【漢方】八味地黄丸の効果・副作用を医師が解説

八味地黄丸

「最近、疲れやすくて体がだるい」「夜中に何度もトイレに起きるようになった」「足腰が冷えて痛む…」

そんな、年齢とともに現れる様々な体のサインにお悩みではありませんか? 「八味地黄丸(ハチミジオウガン)」は、“アンチエイジングの漢方薬”とも呼ばれ、加齢による体の機能低下を補い、体を温めることで、中高年の方の様々な不調を改善する、代表的な漢方薬です。

この記事では、そんな八味地黄丸について、漢方ならではの効果の仕組みや副作用、そして正しい飲み方を、医師が分かりやすく解説していきます。

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八味地黄丸とは?効果は?

八味地黄丸(ハチミジオウガン)は、生命エネルギーの源である「腎(じん)」を補い、体を温めることで、加齢に伴う様々な機能低下を改善する漢方薬です。漢方でいう「腎」は、単なる腎臓だけでなく、成長・発育・生殖・老化などを司る、根源的なエネルギーを蓄える場所と考えられています。

医療用では、主に「ツムラ八味地黄丸エキス顆粒(医療用)」のように、製薬会社名がついたエキス剤(粉薬)が処方されます。

八味地黄丸の成分

八味地黄丸は、以下の8種類の生薬(しょうやく)で構成されています。

  • 地黄(ジオウ)
     →主役となる生薬。「腎」を補い、体に潤いと栄養を与える。
  • 山薬(サンヤク)、山茱萸(サンシュユ)
     →「腎」のエネルギーを補い、滋養強壮に働く。
  • 沢瀉(タクシャ)、茯苓(ブクリョウ)
     →体内の余分な水分を排出し、水の巡りを良くする。
  • 牡丹皮(ボタンピ)
     →血の巡りを良くし、体にこもった余分な熱を冷ます。
  • 桂皮(ケイヒ)、附子(ブシ)
     →体を芯から温める作用が非常に強い生薬。冷えを改善する。

漢方では、加齢とともに「腎」のエネルギー、特に体を温める力(「腎陽」)が不足する(「腎陽虚」)と考えます。すると、体が冷え、水分代謝が悪くなり、疲れやすさ、足腰のだるさ、頻尿といった症状が現れます。八味地黄丸は、「腎」を補い、体を温めることで、老化による衰えにブレーキをかける働きをします。

八味地黄丸効果

体を温め、生命エネルギーを補うことで、様々な症状を改善します。

  • 疲労倦怠感
  • 腰痛、足の痛み、下肢のしびれ
  • 頻尿、夜間尿、残尿感
  • むくみ、かすみ目
  • 皮膚のかゆみ

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少または多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症状
    • 下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ

八味地黄丸はオンライン診療で出せる?

「疲れやすいし、トイレが近くなった…」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

八味地黄丸のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
八味地黄丸に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

八味地黄丸の使い方(用法・用量

1日2〜3回、1回1包(2.5g)を食前または食間(食事と食事の間)の空腹時に服用するのが基本です。年齢や体重、症状により調整されるので、必ず医師の指示通りに使用してください。

通常、そのまま水や白湯で服用しますが、お湯に溶かして、香りや温かさを感じながら飲むと、より効果的とされることもあります。

八味地黄丸の副作用

漢方薬は作用が穏やかですが、副作用が全くないわけではありません。

主な副作用

  • 胃腸症状:食欲不振、胃の不快感、吐き気、下痢など。主薬の「地黄」が胃にもたれやすい性質を持つため
  • のぼせ、動悸、舌のしびれ:「桂皮」や「附子」の温める作用が強く出た場合に起こる
  • 発疹、かゆみなどの皮膚症状

副作用が出たときの対処法

胃がもたれる、のぼせるなどの症状が出た場合は、体質に合っていない可能性があります。服用を中止し、速やかに医師や薬剤師に相談してください。

※多くの漢方薬で注意が必要な「偽アルドステロン症」の原因となる甘草(カンゾウ)は、八味地黄丸には含まれていません。

八味地黄丸の注意事項(禁忌)

