせて使い分けられています。
ムコダインの成分
ムコダインの有効成分は「L-カルボシステイン」です。
このL-カルボシステインは、私たちの体の中で以下のような働きをすることで、痰や鼻水の悩みを和らげてくれます。
- 気道粘液の調整作用
粘液を構成する成分のバランスを整え、ドロドロとした粘り気の強い痰や鼻水を、サラサラとした状態に近づける効果と気道の粘膜を修復するのを助け、正常な状態に近づける効果があります。 - 線毛運動の活性化
気道の内側には「線毛」という細かい毛がたくさんあり、これがパタパタと動くことで痰などの異物を体の外に運び出しています。L-カルボシステインは、この線毛の動きを活発にするのを助けると言われています。 - 副鼻腔炎(蓄膿症)における効果
鼻の奥にある副鼻腔という空間に膿がたまる副鼻腔炎では、粘膜の炎症を抑えたり、膿を排出しやすくしたりする効果も期待できます。
このように、ムコダイン(L-カルボシステイン)は、痰や鼻水の「質」を変え、体の「自浄作用」を高めることで、症状を改善するお薬です。
ムコダインの効果
- 痰の切れを良くする(去痰効果)
- 鼻水を出しやすくする
- 鼻づまりを和らげる
- 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の膿を出しやすくする
- 中耳炎の排液を促す(小児の滲出性中耳炎など)
風邪や気管支炎、副鼻腔炎、中耳炎など、幅広い疾患で使われるお薬です。
どんなときに使う?(適応疾患)
- 呼吸器疾患における去痰
- 上気道炎(風邪、咽頭炎、喉頭炎)
- 急性気管支炎
- 慢性気管支炎
- 気管支拡張症
- 気管支喘息
- 肺結核
- 慢性副鼻腔炎の排膿
- 滲出性中耳炎の排液(小児の場合)
痰が絡む咳、鼻水、鼻づまり、副鼻腔炎による不快な症状、中耳炎による聞こえにくさなどがある場合に処方されます。
ムコダインの使い方(用法・用量)
ムコダインは、年齢や症状、剤形(錠剤、散剤、シロップ)によって異なります。必ず医師や薬剤師の指示に従って服用してください。
成人の場合
通常、成人はL-カルボシステインとして1回500mgを1日3回服用します。
小児の場合
小児の場合は、年齢や体重に応じて用量が調整されます。一般的には体重1kgあたり1回10mgを1日3回服用します。
- 1歳未満:医師の指示に従います
- 1歳以上3歳未満:シロップまたはドライシロップが処方されることが多いです
- 3歳以上:年齢に応じて適切な量のシロップ、ドライシロップが処方されます
剤型の種類
- 錠剤:主に成人向け(ムコダイン錠250mg/ムコダイン錠500mg)
- シロップ:主に小児向け(ムコダインシロップ5%/ムコダインシロップ「調剤用」2%)
- ドライシロップ(ムコダインDS50%)
- 散剤(ムコダイン散10%)
ドライシロップは粉の状態で渡されますが、水に溶かしてシロップ状にして服用することもできます。お子さんが服用する場合は、飲みやすい方法を選ぶとよいでしょう。
ウチカラクリニックのオンライン診療でも、ムコダインをはじめとした痰切り薬の処方や風邪の治療なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

ムコダインの注意事項(禁忌)
使用に注意が必要な方
- 過去にムコダイン(L-カルボシステイン)でアレルギー症状を起こしたことがある方
- 肝臓に障害のある方: 症状が悪化する可能性があります。
- 心臓に障害のある方: 慎重な投与が必要です。
- 高齢者: 副作用が出やすい可能性があるため、少量から開始するなど慎重な投与が必要。
- 妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳中の方
飲み合わせに注意が必要な薬
ムコダインとの飲み合わせで特に注意が必要とされているお薬は、現在のところ多くはありません。
しかし、市販の風邪薬や総合感冒薬には、すでにL-カルボシステインやその他の去痰成分が含まれていることがあります。重複して服用しないよう注意が必要です
使用上の注意
- アレルギー症状に注意: 発疹やかゆみなどが出たら、すぐに医師に相談してください。
- 痰や鼻水が増えることも: ムコダインの効果で、一時的に痰や鼻水の量が増えたように感じることがあります。これは薬が効いているサインの場合もありますが、気になる場合は医師に相談しましょう。
医師の指示を守って服用し、それでも改善が見込めないときは医師に相談しましょう。
保管方法
- 直射日光や高温多湿を避けて保管
- 子どもの手の届かない場所へ
- シロップ剤やDSは、開封後の保管方法や使用期限について薬剤師の指示をよく確認してください。
飲み忘れたら?
飲み忘れた場合は、気づいたときにできるだけ早く1回分を飲んでください。
ただし、次に飲む時間が近い場合は(目安として4~5時間以内など)、忘れた分は飲まずに、次の通常の時間に1回分を飲んでください。
2回分をまとめて飲むのはNGです。
ムコダインの副作用
主な副作用
ムコダインで報告されている副作用は、比較的少ないとされています。
比較的よくみられる副作用
- 食欲不振、下痢、腹痛、吐き気、胃の不快感
- 発疹、かゆみ
- 湿疹
まれにみられる重篤な副作用
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(TEN): 高熱、目の充血、口や陰部のただれ、全身の赤い発疹や水ぶくれなどが現れる非常に重い皮膚障害です。
- 肝機能障害、黄疸: 全身のだるさ、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなるなどの症状が現れます。
- ショック、アナフィラキシー: 呼吸困難、じんましん、顔面蒼白、血圧低下などが急に現れることがあります。
副作用が出たときの対処法
- 消化器症状(食欲不振、下痢、腹痛など)
症状が軽い場合は様子を見ることもありますが、つらい場合や長引く場合は医師に相談しましょう。 - 皮膚症状(発疹、かゆみ、湿疹)
このような症状が出た場合は、服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。
上記以外の症状や、いつもと違う体調の変化を感じた場合は、自己判断せずに医師や薬剤師に相談してください。特に、重篤な副作用が疑われる症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。
ムコダインに市販薬はある?値段は?
