
「健康診断で“悪玉コレステロールが高い”って言われちゃった…」「食事に気をつけてるつもりなのに、なかなか数値が下がらない…」そんな、コレステロールに関するお悩み、放っておくと、動脈硬化が進んでしまうかも…!?
そんなとき、お医者さんから「ロスバスタチン(クレストール)」というお薬が処方されることがあります。「ロスバスタチンって、どんなお薬なんだろう?」「副作用は大丈夫?」「飲むと痩せたり、髪に影響があったりするの?」など、たくさんの疑問や不安が頭をよぎるかもしれません。
この記事は、そんなあなたのための“お薬説明書”です。コレステロールを下げる代表的なお薬「ロスバスタチン」について、その働きから効果、副作用、そして気になる疑問点まで、医師が分かりやすく解説します!ロスバスタチンと二人三脚で、コレステロール値を上手にコントロールし、健やかな未来を目指しましょう。
ウチカラクリニックではオンライン診療に完全対応し、忙しい方向けに夜間や土日も診療を行っております。
(全国からご自宅で受診可能です。)
肥満や脂質異常症でお悩みの方はお気軽にオンライン診療でご相談ください。
診療時間:09:00 – 22:00
予約は24時間可能!
INDEX
ロスバスタチンとは?効果は?
ロスバスタチンは、血液中の「悪玉コレステロール(LDLコレステロール)」や「中性脂肪」を減らし、逆に「善玉コレステロール(HDLコレステロール)」を少し増やす効果がある、飲み薬です。
「ロスバスタチン」は有効成分の一般名(成分名)で、「クレストール」などの商品名でも知られています。
このお薬は、「HMG-CoA(エッチエムジーコエンザイムエー)還元酵素阻害薬」というグループに属しており、一般的には「スタチン系薬剤」と呼ばれています。コレステロール値を下げるお薬の中でも、特に効果が高いとされるお薬の一つです。
ロスバスタチンの成分
ロスバスタチンの主役は、その名の通り「ロスバスタチンカルシウム」という成分です。
では、このロスバスタチンは、私たちの体の中でどんな風に働いて、コレステロール値を下げてくれるのでしょうか?
①コレステロールを作る「工場」の重要な機械をストップ
私たちの体内でコレステロールが作られる過程には、たくさんのステップがあります。その中でも特に重要な役割を果たすのが、「HMG-CoA還元酵素」という名前の酵素(体の中の化学反応を助ける物質)です。この酵素は、コレステロールを作るための“設計図”から、実際にコレステロールを“製造”する過程で、非常に大切な働きをしています。 ロスバスタチンは、この「HMG-CoA還元酵素」の働きをピンポイントで邪魔(阻害)します。まるで、コレステロールを作る工場の重要な機械のスイッチをオフにするようなイメージですね。
②悪玉コレステロールを肝臓に取り込みやすくする
コレステロールを作る量が減ると、肝臓は「もっとコレステロールが必要だ!」と判断し、血液中を漂っている悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を積極的に取り込もうとします。その結果、血液中の悪玉コレステロールの量が減っていくのです。
このように、ロスバスタチンは、コレステロールが作られるのを抑え、さらに血液中からコレステロールを取り除くという2つの方向から、効果的にコレステロール値を下げてくれます。
ロスバスタチンの効果
- 血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)値を下げる
- 血液中の中性脂肪(トリグリセリド)値を下げる
- 血液中の善玉コレステロール(HDLコレステロール)値を少し増やす
- これらの作用により、動脈硬化の進行を抑え、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管イベントの発症リスクを低減する(特に家族性高コレステロール血症や、他の危険因子を持つ方など)
食事療法や運動療法だけでは十分にコレステロール値が下がらない場合に、医師の判断で処方されます。
どんなときに使う?(適応疾患・部位)
- 高コレステロール血症
- 家族性高コレステロール血症
これらの病気によって引き起こされる動脈硬化や、それに伴う心血管系の病気を予防・治療するために処方されます。
ロスバスタチンの種類
ユリロスバスタチンのお薬は、現在、主に錠剤として供給されています。飲みやすさを考慮した口腔内崩壊錠(OD錠)という、水なしでも口の中でサッと溶けるタイプもあります。
有効成分「ロスバスタチン」の含まれる量が異なる、いくつかの規格があります。
- ロスバスタチン錠2.5mg / OD錠2.5mg
- ロスバスタチン錠5mg / OD錠5mg
(先発医薬品のクレストールも同様の規格があります。ジェネリック医薬品もこれらの規格が中心です。)
