ワイドシリンの効果・副作用を医師が解説【抗生物質】

ワイドシリン

「子どもが中耳炎になり、ワイドシリンというピンクの甘い粉薬を処方された」「溶連菌と診断されたけど、どんな薬?」

「ワイドシリン」は、子どもから大人まで、特に小児科や耳鼻咽喉科で、非常に幅広い細菌感染症の治療に使われる「ペニシリン系」の抗菌薬(抗生物質)です。 有効成分は「アモキシシリン」で、「サワシリン」という薬と中身は同じです。

この記事では、そんな非常によく使われる抗菌薬ワイドシリンについて、効果の仕組みや副作用、そしてアレルギーなどの重要な注意点を、医師が分かりやすく解説していきます。

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※医師の判断で希望のお薬が処方できない場合があります。

ワイドシリンとは?効果は?

ワイドシリンは、ペニシリン系抗菌薬」に分類される感染症治療薬です。様々な種類の細菌を殺す「殺菌的」な作用を示し、安全性が高いことから、特に小児科や耳鼻咽喉科、内科などで第一選択薬として頻繁に処方されます。

医療用として販売されているワイドシリンは、粉薬である細粒剤です。

お子様向けの甘い味付けがされた、ワイドシリン細粒100(10%)というオレンジ色の細粒 / ワイドシリン細粒200(20%)というピンク色の細粒の2種類あります。
20%製剤は、飲む量が少なく済むというメリットがあります。

同じ成分の錠剤やカプセルは、
「サワシリン」「アモキシシリン」という名前で処方されます。

ワイドシリンの成分・作用機序(しくみ)

有効成分はアモキシシリン水和物です。

細菌は、自分たちの体を守るための「細胞壁」という“鎧”を持っています。ワイドシリンは、この細菌の“鎧”が作られるのを邪魔することで、細菌を弱らせ、最終的に壊して殺菌します。

人間の細胞には細胞壁がないため、細菌にだけ選択的に作用します。

ワイドシリン効果

様々な細菌による感染症を治療します。

  • 呼吸器感染症:咽頭炎・喉頭炎(のどの痛み)、扁桃炎(溶連菌など)、気管支炎、肺炎など
  • 耳鼻科領域の感染症:中耳炎、副鼻腔炎(蓄膿症)など
  • 皮膚感染症
  • 尿路感染症:膀胱炎など
  • ヘリコバクター・ピロリ感染症(ピロリ菌の除菌治療)

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 上記のような、様々な部位の細菌感染症

ワイドシリンはオンライン診療で出せる?

「風邪をこじらせてしまった」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

ワイドシリンのようなお薬も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
ワイドシリンに関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

ワイドシリンの使い方(用法・用量

【成人】
1回250mgを、1日3〜4回服用します。症状により調整されるので、必ず医師の指示通りに使用してください。

【小児】
体重1kgあたり1日20mg〜40mgを、3〜4回に分けて服用します。例えば、体重10kgのお子様の場合、1日の総量は200mg〜400mgとなり、これを3〜4回に分けて飲みます。
※中耳炎など、感染症の種類や重症度によっては、さらに多い量が処方されることもあります。

薬が効きづらい「耐性菌」を作らないためにも、症状が良くなっても、医師に指示された期間、必ず最後まで飲み切ってください。

ワイドシリンの副作用

主な副作用

  • 下痢、軟便:腸内細菌のバランスが乱れることで起こります。
  • 発疹、かゆみ:アレルギー性のものと、非アレルギー性のものがあります。
  • アナフィラキシーショック:頻度はまれですが、ペニシリンアレルギーによる重篤な反応です。
  • 偽膜性大腸炎:血便を伴う、ひどい下痢が続く場合は注意が必要です。
  • 重い皮膚障害、肝機能障害、腎障害なども、まれに報告されています。

副作用で多いのは、下痢などの胃腸症状と、発疹です。

副作用が出たときの対処法

発疹が出た場合は、自己判断せず、すぐに服用を中止して医師や薬剤師に連絡してください。アレルギー反応の可能性があるため、慎重な対応が必要です。

下痢がひどい場合は、整腸剤が処方されることもあります。

ワイドシリンの注意事項(禁忌)

使ってはいけない方

  • 過去にペニシリン系薬剤でアレルギー症状を起こしたことがある方(禁忌)
  • 伝染性単核球症にかかっている方(禁忌)(発疹が出やすくなります)
  • 腎臓に重い障害のある方
  • ご高齢の方

