レルベアの効果・副作用を医師が解説【100と200の違い・併用禁忌は?】

喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療薬として広く処方されている「レルベア」。

この薬を初めて処方された方や、すでに使用しているけれど詳しく知りたい方のために、レルベアの特徴や効果、正しい使い方についてわかりやすく解説します。

毎日の健康管理に役立てていただければ幸いです。

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レルベアとは?効果は?

レルベアの成分

レルベアの正式名称は「レルベアエリプタ」。 エリプタは吸入器の形の名称です。

ここではレルベアと呼んでいきます。

は、ぜんそくやCOPDの治療に使われる吸入薬です。1つの吸入器(エリプタ)の中に、働きのことなる2種類の有効成分が配合されており、1日1回の吸入で効果が24時間持続するのが大きな特徴です。

レルベアには、以下の2つの有効成分が最適なバランスで配合されています。

  1. フルチカゾンフランカルボン酸エステル(吸入ステロイド薬:略してICS)
    気道のしつこい「炎症」を強力に、そして長時間にわたって抑え込む働きがあります。この成分は、気道にとどまる時間が長いのが特徴で、1日1回の吸入でも、ぜんそくやCOPDの根本原因である炎症を効果的にコントロールします。気道の”火事”を未然に防ぎ、落ち着いた状態を保つ、治療の要となる成分です。
  2. ビランテロールトリフェニル酢酸塩(長時間作用性β2刺激薬:略してLABA)
    気管支をとりまく筋肉の緊張をほぐし、狭くなった気道をしっかりと広げる作用があります。この成分も効果が約24時間と非常に長く続くため、1日1回の吸入で気道を広げた状態をキープし、息苦しさを軽減します。空気の通り道をスムーズにし、楽な呼吸を一日中サポートする成分です。

この2つの成分が力を合わせることで、「気道の炎症を抑える」ことと「気道を広げる」ことの両方に、1日1回の吸入でアプローチします。

レルベアの効果

  • ぜんそくの発作が起こる回数を減らす
  • ぜんそくやCOPDによる咳、痰、息切れ、ゼーゼー・ヒューヒューといった日常的な症状を和らげる
  • COPDの症状が急に悪化する「増悪(ぞうあく)」を予防する
  • 呼吸機能の低下を抑え、維持・改善する

1日1回の吸入で済むため、吸入忘れが少なくなり、治療を続けやすいというメリットも期待されます。

どんなときに使う?(適応疾患)

  • 気管支喘息(吸入ステロイド薬と長時間作用性吸入β2刺激薬の併用が必要な場合)
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD) の症状の長期管理

レルベアは、基本的に「発作止め」ではありません!

多くの場合、レルベアは症状がない時も毎日コツコツと続ける「長期管理薬(コントローラー)」という位置づけです。
急に起こった発作をすぐに鎮めるための「発作治療薬(リリーバー)」(例:短時間作用型の気管支拡張薬など)とは役割が異なります。

レルベアの使い方(用法・用量

正しい吸入・保管方法

レルベアの効果をしっかり得るためには、吸入器を正しく使うことが何よりも大切です。

  1. 薬の準備
    横にあるカバーを、「カチッ」という音がするまで横いっぱいにスライドさせると、自動的に1回分の粉薬が吸入口にセットされ、同時にカウンターの数字が1つ減ります。
  2. 息を吐く
    吸入器を口元から離した状態で、無理のない範囲で「ふーっ」と、できるだけ長く息を吐く。
  3. 吸い込む
    マウスピースを唇でしっかりとはさみ、「強く」「深く」「一気に最後まで」息を吸い込みます。
  4. 息を止める
    吸入器を口から離し、最低でも3~4秒、できればもう少し長く(5秒以上)息を止めます。
  5. 閉じる&うがい
    ゆっくりと息を吐き出し、カバーを元の位置まで「カチッ」と音がするまでスライドさせ閉じます。吸入が終わったら、すぐに必ずうがいをしてください。

詳しい吸入の方法や保管方法はこちらの記事をチェック。

残量カウンターの見方

吸入器の側面には、あと何回吸入できるかを示すカウンター(窓)があります。

カバーを開けるたびに数字が1つずつ減っていきます。残りの吸入回数が「9」以下になると、数字が赤色に変わり、残りが少ないことを知らせてくれます。

「0」になったら、もうお薬は入っていませんので、新しいものと交換してください。

用法/用量

レルベアには、「100」と「200」という2つの規格があります。

この数字は主に、1回の吸入に含まれる吸入ステロイド薬(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)の量(マイクログラム:µg)を示しています。
気管支拡張薬(ビランテロール)の量は、どちらの規格も同じ25µgです。

