
「新しい睡眠薬の『クービビック』って、もう使えるの?」 「どんな仕組みで効くんだろう?デエビゴとはどう違うのかな?」 「副作用や効果について、もっと詳しく知りたい!」
眠りに関する悩みをお持ちの方にとって、新しい治療薬の情報はとても気になりますよね。
特に、これまでの薬では満足できなかったり、副作用が心配だったりする場合、新しい選択肢に期待を寄せる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、2024年に登場した新しい睡眠薬「クービビック(ダリドレキサント)」について、皆さんの疑問に優しくお答えしながら、その特徴や作用のしくみ、期待される効果、注意点などを分かりやすく解説していきます。
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クービビックとは
クービビックの成分
クービビックは、「オレキシン受容体拮抗薬(DORA)」というグループに分類される、新しいタイプの睡眠薬です。
クービビックの有効成分は「ダリドレキサント」という名前です。これは、すでによく使われている「デエビゴ(レンボレキサント)」や「ベルソムラ(スボレキサント)」と同じDORAの仲間になります。
私たちの脳の中には、「オレキシン」という物質があります。このオレキシンは、脳を活発にし、「起きろ!」と覚醒させる働きを持っています。オレキシンが脳内の特定の”受け皿”(オレキシン受容体)にくっつくことで、私たちは目が覚め、活動的な状態になります。
クービビック(ダリドレキサント)は、このオレキシンが受容体にくっつくのを邪魔(ブロック)するお薬です。
オレキシンの「起きろ!」という信号が伝わりにくくなることで、脳の過剰な覚醒状態が自然に収まり、脳の”覚醒スイッチ”がオフになりやすくなって、眠りへとスムーズに移行できるようサポートします。
従来の多くの睡眠薬が脳全体の活動を広く抑えるのに対し、クービビックのようなDORAは、覚醒に関わる特定のシステムに的を絞って作用するため、より自然な眠りに近いプロセスを促すと考えられています。
クービビックの効果は?何時間くらい眠れる?
海外や日本の臨床試験(治験)で、不眠症の方に対して以下のような効果が確認されています。
- 寝つきを良くする(入眠困難の改善)
- 夜中に目が覚めてしまう回数や時間を減らす(中途覚醒の改善)
- 合計の睡眠時間を長くする
つまり、寝つきが悪いという悩みと、眠りが浅くて途中で起きてしまうという悩みの両方に効果が期待できるお薬と言えます。
お薬が体の中で作用する時間については、比較的速やかに血中濃度が下がるというデータがあり、同じDORAの仲間であるデエビゴなどと比べると、翌朝に眠気やふらつきが残る「持ち越し効果」が少ない可能性が期待されています。
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、効果の感じ方や持続時間には個人差があることを覚えておいてくださいね。
どんなときに使う?(適応疾患・部位)
- 不眠症(特に寝つきが悪い、夜中に目が覚めるなど)
クービビックの強さは?他の薬との違い
クービビックの強さ(催眠作用)
クービビックは、脳の覚醒システムを抑えることで眠気を促すタイプのお薬です。
そのため、脳全体の活動を直接抑えるタイプの睡眠薬(例:ベンゾジアゼピン系のリスミーなど)と比較すると、直接的な催眠作用(眠らせる力)はマイルドと感じるかもしれません。
「飲んだらすぐに強制的に眠くなる」というよりは、自然と眠りに入りやすくなるのを助けるイメージです。
他の睡眠薬との違い
- 他のオレキシン受容体拮抗薬(デエビゴ、ベルソムラ)との比較
同じオレキシン受容体拮抗薬の仲間ですが、薬の成分や構造が少しずつ異なります。これにより、体の中での分解のされ方や作用の持続時間、副作用の現れ方(特に翌日の眠気など)に違いが出ることがあります。
一般的には、クービビックはデエビゴよりも作用時間がやや短い傾向にあるとされ、翌日への影響をより少なくしたい場合に選択肢となる可能性があります。 - GABA受容体系(リスミー、マイスリー、ルネスタなど)
