ユリスの効果や副作用、痛風への注意点を医師が解説【尿酸値を下げる薬】

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「健康診断でまた尿酸値が高かった…」「痛風発作を繰り返していて、もっと良い薬はないかな?」そんな、尿酸値に関するお悩みや、痛風のつらい症状。新しい治療法に関心をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。

そんなとき、お医者さんから「ユリス」というお薬が処方されることがあります。「ユリスって、どんなお薬なの?」「今までの薬と何が違うの?」「副作用は大丈夫?」など、たくさんの疑問や不安を感じるかもしれません。

この記事では、血液中の尿酸値を下げる新しいタイプのお薬「ユリス(一般名:ドチヌラド)」について、その正体から効果、副作用、そして何よりも大切な正しい飲み方や注意点を、医師がとことん優しく、そして分かりやすく解説します!ユリスと上手に付き合って、尿酸値をコントロールし、痛風発作のない穏やかな毎日を目指しましょう。

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ユリスとは?効果は?

ユリスは、血液中の尿酸の量を減らすことで、高尿酸血症を治療したり、痛風の発作を予防したりする、比較的新しい飲み薬です。「ユリス」は先発医薬品の商品名で、有効成分の一般名はドチヌラドといいます。

私たちの体の中では、プリン体という物質が分解されるときに尿酸が作られ、主に腎臓から尿として排泄されます。この尿酸の「産生」と「排泄」のバランスが崩れて、血液中に尿酸が増えすぎた状態が「高尿酸血症」です。そして、尿酸が関節などで結晶化して炎症を起こすと、あの激しい痛みを伴う「痛風発作」が起きてしまいます。

ユリスは、腎臓で尿酸が再び血液中に戻される(再吸収される)のを抑えて、尿として体の外に出しやすくする働きがあるお薬で、「尿酸排泄促進薬」というグループに分類されます。従来の尿酸排泄促進薬と比べて、腎臓への負担や尿路結石のリスクに配慮された設計がされている点が特徴とされています。

とても大切なことですが、ユリスは今まさに起きている痛風発作の痛みをすぐに取るお薬ではありません。 あくまで、血液中の尿酸値を長期的にコントロールして、将来的な痛風発作を予防したり、尿酸による合併症を防いだりするためのお薬です。

ユリスの成分

ユリスの主役は、ドチヌラドという成分です。

腎臓には、一度ろ過された尿の中から、まだ体に必要な物質を再び血液中に取り込む「再吸収」という仕組みがあります。尿酸も一部はこの仕組みで再吸収されています。

ドチヌラドは、この尿酸の再吸収に大きく関わっている「URAT1(尿酸トランスポーター1)」という運び屋さんの働きを選択的に邪魔します。

URAT1の働きが抑えられると、尿酸が血液中に戻りにくくなり、その結果、より多くの尿酸が尿として体の外に排泄されるようになります。これにより、血液中の尿酸値が下がっていくという仕組みです。

ユリスの効果

  • 血液中の尿酸値を下げる
  • 痛風関節炎(痛風発作)を予防する
  • 痛風結節(尿酸の結晶が皮下などにたまってできるコブ)を改善する
  • 高尿酸血症に伴うその他の合併症(腎障害、尿路結石など)のリスクを軽減する

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 痛風
  • 高尿酸血症

これらの病気によって引き起こされる様々な症状や合併症を予防・改善するために処方されます。

ユリスの種類

ユリスのお薬は、現在、主に錠剤として供給されています。 有効成分「ドチヌラド」の含まれる量が異なる、いくつかの規格があります。

  • ユリス錠0.5mg
  • ユリス錠1mg
  • ユリス錠2mg

医師が患者さんの尿酸値や体の状態、腎臓の機能などを考慮して、適切な規格と量を調整して処方します。通常は少ない量から開始し、効果や副作用を見ながら徐々に調整していくことが多いです。

ユリスの使い方(用法・用量

通常、1日1回0.5mgから服用を開始します。その後、血液検査で尿酸値を見ながら、必要に応じて徐々に増量していきます。

維持量としては、1日1回2mgで効果が不十分な場合には、1日1回4mgまで増量できるとされています(ただし、患者さんの状態により医師が判断します)。

通常、朝食後に服用することが多いですが、医師の指示に従ってください。

尿酸値が急に下がることで、関節にたまっていた尿酸の結晶が剥がれ落ちて炎症を引き起こし、飲み始めに痛風発作が起きることがあります。
「せっかく薬を飲み始めたのに、なんで痛くなるの?」と不安になるかもしれませんが、これは一時的な現象であることが多いです。医師は、このような発作を予防するために、飲み始めにコルヒチンなどの抗炎症薬を併用することがあります。もし発作が起きても、自己判断でユリスを中止せず、医師に相談してください。

