
「ストレスを感じると、すぐにお腹がシクシク痛くなる」 「お腹が張って苦しいのに、便秘と下痢を繰り返す」 「体力に自信がなく、お腹も冷えやすい」
そんな、デリケートで不調を起こしやすいお腹の悩みに、漢方薬の「桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)」が処方されることがあります。
今回は、この桂枝加芍薬湯がどのようなお薬なのか、その効果の仕組みや副作用、そして正しい飲み方について、基本からやさしく解説していきます。
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桂枝加芍薬湯とは?効果は?
桂枝加芍薬湯は、弱った胃腸の働きを整え、特にお腹の痛みや張り(腹部膨満感)を和らげるために用いられる漢方薬です。
緊張してこわばったお腹を、内側から温めてほぐしてくれます。体力がなく、繊細な方の腹痛や、ストレスなどが原因で起こる「過敏性腸症候群(IBS)」の治療によく使われます。
【IBSの詳しい解説はこちら!】
→過敏性腸症候群(IBS)の治し方について医師が解説
医療用では、主に「ツムラ桂枝加芍薬湯エキス顆粒(医療用)」のように、製薬会社名がついたエキス剤(粉薬)が処方されます。
桂枝加芍薬湯の成分
桂枝加芍薬湯は、以下の5種類の生薬(しょうやく)で構成されています。
体を整える基本処方「桂枝湯(けいしとう)」の芍薬(シャクヤク)という生薬を増量したものです。
- 芍薬(シャクヤク)
→筋肉のけいれんを鎮め、痛みを和らげるグループ(主役) - 桂皮(ケイヒ)、生姜(ショウキョウ)
→お腹を温め、血行を良くするグループ - 大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)
→全体の働きを調和させ、胃腸のエネルギーを補うグループ
漢方では、体力がなくお腹が冷えていると、腸が過敏に緊張し、シクシクとした痛みや、便秘・下痢といった不調が起こりやすくなると考えます。
桂枝加芍薬湯は、これらの生薬により、お腹全体のバランスを整え、つらい症状を改善します。
桂枝加芍薬湯の効果
- 腹痛や腹部膨満感を和らげる効果
- 腸の異常な運動(便秘や下痢)を整える効果
どんなときに使う?(適応疾患・部位)
- 腹部膨満感、しぶり腹、腹痛
- ※しぶり腹:お腹が痛むのに、便がすっきりと出ない状態
桂枝加芍薬湯はオンライン診療で出せる?
「ストレスによる腹痛が続いている」「急に症状が出たけど、病院に行く時間がない…」
そんな方に知っていただきたいのが、オンライン診療という選択肢です。
桂枝加芍薬湯のような漢方も、医師が適切と判断すれば、オンライン診療で相談したり、処方を受けたりすることが可能です。
ご自宅や職場など、好きな場所からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、お薬も自宅に届けてもらえるので、通院の手間や待ち時間をぐっと減らすことができます。
ウチカラクリニックでも、
桂枝加芍薬湯に関するご相談や継続的な処方をオンライン診療にて承っております。
特に、症状が安定している場合の継続処方や、お薬への切り替え相談などに、オンライン診療は便利です。経験豊富な医師が親身になってお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。
桂枝加芍薬湯の使い方(用法・用量)
1日2〜3回、1回1包を食前または食間(食事と食事の間)の空腹時に服用するのが基本です。
水または白湯(さゆ)で服用してください。
メーカーにより1包の量などが異なります。詳細は医師や薬剤師の指示に従ってください。

桂枝加芍薬湯の副作用
漢方薬は作用が穏やかですが、副作用が全くないわけではありません。
主な副作用
主な副作用として、発疹、かゆみなどが報告されていますが、頻度は高くありません。
まれですが、注意すべき副作用として、甘草(カンゾウ)による「偽アルドステロン症」(むくみ、血圧上昇など)やミオパチーにも注意が必要です。
副作用への対処法
「手足のだるさ」「しびれ」「つっぱり感」「むくみ」「血圧の上昇」などは、偽アルドステロン症の初期症状かもしれません。服用を中止し、医師に連絡しましょう。
桂枝加芍薬湯の注意事項(禁忌)
注意が必要な方
- 過去にこの薬の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方
- 体力があり、がっしりとした体格の「実証」タイプの方(お薬が体質に合わない可能性があります)
- 高血圧、心臓病、腎臓病のある方
併用に注意が必要な薬
- 甘草(カンゾウ)を含む他の漢方薬や医薬品
- グリチルリチン酸を含む製剤
使用上の注意
漢方薬は、症状だけでなく、その人の体質(「証」といいます)に合わせて選ばれます。
桂枝加芍薬湯は、体力がなく(虚証)、お腹が冷えやすく、繊細なタイプの方に適しています。
保管方法
- 直射日光や湿気を避け、涼しい場所に保管してください。
- 子どもの手の届かない場所へ。
飲み忘れたら?
