キュバールの効果・副作用を医師が解説【吸入薬】

キュバール

「ぜんそくの発作を、根本から予防したい」「毎日使う、基本的な吸入薬について知りたい」

そんな、気管支ぜんそくを、発作が起きないように日々コントロールしていくための、最も基本的で重要なお薬が、吸入ステロイド薬の「キュバール」です。 気道の「炎症」そのものを鎮めることで、ぜんそくの症状を安定させます。

この記事では、そんなキュバールについて、効果の仕組みや副作用、そして最も重要な「正しい吸入方法」や注意点を、医師が分かりやすく解説していきます。

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※医師の判断で希望のお薬が処方できない場合があります。

キュバールとは?効果・効能は?

キュバールは、吸入ステロイド薬(ICS)に分類される、気管支ぜんそくの長期管理薬です。ぜんそく治療の土台となるお薬で、毎日続けることで、発作が起きにくい状態を維持します。

「pMDI」という、スプレータイプの吸入器(エアゾール剤)です。

\ 吸入器の種類や正しい使い方はこちら! /

キュバールには、ステロイドの含有量が異なる2つの種類があります。

  • キュバール50μgエアゾール:主に小児に使われる、ステロイド量が少ないタイプ。
  • キュバール100μgエアゾール:主に成人に使われるタイプ。

キュバールの成分

有効成分はベクロメタゾンプロピオン酸エステルです。
これは、強力な抗炎症作用を持つ「ステロイド」の一種です。

ぜんそくは、気道(空気の通り道)が、常に弱い炎症を起こして過敏になっている状態です。キュバールは、この気道の「炎症」を、日々鎮め続ける役割を果たします。 炎症が抑えられることで、気道が刺激に過敏に反応しなくなり、咳や息苦しさ、ぜんそく発作そのものが起こりにくくなります。

キュバールは、薬剤の粒子が非常に細かく作られており、気道の奥深くまで届きやすいという特徴も持っています。

キュバール効果

気管支の炎症を継続的に抑えることで、ぜんそく発作を予防します。

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 気管支ぜんそく

キュバールはオンライン診療で出せる?

「喘息で薬が必要」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

キュバールのような吸入薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
キュバールに関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

キュバールの使い方(用法・用量

通常、成人には成人にはキュバール100μgエアゾールを1回1吸入、1日2回(朝・夕)など、症状に応じて医師が決定します。

毎日、症状がなくても継続して使う「予防薬」です。

使い方

  1. 吸入器をよく振る。
  2. 息をしっかり吐き出す。
  3. 吸入口を口にくわえ、息をゆっくり吸い込みながら、ボンベの底を1回しっかり押す。
  4. 吸入器を口から離し、3〜5秒以上、息を止める。
  5. ゆっくりと息を吐く。
  6. 吸入後は、必ずうがいをする。

キュバールの副作用

吸入薬なので、副作用は主に口や喉に現れます。全身性の副作用はまれです。

主な副作用

  • 嗄声(させい):声がかすれる。
  • 口腔カンジダ症:口の中に白い苔のようなもの(カビ)ができる。
  • 口や喉の刺激感

副作用が出たときの対処法

声がれや口腔カンジダ症は、吸入後のうがいを徹底することで、その多くが予防できます。症状が気になる場合は、医師や薬剤師に相談してください。

キュバールの注意事項(禁忌)

使ってはいけない方

  • 過去にキュバールの成分でアレルギー症状を起こしたことがある方 (禁忌)
  • 有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の方(禁忌)
  • 結核にかかっている方
  • 重い感染症・結核・口腔カンジダ症がある方
  • 妊婦・授乳婦、小児高用量使用→成長・副腎機能に留意
  • 長期全身ステロイド投与中→副腎抑制が重なる

併用に注意が必要な薬

  • デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿)(禁忌)
  • リトナビル等CYP3A4阻害薬→ステロイド血中濃度↑
  • β遮断薬(アテノロールなど)→気管支収縮を打ち消す
  • 長時間作用型β<sub>2</sub>刺激薬/テオフィリン→低カリウム血症性不整脈リスク↑

