「なんだかゾクゾクする…」「首筋がこわばって、熱っぽいかも？」
そんな、“風邪のひきはじめ”のサインを感じたときに、日本の家庭で最もよく知られている漢方薬が「葛根湯（カッコントウ）」です。 「風邪かな？と思ったら葛根湯」と言われるほど有名ですが、実は効果を発揮するには飲むべき絶妙なタイミングがあります。
この記事では、そんな葛根湯について、効果の仕組みや副作用、そして最も重要な「いつ飲むべきか」という点を、医師が分かりやすく解説していきます。
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葛根湯とは？効果は？
葛根湯（カッコントウ）は、風邪のひきはじめに特化した漢方薬です。体を温め、発汗を促すことで、体表から入り込もうとする風邪の邪気（ふうじゃ）を追い払います。また、筋肉のこわばりを和らげる作用もあります。
医療用では、主に「ツムラ葛根湯エキス顆粒（医療用）」のように、製薬会社名がついたエキス剤（粉薬）が処方されます。
葛根湯の成分
葛根湯は、以下の7種類の生薬（しょうやく）で構成されています。
- 葛根（カッコン）
→クズの根。首筋や肩の筋肉のこわばりを和らげ、発汗を助ける主役。 - 麻黄（マオウ）、桂皮（ケイヒ）
→体を温め、毛穴を開いて汗を出させることで、寒気や熱っぽさを発散させる。 - 芍薬（シャクヤク）
→筋肉のけいれんを和らげ、痛みを鎮める。 - 甘草（カンゾウ）、生姜（ショウキョウ）、大棗（タイソウ）
→胃腸を保護し、他の生薬の働きを調和させる。
漢方では、風邪の初期は、体の表面（体表）が「風寒の邪」に覆われ、熱が内にこもっている状態と考えます。症状としては「汗は出ていないが、ゾクゾクと寒気がして、首や肩がこわばる」のが特徴です。
葛根湯は、体を温めて血行を良くし、汗とともに邪気を追い出すことで、風邪を本格化させずに治すことを目指します。
葛根湯の効果
体を温め、発汗を促すことで、風邪の初期症状を改善します。
- 風邪のひきはじめの症状（悪寒、発熱、頭痛、鼻水など）
- 首筋や肩のこり、頭痛、筋肉痛
どんなときに使う？（適応疾患・部位）
- 体力中等度以上のものの次の諸症状
- 感冒の初期（汗をかいていないもの）、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み
葛根湯はオンライン診療で出せる？
「喉が痛い、風邪ひいたかな？」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」
そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。
葛根湯のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。
ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。
ウチカラクリニックでも、
葛根湯に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。
特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。
葛根湯の使い方（用法・用量）
「ゾクッときて、まだ汗をかいていない」風邪のひきはじめに服用してください。
1日2〜3回、1回1包（2.5g）を食前または食間（食事と食事の間）の空腹時に服用するのが基本です。年齢や体重、症状により調整されるので、必ず医師の指示通りに使用してください。
通常、そのまま水や白湯で服用しますが、お湯に溶かして、香りや温かさを感じながら飲むと、より効果的とされることもあります。
葛根湯の副作用
正しく使えば安全性の高い薬ですが、体質に合わない場合に副作用が出ることがあります。
主な副作用
- 胃腸症状：食欲不振、胃の不快感、吐き気など
- 発汗過多、動悸、のぼせ、不眠：主に「麻黄」の作用によるものです。
- 排尿障害：「麻黄」の作用で、尿が出にくくなることがあります。
- 発疹、かゆみ
構成生薬の「甘草（カンゾウ）」の長期・大量服用により、偽アルドステロン症がまれに起こることがあります。主な症状は、むくみ、血圧の上昇、手足の脱力感・しびれ、筋肉痛などです。
副作用が出たときの対処法
何か異常を感じた場合は、服用を中止し、速やかに医師や薬剤師に相談してください。
葛根湯の注意事項（禁忌）
使ってはいけない方
- 過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方（禁忌）
- 体の虚弱な方（体力の衰えている方、体の弱い方）
- 胃腸の弱い方