どちらの規格を使うかは、患者さんの病気の重症度、年齢、他の治療状況などを考慮して、医師が判断します。

気管支喘息の場合

  • 成人
    レルベア100エリプタを1回1吸入、これを1日1回、毎日一定の時間帯に吸入します。症状に応じて、お医者さんの判断でレルベア200エリプタが選択されることもあります。
  • 小児(目安として12歳以上)
    レルベア100エリプタを1回1吸入、これを1日1回、毎日一定の時間帯に吸入します。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の場合

  • 成人
    レルベア100エリプタを1回1吸入、これを1日1回、毎日一定の時間帯に吸入します。(レルベア200エリプタはCOPDの治療には承認されていません)

あくまでこれらは一般的な例です。あなたにとって最適な用法用量は、診察したお医者さんが判断します。
指示された吸入回数やタイミングを必ず守ってください。

レルベアは1日1回の吸入です。毎日続けることが大切ですが、効果を安定させるためには、できるだけ毎日同じ時間帯に吸入することが推奨されています。
朝食後、歯磨きの後、寝る前など、ご自身の生活リズムに合わせて、忘れにくいタイミングを決めて習慣づけましょう。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、レルベアをはじめとした吸入薬の処方や安定した喘息の治療なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

レルベアの副作用

主な副作用

  • 嗄声(させい):声がれ、声がかすれる。
  • 口腔咽頭カンジダ症: 口の中や喉の粘膜に、白い苔のようなものが付着する(カビの一種)。ヒリヒリとした痛みを感じることもあります。
  • 咽喉頭(のど)の刺激感、痛み、違和感口内炎

これらの副作用は、吸入ステロイド成分が口や喉に残ることが原因で起こります。吸入後のうがいをしっかり行うことで、これらの副作用の大部分は防ぐことができます。

他にも

  • 頭痛
  • 動悸(心臓がドキドキする感じ)
  • 手の震え(振戦)
  • 筋肉のけいれん
  • 血糖値の上昇(糖尿病の方は注意)
  • 肺炎: 特にCOPDの患者さんでリスクがわずかに増加する可能性。

重篤な副作用としてアナフィラキシーショック(急激なアレルギー反応で、呼吸困難、血圧低下などが起こる)、重篤な血清カリウム値の低下などもあります。これらは、極めてまれですが、万が一体調に急激な異変を感じた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

副作用が出たときの対処法

  • 口腔カンジダ症・嗄声:吸入後のうがいを徹底する
  • 頭痛動悸・頻脈:安静にし、症状が続く場合は医師に相談

重篤な副作用の兆候(息苦しさ、全身の発疹、めまい、失神など)が現れた場合は、使用を中止して直ちに医師または救急医療機関に連絡してください。

レルベアの注意事項(禁忌)

使用に注意が必要な方や飲み合わせが悪い薬

  • 感染症(特に結核)にかかっている、または以前かかったことがある方
  • 心臓に病気(不整脈、狭心症など)をお持ちの方
  • 糖尿病の方
  • 甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンが多い病気)の方
  • 高血圧の方
  • 肝臓の機能が低下している方
  • 一部の抗真菌薬(水虫やカンジダなどの治療薬)・抗生物質・抗HIV薬など(CYP3A4阻害薬)
  • β遮断薬(高血圧や心臓の病気、緑内障の目薬などに使われる一部の薬)
  • QT延長を起こす可能性のある薬(一部の不整脈のお薬など)

現在使っているお薬(飲み薬、貼り薬、塗り薬、他の吸入薬、市販薬、サプリメントなど全て)は、必ずお医者さんや薬剤師さんに伝えるようにしましょう。

使用上の注意

  • 1日1回の吸入を毎日続けること
    症状がなくても、毎日決まった時間に使用することが大切です。
  • 発作時の対応
    レルベアは発作を予防する薬であり、発作が起きた時の対処薬ではありません。発作時は医師から処方された発作止めの薬(リリーバー)を使用しましょう。
  • うがい
    吸入後は必ずうがいをして、口腔内に残った薬剤を洗い流しましょう。声がれ(嗄声)やカンジダ症(口腔内の真菌感染症)予防になります。
  • 吸入器の清潔
    吸入器のマウスピース部分は定期的に乾いた布やティッシュで拭いて清潔に保ちましょう。水洗いは絶対にしないでください。

吸入を忘れたら?

気づいた時点ですぐに1回吸入し、次回は通常時間に吸入すればOK。

次の日の吸入時間まで12時間未満など、あまり時間がない場合は、その日の吸入はスキップし、次の日に通常通り1回分を吸入してください。

2回分をまとめて吸入するのは避けましょう。過度の吸入は副作用リスクを高めます。

レルベアに市販薬はある?値段は?

