【漢方】柴胡桂枝乾姜湯の効果・副作用を医師が解説

「風邪が治りきらず、微熱やだるさが続いている」「更年期に入ってから、動悸や息切れ、寝汗が気になる」「疲れやすいのに、不安感やイライラで眠れない…」

そんな、体力も気力も落ち込んでいるのに、なぜか上半身はのぼせて、神経は高ぶってしまう…という、複雑でつらい不調に、漢方薬の「柴胡桂枝乾姜湯（さいこけいしかんきょうとう）」が処方されることがあります。

今回は、この柴胡桂枝乾姜湯がどのようなお薬なのか、その効果の仕組みや副作用、正しい飲み方について、医師がやさしく解説していきます。

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柴胡桂枝乾姜湯とは？効果は？

柴胡桂枝乾姜湯は、体力がなく、冷え症で、心身が疲れている方の、精神的な不安や、それに伴う体の症状を和らげるために用いられる漢方薬です。
「体の“熱”と“冷え”のアンバランスを整え、高ぶった神経を鎮める漢方」で、かぜが長引いた時や、更年期障害、自律神経の乱れからくる様々な不調によく使われます。

医療用では、主に「ツムラ柴胡桂枝乾姜湯エキス顆粒（医療用）」のように、製薬会社名がついたエキス剤（粉薬）が処方されます。

柴胡桂枝乾姜湯の成分

柴胡桂枝乾姜湯は、以下の7種類の生薬（しょうやく）で構成されています。

柴胡（サイコ）、黄芩（オウゴン）
　→胸のあたりの熱や炎症を冷ますグループ
桂皮（ケイヒ）、乾姜（カンキョウ）
　→体の芯（特にお腹）を温めるグループ
栝楼根（カロコン）、牡蛎（ボレイ）
　→渇きを潤し、精神的な高ぶりを鎮めるグループ
甘草（カンゾウ）
　→全体の働きを調和させるグループ

漢方では、体力が低下すると、体の中で熱と冷えが混在した複雑な状態が生まれると考えます。例えば、上半身はのぼせて動悸がするのに、お腹や手足は冷たい、といった状態です。

柴胡桂枝乾姜湯は、これらの生薬が協力して、まず柴胡と黄芩が胸のあたりの余分な熱を冷まし、同時に桂皮と乾姜が体の芯を温めることで、熱と冷えのアンバランスを整えます。さらに、栝楼根がのどの渇きを潤し、牡蛎が高ぶった神経を鎮めることで、心と体の両面から不調を改善していきます。

柴胡桂枝乾姜湯の効果

精神を安定させ、不安感や不眠を和らげる効果
動悸や息切れ、寝汗などを改善する効果
長引く風邪の微熱や倦怠感を改善する効果

どんなときに使う？（適応疾患・部位）

体力中等度以下で、冷え症、貧血気味、神経過敏で、動悸、息切れ、ときにねあせ、頭部の発汗、口の乾きがあるものの次の諸症：
- 更年期障害、血の道症、神経症、不眠症

柴胡桂枝乾姜湯はオンライン診療で出せる？

「更年期のような複雑な不調がある」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」

そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。

柴胡桂枝乾姜湯のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。

ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。

ウチカラクリニックでも、
柴胡桂枝乾姜湯に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。

特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

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柴胡桂枝乾姜湯の使い方（用法・用量）

1日2〜3回、1回1包を食前または食間（食事と食事の間）の空腹時に服用するのが基本です。

メーカーにより1包の量などが異なります。詳細は医師や薬剤師の指示に従ってください。

通常、そのまま水や白湯で服用しますが、お湯に溶かして、香りや温かさを感じながら飲むと、より効果的とされることもあります。

柴胡桂枝乾姜湯の副作用

漢方薬は作用が穏やかですが、副作用が全くないわけではありません。

主な副作用

主な副作用として、発疹、かゆみ、食欲不振、胃の不快感などが報告されています。

まれですが、注意すべき重大な副作用として、間質性肺炎、低K血症に伴うミオパチー、肝機能障害・黄疸、配合されている甘草（カンゾウ）による「偽アルドステロン症」があります。