また、尿酸値や肝機能などをチェックするために、定期的な受診と血液検査を受けましょう。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、ユリスの処方や痛風・高尿酸値などの治療も行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

ユリスの副作用

主な副作用

比較的よくみられる副作用

  • 痛風関節炎(飲み始めに一時的に起こることがあります)
  • 関節痛
  • 肝機能障害(AST、ALTの上昇など): 血液検査で分かるもので、自覚症状がないことも多いです。
  • 腎機能障害(血中クレアチニン上昇、BUN上昇など)
  • 消化器症状(腹部不快感、下痢、便秘など)
  • 発疹、かゆみなどの皮膚症状

まれだけど注意が必要な重篤な副作用

  • 重篤な肝機能障害: 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、全身倦怠感、食欲不振、吐き気などが現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

副作用が出たときの対処法

飲み始めの痛風発作が現れた場合、医師の指示通り、併用されている抗炎症薬を服用しましょう。
自己判断でユリスを中止しないでください。発熱を伴う発疹、皮膚の異常、口内炎などが現れたら、直ちにアロプリノールの服用を中止し、すぐに医療機関を受診してください。 これは重篤な皮膚障害の初期サインかもしれません。

肝機能障害の早期発見のために定期的な血液検査が重要です。 自覚症状がなくても、指示された検査は必ず受けましょう。

関節痛や皮膚症状、消化器症状などが気になる場合は、医師や薬剤師に相談してください。その他の重篤な副作用のサインに気づいたら、直ちに服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。

ユリスの注意事項・禁忌

使ってはいけない方

絶対に使ってはいけない方(禁忌)

  • 本剤の成分(ドチヌラド)に対し過敏症(アレルギー)の既往歴のある方

使うときに特に注意が必要な方

  • 肝臓の機能障害またはその既往歴のある方
  • 腎臓の機能障害のある方(用量の調節が必要です)
  • 尿路結石のある方、またはその既往歴のある方: 尿酸の排泄が増えるため、結石ができやすくなる可能性があります。十分な水分摂取が特に重要です。
  • 高齢者の方妊娠中または妊娠している可能性のある方、授乳中の方お子さん(小児)

併用に注意が必要な薬

  • アスピリン(少量でも): ユリスの尿酸低下作用を弱めてしまう可能性があります。併用する場合は医師の指示に従ってください。
  • ピラジナミド(結核治療薬): ユリスの尿酸低下作用を弱めてしまう可能性があります。
  • エタンブトール(結核治療薬): ユリスの尿酸低下作用を弱めてしまう可能性があります。
  • シクロスポリン(免疫抑制剤): シクロスポリンの血中濃度を上昇させる可能性があります。
  • ロスバスタチン(高コレステロール血症治療薬): ロスバスタチンの血中濃度を上昇させる可能性があります。

上記以外にも注意が必要な場合があります。他に飲んでいるお薬やサプリメントがある場合は、必ず医師や薬剤師に伝えましょう。

使用上の注意

ポイント 具体的な内容
水分をしっかり 尿量1日2 L以上を目標に。尿酸排泄を促し、結石も予防。
定期的な血液検査 尿酸値・肝機能・腎機能などを医師の指示どおりチェック。
開始初期の発作対策 医師が勧める場合はコルヒチン等を併用。発作が出ても自己中止しない。
食事・運動療法 プリン体・アルコールを控え、適度な運動で体重管理も。
急な自己中止はNG 尿酸値が再上昇し、痛風発作がぶり返すリスクがあります。

保管方法

  • 直射日光・高温多湿を避けて保管しましょう。
  • 子どもの手の届かない場所に置いてください。

飲み忘れたら?

飲み忘れたことに気づいたら、できるだけ早く1回分を飲んでください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は(例えば、1日1回服用の場合で、次の服用まで8時間以内など)、忘れた分は飲まずに、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分をいっぺんに飲んではいけませんよ。

アロプリノールに市販薬はある?値段は?

市販薬

医療用の「ユリス」と全く同じ有効成分「ドチヌラド」を含む市販薬は、現在のところありません。

痛風の症状でお困りの場合は、自己判断で市販薬を探すのではなく、必ず医療機関を受診して、専門医に相談するようにしてください。

ジェネリック名

ユリスの有効成分「ドチヌラド」は比較的新しい成分のため、2025年5月現在、ジェネリック医薬品(後発医薬品)はまだ販売されていません。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • ユリス錠0.5mg: 1錠あたり 約15~20円程度
  • ユリス錠1mg: 1錠あたり 約30~35円程度
  • ユリス錠2mg: 1錠あたり 約50~60円程度

※2025年4月29日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ユリス錠0.5mg/1mg/2mg

よくある質問(FAQ)

