【漢方】葛根湯加川芎辛夷の効果・副作用を医師が解説!【葛根湯との違いは?】

葛根湯加川芎辛夷

「風邪をひくと、いつも鼻づまりがひどくなる…」 「鼻がつまって息苦しい、頭が重い」 「花粉症や慢性鼻炎で、一年中鼻がスッキリしない」

そんな、つらい「鼻づまり」に悩まされている方に、漢方薬の「葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)」が処方されることがあります。

今回は、この少し長い名前の漢方薬がどのようなお薬なのか、有名な「葛根湯」との違いや効果、副作用について、医師がやさしく解説していきます。

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葛根湯加川芎辛夷とは?効果は?

葛根湯加川芎辛夷は、体を温めながら、特に鼻の通りを良くすることに特化した漢方薬です。

風邪の漢方『葛根湯』の鼻づまり撃退バージョンです。鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)などで、粘り気のある鼻水や、なかなか解消しない鼻づまりがある場合に用いられます。

医療用では、主に「ツムラ葛根湯加川きゅう辛夷エキス顆粒(医療用)」のように、製薬会社名がついたエキス剤(粉薬)が処方されます。

葛根湯加川芎辛夷の成分

葛根湯加川芎辛夷は、以下の9種類の生薬(しょうやく)で構成されています。

  • 葛根(カッコン)、麻黄(マオウ)、桂皮(ケイヒ)、生姜(ショウキョウ)
     →体を温め、かぜの原因を発散させるグループ
  • 芍薬(シャクヤク)、甘草(カンゾウ)、大棗(タイソウ)
     →全体の働きを調和させ、体の緊張をゆるめるグループ
  • 辛夷(シンイ)、川芎(センキュウ)
     →鼻の通りを良くし、頭痛を和らげるグループ

葛根湯と同様の成分で体全体の調子を整えつつ、追加された「川芎・辛夷」が鼻と頭に集中して働きかけることで、つらい鼻症状を改善します。

 

葛根湯加川芎辛夷効果

  • 鼻づまりを解消する効果
  • 鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)の症状を和らげる効果
  • 鼻づまりに伴う頭痛や頭重感を改善する効果

漢方では、かぜの初期などで体表に「寒さ(寒邪)」が侵入し、それが鼻に留まることで、気の巡りが悪くなり、つらい鼻づまりや、それに伴う頭痛が起きると考えます。

葛根湯加川芎辛夷は、これらの生薬が協力して、まずベースとなる葛根湯のグループが体を温めてかぜの原因を追い出し、そこへ鼻づまり解消ののため辛夷と川芎が加わることで、鼻の通りを良くしながら頭痛も和らげます。

さらに芍薬などが全体の働きを調整することで、つらい鼻症状を効果的に改善します。

 

どんなときに使う?(適応疾患・部位)

  • 鼻づまりを解消する効果
  • 鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)の症状を和らげる効果
  • 鼻づまりに伴う頭痛や頭重感を改善する効果

葛根湯との違いは?

「葛根湯」と名前が似ていますが、得意な症状がはっきりと異なります。

葛根湯(かっこんとう)

「ひきはじめの風邪」専門です。ゾクゾクする寒気や発熱、頭痛、首筋のこわばりといった、風邪の症状が出始めたまさにその時に飲むのが最適です。

詳しい解説はこちら!
【漢方】葛根湯の効果・副作用を医師が解説【風邪の引き初めに】

 

葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)

「鼻づまり」専門です。風邪や鼻炎で、症状の中心が特に鼻づまりや粘り気のある鼻水、それに伴う頭の重さなどに移ってきた場合に、大きな力を発揮します。

 

風邪のステージやメインの症状によって使い分ける、兄弟のような漢方薬と考えると分かりやすいでしょう。

 

葛根湯加川芎辛夷はオンライン診療で出せる?

「風邪をひいてしまった」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

葛根湯加川芎辛夷のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
葛根湯加川芎辛夷に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

葛根湯加川芎辛夷の使い方(用法・用量

1日2〜3回、1回1包を食前または食間(食事と食事の間)の空腹時に服用するのが基本です。

通常、そのまま水や白湯で服用しますが、お湯に溶かして、香りや温かさを感じながら飲むと、より効果的とされることもあります。

この漢方は体を温めることで効果を発揮します。冷たい飲食物の摂りすぎには注意し、体を温かく保ちましょう。

 

 

葛根湯加川芎辛夷の副作用

主な副作用

主な副作用として、発疹、かゆみなどの皮膚症状、食欲不振、胃の不快感、吐き気などの消化器症状が報告されています。

また、配合されている麻黄(マオウ)の影響で、動悸、不眠、発汗過多などが起こることがあります。

さらに、甘草(カンゾウ)による「偽アルドステロン症」(むくみ、血圧上昇など)にも注意が必要です。

副作用への対処法

心臓がドキドキしたり、目が冴えて眠れなくなったりした場合は、お薬が体に合っていない可能性があります。すぐに医師や薬剤師に相談してください。

またむくみやダルさは「偽アルドステロン症」の初期症状かもしれません。服用を中止し、医師に連絡しましょう。

葛根湯加川芎辛夷の注意事項(禁忌)