医師が患者さんのコレステロール値や体の状態、腎臓の機能などを考慮して、適切な規格と量を調整して処方します。通常は少ない量から開始し、効果や副作用を見ながら徐々に調整していくことが多いです。
ロスバスタチンの使い方(用法・用量)
通常、1日1回2.5mgまたは5mgから服用を開始します。効果が不十分な場合は、1日1回10mgまで増量されることがあります。年齢や症状により適宜増減されますが、重症の場合は1日20mgまで増量されることもあります。
夕食後に服用することが多いですが、医師の指示によっては異なる場合もあります(食事の影響は少ないとされていますが、コレステロールの合成は夜間に活発になるため、夕食後が推奨されることがあります)。
コレステロール値は目に見えないため、自己判断は禁物です。急にやめるとコレステロール値が元に戻ってしまうことがあります。また、治療の経過を正確に判断するためにも定期的な血液検査を受けましょう。
ウチカラクリニックのオンライン診療でも、ロスバスタチンの処方や高脂血症などの生活習慣病の治療も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

ロスバスタチンの副作用
どんなお薬にも副作用の可能性はありますが、ロスバスタチンも例外ではありません。比較的副作用が少ないお薬とされていますが、特に注意すべきものもあります。
主な副作用
比較的よくみられる副作用
- 筋肉に関連する症状(筋肉痛、脱力感、こわばりなど): これがスタチン系薬剤で比較的注意が必要な副作用の一つです。
- 肝機能障害(AST、ALTの上昇など): 血液検査で分かるもので、自覚症状がないことも多いです。
- 消化器症状(腹痛、吐き気、便秘、下痢など)
- 頭痛、めまい
- 発疹、かゆみなどの皮膚症状
まれだけど注意が必要な重篤な副作用
- 横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう): 筋肉の細胞が壊れてしまう重い副作用です。急激な筋肉痛、脱力感、手足のしびれ、赤褐色尿(コーラのような色の尿)などが現れた場合は、直ちに服用を中止し、すぐに医療機関を受診してください。
- ミオパチー: 原因不明の持続する筋肉痛や筋力低下が現れます。
- 重篤な肝機能障害、黄疸: 全身倦怠感、食欲不振、吐き気、皮膚や白目が黄色くなるなどの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 血小板減少: あざができやすい、鼻血が出やすいなどの症状に注意が必要です。
- 間質性肺炎: 空咳、息切れ、呼吸困難、発熱などが現れます。
- 過敏症症候群: 発疹、発熱、リンパ節の腫れなどが現れます。
副作用が出たときの対処法
原因不明の筋肉痛、脱力感、赤褐色尿などが現れたら、すぐに医師や薬剤師に相談してください。 横紋筋融解症の初期サインかもしれません。
肝機能障害の早期発見のためには定期的な血液検査が重要です。 自覚症状がなくても、指示された検査は必ず受けましょう。
皮膚症状、消化器症状などが気になる場合は、医師や薬剤師に相談してください。その他の重篤な副作用のサインに気づいたら、直ちに服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
ロスバスタチンの注意事項・禁忌
使ってはいけない方
絶対に使ってはいけない方(禁忌)
- 本剤の成分(ロスバスタチン)に対し過敏症(アレルギー)の既往歴のある方
- 肝臓の活動性の病気のある方(急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪など)、または原因不明の肝機能検査値の異常が持続する方
- 妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳中の方: (詳しくは下のFAQで説明しますね)
- シクロスポリン(免疫抑制剤)を服用中の方: ロスバスタチンの血中濃度が著しく上昇し、副作用のリスクが高まるため、併用はできません。
使うときに特に注意が必要な方
- 肝臓の機能障害またはその既往歴のある方(上記禁忌に該当しない場合)
- 腎臓の機能障害のある方(用量の調節が必要です)
- 横紋筋融解症の危険因子(甲状腺機能低下症、遺伝性の筋疾患、薬剤性の筋障害の既往歴、アルコール多飲など)を持つ方
- 高齢者の方(特に70歳以上): 筋肉系の副作用が出やすいため、慎重な投与が必要です。
- お子さん(小児)
併用に注意が必要な薬
- 上記禁忌薬(シクロスポリン)
- フィブラート系薬剤(ベザフィブラート、フェノフィブラートなど、他の中性脂肪を下げる薬): 横紋筋融解症のリスクが高まります。原則として併用注意ですが、医師の判断で併用されることもあります。
- ニコチン酸製剤(中性脂肪を下げる薬): 同様に横紋筋融解症のリスクが高まります。
- エリスロマイシン、クラリスロマイシン(マクロライド系抗生物質): ロスバスタチンの血中濃度を上昇させる可能性があります。
- アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール、フルコナゾールなど): ロスバスタチンの血中濃度を上昇させる可能性があります。
- HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビルなど): ロスバスタチンの血中濃度を著しく上昇させるため、併用禁忌または極めて慎重な併用が必要です。
- ワルファリン(血液をサラサラにするお薬): ワルファリンの作用を強めることがあります。
- 制酸剤(胃薬の一部、アルミニウムやマグネシウムを含むもの): ロスバスタチンの吸収を少し悪くすることがあります。服用時間を2時間程度ずらすと良いでしょう。
上記以外にも注意が必要な場合があります。他に飲んでいるお薬やサプリメントがある場合は、必ず医師や薬剤師に伝えましょう。グレープフルーツジュースとの相互作用は、他のスタチン系薬剤ほど強くはないとされていますが、念のため過度な摂取は避けた方が安心です。
使用上の注意
ポイント | 具体的な内容 |
---|---|
定期的な血液検査 | コレステロール値・肝機能・CK値などを医師の指示どおりチェック。 |
筋肉症状が出たらすぐ受診 | 筋肉痛・脱力感・赤褐色尿などがあればすぐ医師へ。 |
食事&運動療法 | 薬は補助。バランスのよい食事と適度な運動を継続しましょう。 |
アルコールは控えめに | 肝臓への負担を考慮し、飲み過ぎに注意。 |
自己判断で中止しない | 中断するとコレステロール値が再上昇する恐れがあります。 |
保管方法
- 直射日光・高温多湿を避けて保管しましょう。
- 子どもの手の届かない場所に置いてください。
飲み忘れたら?
飲み忘れたことに気づいたら、できるだけ早く1回分を飲んでください。
ただし、次に飲む時間が近い場合は(例えば、次の服用まで8時間以内など)、忘れた分は飲まずに、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分をいっぺんに飲んではいけませんよ。
ロスバスタチンに市販薬はある?値段は?
市販薬
医療用の「ロスバスタチン」と全く同じ有効成分「ロスバスタチンカルシウム」を含む市販薬は、現在のところありません。
コレステロール値が高いと指摘された場合は、自己判断で市販薬やサプリメントに頼るのではなく、必ず医療機関を受診して、専門医に相談するようにしてください。
ジェネリック名
先発医薬品の名前は「クレストール」です。
いまはジェネリック(後発品)として、「ロスバスタチン錠「〇〇」」や「ロスバスタチンOD錠「〇〇」」(〇〇には製薬会社名が入ります)が販売されています。
薬価
時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。
- クレストール錠2.5mg(先発医薬品): 1錠あたり 約40~50円程度
- クレストール錠5mg(先発医薬品): 1錠あたり 約80~90円程度
- ロスバスタチン錠2.5mg「〇〇」(ジェネリック医薬品): 1錠あたり 約10~20円程度
- ロスバスタチン錠5mg「〇〇」(ジェネリック医薬品): 1錠あたり 約15~30円程度
※2025年4月29日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
クレストール錠2.5mg/クレストール錠5mg/クレストールOD錠2.5mg/クレストールOD錠5mg
ロスバスタチン錠2.5mg「サワイ」/ロスバスタチン錠5mg「サワイ」/ロスバスタチンOD錠2.5mg「サワイ」/ロスバスタチンOD錠5mg「サワイ」
よくある質問(FAQ)
Q. ロスバスタチンって、コレステロールなら何でも下げるの?
ロスバスタチンは、主に悪玉コレステロール(LDLコレステロール)と中性脂肪を下げる効果があり、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を少し増やす効果も期待できます。医師があなたのコレステロールのタイプを見て、適切なお薬を選んでくれます。
Q. 妊娠中や授乳中でも飲めますか?赤ちゃんへの影響は?
絶対にダメです。ロスバスタチンは、妊娠中または妊娠している可能性のある女性、そして授乳中の方は服用できません(禁忌です)。 動物実験で胎児への悪影響が報告されており、また母乳中に移行する可能性も否定できません。
Q. 子供でも飲めますか?
ロスバスタチンは、小児等(通常15歳未満、あるいは添付文書によってはもっと上の年齢まで)に対する有効性および安全性は確立されていません。 ただし、非常に重症な家族性高コレステロール血症のお子さんに対して、専門医が他の治療法がないと判断した場合に、ごく限られた状況で処方される可能性はゼロではありません。