脳の活動を広く抑制して眠気を促します。効果は実感しやすい反面、依存性、耐性、離脱症状のリスクがあります。 - メラトニン受容体作動薬(ロゼレム)
体内時計に働きかけ、自然な睡眠リズムを整えます。依存性は極めて低いですが、効果が出るまでに時間がかかることがあります。
クービビックを含むオレキシン受容体拮抗薬の最大のメリットの一つは、依存性のリスクが低いと考えられている点です。
安全性の高い睡眠薬の選択肢がさらに増えたことは、不眠に悩む多くの方にとって朗報と言えるでしょう。
他のお薬の種類や睡眠薬の依存性が気になるかたはこちらの記事もチェックしましょう。
クービビックの使い方(用法・用量)
クービビックは25mgの錠剤と50mgの錠剤があります。
通常、大人は1回50mgを寝る前に水またはぬるま湯で飲みます。1日に飲んで良い最大量は50mg。
患者さんの状態(副作用が出やすいなど)によっては、お医者さんの判断で1回25mgに減量されることもあります。
食事と一緒、または食事のすぐ後に飲むと、薬の吸収が遅れて効果を感じるまでに時間がかかることがあります。できれば空腹の状態(寝る前)に飲むのがおすすめです。
ウチカラクリニックのオンライン診療でも、症状に応じてクービビックの処方や不眠症状の治療も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

クービビックの注意事項・禁忌
併用注意の薬・飲んではいけない人
- アルコールとの併用:中枢神経が抑制され、ふらつきや転倒リスクが上がります。
- 他の睡眠薬・抗不安薬:併用時は過度な鎮静が起こる恐れがあるため、医師に要相談。
- 特定のCYP阻害薬(一部の抗生物質や抗真菌薬など):血中濃度が上がりすぎる可能性があります。
- CYP3A4阻害薬/誘導薬
- 肝臓や腎臓の機能が著しく低下している方
- 呼吸機能が低下している方(重い肺の病気など)
- 他の睡眠薬、精神安定剤(抗不安薬)、抗うつ薬、抗てんかん薬、強い痛み止め
他の薬を飲んでいる場合は、必ず医師や薬剤師に伝えて確認してもらいましょう。
使用上の注意
クービビックを服用すると、眠気や集中力低下が残る可能性があります。特に夜遅い時間に服用すると持ち越し効果が強くなるので注意が必要です。
服用後はふらつきや転倒のリスクが高まるので眠れるまで安静にしましょう。夜間のトイレなどで起きなくてはいけない場合は明るくして移動しましょう。
保管方法
- 直射日光・高温多湿を避けて保管しましょう。
- 子どもの手の届かない場所に置いてください。
飲み忘れたら?効かないときは?
もし飲み忘れたら無理に夜中に飲むのは避けましょう。すでに就寝時間が遅い場合、起床後まで眠気が残る恐れがあります。翌日からまた通常どおりに飲めばいいです。
効かないからと2回分を一度に服用してはいけません。
睡眠薬はなしで眠れるならそれにこしたことはありません。「必要ないとき」は飲まなくてOK。
毎日飲むから効いていくというものではありません。
クービビックの副作用
主な副作用
- 頭痛傾眠(日中の眠気)
- 浮動性めまい(ふわふわする感じ)
- 疲労(だるさ)
- 悪心(吐き気)
- 睡眠随伴症状(夢遊病のような行動): 非常にまれですが、眠っている間に無意識のうちに起き出して何かをしてしまう(歩き回る、食べる、電話するなど)ことが報告されています。
これらの副作用が現れる頻度は、一般的に低いとされています。特に、翌日への眠気の持ち越しについては、他のオレキシン受容体拮抗薬と比較して少ない可能性が期待されていますが、これには個人差があります。
副作用が出たときの対処法
- 睡眠時間をしっかり確保:6~7時間眠れる環境を作ると翌朝の眠気が残りにくいです。
- 気になる症状が続く場合は医師に相談:用量調整や別の薬への切り替えなども検討してもらえます。
クービビックは新しいお薬ですので、実際に使われる中でさらに情報が集まってきます。ご自身の体調の変化には注意を払い、気になることがあれば早めに医療専門家に伝えるようにしましょう。
クービビックはいつ発売?市販薬はある?値段は?