使ってはいけない方

絶対に使ってはいけない方(禁忌)はありませんが、以下のような方には注意が必要です。

  • 発汗傾向が強い方
  • 著しく体力が低下している方
  • 胃腸が非常に弱い方
  • 汗をかきやすい傾向のある方
  • 高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺機能障害の診断を受けている方※麻黄で悪化する可能性
  • 妊婦または妊娠している可能性のある女性

併用に注意が必要な薬

絶対に使ってはいけないお薬(併用禁忌)はありませんが、以下のような薬には注意が必要です。

  • 麻黄(マオウ)を含む他の漢方薬や医薬品:
    • エフェドリン類を含む風邪薬や咳止めなどと併用すると、作用が強まりすぎて動悸や不眠などの副作用が出やすくなります。
  • 甘草(カンゾウ)を含む他の漢方薬や医薬品:
    • 甘草の摂取量が過剰になり、「偽アルドステロン症」のリスクが高まります。

使用上の注意

漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質(「証」といいます)に合わせて選ばれます。

葛根湯加川芎辛夷は、比較的体力がある方の、かぜのひきはじめや、寒気がするような初期段階の鼻炎・副鼻腔炎に適しています。

具体的には、ゾクゾクと寒気がして首筋がこわばり、鼻水・鼻づまりが出始めたような「実証(じっしょう)」「寒証(かんしょう)」タイプの方に最も適しています。

逆に、体力がなくぐったりしている方や、汗をたくさんかいている方、症状が長引いている方には合わないことが多いです。

 

保管方法

  • 直射日光や湿気を避け、涼しい場所で保管してください。
  • 子どもの手の届かない場所へ。

飲み忘れたら?

気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、葛根湯加川芎辛夷をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

葛根湯加川芎辛夷に市販薬はある?値段は?

市販薬

ツムラ漢方 葛根湯加川芎辛夷エキス顆粒(第2類)クラシエ漢方 葛根湯加川キュウ辛夷 顆粒/錠剤など多数販売されています。

ジェネリック

漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。

しかし、ツムラ以外にも、クラシエなど、複数のメーカーが同じ「葛根湯加川芎辛夷」という名称で医療用エキス製剤を製造しており、薬価もそれぞれ異なります。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

  • ツムラ葛根湯加川芎辛夷エキス顆粒(医療用):約25.25円/包(3割負担の場合:約8円)
  • クラシエ葛根湯加川きゅう辛夷エキス細粒(医療用):約32.25円/包(3割負担の場合:約10円)

※2025年8月21日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

JPS葛根湯加川きゅう辛夷エキス顆粒〔調剤用〕

よくある質問(FAQ)

Q.妊婦・授乳中でも飲めますか?

自己判断での服用は絶対に避けてください。医師が治療上の有益性が危険性を上回ると判断した場合にのみ、慎重に処方されます。

Q.子どもでも飲めますか?

はい、お子さんの鼻づまりや副鼻腔炎に処方されることがあります。その場合、年齢や体重、体力に合わせて服用量が細かく調整されます。

Q.飲むと眠くなりますか?運転はできますか?

眠くなる成分は含まれていません。むしろ、麻黄の作用で目が冴えたり、動悸がしたりすることがあります。

Q.いつから効き始めますか?

急性の鼻づまりに対しては、比較的速やかに効果が期待できます。体質に合っていれば、1~3日の服用で鼻の通りが良くなるなど、症状の改善を実感できることが多いです。

Q.お酒(アルコール)との飲み合わせは?

直接的な悪い相互作用はありませんが、アルコールは血行を良くしすぎることで、かえって鼻の粘膜を充血させ、鼻づまりを悪化させる可能性があります。治療中の飲酒は控えるのが望ましいです。

葛根湯加川芎辛夷の処方はウチカラクリニックオンライン診療で!

葛根湯加川芎辛夷は、「葛根湯」の持つ体を温め、かぜの初期症状を改善する力に、「鼻づまりを解消する力」をプラスした、非常に頼りになる漢方薬です。

「このしつこい鼻づまり、自分の体質に合っているのかな?」
「市販薬を飲んでも、なかなか良くならない」

そんなときは、我慢せずに専門家である医師に相談しましょう。

ウチカラクリニックのオンライン診療なら、お忙しい方でもご自宅から気軽に医師の診察を受けることができます。

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通院の手間なく、ご自身の症状に合った適切なお薬の処方や、漢方薬に関する相談が可能です。つらい症状にお悩みの方は、ぜひお気軽にウチカラクリニックにご相談ください。

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ウチカラクリニック代表医師

経歴

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。名古屋記念病院基本臨床研修プログラム修了。藤田医科大学救急総合内科、株式会社リコー専属産業医を経てMEDU株式会社(旧Preventive Room)創業。|ウチカラクリニック代表医師|一般社団法人 健康経営専門医機構理事|日本医師会認定産業医|労働衛生コンサルタント(保健衛生)
YouTubeチャンネル「 予防医学ch/医師監修」監修 著書に「40歳からの予防医学(ダイヤモンド社)」など多数。