Q. ロスバスタチンを飲んだら運転しても大丈夫?
ロスバスタチンの副作用として、まれにめまいや眠気、しびれ感などが現れることがあります。もし、これらの症状が出た場合は、自動車の運転や危険を伴う機械の操作、高所での作業などは避けるようにしてください。 服用を開始して間もない時期や、体調に変化を感じたときは特に注意が必要です。
Q. ロスバスタチンは飲んでからどのくらいで効き始めますか?
ロスバスタチンは、飲んですぐにコレステロール値が劇的に下がるわけではありません。毎日コツコツと飲み続けることで、徐々に血液中のコレステロール値が低下していきます。効果を実感できる(コレステロール値が目標値まで下がる)までには個人差がありますが、一般的には飲み始めてから2~4週間程度で効果が現れ始め、安定した効果が得られるまでには1~2ヶ月程度かかることが多いと言われています。定期的な血液検査で効果を確認しながら、医師が服用量を調整していきます。
Q. ロスバスタチンを飲んでいるときにお酒を飲んでも大丈夫?
ロスバスタチンとお酒(アルコール)の間に、直接的な相互作用はあまり報告されていません。しかし、アルコールの飲みすぎは中性脂肪を上げる原因になったり、肝臓に負担をかけたりするため、コレステロールや中性脂肪が高い方は、お薬を飲んでいるかどうかにかかわらず、アルコールの摂取は控えるか、適量を守ることが大切です。特に肝機能に注意が必要なロスバスタチンですので、飲みすぎは禁物です。
Q. 「ロスバスタチンを飲むと痩せる」って聞いたけど本当ですか?
ロスバスタチンに直接的な痩身効果(体重を減らす効果)は期待できません。 副作用として、まれに食欲不振や胃腸障害が起こり、結果的に体重が少し減るという可能性は否定できませんが、それは健康的な痩せ方ではありません。むしろ、一部のスタチン系薬剤では、まれに体重増加が報告されることもあります。
Q. 「ロスバスタチンで髪が薄くなる」ってことはありますか?
ロスバスタチンの副作用として、脱毛が報告されることは非常にまれですが、添付文書には記載があります。頻度は不明またはごくわずかとされています。もし、ロスバスタミンを飲み始めてから髪の毛に変化を感じ、心配な場合は、自己判断せずに医師や薬剤師に相談してみてください。
Q. ロスバスタチンを飲むのをやめたいときはどうすればいいですか?
コレステロール値が改善したからといって、自己判断でロスバスタチンの服用を中止するのはやめましょう。 中止すると、コレステロール値が再び上昇してしまう可能性があります。お薬の量を減らしたり、中止したりする場合は、必ず医師と相談し、定期的な検査を受けながら慎重に行う必要があります。
まとめ
今回は、血液中のコレステロール値を下げる代表的なお薬「ロスバスタチン(商品名:クレストールなど)」について、詳しく見てきました。
ロスバスタチンは、「スタチン系薬剤」というグループのエースとも言える存在で、肝臓でのコレステロール合成を抑えることで、悪玉コレステロールや中性脂肪を効果的に下げてくれます。動脈硬化を防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞といった怖い病気から私たちを守るために、とても大切な役割を果たしてくれるお薬です。
でも、効果が高いお薬だからこそ、副作用や飲み合わせ、生活上の注意点など、知っておくべきこともあります。特に、筋肉の症状(横紋筋融解症のサインかも?)や肝機能のチェック、そして妊娠・授乳中の服用は絶対に避けることは、しっかり覚えておいてくださいね。
一番大切なのは、医師や薬剤師の指示通りに正しく服用し、定期的な検査を受け、そしてお薬だけに頼らず、食事や運動といった生活習慣の改善も一緒に行うこと。 これが、ロスバスタチンと上手に付き合い、コレステロール値を良好にコントロールするための秘訣です。
この記事が、ロスバスタチンに対する皆さんの「?」を「!」に変え、前向きな気持ちで治療に取り組むための一歩となれば、これほど嬉しいことはありません。あなたの未来が、サラサラ血液で、もっともっと輝きますように。どうぞお大事にしてくださいね。
ウチカラクリニックではオンライン診療に完全対応し、忙しい方向けに夜間や土日も診療を行っております。
(全国からご自宅で受診可能です。)
肥満や脂質異常症でお悩みの方はお気軽にオンライン診療でご相談ください。
診療時間:09:00 – 22:00
予約は24時間可能!