併用に注意が必要な薬

  • ワルファリン(血をサラサラにする薬):出血リスク↑(ビタミン K産生抑制)
  • 経口避妊薬(低用量ピル):避妊の効果↓(腸内細菌叢変化)
  • プロベネシド:薬の血中濃度↑(尿細管分泌阻害)
  • メトトレキサート(リウマチなどの治療薬):副作用リスク↑(排泄低下)
  • アルコール多量摂取:胃腸障害・めまいが悪化しやすい

使用上の注意

処方された日数を必ず飲み切る症状が軽快しても、体内に原因菌が残っている可能性があります。自己判断で服用を中止すると、症状が再発したり、薬が効きにくい「耐性菌」が生まれてしまう原因になります。
服用方法のコツ食後すぐに、コップ1杯以上の水やぬるま湯で服用すると、胃腸への負担が少なく、吸収も安定します。
下痢の予防抗生物質を飲むと、腸内の善玉菌が減って下痢をしやすくなることがあります。気になる方は、乳酸菌やビフィズス菌などの整腸剤を併用することで、下痢を予防できる場合があります。

保管方法

  • 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
  • 子どもの手の届かない場所へ。

飲み忘れたら?

気づいた時点でできるだけ早く1回分を服用してください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、ワイドシリンをはじめとしたお薬の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

ワイドシリンに市販薬はある?値段は?

市販薬

ワイドシリンは専門的な治療薬のため、2025年7月現在、市販薬はありません。医師の処方が必須です。

ジェネリック

ジェネリック医薬品(後発品)があります。

有効成分名であるアモキシシリンという名称で、細粒やカプセル、錠剤が発売されています。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

※2025年7月18日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ワイドシリン細粒10%

ワイドシリン細粒20%

よくある質問(FAQ)

Q.妊娠中や授乳中でも使えますか?

比較的安全性の高い抗菌薬とされており、治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合に、妊娠中・授乳中でも処方されることがあります。ただし、自己判断はせず、必ず医師に相談してください。

Q.子供でも使えますか?

はい、ワイドシリン細粒は、小児科で最もよく処方される抗菌薬の一つです。甘い味付けがされており、多くのお子様が飲むことができます。

Q.発疹が出ました。ペニシリンアレルギーですか?

すぐに服用を中止して、処方した医師に連絡してください。 本当のペニシリンアレルギーの可能性もありますが、ウイルス感染時などに、アレルギーではない発疹が出ることもあります。自己判断は非常に危険ですので、必ず医師の指示を仰いでください。

Q.どのくらいで効きますか?

中耳炎や扁桃炎などの急な感染症の場合、服用開始から2〜3日程度で、熱が下がったり、痛みが和らいだりといった効果を感じられることが多いです。ただし、症状が良くなっても、処方された日数は必ず飲み切ることが重要です。

Q.ピル(経口避妊薬)を飲んでいますが、大丈夫ですか?

ワイドシリンを飲むことで、ピルの効果が弱まる可能性があります。 念のため、抗生物質を飲んでいる期間と、飲み終わってから次の生理が来るまでは、コンドームなど他の避妊法を併用するのが安全です。

Q.お酒と一緒に飲んでも大丈夫?

治療中の飲酒は、節度を守りましょう。 アルコールが薬の効果を直接妨げることはまれですが、体の免疫力を低下させ、感染症の治りを遅らせる可能性があります。また、脱水の原因にもなるため、飲酒した際は水分補給を心がけましょう。

Q.運転してもいいですか?

眠気を催す成分は入っていませんが、まれに、めまいや倦怠感といった副作用が報告されています。万が一、そのような症状が出た場合は、回復するまで運転や危険な作業は控えてください。

まとめ

ワイドシリンは、子どもから大人まで、喉の痛みや中耳炎といった身近な細菌感染症に幅広く使われる、安全性の高いペニシリン系の抗菌薬です。

安全で確実な治療のために最も重要なのは、症状が良くなっても処方された日数を必ず最後まで飲み切ること、そして発疹が出た場合は自己判断せずに、すぐに服用を中止して医師に連絡することです。これらのルールを守って、感染症をしっかり治しましょう。

急な発熱や喉の痛みなど、つらい症状でお困りの際は、ウチカラクリニックのオンライン診療でも相談が可能ですので、我慢せずにご相談ください。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。