
「急な高熱と、布団にくるまっても治まらない猛烈な寒気…」「汗は全く出ないのに、体の節々がすごく痛い」
そんな、インフルエンザや風邪の典型的な初期症状に、古くから使われてきた強力な漢方薬が「麻黄湯(マオウトウ)」です。 非常にシャープな効果が期待できる一方、その強さゆえに、使うべきタイミングと体質を厳密に見極める必要がある専門的なお薬です。
この記事では、そんな麻黄湯について、効果の仕組みや副作用、そしてコロナやインフルエンザとの関係を、医師が分かりやすく解説していきます。
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麻黄湯とは?効果は?
麻黄湯(マオウトウ)は、体を強力に温め、発汗を促すことで、汗をかいていない風邪やインフルエンザのひきはじめの症状を改善する漢方薬です。特に、高熱と強い寒気、体の節々の痛みに用いられます。
医療用では、主に「ツムラ麻黄湯エキス顆粒(医療用)」のように、製薬会社名がついたエキス剤(粉薬)が処方されます。
麻黄湯の成分
麻黄湯は、以下の4種類の生薬(しょうやく)で構成されています。
- 麻黄(マオウ)、桂皮(ケイヒ)
→主役となる生薬の組み合わせ。体を強力に温め、閉じた毛穴をこじ開けて汗を出させることで、熱を発散させ、ウイルスなどの邪気を追い払う。 - 杏仁(キョウニン)
→咳を鎮め、呼吸を楽にする。 - 甘草(カンゾウ)
→強力な生薬たちの作用を調和させ、急激な変化を和らげる。
漢方では、風邪の初期に「寒邪(かんじゃ)」が体表を固く覆ってしまうと、熱が内にこもって高熱となり、寒気と体の痛みが起こると考えます。
麻黄湯は、強力な発汗作用(解表作用)によって、この固く閉じた「フタ」をこじ開け、汗とともに邪気を体外へ発散させることで、症状を劇的に改善させます。
麻黄湯の効果
体を温め、発汗を促すことで、風邪やインフルエンザの初期症状を改善します。
- 悪寒、発熱、頭痛、体の節々の痛み
- 鼻かぜ、鼻づまり
どんなときに使う?(適応疾患・部位)
- 体力充実して、かぜのひきはじめで、さむけがして発熱、頭痛があり、せきが出て身体のふしぶしが痛く、汗が出ていないものの次の諸症
- 感冒、インフルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、ぜんそく、乳腺炎
麻黄湯とコロナ・インフルエンザとの関係
インフルエンザ
古くから、インフルエンザの初期で「高熱・悪寒・関節痛・汗なし」という症状が揃った場合に、麻黄湯が著効することが知られています。
近年の研究でも、ウイルスの増殖を抑える可能性などが示唆されており、医師の判断で処方される代表的な漢方薬です。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
流行初期の一部の症例で、麻黄湯が有効であったという報告がありました。しかし、コロナの特効薬ではありません。
あくまで、症状が麻黄湯の適応となる「体力があり、汗をかいていない、寒気と体の痛みが強い」状態に合致した場合に、医師の慎重な判断のもとで症状緩和の選択肢の一つとして検討されるに過ぎません。自己判断での服用は絶対に避けてください。
インフルエンザと薬の関係はこちらの記事もチェック!
麻黄湯はオンライン診療で出せる?