使用上の注意

発作が起きた時には使わない(リリーバーを使用)この薬は、今起きているぜんそく発作をすぐに鎮める薬(リリーバー)ではありません
急な発作の際には、必ず医師から処方されている、速効性の発作治療薬(サルブタモールなど)を使用してください。
吸入後は必ずうがい(声枯れ・カンジダ予防)副作用を防ぐために、吸入後は必ず水で2回以上ガラガラうがいをしてください。これにより、口の中に残ったステロイド成分を洗い流し、声がれや口腔カンジダ症(口の中のカビ)を予防します。
デバイスは週に1回、水洗いして清潔に保つ吸入器の噴霧口の詰まりを防ぎ、衛生的に使用するために、週に1回程度、吸入器の金属ボンベを外して、プラスチック製のマウスピース部分を水洗いし、よく自然乾燥させてください。
自己判断でやめない症状が良くなったと感じても、気道の炎症は続いています。自己判断でやめると、ぜんそくが悪化する危険性があります。

保管方法

  • スプレー缶なので、40℃以上の高温や直射日光を避け、常温で保管してください。
  • 破裂の危険があるため、火の気のない場所に保管しましょう。
  • 子どもの手の届かない場所へ。

使い忘れたら?

気づいた時点でできるだけ早く1回分を吸入してください。

ただし、次に吸入する時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ吸入しましょう。絶対に2回分を一度に吸入してはいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、キュバールをはじめとした吸入薬の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

キュバールに市販薬はある?値段は?

市販薬

2025年6月現在、キュバールと同じ成分の市販薬は販売されていません。

吸入ステロイド薬は必ず医師の処方が必要です。

ジェネリック

2025年6月現在、キュバールのジェネリック医薬品はまだ販売されていません。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • キュバール50μgエアゾール100吸入用:約1,718.0円/ボンベ(3割負担の場合:約515円)
  • キュバール100μgエアゾール100吸入用:約2,165.0円/ボンベ(3割負担の場合:約650円)

※2025年6月25日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

キュバール50エアゾール/キュバール100エアゾール

よくある質問(FAQ)

Q. 妊婦や授乳中でも使えますか?
キュバールのような吸入ステロイド薬は、全身への影響がごくわずかなため、妊娠中・授乳中でも比較的安全に使えるお薬とされており、治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合には、継続して使用するのが一般的です。

Q. 子供でも使えますか?
はい、小児ぜんそくの治療に広く使われます。 通常、お子様にはステロイド量の少ない「キュバール50μgエアゾール」が処方されます。

Q. いつから効きますか?
この薬は、気道の炎症をじっくりと抑えていくお薬です。即効性はありません。個人差はありますが、効果を実感するには、少なくとも1〜2週間以上、毎日きちんと使い続ける必要があります。

Q. なぜ吸入後にうがいが必要なのですか?
口の中に残ったステロイドの成分が、声がれや口腔カンジダ症(口の中のカビ)といった副作用を引き起こすのを防ぐためです。うがいは、薬の成分を洗い流すための非常に重要な一手間です。

Q. お酒と一緒に使っても大丈夫?
キュバールとアルコールの間に、直接的な相互作用はありません。しかし、人によってはアルコールがぜんそく発作の引き金になることもありますので、飲み過ぎには注意しましょう。

Q. 運転してもいいですか?
はい、問題ありません。眠気を催す成分は入っていません。

Q. フルティフォームなどの配合剤との違いは何ですか?
気管支を広げる成分(LABA)が入っているかいないか、です。フルティフォームなどの配合剤は、「炎症を抑えるステロイド」と「気管支を広げる薬」の2種類が入っています。キュバールは「炎症を抑えるステロイド」のみです。ぜんそくの重症度に応じて、医師がどちらの薬が適しているかを判断します。

Q. これはステロイドの薬ですか?太ったりしますか?
はい、ステロイドですが、「吸入ステロイド」です。薬が直接気道に届くため、全身に吸収される量はごくわずかです。そのため、飲み薬のステロイドでみられるような、体重増加やムーンフェイスといった全身性の副作用は、通常の使用量ではまず起こりません。

まとめ

キュバールは、ぜんそくの根本原因である「気道の炎症」を継続的に抑える、治療の土台となる吸入ステロイド薬です。

この薬で最も大切なのは、今起きている発作を鎮める薬ではないということです。症状がない時でも毎日欠かさず続けることで、発作が起きにくい安定した状態を維持します。また、副作用を防ぐために、吸入後のうがいも非常に重要です。これらのルールを守り、正しく治療を続けて、ぜんそく症状のない快適な毎日を目指しましょう。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。