副作用への対処法

むくみやだるさは「偽アルドステロン症」の初期症状かもしれません。
息切れ、息苦しさ、空咳、発熱は「間質性肺炎」の初期症状の可能性があります。

このような症状が現れた場合は、すぐに服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。

柴胡桂枝乾姜湯の注意事項（禁忌）

注意が必要な方

過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方（禁忌）
体力が充実している「実証」タイプの方（お薬が体質に合わない可能性があります）
肝硬変、肝がんの方
高血圧、心臓病、腎臓病のある方

併用に注意が必要な薬

甘草（カンゾウ）や柴胡（サイコ）を含む他の漢方薬や医薬品

使用上の注意

漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質（「証」といいます）に合わせて選ばれます。

柴胡桂枝乾姜湯は、疲れやすく、冷え症といった「虚証（きょしょう）」で、かつ不安感や動悸などの神経症状が見られる方に適しています。

保管方法

直射日光や湿気を避け、涼しい場所に保管してください。
子どもの手の届かない場所へ。

飲み忘れたら？

気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。

ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

ウチカラクリニックのオンライン診療でも、柴胡桂枝乾姜湯をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

柴胡桂枝乾姜湯に市販薬はある？値段は？

市販薬

クラシエなど様々な製薬会社から、「「クラシエ」漢方柴胡桂枝乾姜湯エキス顆粒」といった名前で販売されています。

製品によって顆粒や錠剤といった剤形や、用法・用量が異なりますので、購入の際はパッケージをよく確認し、薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。

ジェネリック

漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。

しかし、ツムラ以外にも、太虎堂など、複数のメーカーが同じ「柴胡桂枝乾姜湯」という名称で医療用エキス製剤を製造しており、薬価もそれぞれ異なります。

薬価

時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。

ツムラ柴胡桂枝乾姜湯エキス顆粒（医療用）：約71.0円/包（3割負担の場合：約21.3円）
太虎堂の柴胡桂枝乾姜湯エキス顆粒（医療用）：約40.25円/包（3割負担の場合：約12.1円）

※2025年9月15日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。

添付文書

ツムラ柴胡桂枝乾姜湯エキス顆粒（医療用）

よくある質問（FAQ）

Q.妊婦・授乳中でも飲めますか？

自己判断での服用は避け、必ず医師や薬剤師に相談してください。妊娠中は体の状態が大きく変化するため、専門家による慎重な判断が必要です。

Q.子どもでも飲めますか？

はい、お子さんの神経質な傾向や、かぜが長引いた時などに使われることがあります。その場合、年齢や体重に合わせて服用量が調整されます。

Q.飲むと眠くなりますか？運転はできますか？

眠くなる成分は含まれていません。むしろ、不安や緊張を和らげることで、自然で質の良い眠りをサポートするお薬です。そのため、運転や機械の操作に影響はありません。

Q.いつから効き始めますか？

体質をじっくりと整えていく漢方薬なので、即効性はありません。効果を実感するまでには、早くても2週間～1ヶ月程度はかかります。焦らず、継続して服用することが大切です。

Q.お酒（アルコール）との飲み合わせは？

直接的な悪い相互作用はありませんが、アルコールは神経を高ぶらせたり、体の熱のバランスを乱したりすることがあります。お薬が目指す働きとは逆の作用なので、治療中の飲酒は控えるのが望ましいです。

まとめ

柴胡桂枝乾姜湯は、体力が落ちて、冷えとのぼせ、不安感といった複雑な不調を抱える方に、やさしく寄り添ってくれる漢方薬です。特に、更年期や長引く風邪などで心身のバランスを崩したときに、大きな助けとなることがあります。

「自分のこの複雑な不調、漢方で良くなるのかな？」
「どの漢方が自分に合っているか、専門家に相談したい」

そんなときは、一人で抱え込まずに専門家である医師に相談してみましょう。

ウチカラクリニックのオンライン診療なら、お忙しい方でもご自宅から気軽に医師の診察を受けることができます。

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