気づいた時点で、できるだけ早く1回分を服用してください。
ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分はとばして、次の時間に1回分だけ飲みましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
ウチカラクリニックのオンライン診療でも、桂枝加芍薬湯をはじめとした漢方の処方なども行っています。気になる症状がある方はいつでもお気軽にご相談ください。年中無休で診察しています。

桂枝加芍薬湯に市販薬はある?値段は?
市販薬
クラシエなどから、具体的な製品名で販売されています。
製品によって顆粒や錠剤といった剤形や、用法・用量が異なりますので、購入の際はパッケージをよく確認し、薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。
ジェネリック
漢方薬には、西洋薬のような「ジェネリック医薬品」という概念は厳密にはありません。
しかし、ツムラ以外にも、コタローなど、複数のメーカーが同じ「桂枝加芍薬湯」という名称で医療用エキス製剤を製造しており、薬価もそれぞれ異なります。
薬価
時期や規格によって金額は変わってきますが、以下のような目安です。
- ツムラ桂枝加芍薬湯エキス顆粒2.5 g(医療用):約18.75円/包(3割負担の場合:約6円)
- コタロー桂枝加芍薬湯エキス細粒2.5 g(N60):約16.75円/包(3割負担の場合:約5円)
※2025年10月2日現在
※薬価は改定などで変わる可能性があります。
添付文書
よくある質問(FAQ)
Q.妊婦・授乳中でも飲めますか?
比較的安全な処方とされていますが、自己判断での服用は避け、必ず医師や薬剤師に相談してください。
Q.子どもでも飲めますか?
はい、お子さんの腹痛や便秘・下痢などに、体質に合わせてよく使われます。その場合、年齢や体重に合わせて服用量が調整されます。
Q.飲むと眠くなりますか?運転はできますか?
眠くなる成分は含まれていないため、運転や機械の操作に影響はありません。
Q.お酒(アルコール)との飲み合わせは?
直接的な悪い相互作用はありませんが、アルコールは胃腸を刺激し、下痢や腹痛を悪化させる原因になります。お腹の調子を整えるお薬を飲んでいる間の飲酒は、症状を悪化させる可能性があるため、控えるのが望ましいです。
Q.いつから効き始めますか?
急な腹痛に対しては、比較的速やかに効果を感じることもありますが、基本的には体質を整えていくお薬です。過敏性腸症候群(IBS)などの慢性的な症状の場合、効果を実感するまでには1~2週間以上かかることもあります。
Q.「桂枝加芍薬大黄湯」との違いは何ですか?
名前の通り、「大黄(ダイオウ)」という生薬が入っているかどうかが違いです。大黄は、便通を促す作用が非常に強い生薬です。
- 桂枝加芍薬大黄湯: 腹痛があり、特に便秘が頑固な方に。便をしっかり出すのがメイン。
- 桂枝加芍薬湯: 腹痛があり、便秘または下痢気味の方に。お腹を整えるのがメイン。
まとめ
桂枝加芍薬湯は、弱った胃腸を温め、緊張をほぐすことで、つらい腹痛や不快感を和らげてくれる、「お腹のお守り」のような漢方薬です。特に、ストレスで悪化しやすい過敏性腸症候群(IBS)の方にとって、心強い味方となることがあります。
「長年のお腹の不調、体質から見直したい」
「自分に合った漢方薬を、専門家に相談したい」
そんなときは、我慢せずに専門家である医師に相談しましょう。
ウチカラクリニックのオンライン診療なら、お忙しい方でもご自宅から気軽に医師の診察を受けることができます。
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