市販薬

レルベアは医療用医薬品ですので、医師の処方箋が必要です。
ドラッグストアなどで購入することはできません。

ジェネリック名

レルベアは比較的新しいお薬であり、有効成分やデバイスに関する特許が存在するため、現在(2025年5月時点)、ジェネリック医薬品(後発医薬品)は発売されていません。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • レルベア100エリプタ14吸入用:2,422.90円
  • レルベア100エリプタ30吸入用:4,829.90円
  • レルベア200エリプタ14吸入用:2,495.50円
  • レルベア200エリプタ30吸入用:5,220.80円
  • 小児用レルベア50エリプタ14吸入用:2,367.40円
  • 小児用レルベア50エリプタ30吸入用:4,846.80円

※2025年4月29日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

小児用レルベア50エリプタ14吸入用/小児用レルベア50エリプタ30吸入用/レルベア100エリプタ14吸入用/レルベア100エリプタ30吸入用/レルベア200エリプタ14吸入用/レルベア200エリプタ30吸入用

よくある質問(FAQ)

Q. 妊娠中や授乳中でも使える?
必ずお医者さんに相談してください。 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ、慎重に使用されます。自己判断での使用や中止は絶対にしないでください。

Q. 小児でも使える?
レルベア100エリプタは、目安として12歳以上の小児の気管支喘息に対して使用が認められています。 200エリプタは小児には適応がありません。必ず医師の指示に従ってください。

Q. 車の運転への影響は?
レルベアの吸入自体が通常、運転能力に直接影響を与えることは少ないです。しかし、体調が万全でない時の運転は避けましょう。

Q. いつから効果が出ますか?効果が出るまでの期間は?
気管支拡張成分の効果は比較的速やかに現れることもありますが、重要な炎症抑制効果はすぐには現れず、毎日継続して使用することで数日から数週間かけて徐々に効果が安定してきます。1日1回の吸入で24時間効果が持続するように設計されています。

Q. お酒を飲んでも大丈夫?
直接的な重い相互作用は報告されていませんが、アルコールの飲み過ぎは喘息やCOPDの症状を悪化させる可能性があります。治療中は節度ある飲酒を心がけましょう。

Q. うがいはなぜ必要なの?忘れたらどうなりますか?
吸入ステロイドによる声がれや口の中のカビ(カンジダ症)を防ぐために必須です。忘れるとこれらの副作用のリスクが高まります。吸入後は必ずうがい(または口すすぎ)を習慣にしてください。

Q. 発作が起きた時もレルベアを使用すべきですか?
いいえ、レルベアは発作時の救急治療薬(レリーバー)ではありません。発作時には、必ずお医者さんから指示されている別の発作治療薬(リリーバー)を使用してください。

Q. うまく吸入できたか分かりません。どうすればいいですか?
エリプタはカバーを開けるとカウンターが確実に1つ減るので、それが吸入準備完了のサインです。吸入感は少ないですが、「強く、深く、長く」吸うことを意識しましょう。不安な場合は、薬局の薬剤師さんに吸入方法を確認してもらうのが一番です。

Q. アドエアやシムビコートとの違いは何ですか?
最大の違いは、レルベアが「1日1回」の吸入である点です。また、含まれる有効成分の種類や吸入デバイス(エリプタ)も異なります。

Q. 100と200の規格はどう使い分けるのですか?
主に含まれる吸入ステロイドの量が異なります。ぜんそくの重症度に応じて、お医者さんが適切な規格を選択します(COPDは100のみ)。

まとめ

レルベアは、強力な炎症抑制効果と24時間持続する気管支拡張効果を併せ持つ、1日1回の吸入でぜんそくやCOPDを治療するお薬です。「100」と「200」の規格があり、患者さんの状態に合わせて選択されます。

「1日1回」という手軽さは、毎日の治療を続けやすくする大きなメリットです。このメリットを最大限に活かし、安全に治療を続けるためには、

  1. エリプタ吸入器の正しい使い方をしっかりマスターすること
  2. 吸入後の「うがい」を毎回必ず行うこと
  3. 1日1回、毎日決まった時間帯に吸入を続けること
  4. 発作時には使わず、必ず別の発作治療薬を使用すること

これらのポイントが非常に重要になります。

使い方や副作用について分からないこと、不安なことがあれば、遠慮なくお医者さんや薬剤師さんに相談してください。

この記事が、レルベアというお薬への理解を深め、あなたの治療をより良いものにするための一助となれば幸いです。正しい吸入療法で、呼吸が楽になり、より活動的で快適な毎日が送れるよう、心から応援しています。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。