発売日
クービビックは、2024年4月17日に薬価収載(国の保険適用リストに入ること)され、同日から発売が開始されています。
すでに、不眠症の治療薬として医療機関で処方を受けることが可能です。(2025年5月4日現在)
市販薬
クービビックと同じ成分の市販薬はありません。
市販の睡眠補助サプリなどはまったく別の成分ですので、効果が異なります。自己判断で切り替えず、必ず医師と相談しましょう。
ジェネリック名
クービビックは発売されて間もない新しいお薬のため、まだジェネリック医薬品は存在しません。(2025年5月4日現在)
薬価
時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。
- クービビック錠25mg: 1錠あたり 86.9円
- クービビック錠50mg: 1錠あたり 127.4円
※2025年4月29日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
よくある質問(FAQ)
Q. 妊娠中や授乳中でも使える?
基本的には推奨されません。 妊娠中・授乳中の女性に対する安全性はまだ十分に確立されていません。動物を用いた試験では胎児への影響も報告されています。
Q. 小児でも使える?
いいえ、お子さんに対する安全性は確立されていません。 小児に対する安全性や有効性が確認されていないためです。
Q. 運転への影響は?
絶対に運転しないでください。 飲んだ翌日以降にも眠気や集中力・反射神経の低下などが続くことがあり、重大な事故につながる恐れがあるため非常に危険です。
Q. 飲み始めてどのくらいで効果が出る?
オレキシン受容体拮抗薬は、一般的に比較的速やかに効果が現れることが期待されます。ただし、効果の感じ方や現れ始めるまでの時間には個人差があります。
Q. お酒と一緒に飲んでも大丈夫?
眠気などの副作用が強く出ることがありますので、一緒に飲むのは避けましょう。
Q. 依存性はありますか?
クービビックを含むオレキシン受容体拮抗薬は、従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬と比べて、依存性のリスクは低いと考えられています。
Q. デエビゴとの違いは何ですか?
どちらも同じオレキシン受容体拮抗薬(DORA)ですが、有効成分が異なります。
一般的に、クービビックの方がデエビゴよりも体からお薬が消えるのがやや早い(作用時間が短い傾向がある)とされており、その結果として翌日の眠気がより少ない可能性が期待されています。
Q. どんな人に向いていますか?
寝つきが悪い、夜中に目が覚めてしまう、といった両方の不眠症状があり、かつ依存性の低い睡眠薬を希望される方が良い適応と考えられます。
特に、翌日の眠気やだるさといった持ち越し効果をできるだけ避けたい場合に、選択肢の一つとなる可能性があります。
まとめ
2024年に登場した新しい睡眠薬「クービビック(ダリドレキサント)」は、脳の覚醒システムに作用するオレキシン受容体拮抗薬(DORA)というタイプのお薬です。
寝つきを良くする効果と、夜中に目が覚めるのを減らす効果の両方が期待でき、さらに従来の睡眠薬に比べて依存性のリスクが低いというメリットを持っています。
特に、同じDORAの仲間であるデエビゴなどと比較して、作用時間がやや短く、翌日の眠気が少ない可能性が示唆されている点は、日中の活動への影響を心配される方にとって注目すべき特徴かもしれません。
ただし、クービビックはまだ新しいお薬であり、これからさらに多くの情報が集まってくる段階です。
効果や副作用には個人差があることを理解し、必ず医師の診察を受け、指示された用法・用量を守って正しく使用することが何よりも重要です。
この記事が、クービビックという新しい治療の選択肢について理解を深め、ご自身の不眠の悩みと向き合うための一助となれば幸いです。
ウチカラクリニックではオンライン診療に完全対応し、忙しい方向けに夜間や土日も診療を行っております。
(全国からご自宅で受診可能です。)
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