「高熱が出てきた、インフルエンザかも…」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」
そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。
麻黄湯のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。
ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。
ウチカラクリニックでも、
麻黄湯に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。
特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。
麻黄湯の使い方(用法・用量)
「高熱と強い悪寒があり、汗は全くかいておらず、体力がある」という条件が揃った時に服用します。
1日2〜3回、1回1包(2.5g)を食前または食間(食事と食事の間)の空腹時に服用するのが基本です。年齢や体重、症状により調整されるので、必ず医師の指示通りに使用してください。
体を温める効果を高めるため、お湯に溶かして、熱いうちに飲むのが最も効果的ですが、難しい方は水などで服用してもかまいません。
麻黄湯の副作用
効果がシャープな分、副作用にも注意が必要です。
主な副作用
- 発汗過多、動悸、のぼせ、不眠、精神興奮:主に「麻黄」の作用によるものです。
- 胃腸症状:食欲不振、胃の不快感、吐き気など
- 排尿障害:「麻黄」の作用で、尿が出にくくなることがあります。
- 発疹、かゆみ
構成生薬の「甘草(カンゾウ)」の長期・大量服用により、偽アルドステロン症がまれに起こることがあります。主な症状は、むくみ、血圧の上昇、手足の脱力感・しびれ、筋肉痛などです。
頻度は極めてまれですが、肝機能障害、間質性肺炎の報告もあります。
副作用が出たときの対処法
何か異常を感じた場合は、服用を中止し、速やかに医師や薬剤師に相談してください。
麻黄湯の注意事項(禁忌)
使ってはいけない方
- 過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方(禁忌)
- 体の虚弱な方(体力の衰えている方、体の弱い方)
- 胃腸の著しく弱い方
- 発汗傾向の著しい方(汗がすでに出ている場合は、かえって体を消耗させます)
- 高血圧・心疾患・不整脈・甲状腺機能亢進症
- 妊娠中(子宮収縮の報告)
併用に注意が必要な薬
絶対に使ってはいけないお薬(併用禁忌)はありませんが、以下のような薬には注意が必要です。
- 他の漢方薬(特に「麻黄」や「甘草」を含むもの)
- エフェドリン含む市販感冒薬/カフェイン多量 → 動悸・不眠増強
- ワルファリン → 血液凝固の変動例あり(甘草)
使用上の注意
漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質(「証」といいます)に合わせて選ばれます。
麻黄湯は体力のある方向け(漢方でいう「実証」タイプ)のお薬です。
1日3回きちんと続け、2週間経っても変化がなければ医師へ相談しましょう。
保管方法
- 直射日光・高温多湿を避け、室温で保管してください。
- 子どもの手の届かない場所へ。
飲み忘れたら?
気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。
ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
ウチカラクリニックのオンライン診療でも、麻黄湯をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

麻黄湯に市販薬はある?値段は?
市販薬
麻黄湯は、風邪のひきはじめの漢方薬として非常に有名で、「クラシエ」漢方麻黄湯エキスEX錠などが多くの製薬会社から市販されています。顆粒タイプや、飲みやすい錠剤タイプなどがあります。
ジェネリック
漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。
しかし、ツムラ以外にも、クラシエなど、複数のメーカーが同じ「麻黄湯」という名称で医療用エキス製剤を製造しており、薬価もそれぞれ異なります。
薬価
時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。
- ツムラ麻黄湯エキス顆粒(医療用):約15.1円/包(3割負担の場合:約5円)
- クラシエ麻黄湯エキス細粒(医療用):約8.2円/包(3割負担の場合:約2円)
※2025年6月4日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
よくある質問(FAQ)
Q. 妊婦や授乳中でも使えますか?
「麻黄」の影響を考慮する必要があり、妊婦または妊娠している可能性のある方は、原則として服用を避けるべきとされています。自己判断での服用は絶対にやめてください。
Q. 子供でも使えますか?
インフルエンザなどで高熱を出したお子様にも使われます。 ただし、麻黄湯は体力を消耗させるほどの強い発汗作用があるため、お子様への使用は特に慎重な判断が必要です。必ず医師の指示に従ってください。
Q. いつから効きますか?
飲むタイミングが合っていれば、効果は非常に早いです。服用後、数時間以内に体が温まり、汗がしっかり出てきて、スーッと熱が下がり、体の痛みが和らぐのを感じられることが多いです。
Q. 風邪薬の「葛根湯」との違いは何ですか?
体力のある人向けの、より強力な葛根湯と考えると分かりやすいです。葛根湯が「悪寒と肩こり」がメインなのに対し、麻黄湯は「より強い悪寒と、体の節々の痛み」がメインです。インフルエンザのような症状には、葛根湯より麻黄湯が適していることが多いです。
Q.汗をかき始めたら飲んでもいいですか?
いいえ、飲むべきではありません。 麻黄湯は汗を出すことで熱を発散させる薬です。すでに汗が出ている時に飲むと、必要以上に汗をかいてしまい、かえって体力を消耗させてしまいます。
まとめ
麻黄湯は、「汗をかいていない、体力のある人」の「高熱・悪寒・体の痛み」を伴う風邪やインフルエンザの初期に、強力な効果を発揮する漢方薬です。
効果を最大限に引き出すコツは、「汗をかく前」のタイミングを逃さず、熱いお湯で飲むこと。 ただし、その強さゆえに、虚弱な方や高齢者には使えないなど、適応が非常に厳しい薬でもあります。特徴を正しく理解し、必ず専門家の指導のもとで服用しましょう。
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