使ってはいけない方

  • 過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方(禁忌)
  • 胃腸が弱く、下痢をしやすい方
  • のぼせが強く、赤ら顔で、体力充実している方→温める作用が合わないことがあります
  • 妊婦または妊娠している可能性のある女性

併用に注意が必要な薬

  • 抗凝固薬ワルファリン→地黄で凝固能変動例あり
  • 他の温裏薬(附子・乾姜含む処方)→過度のほてり
  • 強心配糖体ジギタリス→作用増強リスク

使用上の注意

漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質(「証」といいます)に合わせて選ばれます。

八味地黄丸は、体力が中等度以下で、冷えやすく、疲れやすい「虚寒(きょかん)」タイプの方に適した漢方薬です。

1日3回きちんと続け、2週間経っても変化がなければ医師へ相談しましょう。

保管方法

  • 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
  • 子どもの手の届かない場所へ。

飲み忘れたら?

気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、八味地黄丸をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

八味地黄丸に市販薬はある?値段は?

市販薬

ツムラ漢方八味地黄丸エキス顆粒クラシエ薬品「クラシエ」漢方八味地黄丸エキス顆粒などの名前で、多くのメーカーから市販されています。

ジェネリック

漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。

しかし、ツムラ以外にも、クラシエなど、複数のメーカーが同じ「八味地黄丸」という名称で医療用エキス製剤を製造しており、薬価もそれぞれ異なります。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • ツムラ八味地黄丸エキス顆粒(医療用):約21.7円/包(3割負担の場合:約7円)
  • クラシエ八味地黄丸エキス細粒(医療用):約11.7円/包(3割負担の場合:約4円)

※2025年6月4日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ツムラ八味地黄丸エキス顆粒(医療用)

よくある質問(FAQ)

Q. 妊婦や授乳中でも使えますか?
配合生薬の「附子」や「牡丹皮」などの影響(利尿・子宮収縮の可能性)を考慮する必要があるため、妊婦または妊娠している可能性のある方は、原則として服用を避けるべきとされています。自己判断での服用は絶対にやめてください。

Q. 子供でも使えますか?
いいえ、主に中高年以降の成人の体質に合わせて作られた漢方薬であり、通常、小児には使用しません。

Q. いつから効きますか?
漢方薬は、体質をじっくりと改善していくお薬です。即効性は期待できません。個人差はありますが、まずは1ヶ月以上、毎日きちんと飲み続けることで、足腰の痛みやしびれ、排尿の悩みなどに少しずつ変化が現れてくることが多いです。早い人で1〜2週間、しびれ・冷えの改善は1か月続けて実感する例が多めです。

Q. 牛車腎気丸との違いは何ですか?
牛車腎気丸は、八味地黄丸のバージョンアップ版と考えると分かりやすいです。八味地黄丸の8つの生薬に、足腰の痛みやしびれに効く「牛膝」と、むくみや排尿トラブルに効く「車前子」をプラスしたのが牛車腎気丸です。より下半身の症状が強い場合には、牛車腎気丸が選択されます。

Q. 胃が弱いのですが、飲めますか?
主薬の「地黄」は、胃腸が非常に弱い方だと、胃もたれや下痢を起こすことがあります。そのような場合は、量を減らしたり、別の漢方薬を検討したりしますので、医師や薬剤師に相談してください。

まとめ

八味地黄丸は、体を温め、「腎」の働きを補うことで、年齢とともに現れる疲れやすさ、足腰の冷え・痛み、頻尿といった様々なサインを改善する、「中高年のためのファーストチョイス」とも言える代表的な漢方薬です。

効果を実感するには、毎日コツコツと飲み続けることが大切です。「年のせいかな…」と感じる不調があれば、一度、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。