- 発汗傾向の著しい方（汗がすでに出ている風邪には使いません）
- 高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺機能障害の診断を受けている方（「麻黄」の成分が影響する可能性があります）
- 妊娠中（麻黄が子宮収縮報告）
併用に注意が必要な薬
- 他の漢方薬（特に「麻黄」や「甘草」を含むもの）
- エフェドリン類含有製剤、MAO阻害剤など
- カフェイン多量：動悸・不眠が増幅
- ワルファリン：甘草で血液凝固の変動報告
使用上の注意
| 飲むタイミング | 葛根湯が最も効果を発揮するのは、「ゾクゾクと寒気がするけれど、まだ汗は出ていない」という風邪のひきはじめの数時間です。 |
| お湯で服用し、体を温める | 服用する際は、体を温めて発汗を促すため、お湯に溶かして温かいうちに飲むのが最も効果的です。服用後は、暖かくして安静にしましょう。 |
| 汗が出たら中止 | 服用後、汗がじわっと出てきて、症状が楽になったら、薬の目的は達成されています。続けて飲む必要はありませんので、服用を中止してください。 |
| 短期服用が原則 | 風邪の初期症状に対応する薬ですので、2〜3日服用しても症状が改善しない場合は、体質や風邪のタイプに合っていない可能性があります。漫然と続けず、医師や薬剤師に相談してください。 |
保管方法
- 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
- 子どもの手の届かない場所へ。
飲み忘れたら？
風邪の初期に飲む薬なので、症状が続いているなら服用してください。
症状のタイミングが合わなければ、無理に飲む必要はありません。
ウチカラクリニックのオンライン診療でも、葛根湯をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。
葛根湯に市販薬はある？値段は？
市販薬
「風邪のひきはじめに」というキャッチコピーで、顆粒、錠剤、ドリンクタイプなど、様々な形状の製品が多くのメーカーから市販されています。
ジェネリック
漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。
しかし、ツムラ以外にも、クラシエなど、複数のメーカーが同じ「葛根湯」という名称で医療用エキス製剤を製造しており、薬価もそれぞれ異なります。
薬価
時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。
- ツムラ葛根湯エキス顆粒（医療用）：約11.7円/包（3割負担の場合：約4円）
- クラシエ葛根湯エキス細粒（医療用）：約6.8円/包（3割負担の場合：約2円）
※2025年6月4日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
よくある質問（FAQ）
Q. 妊婦や授乳中でも使えますか？
「麻黄」などの影響を考慮する必要があるため、自己判断での服用は絶対にやめてください。必ず医師に相談し、慎重な判断のもとで使用されます。
Q. 子供でも使えますか？
はい、お子様の風邪のひきはじめにも使われます。 ただし、お子様の場合は、体重や年齢に応じて服用量を細かく調整する必要があります。また、「麻黄」の成分が含まれているため、必ず医師の指示に従ってください。
Q. いつから効きますか？
飲むタイミングが合っていれば、効果は比較的早いです。服用後、数時間〜半日程度で体が温まり、汗がじわっと出てきて、寒気や体の節々の痛みが和らいでくるのを感じられることが多いです。
Q. どんなタイミングで飲むのがベストですか？
「ゾクゾクっと寒気がして、肩や首がこわばってきた。でも、まだ汗は出ていない」という、まさに風邪の入り口のタイミングです。すでに汗をたくさんかいている時や、風邪が進行して体力が落ち切った時には適していません。
Q. 高血圧の薬を飲んでいますが、葛根湯を飲んでも大丈夫ですか？
自己判断で飲むのは危険です。 葛根湯に含まれる「麻黄」や「甘草」は、血圧に影響を与える可能性があります。必ず、かかりつけの医師や薬剤師に相談してください。
まとめ
葛根湯は、「ゾクゾクする寒気」と「首筋のこわばり」がサインの、風邪のひきはじめに特化した漢方薬です。
効果を最大限に引き出すコツは、「汗をかく前」の絶妙なタイミングを逃さず、お湯で温かくして飲むこと。 常備薬として非常に有名ですが、誰にでも、どんな風邪にでも合うわけではありません。特徴を正しく理解し、ひきはじめのサインを感じたら、上手に活用しましょう。
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