市販薬
ムコダインの有効成分である「L-カルボシステイン」を含む市販薬も存在します。
- ストナ去痰カプセル(佐藤製薬)
- クールワン去たんソフトカプセル(キョーリン製薬)
- 浅田飴去痰CB錠(浅田飴)
また、痰切り成分であるムコダイン(L-カルボシステイン)と掛け合わせ、咳や痰に効く鎮咳去痰薬も市販されています。
- 新エスエスブロン錠エース(エスエス製薬)
- クールワンせき止めGXプラス(杏林製薬)
- リココデSクリア(ゼネル薬品工業)
風邪の諸症状がある場合に有効なムコダイン(L-カルボシステイン)が含有されている総合感冒薬もあります。
- パブロンエースPro-X錠(大正製薬)
- ベンザブロックLプレミアム 12錠(武田コンシューマ)
- ストナプラスジェルEX(佐藤製薬)
ただし、市販薬は医療用医薬品と成分の含有量が異なる場合や、他の成分も配合されていることがあります。ご自身の症状や体質に合ったお薬を選ぶためには、薬剤師に相談することをおすすめします。
ジェネリック名
ムコダインには、有効成分「L-カルボシステイン」のジェネリック医薬品(後発医薬品)が多数あります。一般的に薬価がムコダインよりも安価なことが多いです。
商品名としては、「カルボシステイン錠「〇〇」」や「カルボシステインDS「〇〇」」、「カルボシステインシロップ「〇〇」」(〇〇には製薬会社名が入ります)などがあります。
ジェネリック医薬品を希望する場合は、医師や薬剤師に相談してみてください。
薬価
時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。
- ムコダイン錠250mg:11.10円/錠
- ムコダイン錠500mg:13.00円/錠
- ムコダイン散10%:13.20円/g
- ムコダインDS50%:35.20円/g
- ムコダインシロップ5%:5.90円/mL
- ムコダインシロップ「調剤用」2%:2.50円/mL
※2025年4月29日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
よくある質問(FAQ)
Q. 妊娠中でも使える?
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ処方されます。自己判断での服用は絶対に避け、必ず医師に相談してください。特に妊娠初期は慎重な判断が必要です。
Q. 授乳中でも使える?
ムコダインの成分が母乳中に移行するかどうかについては、詳細なデータが十分ではありません。服用する際は医師に相談し、指示に従ってください。医師の判断によっては、授乳を続けることができる場合もあります。
Q. 子供でも飲めますか?
はい、ムコダインはシロップやDS(ドライシロップ)の形で、お子さんの痰や鼻水の治療によく処方されます。特に滲出性中耳炎の治療にも使われます。ただし、年齢や体重によって服用量が細かく調整されるため、必ず医師の指示通りの量を飲ませてください。
Q. 車の運転への影響は?
ムコダインの副作用として眠気が報告されることは非常にまれです。そのため、添付文書上では運転に関する明確な禁止事項はありません。しかし、万が一眠気を感じる場合は、運転や危険な機械の操作は控えた方が良いでしょう。
Q. 飲み始めてどのくらいで効果が出る?
効果が現れるまでの時間には個人差があり、また症状の種類(痰なのか、鼻水なのか、中耳炎なのか)によっても実感は異なります。一般的には、数日間の服用で徐々に効果が現れてくることが多いです。すぐに劇的な変化があるわけではなく、粘液の状態を徐々に改善していくお薬です。
Q. お酒と一緒に飲んでも大丈夫?
ムコダインとアルコールの間に特に強い相互作用は報告されていません。しかし、一般的に薬を服用中はお酒を控えることが推奨されます。アルコールは体の状態に影響を与えるため、薬の効果や副作用に予期せぬ影響が出る可能性も否定できません。心配な場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
Q. ムコダインが効かない場合はどうすればいいですか?
数日間服用しても咳の症状が改善しない場合や、むしろ悪化するような場合は、自己判断で服用を続けずに、必ず医師や薬剤師に相談してください。咳の原因が他にある可能性や、お薬が合っていない可能性も考えられます。
Q. ムコダインは咳止めですか?
ムコダインは直接的に咳を止めるお薬(鎮咳薬)ではありません。痰の切れを良くすることで、結果的に咳が楽になることは期待できますが、咳中枢に作用して咳そのものを抑えるわけではありません。咳がひどい場合は、鎮咳薬が合わせて処方されることもあります。
Q. カルボシステインとの違いはなんですか?
カルボシステインはムコダインの有効成分(一般名)で、同じ成分のお薬です。ムコダインの市販薬やジェネリック医薬品として販売されています。
まとめ
ムコダインは、有効成分L-カルボシステインを含む去痰薬で、痰をサラサラにして出しやすくする効果があります。粘液調整作用と粘膜正常化作用により、風邪や気管支炎、副鼻腔炎など様々な呼吸器疾患の症状を改善します。
小児から高齢者まで幅広い年齢層に使用でき、様々な剤形があるため、症状や年齢に合わせて適切な形で服用できることが特徴です。副作用は比較的少なく、安全性の高い薬ですが、まれに重大なアレルギー反応が起こることもあるため、異常を感じた場合は服用を中止して医師に相談してください。
痰のからむ咳でお困りの際は、医師に相談し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。自己判断での服用は避け、必ず医師の指示に従って正しく服用してください。
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