Q. ユリスはどんなタイプの尿酸値を下げる薬ですか?
ユリスは、腎臓で尿酸が血液中に再吸収されるのを抑え、尿として体の外へ尿酸を出しやすくする「尿酸排泄促進薬」というタイプのお薬です。体内で尿酸が作られるのを抑える「尿酸生成抑制薬(フェブリクやアロプリノールなど)」とは作用の仕方が異なります。

Q. 妊娠中でも使える?
動物実験では胎児への影響は認められていませんが、ヒトでの安全性は確立されていません。自己判断での服用は絶対に避け、必ず医師に相談してください。

Q. 授乳中でも使える?
ユリスの成分が母乳中に移行するかどうか、また赤ちゃんへの影響については、まだ十分なデータがありません。服用中は授乳を避けるか、医師に相談して指示に従ってください。

Q. 小児でも使える?
ユリスは、現在のところ小児等(通常15歳未満)に対する有効性および安全性は確立されていません。 そのため、お子さんの高尿酸血症や痛風に対しては、原則として処方されません。

Q. ユリスを飲んだら運転しても大丈夫?
ユリスの副作用として、まれにめまいや傾眠(うとうとする感じ)などが報告されています。もし、これらの症状が出た場合は、自動車の運転や危険を伴う機械の操作、高所での作業などは避けるようにしてください。 服用を開始して間もない時期や、体調に変化を感じたときは特に注意が必要です。

Q. ユリスは飲んでからどのくらいで効き始めますか?
ユリスは、飲んですぐに尿酸値が劇的に下がるわけではありません。毎日コツコツと飲み続けることで、徐々に血液中の尿酸値が低下していきます。効果を実感できる(尿酸値が目標値まで下がる)までには個人差がありますが、一般的には飲み始めてから数週間~1ヶ月程度で尿酸値の低下が見られ始めることが多いと言われています。定期的な血液検査で効果を確認しながら、医師が服用量を調整していきます。

Q. ユリスを飲んでいるときにお酒を飲んでも大丈夫?
ユリスとお酒(アルコール)の間に、直接的な相互作用はあまり報告されていません。しかし、痛風や高尿酸血症の方にとって、アルコール自体が尿酸値を上げ、痛風発作を引き起こす大きな原因となります。 特にビールなどのプリン体を多く含むお酒は要注意です。

Q. ユリスを飲み始めると痛風発作が起きやすくなるって本当ですか?
ユリスを飲み始めて尿酸値が急に下がり始めると、関節などにたまっていた尿酸の結晶が剥がれ落ちて、一時的に炎症が起きやすくなり、痛風発作が誘発されることがあります。これを「尿酸移動性発作」と呼ぶこともあります。これはお薬が効き始めているサインとも言えますが、つらいですよね。そのため、医師はユリスの服用開始時に、発作を予防するためにコルヒチンなどの抗炎症薬を短期間併用することが多いです。

Q. ユリスを飲むときは、なぜたくさん水を飲んだ方がいいのですか?
ユリスは尿酸を尿として体の外に出すお薬なので、尿の量が増えたり、尿中の尿酸濃度が高くなったりすることがあります。水分を十分に摂ることで、尿の量を増やし、尿酸をスムーズに排泄するのを助けると同時に、尿路結石(尿酸が固まって石になること)ができるのを予防する効果が期待できます。医師から特に指示がない場合でも、1日にコップ8杯(約1.5~2リットル)程度の水分を摂るように心がけると良いでしょう。

まとめ

今回は、血液中の尿酸値を下げる新しいタイプのお薬「ユリス(一般名:ドチヌラド)」について、詳しく見てきました。

ユリスは、腎臓での尿酸の再吸収を抑えて、尿として体の外へ尿酸を出しやすくすることで、高尿酸血症を改善し、痛風発作の予防や合併症の進行を防ぐ、期待の新しいお薬です。毎日コツコツと飲み続けることで、その効果が期待できます。

しかし、効果的なお薬だからこそ、使い方にはいくつかの大切なポイントがあります。一番大切なのは、医師の指示通りに用法用量を守り、定期的な血液検査を受けること。そして、飲み始めの痛風発作の可能性を理解し、十分な水分を摂ること。自己判断で服用を中止したりしないこと。食事療法や運動療法といった生活習慣の改善も併せて行うことです。

この記事が、ユリスに対する皆さんの疑問や不安を少しでも軽くして、医師とよく相談しながら、安心して適切な治療に取り組むためのお手伝いができれば、心から嬉しいです。尿酸値がしっかりコントロールされ、痛風の心配のない、健やかで快適な毎日が送れるようになりますように。どうぞお大事になさってくださいね。

ウチカラクリニックではオンライン診療に完全対応し、忙しい方向けに夜間や土日も診療を行っております。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。